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エピック37【ミクスタッド国】

ジョンアイデルとクレティアは、ミクスタッド国での任務を終え、束の間の休息を経て、SMO副本部に集結した。次の作戦の準備は、時間との勝負だった。ヤンロエルはジョンアイデルとクレティアを見据え、確信に満ちた声で言った。

「君たちならわかっているはずだ。我々が最後に対処すべき場所はどこか。クレティア、君の故郷、ミクスタッド国だ。そして、そこにいるのは…奴だ」ジョンアイデルはヤンロエルに確認するように言った。

「アルさんは今回は見送りですか。承知しました。メンバーはドミネスト、舞華、ゼレスでよろしいようですね。少し多い気もしますが、用心に越したことはないでしょう」舞華は元気いっぱいの声で、ジョンアイデルに向かって言った。

「ジョンアイデル、今回の任務はアスモディン様が相手なんだよね。だけども、ボクは君とゼレス達が一緒なら最強だよ!私、全然怖くないもん!」ゼレスは舞華の肩を叩き、力強く頷いた。

「心配すんな!舞華ちゃん達のことは、この俺が何が何でも守り抜くからな!」ドミネストは腕を組み、堂々とした態度で言った。

「おいおい、この俺のことを無視する気か?どんな強敵だろうと、俺たちなら恐れるに足りないぜ!」ブリーディングルームに緊張が走る中、フィリアが現れた。美しい顔立ちに宿る覚悟は、誰も逆らえない威圧感を放つ

「今回の作戦、私も参加させていただきます。ミクスタッドの現女皇として、国を守る義務があります」フィリアは決意を込めた眼差しで言った。

「私はミクスタッドの女皇であると同時に、クレティア、ルミカ、そして、アスモディンの母なのです」ドミネストは真剣な表情で、フィリアの目を見つめながら言った。

「フィリア、言いたいことはよく分かるぜ。子が道を誤るなら、親としてどんな手を使ってでも正しい道に導くのが義務だろう!」フィリアは感謝の気持ちを込めて、ドミネストに向かって言った。

「ドミネストさん、あなたの言葉はいつも心に響きます。何か他の人とは違う、深い重みを感じますね」ドミネストは拳を握りしめ、決意を込めた声で言った。

「俺は、自分の子供を救えなかった後悔を抱えている……だから、ミクスタッドの血を引くアヤツは、何としてでも救わなければならない。たとえ、力ずくになってもだ」ジョンアイデルは力強く頷き、仲間たちを見渡しながら言った。

「俺やルミカ、クレティア、そして、ドミネスト、フィリアさん……、目的は同じだね。舞華とゼレスも力を貸してくれる。ならば、行こう!最後の災害級の穢れを払いに!」空を切り裂き、轟音と共に現れたのは、伝説の生き物を模した飛行船艦だった。龍の頭を模した艦首は威圧感を放ち、巨大な龍翼が太陽光を反射する。艦尾は龍の尻尾のようにしなやかに動き、進路を定める。ジョンアイデル達は、この古代の遺産とも言える船に乗り込み、運命に立ち向かう。ジョンアイデルは船内を見渡し、興奮した様子で言った。

「すげえ、この飛行船艦、まるで生きてるドラゴンみてえだ」フィリアは微笑み、説明した。

「ええ、これはミクスタッドが誇る最新鋭の飛行船艦:エアロドラゴシップです」ルミカは納得した様子で、ポンと手を叩いた。

「エアロドラゴシップって、皇族専用じゃなかったっけ?あっ、そっか!母様が乗って来て、ここに置いて行ったんだね」ジョンアイデルは不思議そうに尋ねた。

「ミクスタッドって、男と女だけじゃなくて、中性の人もいるんですか?」

フィリアは笑顔で答えた。

「よく知ってるわね、アイデル。そうよ、うちの国では、男、女、中性の3つの性別があるの。あら、アイデル、あなた、何か雰囲気が変わったわね。男性とも女性とも言えない、独特の魅力が出てきたわ。もしかしたら、そのうち性別なんて関係ない存在になるかもしれないわね。まあ、あなたの男っぽさはそのままだと思うけど」ジョンアイデルは相槌を打った。

