表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/75

エピック44【秘められた真相など】

夜の帳がゆっくりと降りるアルカシティ最上空の屋敷。大広間を照らす魔光ランプは温かい光を放ちながらも、どこか影を濃く映し出していた。ジョンアイデル、クレティア、舞華、ゼレス――それぞれの部屋で休息の準備をしていたその夜。だが、ひそかに侵入者は“もう一ヶ月前”から屋敷周辺を観察していた。アルテンことアスモディン、アヴィンことマモーン。二人の魔王級存在は学園に潜伏しつつ、屋敷の気配も定期的に探っていたのである。そして――今夜、“初めて屋敷で接触する時”が来る。学園での潜伏を続けながら、ついに屋敷を間近に捉えたアルテンは、感嘆の声を漏らす。「……やっぱり、すごい場所に住んでるね。上空三千メートル以上、常人なら呼吸すら難しい。この高さでも魔力が一定なのは、ミクスタッド家ならではか。」浮遊しながら、彼女は屋敷の浮遊基盤に目を凝らす。幾重にも組み込まれた巨大な魔力結晶が、都市とは次元の異なる精密さで稼働している。

「アルテン。遊覧気分か?」低く響くアヴィンの声。空間がひび割れるように、黒い影が立ち上がる。黒髪に金の瞳を宿した青年――アヴィン。その本質は強欲の悪魔、マモーン。

「……あまり、無意味な波動を撒き散らすな。ここは敏感な奴らが多い。」アルテンは軽く答える。

「わかってるよ。今日は軽い“接触”だから。」アヴィンは念を押すように言う。

「軽い、ならばよい。しかし、あの少年の観測は必要だ。」ジョンアイデルは、背筋を這い上がるような悪寒を感じた。それは、冷たい鉄鎖が肌をなぞるような、あるいは底なしの沼に足を踏み入れたような、不快で重苦しい感覚。これまで感じたことのない魔力の奔流が、屋敷全体を覆い隠そうとするかのように押し寄せてくる。マモーンの気配は、底知れぬ強欲を孕んだ黒い渦。触れるものを全て飲み込み、欲望のままに破壊し尽くそうとする衝動が、ジョンアイデルの精神を蝕む。アスモディンの気配は、甘美な毒を含んだ妖艶な香りのよう。近づくほどに心を奪われ、抗うことのできない快楽へと誘い込む。だが、その奥には冷酷な刃が隠されており、一瞬の隙を突いて全てを奪い去ろうとする狡猾さが潜んでいる。二つの異なる悪意が混ざり合い、屋敷全体を覆い尽くそうとする中で、ジョンアイデルは静かに息を呑んだ。ジョンアイデルは、押し寄せる悪意を振り払うように、静かに、しかし力強く言い放った。

「来るなら来い!」その言葉には、いかなる脅威にも屈しない、鋼のような決意が宿っていた。張り詰めた静寂を切り裂くように、アスモディンとマモーンは行動を開始した。アスモディンは、妖艶な微笑みを浮かべながら、屋敷の結界に指先を触れさせた。途端、結界が水面のように揺らぎ、一筋の亀裂が走る。その隙間から、甘い香りを孕んだ瘴気が屋敷へと侵入していく。マモーンは、漆黒の影を操り、屋敷の死角となる場所に次々と影の楔を打ち込んでいく。それは、屋敷の防御機能を徐々に蝕み、内部への侵入経路を確保するための準備。静寂を破る微かな音と共に、二人の魔王級存在は、着実に屋敷への侵入を試み始める。けたたましいシステムアナウンスが、静まり返った屋敷にけたたましく響き渡る。「警告!警告!結界に異常な揺らぎを認知!」ジョンアイデルは、そのアナウンスを聞きながら、冷静に呟いた。

