エピック34【オラクルなど】
ジョンアイデルは、SMO副本部の中にいた。ヤンロエルは報告する。
「メルトリア、ボレアリスにおける穢れの反応は確認できなくなりました。しかし、オラクル、レムリアナ、エカトリア、ミクスタッドには依然として反応が見られます」ジョンアイデルは推測を述べる。
「クリミナル・デビルの計画は、魔化学兵器を使い、この界域と魔獄界を同時に破壊することでしょう」シャウラは冷静に言う。
「ジョンアイデルさんの言うことは理に適っています。穢れが災害級で八獄大罪魔道化師の配置場所はすべて魔獄界との結びつきが強い場所であり、そこに穢れを集め、魔科学で活性化させれば理論的には可能です。ただし、一般の魔科学では破壊まではできないはずですが」ジョンアイデルは確信を込めて言う。
「それを実現できるのは、聖書の遺物、またはそれを応用した技術だけでしょう。そして、そこに神の力が加われば、計画は必ず成功します」カトレアは突飛な発想を口にする。
「ひょっとすると、クリミナルデビルの親玉は神との混血かもしれませんね」ジョンアイデルは推測を述べる。
「断定はできませんが、スペルヴィアは魔神と亜人間のハーフだと推測されます」ヤンロエルは記憶を掘り起こすように言う。
「魔神と亜人間のハーフね。確かに昔、そんな奴がいたな。ルシファエロって名前だったと思う。でも、公式記録では死亡しているはずだ」ジョンアイデルは思考を形象化し、スペルヴィアの画像を虚構の概念を使い映し出し実体化させる
「こいつがスペルヴィアです」ヤンロエルは信じられないという表情で言う。
「ジョンアイデルくん、ルシファエロに会ったことがあるのか?しかも最近?」ジョンアイデルは事実を淡々と語る。
「クロニクル学園を襲撃しに来たのが奴です」ヤンロエルは信じられないという表情で言う。
「そんな馬鹿な。あの死体は偽物だったのか。最悪の犯罪者が生きていて、メンバーを集めて組織を立ち上げたなんて」ルミカは立ち上がり言う。
「オラクルにはキャヴムとグーラがいるみたいね。サンダルフォンの私が役立てそうかしら」ステラも賛同する。
「グーラなら節制の力を持つ私が最適ね」ダンテが割って入る。
「ルミカ、君は待機していてくれ。ここは私に任せてもらう」ジョンアイデルは説明する。
「ルミカは一度出撃しているので待機。代わりにステラさんとダンテさんを投入します」ルミカは落胆した様子を見せる。ジョンアイデルは続ける。
「グーラとキャヴムは、確かベヒモスの手下だったはずだ」クレティアは鋭く指摘する。
「ベヒモスって聖書に登場する怪物と同じ名前よね。さらに、シズズやベヒモスも聖書にルーツがあるわ。テリオンもマスターテリオンを意識しているのなら、偶然に集められたとは到底思えないわね」ジョンアイデルは仮説を提示する。
「四大幹部は聖書に由来する因子を体内に持っている可能性が考えられる。そして、大罪も聖書に基づいている部分があると思われる」ステラは危機的状況を訴える。
「もしそうなら、スペルヴィアが目指していることは極めて危険なことよ。差別や偏見を無くすために、物界と魔獄界を一度破壊し、その後スペルヴィアが新たに作り直して支配するつもりなのね。そして、本拠地はおそらく方舟のような役割を果たしているのでしょう」ジョンアイデルは言った。
「壊させはしない。俺は物界、魔獄界も含めてこのクリプトンという世界、宇宙を守る!差別や偏見を完全に無くせなくてもいい!分かり合えれる世界を作ればいい」ヤンロエルは号令を発する。
「そのためには、まず穢れを浄化する必要がある。直ちに出陣せよ」ジョンアイデル、クレティア、ステラ、ダンテは、使命を果たすべく、移動船艦に続々と乗り込んでいった。ジョンアイデルは言った。
「オラクル、そこには確かアッシュがいるな」長い時間を経て、移動船艦はついにオラクルへと辿り着いた。移動船艦がオラクルの港に滑り込む。港ではアッシュが一行を待ち受けていた。
「待っていたぞ、怜也。いや、ジョンアイデル、と呼ぶべきか!」クレティアは怒りを露わにする。
「アッシュ、ワタシは決して貴様を許さない。ジョンに対して行った数々の悪事を忘れることはないわ」ジョンアイデルは制止するように言う。