「ふむ」クレティアは何かを思い出すように遠い目をした。

「アスモディンがこうなっちゃったのは、青い月の晩に、国立研究所で行われていた実験が原因だと思う。人の感情を魔力に換える心情魔力変換装置、あれが、あの子の人生を狂わせたんだわ」時間が経ち、エアロドラゴシップはミクスタッドの空へと入っていった。龍の形をした飛行船艦は、威風堂々と飛行し、目的の場所を見つけると、滑らかに着陸を開始した。やがて、エアロドラゴシップは、優雅に地面へと舞い降りた。エアロドラゴシップは、ゆっくりと高度を下げ、ミクスタッド宮城の屋上へと降下していった。宮殿の屋根は、特別に強化された素材で作られており、巨大な飛行船艦の重量にも耐えられる構造になっている。やがて、エアロドラゴシップは、無事に宮城の屋上へと着陸した。アルプは嬉しそうに声をかけた。

「フィリア様、お帰りなさいませ」フィリアは厳しい表情で言った。

「今回は緊急の事態で帰国したわ。アルプ、事の重大さは理解しているわね。大国に災害級の穢れが発生し、周辺国にも初級から上級の穢れが国を覆っているの」ジョンアイデルは確信を持って言った。

「穢れは自然発生することもありますが、今回のケースは異常です。これほど広範囲に及び、急激に拡大していることから、人為的な干渉があったと考えるのが妥当でしょう」ジョンアイデル達が次の行動を考えていると、何の前触れもなく、アスモディンの分身が出現した。彼女は、妖艶な服装を身に纏い、妖しい魅力を放っていた。分身は、優雅に微笑みながら言った。

「待っていたわよ、ジョンアイデル。あなた達が来ることを」ジョンアイデルは警戒しながら言った。

「あんた、本物じゃないな。幻か影か……。だが、ただの幻にしては、妙にリアルだ」アスモディンの分身は、優雅に微笑みながら言った。

「あら、よくお気づきになられましたわね、アイデルさん。さすがですわ。ええ、そうよ。これは幻影分身。夢幻の概念を具現化したものなの」ジョンアイデルはクールに言い放った。

「影が無かったからな。それで分かった」アスモディンの分身は、好奇心を隠さずに言った。

「ふむ、影ですか。さすが、よく見ていますわ。それはさておき、アイデルさん。あなた、雰囲気が変わりましたわね。男性とも女性とも言えない、中性的な魅力……。もしかして、ご自身でも自覚されていますか?」ジョンアイデルは気に留めない様子で言った。

「確かに最近よく言われるな」アスモディンの分身は、納得したように言った。

「ああ、それでか。最初にお会いした時、魅了の魔法が全然効かなかった理由が分かりましたわ。あれは男性を対象とした魔法ですものね」アスモディンの幻影は、妖艶な声で囁いた。

「さあ、首都、セントラルシティの古い研究所へいらっしゃい。最高のおもてなしを用意して待っているわ」アスモディンの幻影は、煙のように消え去った。ジョンアイデルは、戸惑い首傾げながら言った。

「セントラルシティって一体どこなんだ?」クレティアは、冷静に当然と言わんばかりに言った。

「ここがそうよ。この宮殿のある街が中央都。とにかく、古研究所へ向かいましょう」ドミネストは、確信を持って言った。

「待て、アスモディン。アヤツもクリミナルデビルだ。何も手を打っていないわけがない」舞華は、不安を払拭するように言った。

「分かってるけど、恐れてばかりじゃ、何も解決しない」ゼレスは、舞華の背中を押すように言った。

「進むしかない。進めば、何かが見えてくるはずだ」ジョンアイデルたちは中心都の広場に移動する。広場に現れた異形は、見る者のSAN値を削り取るような存在だった。腕にはカマキリの刃が異様に光り、膝にはナイフが冷酷に輝く。肩の丸鋸は今にも動き出しそうで、イタチの尻尾の先は刃となって鋭さを増す。足には無数の刃が隙間なく仕込まれ、胸には剣、ハサミ、槍のエンブレムが禍々しく鎮座する。右腕はチェンソーに変わり果て、左腕はカッターシールドとして異様な輝きを放つ。ロングソードと槍を携え、背中は針がびっしりと敷き詰められ、近づく者を拒絶する。ジョンアイデルは、目を細めながら言った。

