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エピック41【不穏なる影と事件】

ジョンアイデルとクレティアたちは、晴れて二年生を迎えたそして、そこから一カ月。授業や講座は順調に進み、彼らはそれぞれの専門分野を深めながら、充実した学園生活を送っている。しかし、平穏な日常の裏では、新たな陰謀が蠢き始めていた…。アスモディンとマモーンは、クリミナルデビルの指示を受け、学園のEXクラスに編入された。その目的は、学園への潜入であるようだ。アスモディンは、リヴァイアサンの計画の全貌を知り、驚きを隠せない。

「うまく行ったよ、まさか、リヴァイアサン様がアレイスターと繋がってたとはね、これで上手くいけるわね、しかし、リヴァイアサン様も大胆すぎるわね、もしかして、目的はジョンアイデルの観察かな、ならば話は通じるわね」学園がざわついているのは、EXクラスエリアだけではなかった。ワルプルギスの屋敷でも、何やら不穏な空気が漂っている。アルは、深刻な表情で言った。

「ジョンアイデル君たちが二年生になると同時に転入生とはね、一カ月たったけど妙なことを聞くわ、また購買で魔具が消えたらしいわ。しかも“高価な品ばかり”」ノアは、うんざりしたように答えた。

「またですか」アルからの報告を受け、ステラはさらに不気味な情報を付け加えた。

「妙な噂も出てるみたい。“見知らぬ女を見た”とか、“影が天井を走った”とか」ジョンアイデルは、遠くの校舎を見つめながら、何かを感じ取っていた。確信はない。だが――胸の奥で、小さなノイズのような感情の“波”が揺れ、彼の心をざわつかせる。ジョンアイデルは、感じ取った異質な気配の正体を掴もうとしていた。「(……この気配、普通の生徒じゃない)」霧のように薄いが、確かに異質だ。そして――どこか“甘く粘つくような欲望”と“鋭い強欲”の混ざった、形容しがたい気配が彼の警戒心を刺激する。ジョンアイデルは、感じ取った気配の危険性を悟り、呟いた。

「はあ…、まったく、面倒なことが起こるかもしれんな、この気配は間違いなく穢れじゃないか、しかも、薄らだが間違いなく質だけなら災害級だ」ジョンアイデルが穢れの気配を感じ取ったのと時を同じくして、クレティアもまた、学園内で異様な気配を察知していた。

「この気配まさか…」彼女の表情は、今まで感じたことのないほどの緊張に満ちていた。ジョンアイデルとクレティアが異変を察知した直後、学園の購買部の方から大きな騒ぎが聞こえてきた。それは、これから起こるであろう事件の序章に過ぎなかった。騒ぎを聞きつけたジョンアイデルとクレティアは、急いで購買部へと向かった。そこでは、ノーアが混乱した様子で2人に訴える。

「魔具の在庫が合わない、防犯システムを調べてみるけど犯人の痕跡がない?どういうこと?」彼女の言葉は、今回の事件がただの盗難事件ではないことを示唆していた。ノーアの説明を聞いたジョンアイデルは、即座に犯人の目星をつけた。

「そんなことができるのは概念系能力しかない、だけど、使えるのはクリミナルデビルとワルプルギスのメンバーと俺とクレティアと舞華だけだ」彼の言葉は、容疑者がごく限られた人物であることを示していた。クレティアは、犯人を特定するため、状況証拠を洗い出した。

「だけど、ワタシとジョンアイデルは皇族育成プログラムで90%以上一緒にいるしね、ワルプルギスのメンバーは今はSMOの任務や学園の見回りを2人以上のグルでしてるからそんな事件を起こそうにも起こせないしね、あっ、そうだ、こんな時に千里眼で過去を見る力を使えば」クレティアは千里眼を、ジョンアイデルは魔皇の眼の力を使い、事件発生の一ヶ月前あたりまで遡って見た。すると、夜更けの誰もいない購買部に黒いモヤみたいなものがかかる様子と、ノーアが商品補充のためにポートに向かい姿を消した後に、再びモヤみたいなものが現れる様子が見えた。ジョンアイデルは、記憶を辿るように言った。

「この靄、なんか見覚えがあるぞ」すると、クレティアが即座に答えた。「アヴァリティアことマモーンの混沌の力だよ、これ」ジョンアイデルは、マモーンが事件に関与していることを確信しつつも、もう一つの穢れの存在が気になった。