「ずいぶんと大胆な手口だな。」アナウンスが鳴り響く中、アスモディンは優雅な身のこなしで、結界に生じた亀裂を広げていく。マモーンは、影の楔を打ち込み終え、ニヤリと口角を上げた。次の瞬間、アスモディンの身体は光の粒子となって結界をすり抜け、屋敷内部へと侵入。マモーンもまた、影の中に姿を消し、アスモディンを追うように屋敷へと足を踏み入れた。ついに、アスモディンとマモーンが、屋敷への侵入に成功したのだ。屋敷内部に侵入したアスモディンは、一瞬の迷いもなく、ジョンアイデルの部屋へと向かって歩き出した。その足取りは、まるで磁石に引き寄せられるように、確信に満ちている。妖艶な微笑みを浮かべながら、アスモディンは静かに呟いた。

「さあ、アイデル。どんな顔を見せてくれるのかしら?」ジョンアイデルは、アスモディンが近づいてくる気配を感じながら、冷静に呟いた。

「迷わず来るか。まあ良い。リヴァイアサンの研究のために差し向けたんだな。まったく、面倒なことを。」どこか諦めを含んだその言葉には、事態を全て見透かしているかのような余裕すら感じられる。アスモディンは、ジョンアイデルの言葉などまるで聞こえていないかのように、ゆっくりと、しかし確実に距離を詰めていく。そしてついに、ジョンアイデルの部屋の前までたどり着いた。一呼吸置いた後、アスモディンは躊躇なく扉を開け放った。その瞬間、部屋の中に妖艶な香りが広がり、アスモディンの姿がジョンアイデルの目に飛び込んできた。部屋に足を踏み入れたアスモディンは、妖艶な笑みを浮かべながら、ジョンアイデルに話しかけた。

「やあやあ、アイデル。遊びに来たわよ。」しかし、ジョンアイデルは以前の出来事もあり、警戒心を剥き出しにしている。アスモディンの言葉とは裏腹に、部屋には緊張感が漂っていた。

張り詰めた空気を切り裂くように、クレティアが割って入った。

「おっと、これ以上は穢れさせるわけにはいかないよ。」クレティアの登場に、アスモディンは一瞬動きを止めた。クレティアの言葉を受け、アスモディンは挑発的な笑みを浮かべた。「悔しいかしら?アイデルの貞操を奪われたことが。」 ジョンアイデルは、アスモディンの挑発を冷静に受け止め、毅然とした態度で言い放った。

「アスモディン、君は何をしたいんだ?俺を堕とすつもりか?だが、いくら何をしても俺は俺のやり方を貫くよ。何か俺を独り占めしたいとか、承認されたいとかではないな。本来はそこまでしなくていいことまでしてるし、俺のことを調べたいなら他にもやりようがあるだろう。」ジョンアイデルの言葉には、揺るぎない自信と、アスモディンの行動を全て見透かしているかのような洞察力が感じられる。アスモディンは、ジョンアイデルの言葉を遮るように、妖艶な笑みを深めながら語り始めた。

「男とも女ともつかない中性者。そして、虚構と因果と共栄の3つの概念を宿すもの。貴方は神になることを望み、そして、そのためなら失うことも辞さないとは。だが、君は無意識のうちに封じている。君は犯した罪を思い出す。そう、近い内にね」アスモディンの言葉に、クレティアの表情が一瞬曇った。アスモディンの言葉が引き金となったのか、ジョンアイデルは突如頭を抱え始めた。それはまるで、奥底に眠っていた記憶が呼び覚まされ、激しい痛みを伴っているかのようだ。断片的な言葉を紡ぎ出す。

「俺は…俺は…違う…本当は…何故…分かってくれない…」その言葉は、一体誰に向けて発せられているのだろうかそして、ジョンアイデルは一体何を思い出そうとしているのだろうか。ジョンアイデルが苦悶に顔を歪める中、アスモディンは冷酷な笑みを浮かべた。

「ジョンアイデルが思い出しそうなことは映像にすることは可能だよ。」そう言うと、アスモディンはジョンアイデルの額にそっと触れた。その手から紫色の靄が立ち上り、まるでスクリーンのように空中に広がっていく。そこに映し出されたのは、なんとジョンアイデルそっくりの男の姿だった。スクリーンに映し出された男を見つめながら、アスモディンは淡々と語り始めた。