「今までのデビルモンスターとは違うな!穢れの力が強すぎる」異形の人型は、機械的な声で言った。

「我こそはブレードハイデビラー。もともとは暗殺者だが、任務失敗したところをテリオン様に拾い上げられて素体にされたんだよ」ブレードハイデビラーは、殺気を漲らせながら言った。

「ジョンアイデル、貴様はテリオン様とリヴァイアサン様が特に注目する存在。試練を与えるため、貴様の前に立ち塞がるよう命じられた。我らに敗北するようなら、貴様の価値はそこまでだ!」ブレードハイデビラーは、武器を構え、いつでも攻撃できる状態になった。ブレードハイデビラーは、腕のカマキリのような刃から、目にも留まらぬ速さで飛ぶ斬撃を繰り出します。ジョンアイデルは、とっさに空気の壁を展開し、カマキリの刃から放たれた斬撃を防ぎます。ジョンアイデルは、咄嗟に空気の壁を展開した。だが、ブレードハイデビラーの放った斬撃は、まるで紙を切り裂くかのように、いとも容易く空気の壁を突き破った。その斬撃の威力に、ジョンアイデルは目を見開いた。普通の人間であれば、回避は不可能だっただろう。しかし、ジョンアイデルは驚異的な反射神経で上体を反らし、ブレードハイデビラーの斬撃を紙一重で回避した。ジョンアイデルは、ニヤリと笑って言った。

「手ごわいのは確かだが、攻略法はある。相手は刃物……、金属でできている。雷、高熱、そして錆。さあ、どれから試してやろうか。」ブレードハイデビラーは、間合いを詰めるようにカッターシールドを投擲した。ジョンアイデルは、その攻撃を予測していたかのように、腕をドラゴンのような形状に変化させ、カッターシールドを掴み取った。ドラゴンの鱗に覆われた腕が、カッターシールドの回転を完全に停止させる。ジョンアイデルは、冷静に状況を分析しながら言った。

「相手の武器を奪い、それを利用する。これもまた、戦いの基本だ。この硬さを相手にぶつければどうなるんだろう。試してみるか。」ジョンアイデルは、計算された軌道でカッターシールドを投げつけた。ジョンアイデルの投げたカッターシールドは、ブレードハイデビラーの装甲を抉り、深々と突き刺さった。ブレードハイデビラーの体から、オイルのような液体が噴き出す。ブレードハイデビラーは、冷静さを保ちながらも、わずかに焦りを含んだ声で言った。

「カッターシールドの特性を理解し、遠心力と回転方向を完璧にコントロールしている……。驚くべき才能だ。だが、才能だけで私に勝てると思うな。」ジョンアイデルは、最後のチャンスに賭けた。

「ドミネスト! 今しかない! 雷の杖を使って!」ドミネストは、震える手で雷の杖を天に掲げた。祈るような気持ちで、杖に魔力を込める。すると、稲妻が空を切り裂き、ブレードハイデビラーに命中した。ジョンアイデルとドミネイトは、息を呑んでその光景を見守った。ブレードハイデビラーは、形勢逆転に焦り、狂ったように叫んだ。

「ふざけるな! まだ、まだ終わらんぞ!」ブレードハイデビラーは、なりふり構わず斬りかかった。だが、その隙を見逃さなかったゼレスが、火の鳥の形をした火炎弾を放ち、ブレードハイデビラーを焼き尽くした。

「反撃の隙? そんなもの、最初から存在しない。」ゼレスは、勝利を確信した笑みを浮かべた。ブレードハイデビラーの体は、激しい戦いの影響か、酸化が進行していた。かつての輝きは失われ、表面は錆び付き、見るも無残な姿となっていた。ブレードハイデビラーの背中から、パラパラと砂のようなものが落ちる。それは、彼の体の崩壊の始まりを告げていた

「コイツら……! 死ね!」ブレードハイデビラーは、狂ったように武器を振り回したが、ジョンアイデルたちにはかすりもしない。そして、酸化によって強度が低下した武器は、地面に叩きつけられた衝撃に耐えきれず、跡形もなく砕け散った。ジョンアイデルは、一瞬の隙を突き、雷のような速さでライダーキックのような蹴りを繰り出した。

「くらえ!」その蹴りは、空気を切り裂き、凄まじい音を立てた。ジョンアイデルの蹴りは、ブレードハイデビラーの腹に炸裂した。その衝撃で、ブレードハイデビラーの身体は粉々に崩れ去った。ブレードハイデビラーは、最後の力を振り絞り、意味深な言葉を残した。

