エピック33【ボレアリスなど】
ジョンアイデル、クレティア、そしてノアは、それぞれの装備を手にSMOの飛行艦へ。艦内に入ると、無機質なモニターが目に飛び込んできた。そこには、彼らが目指すボレアリスへのルートが、青白い光を放って表示されていた。ジョンアイデルたちは、SMOの飛行艦内でボレアリスでの作戦会議を始めた。重々しい空気を破るように、ジョンアイデルが口を開いた。
「インヴィディア。彼女は魔竜とマーメイドのハーフだ。名前の通り、嫉妬を司る存在だ。」クレティアは腕を組み、鋭い眼光で言った。
「インヴィディアは概念体として捉えるべきね。擬態の概念能力を持っている可能性が高いわ。元々は能力模倣と出力調整が得意だったはずよ。」クレティアの分析を受けノアは現状の変化について指摘した。
「ところで、途中で艦船に飛行艦が収納されるようになるよ。前のように空中からの奇襲は不可能だろうしね。」ジョンアイデルは腕を組み、落ち着いた口調で言った。
「ああ、その点は問題ない。最初から空中ルートに絞って作戦を立てているわけじゃないからな。」やがて、SMOの飛行艦は、遥か彼方に見えていた戦艦へと近づき、ゆっくりと着艦態勢に入る。波の音、風の音、そして機械音が混ざり合い、独特の緊張感を醸し出す。戦艦に乗り込んだジョンアイデルたちは、無機質な通路を進み、作戦司令室へと向かう。ボレアリスはもうすぐそこだ。長い航海を終え、戦艦はボレアリスの港に到着した。ジョンアイデルたちの冒険は、ここから本格的に始まる。ボレアリス。南アメリカに位置し、アステカの東側に存在するこの国が、物語の舞台となる。ジョンアイデルは周囲を警戒しながら言った。
「すんなりと上がれたな、妨害はなしか。」ノアは好奇心を抑えきれない様子で言った。
「任務も大事だけど、ボレアリスってどんなところなんだろう?少しくらい見て回りたいなぁ。」クレティアはジョンアイデルと視線を交わし、それからノアに向かって言った。
「ノアさんがそんなことをおっしゃるなんて、本当に珍しい。私の中のノアさんは、任務に関しては一切の妥協を許さない、まさに『堅物』というイメージでしたから。」ジョンアイデルはクレティアを嗜めるように言った。
「クレティア、少し言い過ぎだぞ。誰だって意外な一面くらいあるさ。」ジョンアイデルたちはボレアリスの街を注意深く探索していた。すると、蛇、サーバルキャット、モグラ、蜻蛉の絵が描かれた、異様な雰囲気の神殿のような建物が目に飛び込んできた。神殿のような建物の前には、異様な雰囲気を漂わせる、蛇のような尻尾を持つサーバルキャットの獣人が待ち構えていた。
ジョンアイデルは獣人を見据え、確信を込めて言った。
「 アイツ、リヴァイアサンの配下だな」獣人:タツウェルは不敵な笑みを浮かべ、自己紹介を始めた。
「待っていたよ。アタイはタツウェル。インヴィディア様に心を捧げた者さ。」クレティアはタツウェルを無視するように言った。
「インヴィディアはどこ?あなたに用はないわ。」ノアはクレティアの言葉に重ねるように言った。
「邪魔するなら、覚悟しなさい。」タツウェルは小馬鹿にするように笑った。
「はい分かりましたと言って退くと思うかしら?頭パープリンかしら。」タツウェルが油断した一瞬を見逃さず、ジョンアイデルは渾身の力を込めた拳をタツウェルの腹部に叩き込んだ。タツウェルは苦悶の表情を浮かべ、体を丸めた。タツウェルは身構える間もなくジョンアイデルの拳を受け、激痛と衝撃のあまり意識を手放し、その場に気絶した。ジョンアイデルはタツウェルに向かって皮肉っぽく言った。
