エピック2【入学試験一日目】
翌朝、怜也は朝食を取りホテルを出る
「さてと、入試は今日からだな、多分4日間に分けられるな、おそらくサバイバル形式だな」怜也はハキハキと言う。そして、校門までくる。合計で210人以上いる。
「ライバルは多いな… アイテムは、赤薬、青薬、黄薬、ボトルリキュール、炎石、貴族サバイバル道具、乾電池、アルミ紙、メモ帳に筆記道具、結界石… そして、この招待状だな」 怜也は、自分の持ち物を、一つ一つ確認しながら、呟いた。 それぞれのアイテムには、彼の戦略が込められていた。赤薬は、緊急時の体力回復用。青薬は、精神力回復用。黄薬は、傷の治療用。 ボトルリキュールは、精神安定剤として、そして、場合によっては、交渉の材料として使用する。炎石は、防御と攻撃の両方に使える。貴族サバイバル道具は、様々な状況に対応できる万能ツール 乾電池、アルミ紙、メモ帳、筆記道具は、情報収集や、罠作成などに使用できる。結界石は、緊急時の防御に使う。招待状は、彼の身分証明書であり、同時に、この試験への参加を認める証だった彼は、受付に招待状を提出すると、オパールがはめ込まれた、豪華なバッジを受け取った。それは、彼の参加を証明する、特別な証だった。怜也は、バッジを胸につけ、体育館へと向かった。彼の表情は、真剣で、そして、自信に満ちていた。講堂は、高い天井と、荘厳な雰囲気に包まれていた。 壁には、魔法使いたちが精緻に描いた美しい絵画が飾られ、差し込む光の加減によって、神秘的に輝きを増していた。 大きな窓からは、穏やかな光が差し込み、外の緑豊かな風景が、はっきりと見えた。しかし、その美しさとは裏腹に、受験生たちの心には、様々な感情が渦巻いていた。 ざわめきが、講堂全体に広がり、受験生たちの顔には、不安と期待が入り混じった、複雑な表情が浮かんでいる。 緊張感と、高揚感が、混在する空間。 誰一人として、その場に無駄な動きはなかった。皆、この瞬間を、固唾を飲んで見守っていた。 ステージ中央に置かれた教壇の上には、アレイスターの姿があった。彼の存在感は、圧倒的で、講堂全体を支配していた。 彼の視線は、一人一人を、鋭く、そして、冷たく見据えていた。アレイスターの言葉は、講堂全体に、重く響き渡った。
「ようこそ、受験生の皆さん、クロニクル学園へ。宝石をはめたものは貴学専攻受講ですね」 彼の不気味な笑みは、受験生たちの心に、恐怖を植えつけた。 宝石のバッジをつけた210名の受験生たちは、次の瞬間、緑深い森の中に放り出された。そこは、サバイバル試験の舞台。 木々が生い茂り、薄暗い森の中は、危険に満ちていた。 アレイスターの声が、森の中に響き渡った。
「今から受験を行います。210人から160人に減るまでのサバイバル試験です。受講生同士のバトル、モンスター討伐、アイテム入手などでポイントが入ります。これは、生き残りをかけた戦い弱者は、淘汰される。受講用インベントリーを受け取ってください」 彼の言葉は、試験の過酷さを、改めて強調していた。 怜也たちは、手にしたインベントリーを握りしめ、この過酷なサバイバル試験に挑もうとしていた。アレイスターの低い声が、森に響き渡った。
「これは、受験中に入手した得点アイテムやモンスター素材を入れるためのインベントリーです。受験者同士戦闘でその場で降参および続行不可能になったらそのインベントリーの中のアイテムは5分の一および場合により全部勝者に渡ります、なお、最後まで残ったら受験インベントリーのアイテムは個人の持ち物になります。では、スタート」怜也は、そのルールを聞きながら、頭の中で戦略を練っていた。 アイテム収集は、もちろん重要だ。 しかし、戦闘も避けられないだろう。 彼は、自分のアイテムを、効果的に活用する方法を、考えていた。赤薬、青薬、黄薬… 、それらは、緊急時のために温存する。炎石は、強力な武器になるだろう。しかし、むやみに使うべきではない。貴族サバイバル道具は、様々な状況に対応できる万能ツールだ。彼は、このアイテムを、最大限に活用する必要がある。 そして、何より重要なのは、冷静さを保つことだ。彼は、深呼吸をして、アイテム収集から始めることを決めた。 彼の視線は、鋭く、そして、的確だった。怜也は、冷静にアイテムを収集していた。