「この人物はアイデルではないよ。これはかの伝説に伝えられる黒金の勇者だよ。ジョンアイデルは仕組まれたのよ。マーテラと地球の転移融合の時にね。黒金の勇者は転生の術を自身にかけて。そして、マーテラと地球が転移融合するぎわには、2つの方舟が現れてチキューの亜人達、そして、地球の人間達は大半は無事だったが、一部の者は取り残された。黒金の勇者と一部の地球の人間がね。一部の地球の人間の魂の大半は、不憫に思った神の手によって魂は救われたが、その一つの人間の魂と黒金の勇者の魂は融合してしまった。そして、神の手によってジョースター家の第一子息が胎児の時にその魂を融合させた。そして、ジョンアイデルは生まれた。」アスモディンの言葉は、まるで壮大な叙事詩のようだ。アスモディンの言葉に続き、クレティアが補足するように語り出す。

「だから、普通ではなさすぎるんだね。遺伝子は半吸血鬼と半魔族だが肉体に複数の魂が混ざり合ったようになってたのは。」クレティアの言葉を受け、アスモディンは再び口を開いた。

「人間の知識は残ってて、黒金の勇者の力なども残ってる。まあ、人格はジョンアイデルそのものだけどね。」二人の言葉から、ジョンアイデルの特異な出自が明らかになった。アスモディンは、一瞬言葉を濁らせながら続けた。

「だが、その人間の魂に染みついた罪は問題なんだよね。だって、やったことが……」アスモディンの最後の言葉は、まるで何かを隠すかのように、小さく、聞き取りにくかった。ジョンアイデルは混乱した様子で繰り返す。

「俺は…俺は…」その言葉を聞いたクレティアとアスモディンは、ジョンアイデルを優しく抱きしめた。まず、アスモディンがジョンアイデルに語りかける。

「君の魂に染みついた罪は赦されたんだよ。もう、苦しむことはない。」続いて、クレティアが力強くジョンアイデルを抱きしめながら言った

「君の魂が歪でも愛してあげる。だって、今の君は穢れてもなお進もうとしてる。それは間違いなくジョンアイデルというヒトを作ってる。」クレティアとアスモディンの言葉を受け、ジョンアイデルは静かに語り始めた。

「赦されたか…、神によってか。そうか、ならば、歩むのはこれからのようだな。俺は二度と同じ過ちを繰り返さない。あの罪、そう、無闇な殺生はしない。」ジョンアイデルの言葉には、過去の罪を乗り越え、新たな道を歩む決意が込められていた。ジョンアイデルの決意表明を聞き終えて、アスモディンは彼の秘めたる力について語り始めた。

「君は魔皇の力も受け継いで、黒金の勇者の力も受け継いで、そして、祖龍や精霊神の力も。」 しかし、アスモディンの言葉を遮るように、クレティアが厳しい口調でアスモディンを非難した。

「それはそうとして、アスモディン、君がやったことは許しがたいことなんだよね。強姦なんてね。」アスモディンは悪びれる様子もなく答えた。

「先取られたからってそんな怒らないでよ!」クレティアは呆れたように溜息をつきながら言った。

「まったく。アイデル、あの後大変だったのよ。怯えきって、ワタシに対しても拒絶反応示してたんだから。アスタルテ先生とムネーモシュネー先生の療法でなんとかなったけど。」ジョンアイデルは話題を変えるように、二人に問いかけた。

「ところで、マモーンは?」アスモディンは少し間を置いて答えた。

「おそらく……」その時、マモーンの声が屋敷の地下から響いてきた。

「この屋敷の地下にも何かありそうやな。」マモーンの声は、どこか期待に満ちているようだった。マモーンが地下を探索していると、突然、背後からルミカの声が響いた。

「マモーン、何しに来たの?」ルミカは、訝しげな表情でマモーンを見つめていた。ルミカの問いかけに、マモーンは臆することなく答えた。

「ここに住んでる者がミクスタッド国の者で固めてるのはわかってるで。」マモーンの言葉は、ルミカに対する牽制のようにも聞こえた。マモーンの言葉を受け、ルミカは鋭い視線を向けながら言った。