「なるほど、購買部からの在庫が合わなくなる事件の犯人はマモーンの仕業か、しかし、災害級の穢れは2つ感じたけど、もう一つのほうは?」彼の言葉は、今回の事件が単独犯によるものではない可能性を示唆していた。一方、クリミナルデビルの本拠点研究所では、リヴァイアサンがコンピューターを操作しながら呟いていた。

「アイツ、早速行動起こしたか、本来の目的忘れるなよ、こっちはこっちでやることあるんだし」すると、ベルフェがベリアルに問いかけた。

「ベリアル、最近、ボクのことを気にかけるけどどうしたの?」ベリアルは慌てて答えた。

「い、いや、特別な意味は…(ベルフェに好意を持ってるなんて伝えたらどう思われるんだろうか)」一方その頃、クロニクルEXエリアでは。クロニクルEXエリアにあるビルのような建物の中には、マモーンとアスモディンが潜んでいた。マモーンは、興奮を抑えきれないように小声で言った。「やったー、成功だ、混沌の力、だいぶん使いこなせるようになったで」すると、アスモディンが冷静にたしなめた。

「あんまりそういうことばかりして油売る真似はよくなくってよ、アテシたちの目的、わかってるの?アイデルの観察でしょ」アスモディンの言葉に、マモーンは不満げに答えた。

「分かってるで、そげんなことくらい、だが、ちょっとは能力の訓練もしないと精度などが落ちるやん」彼の言葉は、アイデルの観察よりも、自分の能力向上に興味があることを示唆していた。アスモディンは、マモーンの軽率な行動をたしなめるように言った。

「あんまりおふざけに能力使うもんじゃないわよ、今、騒ぎになってるんだから」彼女の言葉は、学園で起こっている騒ぎが、マモーンの行動と無関係ではないことを示唆していた。そして、時間は経過夜の学園は昼間の喧騒をすっかり忘れたように、静寂の中に沈んでいた。月明かりが高窓から差し込み、廊下を淡く照らす。その光に影が揺れるたび、わずかに空気がざわめくような錯覚を覚える。だが、アスモディンとマモーン。――外部からの潜入者たちは、その微細な揺らぎさえも読み取るかのように進む。足音は一切立たず、魔法結界や警備の目を巧みにかいくぐる。

「……ここまで来れば、もう大丈夫ね」アスモディンの声は闇に溶けるように低く、冷たくも知的な響きを帯びていた。彼女の目は廊下の隅々を捉え、監視カメラやセンサーの位置を即座に把握する。その観察力は、単なる警戒心ではなく、学園内部の構造や人々の動作パターンをデータとして蓄積するためのものだった。

「動きは一定だ。ジョンアイデルとクレティアの様子を確認する」アヴァリティアは無表情に、しかし内心では微かに緊張を覚えながら進む。冷静を装っているが、潜入という非日常の状況が、心の奥底にわずかな波紋を立てるのを感じていた。二人の潜入者が廊下を進む先に、目標の人物――ジョンアイデルがいた。赤橙の瞳が暗闇に光り、無表情のまま周囲を見渡す。味覚、疲労感、痛覚――三つの感覚が欠落していることは、外見上では分からない。しかし、長時間の移動や身体的負荷に影響されないその静けさは、異様な存在感を放っていた。まるで周囲の空気までもが彼の周囲で緩やかに変形しているかのようだ。クレティアはジョンアイデルの隣を歩き、注意深く周囲を観察していた。彼女の瞳は知性と警戒心を兼ね備え、微かな感情の揺らぎを抑えつつも、無意識のうちにジョンアイデルへの保護欲が混じっている。その気配は、アスモディンの敏感な観察眼に逃れることなく捉えられる。

