エピック56【胎動とミクスタッド家】
アルカシティの街は穏やかな朝を迎えたが、空気の中には普段とは違う重苦しさが流れていた。ジョンアイデルがクレティアと共に街を歩いていると、突然地面が小刻みに震え始める——
「この震動…魔力の波動が胎動のようだ!」ジョンアイデルは魔皇神の眼を開き、遠くの廃墟街へと視線を向けた。その先には、黒いベールを纏った少女がふらつきながら歩いている姿が見えた。彼女の腹は異様に膨らみ、体からはクリミナルデビルの魔力とは一味違う、切ない波動が漏れ出していた。
「助けて…私を…」少女は声を枯らして囁き、ついに倒れ込もうとする瞬間、ジョンアイデルが駆け寄って支えた。
「クレティア、この子を安全な場所へ連れて行け!」ジョンアイデルはハキハキと指示し、少女の額に手を当てると——その記憶が彼の中に流れ込んだ。少女の名はリリィ。かつてミクスタッド国の王族だった彼女は、クリミナルデビルの「人工根源胎動計画」の実験対象にされ、胎内には不完全な概念体が宿っていたのだ。
「どうしよ…この子は悪くないんだ…守ってあげたいんだ…」リリィは涙を流しながら訴えると、彼女の腹から更に強い光が放たれ始めた。遠くの空にはスペルヴィアの姿が浮かび、「その胎内のものは我々の大切な『鍵』だ。手放すなよ、ジョンアイデル」と冷たい声が響き渡った——「間違いない、この子、ミクスタッド国の皇族の第四女、リリィだよ!まさか、こんな形で再会するとは思わなかった…リリィ、今までどこに?」クレティアは記憶を辿りながら名前を当て、少女の顔を心配そうに見つめた。
「アスモディン姉さんがクリミナルデビルに入った時にアタシは捕らえられたの!そして、スペルヴィアってやつに最近人工根源を使った実験に使われた!」リリィはハキハキと話しながらも、額には汗が滲み、腹からの震動が強まっていた。
「アスモディン…姉さんなのか…」ジョンアイデルは驚きながら、彼女の胎内に宿るものの波動を確かめる。「実験で作られた概念体が…胎動してる。今にも生まれようとしてる気配だ」その瞬間、廃墟街から黒い霧が湧き上がり、クリミナルデビルの下部隊が周囲を取り囲んできた。
「逃がさないぞ!スペルヴィア様が求める『鍵』は我々が回収する!」クレティアは盾を構えながら「リリィを守るんだ、アイデル!」と叫び、ジョンアイデルは体から力を湧き起こさせ——先日神々から受け取った力が、今こそ使う時を迎えていた。
「下部隊とはいえこんなぞろぞろと…」ジョンアイデルは周囲を取り囲む敵を見て、ハキハキとつぶやいた。目の前には数十人の黒覆面黒装束の兵士が並び、その先に立つリーダー格は赤い仮面が目立ち、全体の恰好がまるで昔話の怪人組織戦闘員を彷彿とさせる。
「逃げる気はない!我々『クリミナル・レギオン』リーダーのザギだ!スペルヴィア様の命で、リリィと胎内の『概念の鍵』を回収する!」赤い仮面の男は声を荒げ、周囲の兵士たちが一斉に武器を構えた。クレティアは盾を強く地面に突き立て「この子たちを傷つけるなら、私も容赦しない!」と叫ぶと、ジョンアイデルが前に一歩踏み出した。
「手を出すなら構わないが…ただし、この子と胎内のものには絶対に手をつけるな!」ジョンアイデルの体からは神々から受け取った力が混ざり合い、淡い虹色の光が放たれる。兵士たちはその圧力に少しずつ後ずさりし始めたが、ザギは嗤いながら「その力で全部を倒せると思ってるのか!」と大きな斧を振り上げた——だが、その斧が振り下ろされる寸前、ピピッピッという音と共に、赤い光の弾がクリミナルレギオンの兵士たちの間に次々と飛び込み——地面に小さなクレーターを作りながら敵の足元を封じた!
