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まだ執筆途中。6/1日
「よう史郎。ほうけてどうした」
「ん、いや、なんでもない」
あれから一週間。図書館によく行くわけでもないが、何度か足を運ぶがしかし彼女に会えることはなかった。そも、
「なんで文系きちまったんだろーな」
「あ? 今更理系志望かよ」
「そんな訳じゃないがなあ。ま、しょうがない」
所謂総合大学の経済学部に所属している自分が、なぜプログラミングなんてやっているのか。いや逆か。
「なぜプログラミングをやってるやつが経済学部なんてきたのか、か」
俺は来たくてきたが、お前はホントわからんな。と彼はいう。彼はプログラミングをやっているわけではないが、よく授業で一緒になるのでこうして時間を潰すこともある。
「どうもね。腹減った。食堂行こうぜ」
そういえば、彼女は理工学徒なのだろうか。次に会ったら聞きたいことばかりが増えていく。
「どうせ混んでるぜこれ。外言って食べようぜ」
相手の言葉に同意しつつ、鞄を担いで歩き始めた友の横へ少し足早に歩く。
「うへあー。冷房から脱出すると暑いぜ」
教室から出た直後には、元居た空間より少し冷房の効きが弱い廊下。
「どこが暑いんだよ」
そんな他愛無い会話を続け、いよいよ大学の玄関より外に出る。熱気。
「うわー」
もはや苦言を呈することもできず、ただ目的のファミレスへと歩を進める。
ややあってファミレスの扉を押しのけると、冷房によって冷やされた空気が再び安息へ導く。
「節電だなんだなんて、無理なんだよなあ」
シャツの裾を動かし身体に風を送る友を尻目に、ぼうっと店内を見回す。知った顔はなさそうだ。
「何名様でしょうか?」
「二人。タバコは――」
「俺も吸わん」
「だ、そうで」
スムーズに当該の席へと案内される。昼時だというのに4人掛けの席が空いていたらしく、深々と座る。
「ご注文がお決まりになりましたら、そちらのボタンを押していただければ伺いに参ります。それではごゆっくりどうぞ」
定型文を吐くウェイトレスにどうも、と言葉を返し、その空間に僅か視線を残すと、女性が違うウェイトレスに導かれながら通り過ぎた。
少し顔を上げる。彼女が――
「木橋っ!?」
足を止める彼女。振り返った先に俺を認めると、少し思案したようにして、
「大声で呼ばれるのは、少し恥ずかしいかな」
と言った。
「あ、ご、ごめん」
「大丈夫。すみません。この人達と席同じにしてもらっても?」
木橋は店員にそう許可を取り、俺の隣へと腰掛けた。
「どうも初めまして。木橋さんでいいのかな? 史郎の……佐々木の友人の林田だ。よろしく」
友が慣れたように返す。
「史郎で分かるよ。私は木橋夕陽。彼の、友達、かな?」
確認を取るようにこちらを向く。以前とは比べ物にならない距離にしどろもどろしつつも、でいいんじゃないかな、とだけ答えた。
「名前で分かるなんて、結構良い仲なんじゃないのか?」
これは俺に言った言葉なのか、判断するのにいつもより時間がかかった。
「喋ったのは一回だけだよ。覚えていてくれてありがたいけれどね」
「あなただって私の名前、覚えていてくれたじゃない。普通よ」
牽制球を出すものの、しかして感触がつかめないことに僅かながら動きが止まる。
「ふーん。ま、何頼むか決めようぜ」
林田がさっとメニュー表を渡す。こちらに一つ、向かいに一つ。つまり俺と木橋で同じ表を見ることになる。
これも美味しそうだのなんだの言いながらめくっては戻る姿を見ながら、口を開く。
「めくっていいよ。俺はほぼ決まってるから」
「ん、私も大丈夫。いつもドリア頼んでるの」
いつも。
「ま、そこに落ち着くよね」
彼女にとってのサイゼリア.onOrder()の返り値はいつも変わらない。
「決まったか?」
林田に促されたので頷く。
「ご注文を伺います」
店員が登場する。
「カルボナーラとこのサラダ」
「ミラノ風ドリアに卵載せて」
「あ、俺も同じので」
彼女に続けてさっと答えつつ、ドリンクバーをつける旨を三人に許可を取り伝える。
下がった店員に続いて、互いにドリンクバーへ向かうため席を立つ。
それぞれが適当なモノを手にし、各々の席に戻る。
沈黙。
「……あれから、C++は続けてる?」
「うん。色々と難しくて何度も読み直してるけど」
「そっかそっか。ところで――」
「おいおいプログラミングの話は止めてくれ。俺をのけものにするな畜生」