「クレティア、もう終わりにしよう!過去の出来事は全て過ぎ去ったことなんだ」アッシュは揶揄するように言う。
「ミクスタッドの次期女皇陛下は、ずいぶんと感情が豊かなお方だな。一介の貴族出身の者に諫められるとは…。彼女が皇位に就いたら、先が思いやられるな」クレティアは怒りの色を露わにする。
「よくも、ワタシを侮辱してくれたな!」ジョンアイデルは諫めるように言う。
「今の態度では、そう言われても仕方ない。それと、アッシュ、知っておいて欲しいんだけど、次期皇位の候補はクレティアだけじゃないんだ。フィリア様が俺を養子に迎えてくれたから、実は俺にも皇位継承権が生じたんだ」アッシュは嘲笑するように言う。
「ジョンアイデルがか。君は自分の役割をよく理解しているな。そこのお嬢様よりも、よほど皇位を継ぐ資格がある」クレティアはそっぽを向く。
「勝手に言っていればいいわ」ジョンアイデルは窘めるように言う。
「また感情的になって、相手に利用されるだけなのに。フィリア様からも、そこは直すようにと厳しく言われているのに」アッシュは本題に入る
「さて、話を変えよう。ジョンアイデル、君は実は穢れの対処のためにここに来たのだろう。喜んで協力させてもらおう」ジョンアイデルは頭を下げて言う。
「感謝します!六神将の一人にご協力いただけるとは心強い限りです」クレティアは不機嫌そうに言う。
「な、なによ、ジョン。ちょっと褒められたからっていい気になって」ステラは厳しい口調で言う。
「クレティア、そのような態度では移動船艦で待機してもらうしかありません。任務中に私情を挟んで問題を引き起こされたら責任を取れませんからダンテは念を押す。
「それに、今のクレティアは平常心を失っている」クレティアは怒りを堪えながら言う。
「好きにすればいいわ!私は一切関わらないから」クレティアは足早に移動戦艦へ引き返す。ジョンアイデルは釘を刺すように言う。
「関わらないって言うなら大人しく待機してろ!私情で動いて邪魔をするなよ!それと、周りの人やモノへの八つ当たりは絶対にやめてくれ!」クレティアは扉を荒々しく閉め、移動戦艦の中へ姿を消す。残されたジョンアイデル、ステラ、アッシュ、ダンテは、街の方角へ歩き始める。アッシュは注意を促す。
「オラクルの放置された実験聖堂に、怪しい二人組が忍び込むのを見た。奴らは、デュイオやヴァルガレと同じような不気味な気配を漂わせていた」ジョンアイデルは特徴を言い当てる。
「まさか、片方は太った虎の獣人だったりしないだろうな?」アッシュは驚いたように言う。
「よく分かったな。実は、片方は肥満気味の虎の獣人で、もう片方はネズミの耳を持つ魔道士風の男だった」ジョンアイデルは断言する。
「確実だ。奴らはキャヴ厶とグーラに違いない」会話を交わしながら歩いていると、いつの間にか目指す建物の前に辿り着く。一方、取り残された移動船艦内では、移動船艦の中では、クレティアが何人かの船員と共に所在なさげにしていた。クレティアは独り言のように言う。
「ワタシ、もう役立たずなのかな」
その刹那、空間が揺らぎ、現れたのはなんとルクスリアだった。ルクスリアは皮肉っぽく言う。
「ずいぶんと惨めな顔をしているわね」クレティアは険しい表情で言う。
「アスモディン!何をしに来たっていうのよ」ルクスリアは見透かすように言う。
「自分が役立たずだと思い込んでいるのか?表面しか見ないアンタは、いつまでたっても変われない哀れな存在だ」クレティアは怒りを滲ませながら言う。
「フン、勝手に劣等感で自滅して家出したアンタにだけは指図されたくないわ」ルクスリアは非難するように言う。
「アッシュの言葉に感情を支配されて、突っ込まれたら拗ねて逃げ出すの?それが本当のアンタなの?」クレティアは絶望したように言う。
「もう、すべて終わらせれば楽になれるのかな…」ルクスリアはクレティアの頬を一喝するように叩いた。ルクスリアは激昂して言う。
「情けない!あ〜あ~、情けないにも程がある!一言で自分を壊しに行くなんて、それじゃ、昔のアテチと寸分違わないじゃないか」クレティアは反発するように言う。
「ワタシは進んで望んだわけじゃない、次期女皇になるなんてこと」ルクスリアは失望したように言う。