「データは……送られた……。だが、これは終わりではない……。」その言葉を最後に、ブレードハイデビラーの肉体は爆散し、新たな戦いの幕開けを告げるようだった。ブレードハイデビラーの身体が爆散し、後に残ったのは、脈打つように光るデビルコアだけだった。ジョンアイデルは、まるで生きているかのようなデビルコアに、言いようのない恐怖を感じながらも、それを拾い上げた。「皆、聞こえるか!ルクスリア、いや、アスモディンのもとへ向かおう!遅れるないように!」ジョンアイデルは、仲間に呼びかけ、士気を高めた。古い研究施設の扉の前に到着したジョンアイデルは、仲間たちに呼びかけた。

「ここからは、チームワークが重要になる。二手に分かれて、連携を取りながら進むぞ。舞華、ゼレス、ドミネストは第一班。ルミカ、クレティア、そして俺は第二班だ。何かあれば、すぐに連絡してくれ。」ジョンアイデルたちが研究施設に足を踏み入れた瞬間、赤い光線が空間を切り裂いた。それは、防衛システムのレーザービームだった。ジョンアイデルたちは、間一髪でそれを回避した。レーザービームを避けながら、ジョンアイデルは的確に指示を出した。

「このままでは全滅だ!二手に分かれて突破する!班分けはさっきと同じ。マジフォーンのトランシーバー機能で、常に連絡を取り合えるようにして!」レーザーが飛び交う中、ジョンアイデル、クレティア、ルミカは、一瞬の油断も許されない状況で、ひたすら前進した。その背後では、舞華たちが左方向の扉を開け、新たな戦いの場へと向かっていた。ジョンアイデルたちは、レーザーを避けながら、打開策を探していた。

「クソ!何か方法はないのか!」舞華たちのいる場所にはレーザーはなかったが、壁には無数のレバーが並んでいた。

「これじゃ、手がかりがないとどうにもならないわね。」ドミネストがメガネをかけると、レバーの動かし方が判明した。

「赤は上、青は下、緑は左、黄色は右だ。」舞華とゼレスは、ドミネストの指示に従い、それぞれのレバーを操作した。すると、重々しい扉が開いた。舞華たちが先に進むと、そこには操作盤があった。舞華が操作盤を調べると、“侵入者トラップシステム”という文字が目に留まった。彼女は迷わずそのスイッチを切った。レーザーが止んだことで、ジョンアイデルたちは一息つくことができた。

「舞華たちが、道を開いてくれたんだな。だが、これは始まりに過ぎないね。気を引き締めて、進もう!」ジョンアイデル、クレティア、ルミカは、いつ敵が現れてもおかしくない状況の中、緊張感を保ちながら進んでいった。その頃、舞華たちは、別のルートを進み、敵の目を欺こうとしていた。長い道のりの末、ジョンアイデルたちの前に、ついにアスモディンが待ち構える部屋が現れた。張り詰めた空気が、一行を包み込んだ。アスモディンは、まるでジョンアイデルたちが来ることを知っていたかのように、余裕の笑みを浮かべた。

「やっぱり、あんたたち3人だったのね。もう知ってると思うけど、一応名乗っておくわ。アテチはハートのルクスリア、本当の名前はアスモディン・ミクスタッド!」クレティアは、アスモディンの悲しげな表情を見ても、その決意は揺るがなかった。

「アスモディン、あなたの気持ちはわかる。でも、犯罪は許されない。もう、やめて。」アスモディンは、クレティアの言葉に激昂した。

「黙れ!あんたに何がわかるのよ!あんたはいつもそう!優等生ぶって、アテシを見下してる!アテシだって、認めてもらいたかっただけなのに!母も父も、ルミカだって、誰もアテシのことなんて見てくれなかった…!」ルミカは、幼い頃のアスモディンとの思い出を語り始めた。

「アスモディン姉さん、覚えてる?小さい頃、私が困っていると、いつも助けてくれたよね。あなたの優しさは、ずっと変わらないって信じてる。あなたのことを無視したことなんてない。ただ、気持ちに気付くのが遅れただけなの。」アスモディンの言葉は、震えていた。

「アテシは、もう…。アテシは…」ジョンアイデルは、アスモディンの目を見つめながら言った。

「強がるな。お前、今、死ぬまで自分を貫くとか、そんなことを言うつもりだったんだろ。本当は、誰かに理解してほしいと思っているくせに。」アスモディンは、震える声で言った。

