十六話
「よーし、ようやく順番きたー!」
長蛇の列に並ぶこと十五分。くじ箱の前に立つ。
「はい、お嬢ちゃんは二回ね」
「はーい」
くじ係のおじさんは、満面の笑みで私に箱を差し出した。
箱の中は見えないけど、ぎっしりと紙が詰まっている。
まず一回。
手を箱に突っ込み、ガサゴソと漁る。その一枚を取り出す。
結果、たわし。
二回目。
(今度は運を貯める感じで......頼む!)
バッとくじを引いて、開けてみるとビックリ!
そこに書かれていたのは、なんと『温泉半額チケット』
「よっっしゃぁぁぁ!!」
思わずガッツポーズをする私。
残念賞のたわしとの差!!めっちゃ嬉しい......
「うわっ、うるさ」
変成くんが隣で露骨に引いた目する。
私達はチケットを貰って閻魔庁に向かった。実は、十王全員に召集がかけられているんだよね〜。
閻魔庁の一室、長机に座っているのは都市王を除く九人の王。
会議の内容は『都市王誘拐事件』について。
「都市王、どこに行ったんだろうね〜」
宋が頬杖をつきながらぼやく。
「こちらも情報を探しているが、何も掴めないであるんである」
資料をめくりながら肩を落とす平等王。
「逆に亡者は現世で大量発生するし......」
うつらうつらと船を漕ぎ始めた私の肩を隣に座る初江王が叩いてくる。
「秦広王、ちゃんと会議は聞け」
相変わらず意見はバラバラだった。結局、何も決まらないまま会議が終盤に近づく。
全員が大きなため息をついた。
「結局、何も決まらなかったね......」
「平等王がいる時の会議はだいたい長引く」
変成くんがボソリと呟く。
「いや、突っ込むだろう!貴様らの出す案はツッコミどころが多すぎるのであるんである!宋帝王はチェロスを食べるし、秦広王は会議の内容を思いっきり聞き逃しているんである!」
その言葉に言い返すように平等王が言った。
「アタシ、明日学校なんだけどー」
手鏡で前髪をチェックしていたギャルの五官王が手を上げた。ごーちゃんは現世で女子高生として過ごしているらしい。
「そもそも、アタシや秦ちゃんみたいな女の子に徹夜はお肌に悪いの!」
ごーちゃんはピシッと指を立てた。
「う〜ん、やっぱりまとまらないよね〜」
「そもそもの原因はナルシ大王じゃん!」
「ナルシ......言うねぇ」
精神的にダメージを食らった閻魔は項垂れていた。
(相変わらずの豆腐メンタル......)
「都市王の居そうな場所ねぇー。あの子、趣味がアイドルの追っかけだからな〜......アイドルとか流行りとか僕には分からないんだよね〜」
「あぁ......」
閻魔の言葉に平等王が遠い目をした。
「うっそ!都市くんの趣味ってアイドルの追っかけだったの!?」
宋は驚きの声を上げる。
「そういえば、前に都市王の部屋に遊びに行った時、二次元の推しのプロマイドが部屋の壁とアルバムに大量に貼ってあって正直ビビった」
「「怖っ」」
変成くんの言葉に私とごーちゃんの言葉が重なる。
(いや、人の趣味を悪く言ったらダメだよね......!)
「話が脱線してるよ〜。はい、戻った戻った」
閻魔が手を叩いてみんなを注目させた。
「前にも言った通り都市王と連絡がつかなくなった。亡者の件もあるし、ひとまず亡者を裁きながら捜査を進める。僕も地獄の方で調べるから、みんなは今のまま現世に留まって今まで通り調べてほしい。頼んだよ」
閻魔の言葉に一同は頷いた。
「はぁ......」
変成くんがため息をついた。
「えー、アタシ明日試験なんだけど〜」
ごーちゃんが眉をへの字にしてスマホをいじりだす。
(大丈夫かな......高校生)
「あー、あと報連相は忘れずにね☆」
「解散ってことで良いであるんであるか?」
「うんうん、今日は解散ってことで―――」
と、閻魔が締めたので今日は解散。
閻魔庁にある自分の自室の布団に倒れ込む。十王の寮になっているよ。
倒れ込んだ瞬間、体の力がどっと抜けた。
「......疲れた......」
時計の針は午後十時を指している。くじで当てたチケットを机の上に置いて、気絶するように眠りに落ちた。
その後、変成くんと仲良く遅刻したのは言うまでもない。