「最初は地道に点数を稼ごう」 彼は、木の実や茸、草花、木の枝を、効率的に集めていた。 その時、肥満体の大男が現れた。
「ギミックはだいたい予想着く…」 その大男は、グスタフ・ダルビエルと名乗り、大鎌を振りかざした。
「グフフフ…!おい、お前、点数稼ぎだな!俺様の名前はグスタフ・ダルビエル!尋常に勝負だ!」 グスタフの言葉は、自信満々で、傲慢だった。 彼は、正々堂々とした戦いを求めていた。 しかし、怜也は、そんな彼を相手に、なんと卑怯な戦法を使った。
「どわっ!?」 グスタフの目に、石粒が当たった。 それは、怜也が地面から拾い上げたものだった。
「て、テメー、きたねぇ〜ぞ!それは貴族としての戦い方ではないぞ!」 グスタフは、怒りを露わにした。 しかし、怜也は、冷酷な笑みを浮かべた。
「フン…、こちとら、卑怯な奴らを相手してきたからな、それ!」 怜也は、グスタフの隙を突いて、攻撃を仕掛けた。そして、グスタフは、気絶した。怜也は、グスタフのインベントリーを手に入れ、1000ポイントを獲得した。 グスタフは、空間の歪みに飲み込まれていった。 怜也は、アイテム収集と戦闘を繰り返しながら、着実にポイントを稼いでいた。
「ポイントアイテムは、なるほどね… 50ポイントアイテムが5つか…」彼は、冷静に状況を分析し、次の行動を決定していた。ヘビ型のモンスターをあっさり撃破し、牙、蛇肉、蛇革を手に入れた後も、怜也は効率的にアイテムを集め、他の受験生を再起不能に追い込み、モンスターを撃破していった。 彼は、森の奥深くにある巨大な大樹へとたどり着いた。
「大樹のところまで来たな… この大樹は…」 大樹から木の実、蜜、葉っぱを手に入れ、インベントリーはほぼ満杯になった。
「かなり得点稼いだな…」 その時、彼の前に、謎めいた人物が現れた。 赤髪、左目が緑、右目が黒という異様な瞳の色、黒に近い赤い服に灰色のズボンという、独特の服装… その人物は、怜也に、強い印象を与えた。 その人物は、一体誰なのか? そして、その目的は何か? 怜也は、その人物の謎めいた雰囲気に、警戒感を抱いた。
アッシュは、怜也の前に現れ、冷淡な言葉で言った。
「やはり、お前、生き残ってたか…」 その言葉は、怜也の心に、衝撃を与えた。 アッシュ… 彼は、かつて、怜也と因縁があった男だった。
「き、貴様が…何故だ!?アッシュ!」 怜也は、驚きと怒りを、同時に感じていた。 アッシュは、怜也の反応を見て、軽く笑った。
「あの時目を潰したけどそれでは死ぬわけないよな、まあ、もっともオラクルの連中もそう仕向けたのかな…」アッシュの言葉は、怜也の怒りをさらに増幅させた。彼は、アッシュとの決着を、どうしてもつけなければならなかった。
「よく言えるな!決着をつけてやる!」 怜也は、アッシュに襲いかかろうとした。 しかし、その瞬間、ブザーが鳴り響いた。第一試験終了の合図だ。怜也は、悔しさを噛み締めながら、その場を離れた。
「第一試験終了!お疲れ様でした…」 アレイスターの声が、彼の耳に届いた。彼は、アッシュとの決着を、次の試験に持ち越すしかなかった
「クソッ! 決着はお預けかよ…」 怜也は、悔しさを噛み締めながら、呟いた アッシュとの決着は、また次の機会に持ち越された。それは、彼にとって、耐え難い屈辱だった。しかし、彼は、決して、諦めるつもりはなかった。 彼は、アッシュとの決着をつけるためにも、この試験を、必ず、合格してみせる。 怜也たちは、体育館へと戻った。 そこには、他の受験生たちが、集まっていた。 彼らの表情は、様々だった。 安堵している者、疲労困憊している者、そして、新たな決意を燃やしている者… 怜也は、彼らの様子を、冷静に観察した。そして、彼は、アレイスターの言葉を聞いた。