「最初から戦う気なんてなかったのに。無駄なことするから痛い目に遭うんだ」ジョンアイデルは扉を開けると、警戒しながらも躊躇なく神殿の中へと入って行った。ノアとクレティアもジョンアイデルに続き、神殿の中へと足を踏み入れた。神殿の中で、彼らは新たな脅威に直面する。革ジャンを身につけ、トンボの羽を背に生やした獣人が、挑戦するかのように一行を見据えていた。革ジャンを着たトンボの羽を持つ獣人、トッポは高らかに名乗った。
「モグドララ!我が名はトッポ。」ジョンアイデルは少し呆れた様子で言った。
「二体目の配下か。」トッポは興奮した様子で言った。
「そうだ、ホンカンはインヴィディアことビューネ様の幼馴染にして配下である。」ジョンアイデルはトッポの友情に対する考え方を否定した。
「友達ってのは都合のいい存在じゃない!間違ったことをしたら本気で怒ってくれるのが友達だ!」トッポは熱を帯びた声で言った。
「友達って言うよりもっと深い関係だ!ホンカンとビューネ様は夫婦みたいにお互いを大切に思ってるんだよ!」ジョンアイデルはトッポの考え方を一蹴した。
「何を言ってるんだ!大切な相手なら道を誤らせないようにするのが本当の愛情だ!」トッポは会話を拒否するように言った。
「もういい!話しても無駄だ!」そう言うと、トッポは両手にカタールを装着し、空中を飛びながら突撃してきた。ジョンアイデルは体勢を低くし、トッポの攻撃を回避した。次の瞬間には、トッポの背中に強烈なドロップキックを叩き込んでいた。ジョンアイデルの渾身のドロップキックが炸裂し、トッポの体は大きく揺らいだ。背中に走る衝撃に、トッポは思わず攻撃を止めてしまった。背中の衝撃を押さえつけながら、トッポは立ち上がった。
「覚悟しろよ!」トッポの体から、金属質のパーツが次々と出現する。
「まさか、サイボーグだったとは」ジョンアイデルは目を丸くして言った。トッポは機械化した体を駆使し、新たな攻撃を仕掛けた。
「これでも食らえ!」頭に生えたアンテナから、稲妻のような電撃ビームがジョンアイデルに向かって放たれた。電光石火の速さで、トッポの電撃ビームがジョンアイデルに迫る。
その刹那、クレティアが間に飛び込み、自らの身を盾にして電撃ビームを防いだ。電撃ビームがクレティアの身を包んだ。しかし、煙が晴れると、彼女は無傷で立っていた。ジョンアイデルはクレティアの無事を確かめるように言った。
「クレティア、大丈夫なのか?」クレティアは平然とした様子で答えた。
「平気だよ!ワタシの全属適応の力で守られたからね」勝利を掴むため、トッポは全てを賭けて攻撃を仕掛けた。目にも止まらぬ速さで近づき、体を激しく回転させながらカタールをジョンアイデルの心臓に向けて突き込んだ。トッポの執念が実り、カタールがジョンアイデルの心臓を貫いた。
「グハッ!」トッポは勝利を宣言した。
「勝った!心臓を破壊した!」ジョンアイデルは動かなくなり、地面に横たわった。トッポが勝利を宣言した直後、ジョンアイデルの表情が変わった。苦痛に歪んでいた顔は穏やかになり、微笑みを湛えていた。ジョンアイデルは突然、笑い出した。
「ワーハッハッハッハー!なんだ、何も知らないんだな!お前、俺は死ぬことはない!」ジョンアイデルの言葉に、トッポは理解が及ばなかった。
「どういうことだ?本官のカタールは不死身の相手にも効果がある筈なのに!」トッポの無知を見抜き、クレティアが優しく教えてあげた。
「あらあら、知らなかったの?そういう武器は下級の不死身者にしか効かないのよ。ジョンアイデルはレベルが違うから、全然効かないわ!ジョンアイデルはある意味神が作り存在と言ってもいいほど」クレティアの言葉に、トッポは目を丸くした。
「それって伝説級や神大級ってことじゃないか、なのに、神格者になるか?どんだけ高みを目指す気だ」トッポの反応を気にせず、ジョンアイデルは夢を語り始めた。