「もはや次期女皇の資格なんて関係ないよ!継承権を無効にしても、今のアンタには存在価値を見出せない」クレティアは虚ろな目で言う。
「もういいの、すべて、どうでもいいの」ルクスリアは吐き捨てるように言う。
「今の君を見たら、ジョンは嘆き悲しむだろうね」クレティアは甲板に出て、九尾の狐のような尻尾が生え翼が生えたドラゴンと化する。クレティアは高く飛び去る。アスモディンは開いた口が塞がらない様子で、空間の亀裂に吸い込まれるように消えていく。そして遂に、ジョンアイデルたちは実験聖堂の内部に侵入する。その場所で彼らを待っていたのは、グーラとキャヴムだった。キャヴムは面倒くさそうに名乗る。
「あー、マジでやりたくねぇ。ボクはビショップのキャヴム、真名はアスタロト。引力の概念を操る能力と駆使を持ってる」グーラは満腹そうに名乗る。
「ワッチはルークのグーラ!真名はベルゼブト!循環の概念を操る力を持ってるんだ」アッシュは警戒しながら言う。
「概念を操る能力者か、手強そうだな」キャヴムは不気味な笑みを浮かべて言う。
「でも、穢れはもう十分満杯なんだよね〜。あらら、都合のいい人が来たみたいだな〜」キャヴムは空間を歪ませて黒い穴を作り出す。そこから竜化したクレティアが姿を現す。キャヴムは竜化したクレティアの頭に触れ、囁くように言う。
「さあ、彼らを滅ぼしてきて〜」竜化したクレティアは絶叫にも似た咆哮を放ち、その目は邪悪な光を帯びる。キャヴムは身軽な様子で言う。
「じゃあ、あとはヨロシクゥ〜!バイナラナライバ〜!」キャヴムとグーラは空間の亀裂を通って姿を消す。
「コラ、待て!」ジョンアイデルは後を追うが、竜化したクレティアが立ち塞がり、進めない。
「邪魔だ、どけ!」アッシュは炎を纏わせた剣で斬りかかるが、炎の力は通用せず、剣の攻撃もほとんど効果がない。ジョンアイデルは状況を把握しようとする。
「属性攻撃に対する耐性、それにドラゴン。まさか、正体はクレティアなのか。堕竜化した挙句に、操られているのか」クレティアは竜化した姿で言葉を紡ぐ。
「ワタシはもう…引き返せない…。ならば…全てを…滅ぼす…」ジョンアイデルは訴えかける。
「本当にそれでいいのか!君はもっと強い意志を持っていると思っていた!」クレティアはジョンアイデルの肩に激しく噛み付く。ジョンアイデルは激痛に耐え呻くが、クレティアの目からは止まらない涙が零れ落ちるジョンアイデルはクレティアの頭を優しく撫でながら語りかける。
「本当はどうでもいいなんて思ってないんだろ。自分の努力を認めてほしいだけなんだろ。全部を否定するわけじゃない。課題があるなら、一緒に乗り越えればいい。クレティア、全てを滅ぼしたいなんて、本当は望んでないんだろ?」クレティアの瞳は本来の輝きを取り戻し、竜の姿から人の姿へと戻っていく。ジョンアイデルはクレティアを見つめながら言う。
「俺はクレティアという人物を見ているんだ。次期女皇なんていう肩書きで見てるんじゃない!」クレティアは胸を打たれ涙が頬を伝う。クレティアは震える声で言う。
「アイデル、ワタシのことを…」アッシュは少し見直したように言う。
「フン、忙しいやつだな。だが、次期女皇として民を率いることはできそうだな」ジョンアイデルはクレティアに向かって言う。
「弱くてもいいんだ。これから強くなればいい。泣くほど悔しいなら、その気持ちをバネにすればいい」台座の上に鎮座する丸い魔科学兵器。アッシュは警戒しながら言う。
「この魔科学兵器は危険だ」アッシュは素早く剣を振るい、魔科学兵器を破壊する。しかし、地中深くでは静かに釘が打ち込まれた球体状の魔科学兵器が活動を開始する。その魔科学兵器は、他国の同種の兵器と共鳴し、不気味な連鎖を始めようとしていた。ジョンアイデルは事態を重く見て、SMOオラクル支部へと急行する。任務完了の報告を終えると、直ちに地下への調査隊と特別部隊の編成と派遣を進言する。ジョンアイデルは気分転換に言う。
「意外と早く任務が終わったな。この機会にオラクルの観光でも楽しんでいくか」アッシュは積極的に言う。
「ならば、俺が案内しよう。まずはセンターカテドラルだ。教皇様に謁見できるぞ」ジョンアイデルは興味津々に言う。