「貴学専科志願者で、現在160名通過しました。 次は明日に行われます。 9時までに講堂に集まってください。 なお、遅刻者および欠席者は、放棄したとみなし、自動的に脱落いたします」 アレイスターの声は、冷たく、そして、容赦なかった。時刻は、12時。怜也は、残りの時間を使って、第二試験への準備を始めることにした。 彼は、アッシュとの決着のためにも、そして、自分の夢のためにも。
「しかし、受験は4日に分けてか…」 怜也は、第一試験の成果を検証していた。 彼のインベントリーには、様々なアイテムが収納されていた。 それらは、彼の冷静な判断力と、的確な行動によって、手に入れたものだった。物陰から、アルが、その様子を、見つめていた。
「怜也くんか…あの受験生は凄かったな…異質すぎる…アイテムを正確に見つけた上にモンスターの弱点を一発で的確に、そして、他の受講生の出し抜き方…センスが高すぎる…」 アルの言葉には、強い感嘆と、同時に、警戒感が感じられた。 怜也は、入試インベントリーから、自分のインベントリーにアイテムを移動させた。
「結構な収穫だな、これなら、後々に開発にも使えるぞ…」 彼は、不敵な笑みを浮かべた。 その笑みは、彼の自信と、同時に、彼の野望を、暗示していた。 彼は、この試験を、単なる入学試験としてではなく、自身の能力を証明する場、そして、未来への布石として捉えていた。
「あと3日か… サバイバル形式ってのは、実力を測るだけじゃない。 知力も、体力も、精神力も測るってことか… なるほどな…」怜也は、窓の外を眺めながら、呟いた。 彼の頭の中では、既に、第二試験以降の戦略が、練られていた。
「うまい具合に行けば、思わぬ収穫もあるかもしれんな…」 彼は、不敵な笑みを浮かべた。 彼は、この試験を、単なる入学試験としてではなく、自身の能力を向上させるための、絶好の機会だと考えていた。彼は、ルームサービスを利用して、サンドイッチセットを注文した。昼食を済ませると、時刻は13時少し前。 彼は、すぐに、学習に取りかかった。彼は、持参した本を読み漁り、様々な知識を吸収していった。しかし、持参した本だけでは、不十分だった。
「持ってきた本だけじゃ足りんな… 、図書館に行こう」彼は、決意を固め、ホテルを後にした。 図書館は、予想以上に賑わっていた。
「今の時間でも、図書館は賑わってるな…」彼は、その活気に、刺激を受けた。
図書館は、多くの学生で賑わっていた。 怜也は、書架の間を縫って、必要な本を探していた。 その時、背後から、声が聞こえた。「そりゃ、今は春休み期間中だからね…」 その声は、柔らかく、そして、少し、神秘的な雰囲気を持っていた。 怜也は、警戒して、構えた。
「だ、誰!?」 彼は、周囲を見回した。 そこにいたのは、一人の女生徒だった。その女生徒は、穏やかな笑みを浮かべながら、自己紹介をした。
「驚かせたのはごめんね… ワタクシはアル・ミカエル。 次年度の生徒会長ですよ」彼女の言葉は、丁寧で、しかし、どこか、掴みどころのないものだった。怜也は彼女の家系を認識した。
「ミカエル家… 、七大天使の名前を冠する家系の一つですね。 なんでも、剣と火の使い手が多い家系とは、聞き及んでます」 アルは、怜也の博識さに、感心した。
「博識ですね… 、アナタのことは、見させてもらいました。入学試験、最後までクリアできればいいですね…」 彼女は、微笑みを浮かべると、静かに、その場を離れていった。彼女の姿は、まるで、幻影のようだった。
「なんだったんだろう…」怜也は、呟きながら、本を読み続けていた。 彼の周りは、帝王学や政治学、経済学、軍事学など、君主を支えるために必要な知識が書かれた本で埋め尽くされていた。その光景は、彼の普段の軽薄な振る舞いからは想像もつかないもので、強いインパクトを与えた。 その時、背後から、クレティアの声が聞こえた。
「ほうほう… 、怜也、お主がそれを読むとは…」彼女の言葉には、驚きと、同時に、興味が感じられた。怜也は、冷静に、そして、はっきりと答えた。
「クレティアか… 、読んでたら悪いのか?」クレティアは、怜也の反応に、少し戸惑いを感じた。