「それをわざわざ把握してるってことは、狙いがあるってことね。」ルミカの言葉には、警戒の色が滲み出ていた。マモーンは不敵な笑みを浮かべながら言った。

「偶然、ジョンアイデルが選んだとは言え、ここにもあるんやな、君家の鍵が。ジョンアイデルとクレティアは既に持ってるようだけどね。EXクラスのメイン教室地下の鍵はアスモディンに宿ったが、ここのはワイが頂くで。」マモーンの言葉を聞き、ルミカは強い口調で反論した。

「させるわけないでしょう。」ルミカの言葉を無視するように、マモーンはさらに言葉を重ねた。

「そして、手に入れるのは鍵だけやないで。ルミカはん、あんたもや。」マモーンの言葉は、ルミカに対する宣戦布告だった。マモーンの挑発的な言葉に対し、ルミカは冷静さを保ちながら応じた。

「私を手に入れるのは個人的にでしょう。できるかしら。」ルミカの言葉には、自信と余裕が感じられた。マモーンはルミカの言葉に呼応するように、混沌の概念の力を展開した。「ワイの力をみくびるんなや。」対するルミカは、静かに、しかし確固たる意志を込めて言った。

「混沌は調和させれるよ。」そして、調和の概念の力を発動させた。ルミカの調和の力は、マモーンの混沌の力の前に圧倒され、押し負けてしまう。

「前は抑えられたのに、なぜ!?」ルミカは驚愕の表情で叫んだ。マモーンは勝ち誇ったようにルミカに告げた。

「能力ってのは鍛えることができるんやで。怠るとこんなふうに負けてしまうんやで。」マモーンはルミカを捕らえるため、混沌の紐を放った。それは意思を持つかのようにうねり、ルミカに絡みつこうとする。混沌の紐はルミカの動きを封じ、締め付けていく。

「振りほどけない…」ルミカは必死にもがくが混沌の力に抗うことができずにいた。マモーンは拘束されたルミカを尻目に、目的を果たそうと告げた。

「さてと、ここの鍵をいただいて行こう。」しかし、その時、意外な人物が現れた。それは、マモーンの仲間であるはずのアスモディンだった。アスモディンはマモーンに問いかけた。

「鍵の正体は知ってるでしょ。各国の君主一族の血液や細胞でできてるアイテムだってことを。君、もしかして、どこかの国の君主にでもなるつもりかしら。」アスモディンの言葉には、マモーンに対する疑念と牽制が込められていた。アスモディンの問いに対し、マモーンは隠すことなく答えた。

「そのつもりでもいるんやで。ワイはもう飢えたくないし、居場所も壊されたくない。だったらその場所を自分で作ればいいんじゃと思った。それならどこかの国の君主になるのも考えものだと思うようになったんやで。」マモーンの言葉は、現状への不満と、自らの手で未来を切り開こうとする決意を表していた。アスモディンはさらに問い詰める。

「じゃあ、リヴァイアサン様のことを裏切るつもり?」マモーンは一瞬ためらった後、答えた

「そんなつもりはないで。今のところはな。」マモーンの言葉には、リヴァイアサンへの忠誠心と、野心との間で揺れ動く複雑な感情が滲み出ていた。アスモディンはそう言うと、鍵を奪うように宣言した。

「とりあえず、鍵はアテシが預かるわよ。どうせ、全部が揃わないと効果は発揮しないから。」鍵を手に入れたアスモディンは、目的を果たすと、地上へと姿を消した。マモーンはアスモディンに鍵を奪われたものの、すぐに気持ちを切り替えた。

「まあ、他のアイテムを狙うかな。なんせ、ミクスタッドやその友好国および同盟国由来の技術は興味深い。さてと…」そう言うと、マモーンは拘束されたままのルミカの方を振り向いた。ルミカは必死に訴える。