「そうよ…!アテシだって、誰かに…!でも、アイデル、あんたは…!眩しすぎるのよ…!」ジョンアイデルは、自身の正義を貫くことを誓った。

「俺は、自分の信じる正義のために戦う!混血で差別される者、苦しむ者を救う!それが、俺の誓いだ!そのためになら、神にでも何にでもなってやる!」アスモディンは、静かに目を閉じた。

「あんたの優しさは、アテシには眩しすぎるわよ…。自分の何かを差し出すつもりなんでしょ?やめて。そんなこと、しちゃダメよ…。でも、感謝してる。あんたと出会えたから、アテシは変われた。もし、敵じゃなかったら、きっと素敵な恋ができたでしょうね…。」ジョンアイデルは、アスモディンに希望を与えるように言った。

「絶望する必要はない。まだ、時間は残されている。迷い、考え、行動しろ。そして、自分の答えを見つけろ。俺は、それを信じている。」クレティアは、アスモディンを抱きしめたい気持ちを抑えながら言った。

「アナタが辛い思いをしているのは、ワタシにもわかる。だから、無理しないで。いつでも、ワタシを頼って。ワタシは、いつでもアナタを待っている。アナタが、ワタシのところに帰ってきてくれることを、ずっと信じているわ。」アスモディンの行動は、彼女の心の闇を映し出していた

「あんたなんか、いなくなればいいのに…!」アスモディンは、クレティアを消し去ろうと、狂ったように杖を振り回した。しかし、ジョンアイデルが冷静に動き、アスモディンの攻撃を防いだ。ジョンアイデルは、自身の価値観を語るように言った。

「俺は、親兄弟を大切にしている。それは、何よりも大切なことだと思っているからだ。だから、お前にも、同じように大切にしてほしい。二度と、そんなことを言うな!」アスモディンの言葉は、彼女の心の叫びだった。

「誰も、アテシのことなんてわかってくれないわよ…!」クレティアは、アスモディンの肩に手を置き、優しく言った。

「そんなことないわ。ワタシは、アナタの気持ちがわかる。本当は、親達に愛されたいと思っているんでしょ?だから、そんな嘘をつくのはやめなさい。自分の気持ちに素直になりなさいよ。」アスモディンの不安定な精神状態が、能力の暴走を引き起こした。現実と幻が混ざり合い、彼女の心の奥底にある感情や記憶が、歪んだ映像となって具現化していく。ジョンアイデルは、自問自答するように呟いた。

「俺は、何のために戦っているんだ?アスモディンを救うためじゃないのか?ならば、手段を選んでいる場合じゃない。どうすれば…。」ジョンアイデルは、アスモディンの苦しみを終わらせたい一心で、彼女を引き寄せ優しく唇を奪った。そのキスには、彼の深い愛情と願いが込められていた。ジョンアイデルのキスを受け、アスモディンの瞳は大きく見開かれた。その瞳の奥には、今まで見たことのない光が宿り始めていた。キスの後、アスモディンの瞳から力が抜け、安堵の表情を浮かべた。彼女の能力暴走は、ジョンアイデルの愛によって鎮められたのだ。ジョンアイデルは、アスモディンの唇から離れ、彼女の心の奥底を見透かすように見つめた。アスモディンは、自分の過去を思い出し、震える声で言った

「アテシは、たくさんの人を傷つけてきた。こんなアテシが、幸せになれるはずがない…。」ジョンアイデルは、アスモディンの肩を抱き、優しく語りかけた。

「過去は変えられない。だが、未来は変えられるよ。俺は、お前と一緒に、新しい未来を築きたい。ミクスタッドの皇帝になる!その過程でお前を救う!だから、一緒に来てくれ!」アスモディンは、少し希望を抱いたような声で言った。

「まだ、自信がない。でも、いつか、あなたにふさわしい女性になれるように、努力するわ…。」アスモディンは、空間の歪みを作り出し、未来への希望を胸に、その場を去った。クレティアは、ジョンアイデルに感謝の言葉を述べた。