「面白いわ……欠落した感覚があるとはいえ、彼の動きには微細な違和感がなく、完全に環境に適応している」アスモディンは心の中で小さく笑う。マモーンは無言でデータを取り続ける。彼女の意識はジョンアイデルとクレティアに固定されつつも、潜入の任務――学園の内部情報を収集し、異常を察知するという本来の目的に集中している。時折、潜入の緊張感が彼女の心をかすかに揺らすが、それを外面に出すことは決してない。彼女は冷静さを最優先とし、影のように行動することを選ぶ。廊下の端、影の中に身を潜める二人の潜入者にとって、ジョンとクレティアの存在は単なる観察対象であり、戦略上の情報源である。しかし、その姿は同時に、潜入者たち自身の心を揺さぶる何かでもあった。ジョンアイデルの赤橙の瞳、無表情の中に潜む確かな存在感は、ルクスリアにとって一種の興奮をもたらす。同時に、マモーンは彼の欠落した感覚がもたらす非日常性に、職務的好奇心と微かな畏怖を抱く。

「(……あの二人の間には、ただならぬ信頼関係がある)」アスモディンは内心で分析する。クレティアの視線は常にジョンアイデルに向けられており、周囲の環境よりもジョンアイデルの動きに集中している。その微細な心理的傾向は、学園内部での行動パターンの変化や戦闘時の反応にも影響を及ぼす可能性がある。アスモディンはこの情報を頭の中で整理し、後の作戦に活かすべくメモリに記録する。ジョンアイデルは感覚の欠落によって、他者の微妙な反応や感情の揺らぎを直接感じ取ることはできない。しかし、身体感覚に依存しない観察力と知識の蓄積によって、周囲の動きや環境の変化は正確に把握している。クレティアはその異様な冷静さに微かに戸惑いながらも、彼の隣を歩くことを選び続ける。二人の潜入者は廊下の角を曲がり、さらに奥へ進む。月光に照らされた学園の廊下は、影と光のコントラストが鮮明に映し出され、潜入の緊張感を一層高めていた。アスモディンは静かに息を整え、次の行動を計画する。マモーンも無言で足を運び、任務遂行に必要な情報収集を続ける。廊下の先には、夜の学園に浮かぶ静寂だけが残されていた。しかし、この静寂の裏には、後の戦い、試練、そして成長の伏線が確実に刻まれていた。潜入者たちの観察は、単なる情報収集にとどまらず、学園の秩序や生徒たちの心理を揺さぶる布石となる。ジョンアイデルとクレティアの無言の歩み、アスモディンとマモーンの影のような視線。夜の学園に交錯するその軌跡は、まるで静かに燃える火花のように、やがて大きな波紋を広げることを予感させる。廊下の奥に進むにつれ、潜入者たちの心拍はわずかに速まり、全身の感覚が鋭くなる。ジョンアイデルの欠落した感覚は、彼の動きを止めることはない。クレティアの視線の温度は、アスモディンとマモーンの分析を難しくし、同時に二人に強い緊張感と好奇心を植え付ける。月光の影に紛れ、二人の潜入者は息を殺して歩みを進める。学園の夜は長く、静かで、しかし確実に潜入者たちの記憶に刻まれていく。やがて、彼女たちの視界の先に、ジョンとクレティアの影が揺らめき、潜入の成果を確認する瞬間が訪れる。その時、静寂を切り裂くわずかな金属音や床のきしみが、潜入者たちの心を一瞬だけ緊張させる。しかし、それすらも彼女たちは計算済みであり、冷静さを保ちつつ前進を続ける。ジョンアイデルの欠落した感覚と異様な静けさ、クレティアの微細な心理変化、そして潜入者たちの観察眼が交錯する――この夜の学園は、まさに人間と非人間、意識と無意識の交錯の舞台だった。影の中で、潜入者たちは任務を遂行するための最適な位置取りを探し、データを蓄積していく。やがて彼女たちは、一歩一歩学園の核心へと近づいていく。月光が廊下の壁に反射し、影と光が複雑に交錯する中で、この夜の潜入は確実に次の展開への布石となる。静寂の中、ジョンアイデルの瞳は赤橙に光り、無表情で前方を見据える。欠落した感覚は彼を縛ることなく、むしろ動きの精度を高めているかのようだった。クレティアの視線はその隣にあり、微細な警戒と保護の感情を混ぜながら彼の行動を支えていた。アスモディンとマモーンは、影のように静かに情報を収集し続ける。二人の観察眼は、学園の夜を切り裂き、潜入者としての任務を完遂するための道筋を描き出していた。その影は、やがて学園全体に小さな波紋を広げることになる――この夜の潜入は、次なる試練と戦いの前触れに過ぎないのだ