「やれやれ、久しぶりに散歩してら物騒な光景をするのね!知らないわけはないよね、クリミナルデビルに仕えるものならね!ハートのルクスリアことアスモディンを!」影から現れたのは黒い服に赤いハートのアクセサリーを身につけた女性で、なんとリリィが話していた姉であるアスモディンだった!
「ア、アスモディン姉さん!」リリィは驚いて声を上げ、アスモディンは微笑みながら彼女の顔を見つめた。
「ザギ、撤退しなさいよ。スペルヴィア様の命令なんだってわかるけど、この子は私が守るからね」赤い仮面のザギはためらいながらも、「アスモディンさん…これは後でスペルヴィア様に報告する!」と一蹴し、兵士たちを率いて撤退していった。アスモディンは近づいてリリィの額に手を当て、「苦しかったね、ごめんね…クリミナルデビルに入ったのは、この子を救うためだったんだ」とハキハキと語り始めた。
「なぜ黙ってたんだ!だったら最初から俺達と袂を分かつ必要もなかったのに!どうりで変だと思ったよ、承認欲求と快楽のためなら他にやりようがあったけど、君は人殺しをまったくしなかった!」ジョンアイデルはハキハキと問いかけ、アスモディンの目を真っ直ぐ見つめた。
「だけど、この娘を保護するからには生半可なことでは済まないよ!アテシはどんな理由があろうとミクスタッド皇族を裏切った、それにまだやることがあるから!」アスモディンもハキハキと応え、黒いドレスの裾を掴みながらしっかりと頷いた。
「クリミナルデビルの内部にはまだ多くの秘密があるし、人工根源の全貌も掴んでない。今はまだ居座る必要があるんだ」話しながら彼女はリリィの手を取り、「でも安心してね、この子は絶対に傷つけさせない。必要な時は君たちに連絡するから」
その瞬間、空に赤い光の信号が舞い、アスモディンは「呼ばれてるわ…リリィは君たちに任せるよ」と言い残し、ハート型の光に包まれて姿を消していった。リリィは握り締めた手を離しながら「姉さんは本当は辛かったんだ…」と囁き、ジョンアイデルは「分かってる。だからこそ革命を成功させて、みんなを守れる場所を作るんだ」とハキハキと誓った。「救うのはやはり俺ではないようだ!アスモディンを救えるのはやはり同じミクスタッド家の者にしか、俺はそれの手助けはする!」ジョンアイデルはハキハキと言い、リリィの肩を優しく叩いた。
「クリミナルデビルで救える存在を救うのもだけど、保護する者を保護していくのも同時に責務になったわね!ほかのワルプルギスメンバーに伝えておこう、違法奴隷の保護、違法被検体の保護などを!」クレティアもハキハキと応え、盾を背中に担いで進み始めた。リリィは二人に支えられながら歩き、「ありがとう…助けてくれて」と小さな声で囁くと、ジョンアイデルが「大丈夫だ、今からは俺たちが守る」と力強く答えた。三人はそう話しながら、アルカシティ最上空にそびえる城塞屋敷へと向かっていった。大きな門が徐々に近づく中、屋敷からはワルプルギスの仲間たちが出迎えてくる気配が感じられた。一方、アスモディンはハートの光に包まれ、クリミナルデビルの隠れ里である「漆黒の宮殿」へと向かっていた。
「アスモディンさん、スペルヴィア様がお待ちです」黒装束の兵士が案内すると、彼女はハキハキと「分かってるわ、すぐ行く」と応え、心の中でリリィの顔を思い浮かべた。宮殿最奥の間にいたスペルヴィアは黒い衣装を纏い、窓辺から虚空を見つめていた。
