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シーン1:黄金の霊廟(Oの部屋)

登場人物:


Oscar(オスカー・70代): 巨大企業の会長。死を極端に恐れる。

Vanessa(ヴァネッサ・20代): 世界的歌姫。SNSの数字に依存する。

Isaac(アイザック・20代): 天才AI科学者。愛する人を蘇らせたい。


М(メフィストフェレス): プロジェクト「F」の主催者。

              紳士的かつ冷酷な悪魔。


場: 分割された3つの空間。スポットライトが順番に、あるいは同時に彼らを照らす。


シーン1:黄金の霊廟(Oの部屋)

(豪奢だが無機質な寝室。生命維持装置の電子音だけが規則正しく鳴っている。

Oがベッドに横たわり、自分の腕の血管を必死にさすっている)


O: (荒い呼吸で)……脈拍、72。血圧、正常。(コインを積み上げる音が生命維持装置の音に同期している。)……だが、指先が冷たい。 おい、誰かいないか! ナース! 医者はどうした! (返事はない。ただ機械音が響く) 金ならある。(部屋中に投影されている時価総額の数字が、彼の鼓動に合わせて激しく上下する)病院ごと買い取ったはずだ。なぜ誰も来ない? ……ああ、そうか。夜だからか。 夜は暗い。暗いのは死だ。 (自身の胸を掴む) 止まるなよ、心臓。お前には最高級のペースメーカーが入っている。私の資産の半分を費やした傑作だ。 頼むから、朝まで動いてくれ。私が眠っている間に、勝手に休憩なんてするな……。


(暗闇から足音が響く。Мが姿を現す。年齢は30代後半に見えるが、その肌にはシワ一つなく、まるでCGのレンダリングを終えたばかりのような不自然な滑らかさがある。仕立ての良すぎる黒のスリーピースを纏い、瞳の奥には時折、サーバーラックのインジケーターのような冷たい青白い光が明滅している。彼はまるで、この部屋の「空気」そのものが実体化したかのように、音もなくOの傍らに立つ)


М: おやおや、オスカー会長。 世界を牛耳る王様が、夜な夜な自分の鼓動を数えて怯えているとは。株主が知ったら暴落間違いなしですね。


O: 誰だ! 警備員は何をしている!


М: 警備員なら解雇なさいましたよ。「私の寝顔を盗み見ている気がする」と言って。

今のあなたは、文字通り誰よりも「リッチ」で、誰よりも「孤独」だ。 ……死にたくないのでしょう?


O: 当たり前だ! この私が積み上げた富を置いて、無になどなれるか!


М: (封筒を差し出す) ならば、これを。『Project F』への招待状です。 我々の技術なら、あなたの意識を永遠の器に移し替えることができる。 老いも、病も、死もない。あなたの資産を永遠に管理し続けることができるのです。


O: 永遠……。 (震える手で封筒を受け取る) いくらだ? 100億か? 1000億か?


М: お金はいりませんよ。あなたのその「執着」こそが、我々の求めているエネルギーですから。

サインを。それで全てが始まります。



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