「マモーン、私を解放しなさい!」しかし、マモーンは拒絶し、ルミカの顎を持ち上げるような動作をしながら言った。

「いややなぁ。アンタとはちょっと楽しみたいしねぇー。」マモーンの言葉と行動には、ルミカに対する嘲弄と支配欲が込められていた。マモーンはルミカの抵抗を無視し、無理やり唇を奪った突然のことに、ルミカは抵抗することもできず、ただ目を見開いてしまう。屈辱と恐怖が彼女を支配していた。キスを終えたマモーンは、ルミカの様子を観察する。

「そのくらいで息乱れさせて、かわいいとこあるやんか。」ルミカは、マモーンの行為によって、快感にふやけてしまっていた。ルミカは怒りと屈辱を押し殺し、なんとか言葉を絞り出す。

「ずいぶんなことを…」マモーンはルミカの反発を嘲笑う。

「強がってるけど抗えないんやろ、その快感になあ。」その後、マモーンはルミカを完全に快感に沈め、抵抗できない状態にした。そして、ルミカの髪の毛を数本採取する。満足そうに、マモーンは言った。

「ワルプルギスメンバーの髪の毛は採取した。研究に役立つ。」マモーンはルミカから離れ、地下スペースを探索し始めた。やがて研究室を見つけると、迷わず足を踏み入れる。研究室の資料を手に取り、マモーンは呟いた。

「ちょうどいい資料やな。コピー機もキチンとある。」そう言うと、マモーンは研究室の資料をコピー機で複製し始めた。マモーンが去った後、しばらくしてルミカは意識を取り戻した。

「…うっ…」頭がズキズキと痛み、体は鉛のように重い。何が起こったのか、ぼんやりとした記憶が徐々に蘇ってくる。マモーンの顔、彼の言葉、そして…屈辱的な行為。

「してやられたわ…あんなことをされるとは…」ルミカは震える手で自分の体を抱きしめた。怒り、悔しさ、そして何よりも拭いきれない屈辱感が彼女を苛む。彼女は歯を食いしばり、心の中で誓った。

「必ず…必ず、マモーンに復讐してやる…!」ルミカの体から、黒いオーラが静かに立ち上り始めた。それは彼女の心の奥底に渦巻く、怒り、憎しみ、そして屈辱が具現化したものだった。そのオーラは、まるで底なしの暗闇のように、周囲の光を吸い込み、空間を淀んだ空気に変えていく

「…許さない…絶対に、許さないわよ…!」彼女の言葉は、怨念を帯びた呪詛のように響いた。黒いオーラはさらに濃くなり、彼女の全身を覆い尽くしていく。それは、彼女自身が穢れに染まっていく兆候だった。マモーンが研究室を後にした直後、ルミカは怒りに身を任せ、マモーンを追いかけた。そしてついに、彼の背中を捉えた。

「おっ、ルミカさん、あっちゅう間に追いついたな」マモーンは振り返り、ニヤニヤと笑いながらルミカに話しかけた。その余裕のある態度がルミカの怒りにさらに火をつけた。

「この…!」ルミカは叫びながら、渾身の力を込めてマモーンの顔面に蹴りを入れた。ルミカの強烈な蹴りがマモーンの顔面に炸裂し、彼は「ぶへっ!」という間抜けな声を上げながら吹き飛び、壁に激突した。ルミカは怒りに震えながら、マモーンに詰め寄った。

「あんなことしておいて余裕ぶられるねぇー!救おうと思ってたのに、私の気持ちを踏みにじておいて…よくも、よくもそんな顔を!」彼女の言葉には、抑えきれない怒りと悲しみが込められていた。壁に叩きつけられたマモーンは、それでも余裕の表情を崩さずに言った。