「リリィはジョンアイデルたちに預けたのか」
「はい!彼らならきっと守ってくれると思いました」アスモディンはハキハキと答えながらも、内緒で伝えたかったことを胸に秘めていた。スペルヴィアは振り返り微笑むと、「人工根源の胎動はもうすぐだ。リリィの胎内のものは『新世界創世の鍵』だからね…でも、君の気持ちも分かる。だからこそ、次の任務を任せる」そう言って彼女は赤い書簡を差し出した。
「ミクスタッド国の皇族に内通者がいるという情報だ。調査してきて。もちろん、君の意思で行動しても構わん」アスモディンは書簡を受け取りながら、ハキハキと「承知いたしましたさました!」と答えたが、その瞳にはジョンアイデルたちと協力する道を探す決意が宿っていた。城塞屋敷の研究室で、ジョンアイデルたちはリリィの身体データと胎内のものの解析結果を確認していた——画面に表示された情報に、全員が息を呑んだ。
「なんだよ、これ!?こんなものをヒトの胎内に宿させるなんて、これは世界を滅ぼして新たに作れるものだぞ!」ジョンアイデルはハキハキと声を上げ、画面を指差した。解析結果には「人工根源・新世界核心」と記され、胎内の概念体が現存する世界の法則を全て崩壊させ、新たな世界を創り出す力を持つことが判明した。さらには、リリィの胎内で成長する過程で、もし暴走すれば周囲数百キロが一瞬で消滅する恐れも記載されていた。
「スペルヴィアは本当に世界を作り変えようとしてるんだ…リリィの体が限界を超えたら…」クレティアは顔を曇らせ、リリィのことを思いやっていた。その時、研究室のドアが開き、ワルプルギスのメンバー:ラグが走り込んできた。
「ジョンアイデルさん!リリィさんの体調が急変しました!胎内のものが急成長し始めてるんです!」ジョンアイデルは即座に立ち上がり「行くぞ!」とハキハキと叫び、リリィの部屋へと駆け出した。廊下を疾走する彼の心には、アスモディンのことも思い浮かび、「どうしたらこの子と世界の両方を守れるんだ…」と思い悩んでいた。ジョンアイデルはリリィの休んでいる部屋に駆け込むと、ベッドに横たわる少女の顔色の悪さに眉をひそめた。
「この娘を死なせるわけにはいかない!どうにかできないのか!」ジョンアイデルはハキハキと叫び、リリィの手を握り締めた。彼女の体は異様に熱を持ち、腹からは淡い光が脈打っていた。その時、突然頭の中に魔精ザレオスの声が響き渡った——
「慌てるでない、バカモノ!元々から無かったものを分離させる方法はある!お前の概念能力『虚構』はお前が思ってるほどできることが多い、創造、破壊、付与、干渉ができるなら分離も然りじゃ!」
「ザレオスか…具体的にどうすればいい!?」ジョンアイデルは心の中で問いかけると、声が続いた。
「お前の力で『胎内のものは元々存在しなかった』と虚構を構築し、リリィの体から分離させろ!ただし、その際には先に受け取った神々の力を全て調和させなければ、暴走する恐れがあるぞ!」ジョンアイデルは頷き、両手をリリィの腹に当てると「分かった!この娘を絶対に守る!」とハキハキと宣言した。体からはエリス、ネメシス、へメテル姉妹、ニュクスの力が混ざり合い、虹色の光が部屋中に広がり始めた。
「虚構発動!概念分離!」ジョンアイデルが力強く念じるやいなや、体から溢れる虹色の光がリリィの腹に集中し——淡い白い光の塊がゆっくりと彼女の体から浮き上がってきた!