その後、アスモディンはジョンアイデルが単独行動を始めたのを見て、後を追っていた。ジョンアイデルは、少し不満そうに言った。

「まったく少し過保護なんだよな、感覚失ったからと言っても別に動けないわけじゃないんだし」マモーンは黒い靄と化し、倉庫から魔道具をいくつか強奪した。彼の行動は、学園をさらに混乱に陥れることになるだろう。次の日の朝、マルスとタケミカヅチは実戦用の道具の在庫チェックを行っていた。すると、魔道具の数が減っていることに気づく。マルスは驚いたように言った。

「あれ!?おかしいぞ、魔道具が減ってるぞ、アイデルやクレティアは紛失することなんてないのにな、確かに収納したことは昨日の放課後までは確認済みだしな」タケミカヅチも深刻な表情で言った。

「実戦武器の数も減ってる、一体どういうことだ?」騒然とした雰囲気の中、職員会議が始まった。集まっているのは、クラミツハを筆頭とするEXクラスの各教養担当教師たち、そしてノーアとバステト。会議は、先日の魔道具盗難事件について話し合うようだ。バステトは、会議で報告した。

「持ち物検査とかはしてるがジョンアイデルやクレティアおよびアルテルとアヴィンのタンスやバッグ、インベントリーなどをチェックしたがどこにも隠してなかった。同居人の方も確認したがそれもない」ラクシュミーは、困ったように言った。

「買い足してるがこれじゃ予算が尽きてしまうわよ」すると、クラミツハが冷静に言った。

「そう言えば今のところ食糧や調理器具や研究用資材には被害ないんじゃな、んで、被害に遭ってるのが購買部と実践倉庫か、共通点は何があるんじゃ」会議で、マルスが報告した。「私が被害にあったと確認できたのは魔石とバフ系アイテム」タケミカヅチも報告する。

「こちらはヒヒイロカネ製の武器とミスリル製の武器が少数行方不明」ノーアは現状を説明した。

「購買部からは魔石、コーヒー、ハイポーション系などが行方不明」会議室に緊張が走る中、フィリアが口を開いた。

「共通点、何となく分かりましたよ、どれも高級なものですね」彼女の一言が、閉塞感を打ち破るかのように響いた。会議が膠着状態に陥ったその時、職員室の電話がけたたましく鳴り響いた。電話のベルが止むと同時に、アスタルテの緊迫した声が職員室に響き渡った。

「男性生徒が何人か放心状態になり始めてます、EXクラスだけじゃなく地上エリアのクラスや地下クラスの者に及んでます、原因不明」盗難事件に続き、新たな異常事態の発生に、職員たちの間に緊張が走る。フィリアは、事態の深刻さに顔をしかめながら言った。

「物品行方不明事件に続き今度は精神に影響とはねぇ~」その頃、統括理事長塔の最上階にある統括理事長室では、シャウラが学園で起きている一連の事件について必死に情報をまとめていた。

「ひぇーー、こんな激務になるなんてねぇ~、統括理事長、これ、どうなってんっすか」彼女の問いかけに、アレイスターは冷静に答えた。

「原因は分からない。今調査してるんだ、生徒や職員達からも聞き込みしてる」一方その頃、ジョンアイデルはクレティアとアスモディンに対する自身の感情について悩んでいた。

「しかし、クレティアに対しての感情の整理は少しはしたけどね、でも、恋愛感情ははっきり分からないな、でも、気にかけるとなんか胸の奥にこみ上げるものがある、だけど、それはアスモディンのことを考えたときも同様なんだよな」その時、ジョンアイデルの部屋の扉をノックする音が聞こえた。ジョンアイデルが「どうぞ」と返事をすると、現れたのはフィリアだった。「君は何もなさそうね、最近、物品行方不明事件が起きてるからね」フィリアの言葉に、ジョンアイデルは答えた。「それと関係あるかどうかは分かりませんが、オレの研究室からは硫酸系の固体とニッケルなど金属が使用量よりも減ってことが確認されました。それと発表用の魔科学アイテムもいくつか行方不明、いや、行方不明というよりこれは盗まれてます」フィリアは、少し驚いたように尋ねた。