「俺は願っている!いつか全ての種族が笑顔で暮らせる世界が来るって!差別や偏見を完全になくすのは大変かもしれない。だけど、理解し合える仲間と一緒なら、きっとできる!」ジョンアイデルの演説に釘付けになっていたトッポは、背後からの気配に気づかなかった。突如、心臓を貫かれ、絶望の表情を浮かべながら倒れた。そこに立っていたのは、インヴィディアだった。インヴィディアは軽蔑するような口調で言った。
「あーあ、使えねえ!全てお膳立てしてやったのに、何もできやしない!もうポイだわ!」インヴィディアは容赦なく尾びれを振るい、トッポの死体を蹴り飛ばした。トッポの死体は壁や天井、そして、床に激突し、無残な形へと変貌した。インヴィディアの行為に、ジョンアイデルは怒りを抑えきれなかった。
「許せない!お前はトッポと昔からの友達だったはず!幼馴染であり愛人のはずなのに、どうしてこんな酷いことができるんだ!」ジョンアイデルの叫びに対して、インヴィディアは嘲るように言った。
「あら、残念だったわね。幼馴染だろうと、元愛人だろうと、役立たずならゴミと同じよ」インヴィディアの言葉に、ジョンアイデルは怒りと軽蔑の眼差しを向けた。
「信じられない!お前は正に邪悪の化身の一つだ!吐き気がするほど不快だ!ゲロ以下の臭いがぷんぷんするぜ!」ジョンアイデルの言葉を一笑に付し、インヴィディアは挑発的な視線を送った。
「ふふふふふふ、そんなに怒っても無駄よ。アーシは君のこと、どうしても手に入れたいの。君の力はアーシにとって宝物だわ。ジョンアイデル、アーシのものになる覚悟はできた?」インヴィディアの言葉に対して、クレティアは断固とした決意を込めて言った。
「黙って!ジョンはワタシたちの仲間よ!お前に渡すわけにはいかないわよ!」クレティアの言葉を一笑に付し、インヴィディアは挑発的な言葉を続けた。
「そうだといいわね。でも、アーシは諦めないわ。アーシの擬態能力は、君の想像を超えているの。ジョンアイデル、覚悟はいいかしら?」そう言いながら、インヴィディアの目は妖しく輝きを増し、ジョンアイデルを妖艶に見めた。インヴィディアの視線がジョンアイデルを捉えた瞬間、彼の心臓は早鐘のように打ち始め、体は微かに火照った。インヴィディア、すなわちビューネは、ジョンアイデルに甘い声で語りかけた。
「さあジョンアイデル、アナタはアーシのものになるの。拒否権はないわ」
「分かった」そう言うと、ジョンアイデルは抵抗することなくビューネに身を委ねた。ジョンアイデルがビューネに抱きつく姿を見たクレティアは、愕然として声を上げた。
「そんな、嘘でしょ?ジョン…?」クレティアの悲しみを押さえ、ノアは分析した結果を伝えた。
「落ち着いて!クレティア、ジョンアイデルは完全に魅了されたわけじゃない。彼の意識はまだ残っているわ」ビューネはジョンアイデルを意のままに操り、敵を攻撃させようとした。
「ジョンアイデル、あの邪魔者どもを痛めつけなさい」ジョンアイデルは意識が朦朧とする中、命令に従わざるを得なかった。
「…りょーかい!」そう言うと、ジョンアイデルは機械的な動作でクレティアとノアに向けてマシンガンを撃ち込んだ。ジョンアイデルの攻撃は回避を許さず、クレティアとノアは無残にも撃ち抜かれてしまった。痛みに耐えながら、クレティアは必死に言った。
「駄目…、逃げられない…、回避不能の力が働いている…」クレティアの苦しむ姿を見て、ビューネは高笑いを上げた。