「うわっ…」リリィは小さな声で喘ぎながらも、顔色が少しずつ良くなり始めた。クレティアが慌てて彼女の額に手を当て「熱も下がってきた!リリィ、大丈夫か?」と尋ねると、少女は頷きながら「ありがとう…苦しくなくなった…」と答えた。一方、空中に浮かぶ「新世界創生の鍵」は光を増し、周囲の空間を歪ませ始めた。ジョンアイデルはそれを両手で掴もうとし「この力をコントロールする!」とハキハキと叫ぶと、神々から受け取った力が一つにまとまり、光の塊が徐々に落ち着いて小さな宝玉のような形に固まった。
「よくやった、未来の英雄よ!ただしこいつはまだ不安定だ。適切な場所で保管しないと、いつ暴走してもおかしくないぞ」ザレオスの声が再び響き、ジョンアイデルは宝玉を掌に乗せて確かめながら「分かってる…城塞屋敷の最奥にある封印庫に保管する!」と決めた。その時、部屋の窓の外に赤い光が光り、アスモディンからのハート型の伝言が浮かんできた——「リリィが無事で良かった。鍵は絶対にスペルヴィアの手に渡さないで」漆黒の宮殿最奥で、スペルヴィアは虚空に手を伸ばし、その指先から淡い光の粒が舞い上がっていた。
「ジョンアイデル、やはりか…だが、それは想定内!アヤツに宿したのだけではない、そう、創造の鍵はコチラにもあるのだから!」スペルヴィアはハキハキと言いながら、手のひらに白い光の塊を浮かべた——リリィから分離されたものと同じような雰囲気だが、もっと強大で安定した力を持っていた。
「人工根源計画は二つの鍵を作ることが目的だった。リリィの胎内のものは『破壊の鍵』、私が持つこれは『創造の鍵』…両方が揃えば、本当の新世界が創れるのだ」その時、黒装束の部下が慌てて入ってきた。
「スペルヴィア様!アスモディンさんがミクスタッド国皇族の内通者情報を確認したところ、実は…」
「分かっている。彼女が裏切ることも、ジョンアイデルたちが動くことも全部…」スペルヴィアは微笑みながら光の塊を掌に収め、「だからこそ準備は出来ている。次は我々の番だ」とハキハキと宣言した。宮殿の周囲には無数の黒い兵隊が集結し始め、新世界創生への布石が動き出していた
「それに今完全に裏切れるわけがない!アスモディン、アイツはまだ心は救われてないのだから!」スペルヴィアはハキハキと言い、衣装の裾を軽く掴んで視線を虚空へと向けた。
「彼女はミクスタッド家の誇りとリリィを守りたい思いで揺れている——その心の闇を利用してこそ、我々の計画は進むのだ。もし本当にジョンアイデルたちが彼女を救えるとしても、それはまだ先の話だ」部下がうなずきながら尋ねると「ではアスモディンさんへは…」
「何もしないでおく。彼女自身が決断する時が来るまで、見守っておけばいい。その時こそが、『創造の鍵』を使うタイミングだ」スペルヴィアは掌の上で光の塊をゆらゆらと揺らし、その瞳には深い確信が宿っていた。
「ジョンアイデルが『破壊の鍵』を手に入れたとしても、新世界を創るには不十分なのだから…彼が本当の選択をする時が来るまで、我々は待とう」漆黒の宮殿が静かに光を放ち、遠くアルカシティの方角へと力の波動が届いていた。
「仕込んだ魔化学兵器、2つの鍵、本格的に動くにはあと1年以上も期間が必要なのはもどかしいなぁー!」スペルヴィアはハキハキと声を上げ、窓辺に寄りかかりながら虚空を見つめた。
「でも焦っても仕方ないな…魔化学兵器はまだ安定性を欠き、鍵同士を調和させる技術も完成してない。あと1年は必要不可欠なのだ」そう言って彼は手を打ち鳴らすと、床に埋め込まれた魔術陣が光り始めた。
「だからこそ、この1年間でジョンアイデルたちにも成長してもらおう。彼らが本気で立ち向かってくる時こそ、新世界創生の準備も整うはずだ」部下が近づいて「ではこの間、アルカシティ方面へはどの程度の圧力をかけますか?」と尋ねると、スペルヴィアは微笑みながら「適度に構えさせておけばいい。あまり強く押しすぎると逆に固まるからね。アスモディンにも、もっと深く潜り込ませておこう」