「アイデル、これで、アスモディンも変わってくれるといいわね。」ジョンアイデルは、未来を見据え、力強く言った。

「ああ、必ず変わる。俺は、そう信じている。」舞華たちは機械の唸り声が響き渡る部屋に、舞華たちは到着した。無数の機械が規則正しく配置され、その中心には、黒と赤が混ざり合った、おぞましい魔化学兵器が、異様な存在感を放っていた。ドミネストは、その知識と経験から、一目で兵器の正体を見抜いた。

「あれは、紛れもなく魔科学兵器だ。危険なものに違いない。」舞華とゼレスは、互いに頷き合い、同時に叫んだ。

「破壊する!」舞華は鎌を、ゼレスは剣を振るい、長年の鍛錬で培われた見事な連携で魔化学兵器を攻撃。二人の息の合った攻撃により、魔化学兵器は跡形もなく破壊された。だが、破壊された兵器の影で、地下深くに隠された球体の魔化学兵器が、静かに、そして不気味に動き出した。それはまるで、運命の歯車が回り始めたかのように。そして、その兵器は、他の国々に潜む同種の兵器と、共鳴を始めた。一件落着し、ジョンアイデル達と舞華達は、安堵の表情を浮かべながら合流した。そして、ミクスタッドセントラルシティのSMO支部に、無事任務完了の報告に向かったSMO支部の職員は、書類に目を落としたまま言った。

「事後処理も、我々の仕事です。ご安心ください。」ジョンアイデルは、職員の言葉を遮り、真剣な表情で言った。

「それだけでは不十分だ。念には念を入れて、徹底的な調査隊と、即応可能な特別部隊を編成しておいてくれ。ただ事後処理をするだけでなく、何か起こるかもしれない事態に備えておく必要がある。嫌な予感がする」そして、ジョンアイデルたちは、フィリアの元へと向かった。フィリアは、未来を見据え、言った。

「アスモディンが、いつ戻ってくるかはわからない。でも、アイデル、あなたは、彼女の帰る場所を作ってあげたわ。」ジョンアイデルは、希望に満ちた表情で言った。

「彼女が、いつでも帰ってこられるように、私は、この国をより良い場所にします。そして、救いを求める全ての人々に、手を差し伸べます。そのためには、私は神の力を手に入れ、ミクスタッドの皇帝になる必要があります。だから、私は、これからも前進し続けます。」フィリアは、意味深な視線をジョンアイデルに向け、言った。

「クレティアとアイデル、どちらが皇位を継ぐことになるのか、それは、これからの二人の行動次第ね。ただ、現時点では、学識、実力ともに、アイデルの方が有利な状況にあるのは確かだわ。」クレティアは、意味深な笑みを浮かべながら言った。

「皇位を継承するのは、簡単なことではない。でも、ワタシは、どちらが皇位を継いだとしても、ミクスタッドはきっと良い方向へ進むと信じている。そして、もしワタシが皇位を継げなかったとしても、ワタシはアイデルを支えるわ。なぜなら、ワタシはアイデルのことを誰よりも理解しているから、きっと、彼の力になれるはず。」場面は切り替わり、物語は核心へと近づく。クリミナルデビルの本拠地、リヴァイアサンたちの研究所。そこは、静寂の中に、不穏な空気が漂う場所だった。テリオンは、不敵な笑みを浮かべた。

「ジョンアイデル兄さん、ハイデビルモンスターを倒したか。面白いことになってきたな。」ベルフェは、テリオンの行動を案じ、言った。

「テリオン様、リヴァイアサン様と手を組むのは、危険すぎます。どうか、考え直してください。」テリオンは、ベルフェの言葉を無視し、言った。

「スペルヴィア様は、俺たちを欺いていた。だが、もう遅い。俺は、全てを知ってしまった。そして、俺は、スペルヴィア様を止める。」アスモディンは、幸せそうに微笑みながら言った。

「アイデルが、アテシにキスしてくれた。アテシを選んでくれたんだ…。これから、アテシはどうすればいいんだろう…。」マモーンは、ニヤニヤしながら言った。

「ルクはん、えらい浮かれとるやないか。キスしてもろて、ホンマに嬉しかったんやなぁ。」リヴァイアサンは、不気味な笑みを浮かべた。

「アタシとテリオンは、運命共同体ね。テリオン、アンタはジョンアイデルに、次々とデビルモンスターを送り込む。さあ、どんな試練を与えるのか、楽しみだわ。」テリオンは、無表情で答えた。

「…そうだな。」

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