「教皇か。どんな方だろうな。ぜひお会いしてみたい」アッシュは先に歩き出しながら言う。
「いいだろう。ついて来い」ジョンアイデル、クレティア、アッシュの3人は、荘厳な雰囲気のセンターカテドラルの中へと進んでいく。3人の前に立っていたのは女教皇だった。
女教皇は歓迎するように微笑みながら言う。
「ようこそ、この聖域へ。アッシュ、ご苦労様。下がって結構です。私の名前はイオンと申します」女教皇の傍らに、黒い服を着た枢機卿が進み出る。
「私は枢機卿のモースと申します」ジョンアイデルは興味津々に尋ねる。
「なるほど、このお2人がトップなのですね。この国は一体どんな国なのでしょうか?」イオンは穏やかに語る。
「そうですね、勤勉を重んじる法国と言えるでしょう。カルデラの神を崇拝し、スケジュールに従って生活しています。平日は仕事や勉学に励み、子育て支援も手厚く行っています。必要であればホムンクルスも活用しています」ジョンアイデルは意を決して尋ねる。
「実は一番聞きたいことがあります。レプリカ計画、そしてそれに関わる実験について、オラクルの上層部であるあなた方はどのようにお考えですか?」モースは驚きを隠せない様子で言う。
「貴殿がそのような話をされるとは思ってもみませんでした」イオンは冷静な口調で言う。
「まさか、噂程度にしか聞いていなかったレプリカ計画が実際に行われていたとは。実は以前、私達も検討したのですが、倫理的な問題が山積し、上層部で協議した結果、中止せざるを得なかった計画です」ジョンアイデルは落ち着いた口調で言う。
「なるほど、やはり検討はされていたんですね。その結果、犠牲になった者もいたようです。そして、実は私もその計画の一環であるユナイト実験の被験者だったんです」イオンは驚愕の表情で言う。
「まさか、アッシュが片目を潰したと報告してきた半魔精霊の子供というのは、あなたのことだったのですか?」ジョンアイデルは答える。
「その通りです。私がそうです。聞いたところによると、上層部からの命令だったと聞いています」モースは断固として言う。
「私とイオン殿が、そのような命令を下したことは断じてありません!それは首席総長バンエルが、独断で発したものと見て間違いないでしょう。彼は魔族に対し、深く根強い恨みを抱いていますから」ジョンアイデルは疑問を抱きながら言う。
「それでは一つ納得できない点があります。魔族に強い恨みを抱いているのであれば、確実に殺害を指示するはずです。目を潰すという命令は、どうも腑に落ちません。バンエルを呼んでいただけますか。直接、本人に話を聞きたい」イオンは答える。
「承知いたしました。バンエル」次の瞬間、バンエルが姿を現した。
バンエルは現れ、静かに尋ねる。
「私に何かご用でしょうか」イオンは告げる。
「貴殿と話をしたい人物がいるのです」ジョンアイデルは言う。
「私だ。君がバンエルで間違いないな」バンエルは鋭い目つきで言う。
「貴殿は魔族の血を引く者。だが、私は今さら恨みを抱くつもりはない。私の両親を殺した魔族への復讐は終わっている」ジョンアイデルは知識を披露する。
「その魔族のことは少しばかり知っています。殺戮のパグロム、大罪の因子を持つ者と同等の力を持つ者ですね。そして、今話題のクリミナルデビルも大罪因子を持っているとか。ちなみに、殺戮と拒絶は行方が分からなくなっていると聞いています」バンエルは二つの小さな宝玉を取り出し、言う。
「殺戮と拒絶は、私が回収し、管理している。そして、貴殿の目をアッシュに潰させたのは、実は魔皇の眼を移植しやすくするためだったのだ」ジョンアイデルは納得したように言う。
「やはり、私の血筋を知っていてのことだったんですね」バンエルは説明する。
「マレブランケと呼ばれる12体の魔族の細胞や因子を元に作られた人工魔族の血を引いていることに着目した。まあ、レプリカ計画に利用されたのは、ジョースター家の独断と勘違いが原因だ」ジョンアイデルは納得しつつも疑問を口にする。
「なるほど。魔族への恨みが私の目を潰す理由ではなかったと分かって安心しました。しかし、疑問が残ります。なぜ魔皇の目を私に移植する必要があるのか、そして、その移植手術に必要な技術開発には、あなたたちオラクルも関与しているのでしょうか?」バンエルは説明する。