白い衣装が風になびき、スペルヴィアは再び「1年か…待つのは苦手だけど、これぐらいの覚悟はある」とハキハキとつぶやいた。各国の地下には、大きな魔化学兵器の卵が静かに眠り、時折光を点滅させていた。
「吾輩は本拠点に戻る!お前たちはここに残れ!創造の鍵と再生の鍵は本拠点で使わないと意味がないからな!」スペルヴィアはハキハキと声を響かせ、衣装を整えながら足早に動き出した。
「本拠点の『根源の祭壇』でなければ、二つの鍵の力を最大限に引き出せない。そこには古くから眠る世界の核心と繋がる魔術陣があるのだ」
部下たちは一斉に敬礼し「はい!スペルヴィア様、道中ご無事を!」と応えると、彼女は掌に光の塊を収め「アスモディンには適宜連絡を取り、動向を見張っておけ。1年後、吾輩が戻ってくる時まで、この漆黒の宮殿を守りきれ!」その瞬間、スペルヴィアの周囲に白い光の渦が現れ、彼は「それでは、また会う時までだ!」と叫びながら姿を消していった。残された部下たちは互いに顔を見合わせ、一人がハキハキと「1年後の計画に向け、準備を進めましょう!」と宣言すると、全員が仕事に取り掛かり始めた。漆黒の宮殿は再び静まり返り、遠く本拠点へと続く虚空には淡い光の軌跡が残っていた。部屋の中は穏やかな空気に包まれ、リリィはベッドに座り、顔色もすっかり良くなっていた。膨れて上がってたお腹もへこんでる
「アイデル兄様、これからどうするんですか?」リリィは小さな手を組み、真っ直ぐジョンアイデルを見つめて尋ねた。
「お兄様だなんてあんたから呼ばれるとなぁー」ジョンアイデルは少し驚いたように目を見開き、手で頭を掻いた。
「でも、いつかはそう呼ばれるだからいいんじゃないかな!」ルミカがハキハキと声を入れ、リリィの肩を優しく叩いた。
「まぁそうかもな…」ジョンアイデルは苦笑いしながら、掌に乗せた「破壊の鍵」を見つめた。
「これを安全に保管すると同時に、スペルヴィアの本拠点と魔化学兵器の情報を探るしかない。あと1年の猶予があるってことは聞いてるけど、油断はできない」
「リリィはここでゆっくり休んで、ミクスタッド家のことやクリミナルデビルの情報を少しずつ話してくれればいいよ」クレティアが近づいて微笑むと、リリィは頷き「はい!アイデル兄様、お手伝いさせてください!」と力強く答えた。ジョンアイデルは彼女の姿を見て、ハキハキと「分かった!今からは俺たちが家族だからな!」と宣言した。部屋からは温かな笑い声が響き渡り、1年後の闘いへの決意がみんなの心に刻まれていた
「クリミナルデビルだけじゃない!この前時知ったが人工生物のことも知ったし、そっちの方も近いうちに調べに行かないといけない!」ジョンアイデルはハキハキと言い、拳をポンと手のひらに打ちつけた。
「それは明日から1週間以内ぐらいでいいんじゃないかな!」クレティアもハキハキと応え、盾を軽く担いで確かめるように見た。
「リリィももう少し落ち着くし、ワルプルギスのメンバーたちにも準備をさせておけば大丈夫だよ」
「そうだな!今晩はリリィのためにお祝いの食事を作ろう!そして明日から情報収集と準備に取り掛かる!」ジョンアイデルは顔をほころばせ、リリィの頭を優しくなでた。
ルミカが手を挙げて「私も調査に行きたい!人工生物って聞くだけで面白そうだし!」と言うと、リリィも小さく「私も…少しでもお手伝いしたいです!」と付け加えた。ジョンアイデルは全員を見渡してハキハキと「分かった!みんなで行くんだ!ただしリリィはまずは体調を優先させるぞ!」と決めた。部屋の中には、次なる行動への期待と仲間たちの絆を感じさせる空気が満ちていた。
「一旦、家系のことを聞いておこう!」クレティアはハキハキと言い、リリィの隣に座り込んだ。「ミクスタッド家のことや、アスモディンさんとの関係、人工生物とのつながりがあるかもしれないからね」リリィは少し緊張しながらも、ハキハキと話し始めた。