「別に、そうは言っておらん… 、お主ほどのものが、君主を支えるために必要な知識を身につけるとは… 、予想外と思ってのぅ…」彼女の言葉には、怜也への新たな認識が感じられた。 彼女は、怜也を、単なる力のある者ではなく、知性と戦略を持つ人物として、見直したのだ。
怜也は、強い意志を持って、言った。
「俺は、差別や偏見をなくすためなら、利用できそうなものは、利用する。誰かの元に下ってもな…、君主の一族に婿入りすることも、吝かではないと思ってるぐらいだ」彼の言葉は、彼の強い決意と、同時に、彼の覚悟を示していた。彼は、自分の目的のために、多少の犠牲も払う覚悟をしていた。クレティアは、怜也の言葉に、不敵な笑みを浮かべた。
「ほぉ…、そこまでの気概があろうとは…、素晴らしい、ますます気に入ったぞ、怜也…」彼女の言葉は、一見、好意的だった。しかし、その言葉の裏には、彼女の策略が隠されていた。彼女は、怜也の能力と、その強い意志を、利用しようとしていた。
「お主を野放しにしてはおれん… お前を、最終的には、なんとしてでもな…」彼女の言葉は、怜也への警告であり、同時に、彼女の野望を示すものでもあった。 彼女は、怜也を、自分の計画に利用しようとしていた。 そして、怜也は、その策略に、気づいていなかった。怜也は、クレティアの言葉に、動じることなく、自分の信念を語った。
「だが、その前に入学試験に合格して学園に入ってそして、神格者になる!そう、それが俺の目的だ!」彼の言葉には、揺るぎない自信と、強い意志が感じられた。彼は、自分の目標をはっきりと認識していた。そして、その目標を達成するために、必要な行動を、既に、考えていた。
「神格者にならんことでは、この差別や偏見にまみれた世界をひっくり返すことなんか出来ないからな… 、その上で、利用できるものを利用する」 彼の言葉は、彼の冷徹な現実主義と、同時に、彼の強い正義感を示していた。彼は、手段を選ばないことを、明確に宣言した。しかし、それは、彼の目的のため、そして、この世界を変えるためだった。彼は、その信念を貫き通す覚悟を決めていた。
クレティアは、怜也に、神格者になるための条件を説明した。
「神格者になるか… 、なあ、知っておるか、怜也… 神格者は、同じ時代で同じ大陸では二人までしかなれないんじゃ…」彼女の言葉は、重く、そして、冷たかった。それは、怜也にとって、大きな衝撃だった。 彼女は、さらに、具体的な条件を説明した。
「つまり、10個の神格のメダルを、棺の神殿に収めなければならない。 メダルの色は、赤、青、黄、緑、橙、紫、桃、藍、白、黒じゃ… 、メダルは、誰かが持っているかもしれんし、遺跡や神殿にあるかもしれん…」 彼女の言葉は、神格者になることの困難さを、改めて示していた。それは、並大抵の努力では、決して、達成できない目標だった。
「10個のメダルを集めたら、棺の神殿に行ける。 そして、棺の神殿の試練をクリアしなければならないんじゃ…」彼女の言葉は、怜也の心に、強い緊張感と、同時に、強い挑戦意欲を呼び覚ました。怜也は、クレティアの言葉を聞き、静かに、しかし、力強く、言った。
「どんなことでもクリアする。ただそれだけ」彼の言葉には、揺るぎない決意と、同時に、彼の覚悟が感じられた。 彼は、神格者になるためなら、どんな困難も乗り越える覚悟をしていた。場面は変わって、高い塔のような場所。アレイスターは、大きな書物を開き、ページをめくっていた。 そのページには、怜也と瓜二つの顔をした人物が描かれていた。 そして、その人物の周りに、10個の色とりどりのメダルが描かれていた。
「怜也ねぇ… 入学試験をクリアしてくるかもしれませんね…」アレイスターは、呟くように言った。 彼の言葉には、怜也への興味と、同時に、彼の計画が感じられた。 彼は、怜也の行動を、全て、見据えていた。
「それぞれの神殿などから取るかもね…」アレイスターは、本を閉じ、背を向けた。 彼の計画は、既に、動き出していた。 怜也の決意と、アレイスターの計画… 二つの運命が、交錯しようとしていた。