ドッキリ企画『魔王討伐』
ついに、この時がやってきた。
世界を巻き込んだドッキリ企画『魔王討伐』。
ターゲットは、今私の目の前にいる勇者。
仕掛け人は彼以外。
そして私は勇者の仲間B役の魔法使いだ。
最初、この企画は私に向けられる予定だったらしく、何度も「魔王を倒してくれ」と言われたが、その度に断っていたため、今の勇者に目標を変えたらしい。
そして私にドッキリの事を話して、今度は勇者の仲間になる事をもちかけられた。
おもしろ事が大好きな私は、もちろんその話にくいついた。
だいたいの話の流れはこう
魔王城に行く
↓
四天王(笑)を倒す
↓
私が勇者に補助魔法をかけ、勇者が光の剣(笑)で魔王を倒す
↓
後日、王城でネタばらし←今ココ
ちなみに、発案者は王妃らしい。
今代の王族ふざけた人ばっかりだ。
全く、いつ本当の魔王が現れるのか分らないのに、お気楽な人達だ。
それにしても、あの四天王役と魔王役の人に本気で魔法を放っちゃったんだけど大丈夫かな?
ついついクセでやってしまったけど…。
あの魔族役の人達もすごかったな。
魔族特有の角はどうやって頭につけたんだろうか。
魔法ではなかったから、のりではったのか?
あと、死ぬ演技もよかった。
どっから出したのか赤黒い血がどばどば出てたし。
…まさか本当に死んでる訳じゃないよね。
他の仲間達はドッキリの事を知っているから手を抜く筈。
光の剣は人を傷つけられないようになってるって言ってたから、大丈夫か。
でも剣には確かに魔方陣らしき物があったけど、何故か読み取れないのよね、変なの。
変といえば、たまに勇者がこっちを憐れんだ目で見てたり、他の仲間がクスクス笑ってたりしてたわね。
なぜかしら?
なんて思ってるうちに私達勇者一行(仮)は王のいる謁見の間に来ていた。
王の前に跪いて話をする。
そして、ついにこの時がやってきた。
「この魔王討伐の旅の事なんだが、実はーーー」
勇者の驚く顔が楽しみだわ!
大陸一の魔法使いの彼女が、本当は騙されていたのは自分で、倒した魔王は本物で、それを知らなかったのは自分だけと知る、十秒前。
主人公
大陸一の魔法使い
魔法に関しては天才
他は少し残念な子