「はい…ミクスタッド家はミクスタッド国の守護者として、古くから魔術と科学を掛け合わせた技術を伝えてきた家系なんです…アスモディン姉さんは私より上の姉で、家の跡取りとして育てられていました」
「人工生物については…父上が昔、『生命の根源を人工的に作る』研究をしていたと聞いたことがあります。でもあまり詳しくは知らないんです…」ジョンアイデルは頷きながら「なるほど…クリミナルデビルの人工根源計画とミクスタッド家が関わってる可能性があるな」とつぶやき、クレティアも「そうね…この情報は調査する時に必ず役立つわ!」とメモを取り始めた。ルミカは顔を近づけて「じゃあ、人工生物ってミクスタッド家の技術がベースになってるのかも!?」と興味津々で尋ねると、リリィは少し困ったように「それは…私には分かりませんが、可能性はあるかもしれません」と答えた。
「でも、すべてがミクスタッド絡みってわけでもなさそう!人工魔族とかはおそらく別の個人や組織が行ってる可能性がある!」ジョンアイデルはハキハキと言い、手を横に広げて状況を整理するように話した。
「ミクスタッド家は生命の根源研究に関わってたとしても、魔族を人工的に作る技術は別物だし、目的も違うはずだ。クリミナルデビルも人工根源と人工魔族は別々のプロジェクトっぽいしな」クレティアが頷きながら「そうね…情報を整理すると、少なくとも3つくらいに勢力が分かれてる可能性があるわ。ミクスタッド家系、クリミナルデビル、それに人工魔族を扱う未知の存在…」
「やはり調査は慎重に進めないとヤバいね!」ジョンアイデルはハキハキと締めくくり、リリィに目を配った。「だからこそリリィは無理せず、分かる範囲で情報を教えてくれればいいんだ!」リリィはうれしそうに頷き「はい!できる限りお手伝いします!」と答え、ルミカも「調査先を分ける必要があるかも!私たちは人工生物、アイデル兄さんはクリミナルデビル…みたいに!」と提案した。
「別に分けることはない!クリミナルデビルのほうには秘密裏に協力をつけてるメンバーがいるし、人工生物のプロジェクト調査は近いうちにやるし!」ジョンアイデルはハキハキと言い、みんなを見渡した。
「アスモディンが情報をくれることもあるし、まとまって行けば安全面でも安心だ。何かあった時にすぐ対応できるしな」
クレティアが頷き「そうね!仲間同士で一緒なら、どんな困難も乗り越えられるわ!」と応えると、ルミカも「それが一番いい!みんなで調べた方が楽しいし情報もたくさん集まるよ!」と元気よく話した。
リリィも少し緊張しながら「私も…頑張ります!アスモディン姉さんのことも、ミクスタッド家のことも、きっと何か分かるはずです!」と力強く付け加えた。ジョンアイデルは満面の笑みで「それだ!今晩は美味しいものを食べてゆっくり休んで、明日から本格的に動くんだ!」とハキハキと宣言した。部屋の中には、仲間たちの絆を感じさせる温かな空気が満ち溢れていた。
「もしかすれば、動いてるかもね。アリスも!」クレティアはハキハキと言い、少し目を細めて遠くを見た。
「あの子も何かに関わっている気がしてならないんだ」
「アリスって確か、私と同じ年の5月に生まれた娘だよね!」リリィもハキハキと応え、少し懐かしそうな表情になった。
「生まれてすぐに原因不明の死を遂げたけど魔人として蘇った存在!」
「同い年で生まれたなんて…もしかしたら何かの因縁があるのかもしれないな」ジョンアイデルはつぶやきながら、アリスのことを考え込んだ
「そうね…調査する時にアリスさんの情報も探しておこう!」クレティアがメモに書き込みながら言うと、ルミカも「同い年の子が関わってるなんて、きっと重要なヒントになるよ!」と頷いた。リリィは小さく握り拳を作って「アリスさんが何か困っていたら、助けたいです!」と力強く言い、ジョンアイデルは微笑みながら「そうだな!みんなを守るためにも、アリスのことも確認しておく必要があるぞ!」とハキハキと宣言した
その瞬間、部屋の一角に空間の歪みが走り——金髪が煌めく少女がそこから現れた!