「ドゥヘヘヘヘ〜、いい気味、いい気味、どんなに仲が良かった相手でもアーシの虜になったら忽ち敵味方逆になるんだから〜、さあ、ジョン!もっとやっておしまい!」ビューネに操られたジョンアイデルは、機械的に硬い木の実を生成し、クレティアとノアに容赦なく投げつけた。その木の実は、無慈悲にも二人を襲い、的確に命中した。ビューネは勝利を目前にし、喜びに震えた。
「さあ、決めなさい!」ジョンアイデルは命じられるがまま、ノアとクレティアに向けて最後の攻撃を行うべく掌を2人に向けてエネルギーを収束させた。しかし、寸前でジョンアイデルは計画を進めるために、ビューネに掌を向けなおし最大出力でエネルギーを放った。予想外の反撃に、ビューネは混乱した。
「どうして…」同時に、ジョンアイデルの放った光がビューネを焼き尽くした。肩の力を抜き、ジョンアイデルは作戦を明かした。
「ヤバかった…、完全な精神操作だったら打つ手無しだったけど、魔眼の類だったから何とか耐えられたんだよな。最後に奴が調子に乗ると思って賭けたんだ」ジョンアイデルの活躍に安堵しつつも、クレティアは少し呆れた様子で言った。
「しかし、やり過ぎじゃん、回避不能付与とかは」ジョンアイデルの体質について、ノアは納得した様子で頷いた。
「なるほど、ジョンアイデルは状態異常に強いから、魅了されても完全に操られなかったんだね」ビューネは悔しさに顔を歪めながら立ち上がり、自らの力が破られたことを認めようとしなかった。
「ありえない…私の力が通用しないなんて…」ジョンアイデルは静かに言った。
「ビューネ、力は目的のためにあるんじゃない。人を守るためにあるんだ」ジョンアイデルの言葉を聞き、ビューネは感情を爆発させた。
「嫉妬は誰しも持つ!アーシは見下されるのが嫌いなんだよ!混血というだけで見下すこんな世界、壊れてしまえばいい!そして、新しい統治者が…」その時、突然シズズが現れた。
「喋りすぎだ!お前、そんなことを言うと…」シズズの言葉を拒絶し、ビューネは決意を語った。
「邪魔をしないでください!シズズ様、世界のことなどどうでもいいんです!だから、この計画を完遂させるんです!」ビューネの暴走を止められず、シズズは諦め顔で言った。
「もういい、黙って来い。貴様の軽率な言動で組織が崩壊する」シズズは強引にビューネを引きずり、姿を消した。ジョンアイデルは見事に球体の魔化学兵器を破壊したが、安堵する間もなかった。地下では更なる魔化学兵器が起動し、静寂を破って不気味な音を響かせていた。アルカシティへ帰還するため、ジョンアイデルたちは手を止め、ボレアリスのSMO支部に報告を行った。任務が無事に終了したことを伝え、地下の魔化学兵器の調査を行う特別チームの編成を依頼し、ジョンアイデルたちはアルカシティへと旅立った。場面は変わり、クリミナルデビルの地下深くに位置する牢獄へ。そこは希望も光も届かない、絶望の淵だった。シズズはビューネを無情にも牢屋へ送り込んだ。ビューネは驚いた
「一体何のつもりですか?」シズズは厳格な表情をした
「これはスペルヴィア様の絶対命令だ。貴様の愚かな発言は、スペルヴィア様の崇高な目的を脅かす危険な行為だと断定された」ビューネは納得せずに食い下がった。
「アーシの言ったことの何が悪いんですか?」シズズは冷徹な声で答えた。
「世界がどうなろうとどうでもいいという発言は、スペルヴィア様の最終目的を暗示するようなものだ。お前のようなバカモノでも、そんなことを軽々しく口にすればどうなるか分かるだろう」シズズの言葉を噛み締め、ビューネは後悔の念に駆られた。
「そうか、そんなことを口走ってしまったせいで…、メンバーの間に深い溝ができてしまうかもしれない…」その時、物陰から一部始終を聞いていたアヴァリティア、すなわちマモーンが小声で呟いた。