「盗まれた?何故そう言えるの?」ジョンアイデルは、自身の能力について説明を始めた。

「俺の目の力知ってますよね、エーテルやマナを流せば千里眼と同じ効果を得ることを、それで過去視をしたら、黒いモヤみたいなのが研究室に現れたのです。だが、こんなことできるのは限られてるんですよ、EXクラスエリアだけじゃなく地上エリアの校舎の科学室や魔科学室からもいくつか薬品や魔科学が消えてるんですよ、それで私の研究室を調べてみたら、まさかですよ」ジョンアイデルの話を聞き終えたフィリアは、核心に迫る質問を投げかけた。

「それでそんなことが可能な人物がいるの?」ジョンアイデルは、慎重に言葉を選びながら答えた。

「こんなことが可能なものはクリミナルデビルにはいますね、だが、まだ確信を持てない」フィリアは、ジョンアイデルの言葉を受けて、さらに問い詰めた。

「能力は黒いモヤと物体の消失させたように見せかけるか、そんなスキルかアビリティ持ちは」ジョンアイデルは、重々しく口を開いた。

「可能性があるのは俺が知ってるだけで2人いるんだよな」フィリアは、ジョンアイデルの言葉に戸惑いを隠せない。

「アイデル、どういうこと?」ジョンアイデルは、言葉を補足するように答えた。

「本人あるいは能力や技の模倣って意味合いで言ってます。クリミナルデビルのジョーカーとスペードです。」フィリアは、納得したように頷き、別の懸念を口にした。

「なるほど、それともう一つ不審に思ってるん、転校生のアルテンとアヴィンって生徒、素性が不明すぎるんだよ、隠密家系であろうと世界の記憶に接続されてるウニウェルスムの前で明らかになるがだが、調べても引っかからない、何か妙すぎる」ジョンアイデルは、その言葉に同意するように言った。

「その2人が転校してから妙な気配を感じます、そうですね、あれは言うなれば穢れですね」フィリアは、決意を込めた口調で言った。「クリミナルデビルとそのハートとクラブについて調べてみるよ、何かわかるかもしれないしね、しかし怪しいね、この時に転校生で素性不明、おまけに穢れそのものを放つってのは」ジョンアイデルは、事態の深刻さを理解し、表情を引き締めて言った。「こっちも警戒など対策を立てておきます、もしかすると概念能力の可能性が高いから、まあ、対概念システムを組み込んでおこう」そう言うと、ジョンアイデルは自分の研究所に向かい、早速対概念システムの組み込み作業に取り掛かった。ジョンアイデルは、コンピューターを駆使し、防衛システムに対エーテル、対マナオド、様々なエネルギー攻撃への耐性を最大限に高め、物理攻撃にも最大限の耐性を付与。そして、概念能力による侵入を無効化する機能を完成させた。ジョンアイデルは、完成した防衛システムに満足することなく、次なる対策を練り始めた。

「あとは対時空システムもだな」そう呟くと、再びコンピューターのキーボードを叩き、時空侵入対策に着手した。ジョンアイデルは、一通りの対策を終え、自宅へと戻った。授業用の教本などを確認し次のようにつぶやく

「よし、準備は万端だ」その頃、フィリアはジョンアイデルに問いかけた。

「ジョンアイデル、君は疲労感や味覚や痛覚がなくなってるんだよね、今のところは不便はないんだね」

ジョンアイデルは答える

「何も不便はない、ただし、寝ようにも寝れないですね」フィリアは、ジョンアイデルの異変について、分析するように語り始めた。

「赤の神殿クリア後から味覚、青クリアで疲労感、黄クリアで痛覚の喪失…、クレティアには起きてないのにアイデルだけ、なんでなんだろう?アイデルからは精霊にかなり近い部分を感じるしね」ジョンアイデルは、身体に異変が起きているにも関わらず、今日も元気に皇帝育成プログラムを受けに出かけて行った。彼は、味覚、疲労感、痛覚を失っても、それを気にすることなく、ひたすら前へと進む。自分の理想を叶えるために、悲観的になることなど、決して許さないのだ。その頃、クリミナルデビルの本拠点では、リヴァイアサンが頭を抱えていた。

「ジョンアイデルの研究所、セキュリティが強固になってるな、アヴァリティアのヤツ、大胆に行動しすぎるからな、まったく、誰が物品を盗めなんて言ったか、余計な真似してからに」リヴァイアサンの言葉から、組織内で何らかのトラブルが発生していることが伺える。すると、テリオンが口を挟んだ。