「なにやら噂してるようだね!」アリスはハキハキと声をかけ、白いワンピースの裾を軽く掴んで笑顔でみんなを見渡した。
「ア、アリスさん!本当に動いてたんですね!」リリィは驚きながらも嬉しそうにベッドから体を起こし、クレティアも「やっぱり!君が何かに関わってると思ってたわ!」と言うと、アリスが頷いた。
「ミクスタッド家のことや人工生物のプロジェクト、少しずつ調べてたんだ。リリィが無事だって聞いて、やっとここに来れたよ」アリスはリリィのそばに座り、手を差し出すと「元気そうで良かった!子供の頃から弱っぽかったから心配だったよ」ジョンアイデルは前に一歩踏み出し「アリス、君はこの件にどれだけ関わってるんだ?人工魔族やクリミナルデビルのことも知ってるのか?」とハキハキと尋ねると、アリスは少し顔を曇らせながら「知ってるよ…むしろ、昔からこの研究に関わってたんだ」と答えた部屋の空気は一気に重くなり、アリスが次の言葉を紡ぎ始めた——
「ミクスタッド家のやったことは複数ある!この肉体が魔人として復活させたのもその一つ!」アリスはハキハキと言い、手を自分の胸元に当ててみんなを見つめた。
「私は実は数年前に事故で亡くなったんだ。でも家がミクスタッド家の技術を借りて、魔人の因子を使って私を復活させたのよ…だから今の私は、完全な人間でも魔族でもない『魔人』なんだ」
リリィは驚いて口を開け「アリスさん…そんなこと…」と囁くと、アリスは微笑みながら「大丈夫よ。でもこの技術が、人工魔族プロジェクトの原型になってることは知ってるんだ」
「ミクスタッド家は元々、生命の延命や復活を目指して研究してたけど、その技術がクリミナルデビルに横取りされて、兵器として使われるようになったみたいなの」アリスはハキハキと説明し、ジョンアイデルは眉をひそめ「なるほど…だから君が調査してたんだな」
「そう!私はこの技術が悪用されるのを止めたいし、同時にミクスタッド家の罪も背負って責任を取りたいんだ」アリスは力強く拳を握り、クレティアが近づいて「じゃあ、一緒に戦おうよ!君一人じゃないんだから」と声をかけた。
「私は現であり幻、光であり闇である、陰であり陽である、つまり曖昧な存在!」アリスはハキハキと言いながら、体から淡い光と闇が混ざった波動が立ち上った。
「復活の際に魔人の因子を取り入れたせいで、自分自身の存在が安定しないこともあるし…表では普通の少女として生活しつつ、裏では闇の組織にも繋がりがあるんだ。だから私は仲間になれるかどうか、自分でも分からない」
リリィは慌ててアリスの手を掴み「そんなことないです!アリスさんはアリスさんですよ!」と言うと、アリスは優しく笑い返した。
「でもその曖昧さこそが武器になる!」ジョンアイデルはハキハキと声を上げ「表も裏も動けるなら、クリミナルデビルや人工生物プロジェクトの情報を掴むのに最適じゃないか!仲間というよりも、互いに協力し合う『同盟者』としてやればいいじゃないか!」
「そうね!曖昧な存在だからこそ、できることがあるはずよ!」クレティアも応援し、アリスは少し考え込んだ後に頷いた。
「分かった!同盟者として協力するよ!私が掴んだ情報は全部教えるし、必要な時は力を貸す!」その瞬間、アリスの体からの波動が穏やかに収まり、部屋には新たな力が加わったことを感じさせる空気が流れていた。