「そんなに怒らんでもええやん。」しかし、ルミカの怒りは収まらない。彼女の体からは黒いオーラが溢れ出し、周囲を不穏な空気に包み込んでいた。

「君は飢えに苦しんでるのは嘘だったの?居場所を失いたくないのも嘘?じゃあ、ジョンアイデルや私の気持ちはどうなのよ!」彼女の言葉は、マモーンへの失望と裏切られた悲しみに満ちていた。ルミカの言葉に、マモーンは少しだけ表情を曇らせた。

「救うってのは嘘なんか。ワイの気持ちは誰にも…」彼の顔は、どこか寂しげで、まるで孤独を抱えているようだった。しかし、その瞳の奥には、依然として何かを企んでいるような光が宿っていた。マモーンの寂しげな表情を見たルミカは、少しだけ冷静さを取り戻した。彼女の体から溢れ出す黒いオーラも、わずかに弱まったように見えた。

「救いたいよ、だけど、今、君のやってることはただ欲望のままに動いてるだけ。」ルミカの声は、先程までの怒りを含んだものとは異なり、悲しみと失望に満ちていた。彼女は、マモーンの心の奥底にある孤独を理解しながらも、彼の行動を許すことはできなかった。一方、屋敷の地上では、アスモディンが動き回っていた。彼は二階の中央の部屋に辿り着き、確信に満ちた声で言った。

「ここには、最も重要なアイテムがある。」彼は部屋の奥へと進み、何かを探し始めた。アスモディンは部屋にあった箱を開け、中からいくつかの宝石を取り出した。

「重要じゃないけど、美しさを引き立てるのにはいいねぇ~。この宝石は、アクセサリーに加工すれば…」彼は宝石を手に取り、光に透かして眺めながら、満足そうに呟いた。その時、部屋の入り口から舞華とゼレスが現れた。ゼレスはアスモディンの姿を認めると、鋭い視線を向け、ハキハキとした口調で言った。

「あっ、この女、侵入者じゃないか。」舞華もまた、アスモディンを警戒しながら、同じようにハキハキとした口調で続けた。

「ジョンアイデルくんにちょっかいかけてるんだよね、確か。」アスモディンは、そんな二人に向かって、余裕の笑みを浮かべながら投げキッスを放った。ゼレスはアスモディンの投げキッスに魅了されかけ、一瞬動きを止めてしまった。しかし、舞華には何も起こらなかった。アスモディンは、その様子を見て楽しそうに笑いながら言った。

「あらあら、想い人がいても魅了にかかるのね。」ゼレスが魅了されかけている隙に、舞華はアスモディンに向けて鎌を振り下ろした。しかし、アスモディンは冷静に鎌の刃を受け止めた。舞華の鎌を受け止めたアスモディンは、隙を見て舞華にピンク色の香水のようなものを吹きかけた。突然吹きかけられた香水のようなものに、舞華は激しく咽び始めた。舞華は咽びながら、苦しそうにアスモディンに問いかけた。

「な、何をかけた?」アスモディンは、舞華の苦悶する姿を見て、楽しそうに答えた。

「色香水だよ。君には刺激が強すぎたかしら。」色香水の刺激を受けた舞華の心拍数は、急激に上昇し始めた心拍数の異常な上昇により、舞華は意識が朦朧としてきた。舞華が意識を失いかける中、アスモディンは受け止めていた鎌の刃を横方向に投げ放った。

「ここにあるものはアクセサリーの類と…」そう言いながら、彼女は部屋の収納棚を探し始めた。そして、すぐに目的のものを見つけたようだ。

「これだよね。」アスモディンは、工具箱を一つ取り出した。アスモディンは工具箱から万能ペンチや万能レンチなど、複数の機能を備えた工具を一つずつ手に取った。

「これは手に入れておいて困らないわね。」そう呟きながら、彼女はさらに重要なものを探すために探索を続けた。そして、マナタイト結晶とエーテル結晶を手に入れた。必要なものを手に入れたアスモディンは、満足げにその場を去った。

ジョンアイデルは、まるで何かに決意したかのように、静かに、しかし力強く言った。

「魂の力は、正しく使う。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