「ジョンアイデルの観察ならベリアルかベルフェに行かせたのに、コイツラは余計なこともしなかったろうし。ベルフェはまあサボり気味だが根は真面目だし、ベリアルは偽ることはかなりのもんだし」リヴァイアサンは、テリオンの提案を一蹴した。

「あのね、君とアタシがいくら手を結んでると言っても観察やデーター採取に直属の部下以外を使うのは気が引けるのよ、特に今回のことに関しては」テリオンは、リヴァイアサンの言葉に興味深そうに反応した。

「ほお、そんなにジョンアイデルが気になるのか?何故だ?魔族との混じりの中に中性がいるからか?」リヴァイアサンは、テリオンの問いに答えた。

「ジョンアイデル、半魔族と半吸血鬼の間に生まれてる、男性ならルクスリアの魅了にかかるのに、何故かかからなかったし、しかも、動き方が男性とも女性ともつかないところがある、確信を持ちたいんだよ」テリオンは、リヴァイアサンの言葉を聞いて、得意げに言った。

「やはり知らないんだな、ジョンアイデルの性別は男でも女でもない」リヴァイアサンは、テリオンの言葉を受けて、興奮した様子で語り始めた。

「だからこそだよ、性別が男でも女でもないのは無性か中性だからね、だけど、ジョンアイデルの魔力などの質は女性と男性の両方の性質がある。そして、ルクスリア達による調査で確信に近づきたい研究開発ってのは興味から始まってもいいと思うんだよね、でないとやりがいがないから」テリオンは、リヴァイアサンに助言するように言った。

「確信に近づきたいなら血縁者から聞くのが一番だと思うけどな、俺は知ってるんだよ、ジョンアイデルのことは、なんせ、ヤツとは幼い頃から一緒だったから、思えば幼い頃から服装は女性とも男性ともつかない服装してたな」テリオンの言葉を聞き流し、リヴァイアサンは冷酷な笑みを浮かべた。

「まあ、それだけじゃない、ジョンアイデルの趣味嗜好なども研究の対象なんだよ」リヴァイアサンの言葉は、ジョンアイデルに対する執着が、単なる興味本位ではないことを示唆する。

テリオンは、リヴァイアサンの言葉に呆れたように言った。

「お前、少し引くぞ、研究とは言えそこまでを観察するのか」テリオンの言葉など、まるで聞こえていないかのように、リヴァイアサンは独り言のように語り始めた。

「なんと、なんと、興味深い、魔族の研究から始まりマナやオドやエーテルなどの研究、それ利用した発明品、さらには科学や魔科学に生物科学にも手を伸ばした、でも、あれほどの対象(サンプル)はいない、素晴らしい、実に素晴らしい」テリオンは、リヴァイアサンの言葉を聞いて、全てを悟ったかのように言った。「お前が人殺したりしなくても穢れが発生する理由が分かった気がする、飽くなき好奇心や探究心に呑まれたことか…、それをスペルヴィアの野郎が目につけて、そして、わざと利用されてるふりをして、なんて奴だ」場面は変わり、荘厳な玉座の間。玉座にはスペルヴィアが悠然と座り、その両隣には、シズズとヒッポタムンにそれぞれ乗ったベヒモスが控えている。さらに、玉座へと続くカーペットの両サイドには、八獄極大罪魔道化師(デッドリー・シンズ)の全員が、静かに佇んでいる。遅れてテリオンとリヴァイアサンが到着し、玉座の両隣付近に立つ。スペルヴィアは、満足げな表情で高らかに宣言した。

「世界各国に設置した魔科学の起動には成功したな。我々、クリミナルデビルは各地に散らばる小中規模の差別を受けてる犯罪組織を傘下に収めることにも成功した。これで共存への一歩が近づいた。邪魔するSMOやワルプルギスのメンバーは悪!なにかするならやっつける!」テリオンは、スペルヴィアの演説を聞きながら、心の中で冷笑した。

「(共存?笑わせる事を言う。この界域と魔獄界を壊して作り直して支配者になって、自分の都合が悪いものを排除しようとすることがか。まあいい、スペルヴィア、いや、ルシファエロ。お前の計画は必ず潰される)」

【キャラクター紹介】

〔アスモディン(アルテン)〕

挿絵(By みてみん)


〔アヴァリティア(アヴィン)〕

挿絵(By みてみん)

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