「君の親戚、神無月の技術力に我々は着目した。君には真祖の血を引く半吸血鬼の血筋があり、真祖の吸血鬼は精霊の一種とも言われている。さらに、半魔族の血も流れていた。これらの要素から、魔皇の目を埋め込むには、この肉体が最適格だと見込んだのだ。赤、青、魔の祖龍の血、そして源祖の祖龍の血を入手し、それらを新鮮な状態で保管した。その後の経緯は、君も承知だろう」ジョンアイデルは推測を裏付けるように言う。
「つまり、オラクルとジョースター家は繋がりがあったということですね。まあ、それについては今は深く追及しないことにします」バンエルは興味深そうに言う。
「君はサイボーグとして改造されているんですね。魔科学の技術を応用したサイボーグのようですが、改良は可能でしょう。そうですね、神聖魔科学の技術を導入すれば、更なるパワーアップが期待できるかもしれません」ジョンアイデルは確認するように言う。
「神聖魔科学、あまり公にはなっていない技術ですよね。ライブマテリアルからホーリーマターやゴッドマターを使ったものに換装するようなものですか」バンエルは解説を加える。
「神聖魔科学技術は、通常の魔科学がマナやオドを動力とするのに加え、エーテルの循環を利用することで、更なる力を引き出す技術です」ジョンアイデルは了承する。
「ぜひ、改良をお願いしたいです」ジョンアイデルは手術改造室へと案内**される。
手術台に横たわると同時に、強力な全身麻酔が投与される。
最新鋭の電動医療器具が起動し、エネルギー源であるコアが究極のゴッドコアへと交換される。記憶されたプログラムは万全を期してバックアップされる。魔導回路は神聖魔導回路へと進化し、小型コアが最適な場所に埋め込まれ、精密な導線が張り巡らされる。ジョンアイデルの体はゴッドマテリアルで作られた機械へと変貌する。ジョンアイデルが本来持つ瞬間修復能力が最大限に活かされ、手術で切開された部分は元通りに修復され、外部に出たコードやコネクターは正確に接続される。コネクトが完了し、安全にバックアップされたプログラムと最新型のプログラムがインストールされる。ジョンアイデルは手を握ったり開いたりして、新しい力を試す。
「おお、明らかに何か変わったぞ」ジョンアイデル、ステラ、ダンテ、クレティアを乗せた飛行船艦は、アルカシティへ向けて出発する。一方、クリミナル・デビルの本拠地に構えるリヴァイアサンの研究室では、常識を覆す研究が行われていた。栽培カプセルの中には、傲慢、虚飾、憤怒、強欲、色欲、嫉妬、暴食、怠惰、憂鬱という、人間の心を蝕む九つの大罪の因子が封じ込められていたのだ。リヴァイアサンは実験の完成を目前にして呟く。
「次は欺瞞、拒絶、暴力、殺戮の因子か。これさえあれば、魔皇の因子が誕生する」その時、扉が音を立てて開き、意外な人物が現れる。アッシュだった。リヴァイアサンは驚いた声で言う
「あら、あなたが来るとは驚きね」
アッシュは拒絶の因子と殺戮の因子を持ってリヴァイアサンの元へと歩み寄り、手渡す。アッシュは嘲笑するように言う。
「感謝するんだな。ジョンアイデルを強化するために開発した神聖魔科学の情報を流用してくれたお礼だ。残りの因子、欺瞞と暴力はジョースター家が持っているはず」炎が舞い上がり、アッシュは炎の中へと溶け込むように姿を消す。間髪入れずにテリオンが姿を現す。テリオンはためらうことなく欺瞞と暴力の因子をリヴァイアサンに手渡した。リヴァイアサンの手に渡った12の因子は互いに引き合い、共鳴しながら融合する。やがてそれはビー玉ほどの小さな輝く核となり、魔皇の因子として空間の彼方へと消え失せた。リヴァイアサンは確信を持って言う。
「心配ご無用。魔皇の因子は魔皇の眼を移植された者に導かれるように向かうの」場面は切り替わり、ジョンアイデルたちの視点へ。長い旅路の末、ジョンアイデルたちはついにアルカシティへ帰還する。
その瞬間、魔皇の因子がジョンアイデルの体に吸い込まれるように融合した。
「神聖と魔、二つの力が今、一つになった。残りは精霊の力だけか…」ジョンアイデルは内なる力の奔流を感じながら呟いた。