「なんやってスペルヴィア様が世界を滅ぼす?滅ぼして何する気や?まさかと思うが作り直すとか言うやないか」マモーンは半信半疑のまま、リヴァイアサンたちのいる研究所へ急いだ。
「姐さん、とんでもない話を聞いてしもたんや。スペルヴィア様の真の目的やけど…、なんと世界を無に帰し、自分が君臨する新たな世界を創造することらしいんや」リヴァイアサンは特に驚くこともなく答えた。
「なんとなく、そんな感じはしてたわ。確信はなかったけど、案の定、本当だったのね」マモーンは念のため尋ねた。
「ルクはんにはもう伝えてあるんですか?」リヴァイアサンはそっけなく答えた。
「バカねぇー、不確かな情報を伝えて何になるの。それに、伝えたところで彼女の行動が変わるわけないでしょ」マモーンは納得したようだった。
「なるほどですね。でも、ルクはんは感づいている可能性もあるんじゃないですか?」リヴァイアサンは答えた。
「可能性は十分にあるわね。彼女は意外と賢いから」マモーンは疑問を隠せない様子だった。
「もし、仮に気づいているならどうして、このハルマゲドン計画に手を貸しているんだ?それと、姐さんは気づいているんでしょう、魔科学兵器のルーツとなったものに」リヴァイアサンはあっさりと答えた。
「メギドの遺物のことでしょう」マモーンは納得した様子で言った。
「やはり気づいてたんですね。メギドには様々な遺物がまだぎょうさんありますからな。姐はんやジョンはんには興味を持つものでっせ」リヴァイアサンは妖しい笑みを浮かべた
「アタシの考え、わかるかしら」マモーンは笑みを深めながら答えた。
「分かりやした。メギドの遺物をすべて一つ残らずぶんどってこいことちゅうことですね」リヴァイアサンは満足そうに頷いた。
「さすが情報を持ってきただけあって理解が早いわね。メギドの遺産の研究は誰にも邪魔させない秘密のものにするわ」場面は変わってメギド。そこに現着したのはマモーンだった
マモーンは意気揚々と言った。
「メギドの遺産は全部持って帰るで!そして、姐さんの研究と開発をもっともっと発展させるんや!」マモーンは一切の迷いなく、メギドに散らばっている宝石、機械、装置を手に取ると、次々にインベントリーに吸い込ませていった。マモーンは探索を続け、メギドの図書館のような建物を発見した。
「文献も回収しておくに限るなー。姐さんは考古学にも造詣が深いさかいな」マモーンはメギドの書物をすべてインベントリーに吸い込ませた。マモーンはメギドで見つけた文献、物資、装置などの残骸をすべて回収し、リヴァイアサンが待つ研究室へと帰ってきた
リヴァイアサンは笑顔で労った。
「ご苦労さま、マモーン。さすがだね、きみは頼りになるわ」マモーンは疑問を口にした。
「それで、研究はどこでやるんですか?さすがにここでやるのは無理だと思いますが」 リヴァイアサンはいたずらっぽく笑った。
「メギドの遺産の研究はアタシだけのものじゃないわ。そうね、あの人にも声をかけてみましょう、あの人にさせてみましょう」場面は変わってジョンアイデル。彼は日課の研究に没頭していた。場所は彼の聖域とも言える研究スペース。
「魔科学や精霊学の研究に励んでいるのだが、どうも打開策が見つからない」空間が揺らぎ、リヴァイアサンが姿を見せた。
「ここが君の研究施設なのね。なるほど。貴族で、君主育成プログラムに参加している君がいるだけあって、凄いわね」ジョンアイデルは警戒しながら言った。
「なんだ、リヴァイアサン、一体、何の用だ?」リヴァイアサンは微笑んだ。
「研究も実験も上手くいっていないのでしょう?君に解明してもらいたい謎があってね。マモーン、おいで」空間に歪みが生じ、マモーンが現れた。
「なるほど、ジョンさんを頼るとは考えやしたね。確かにそれなら誰にも気づかれへんか」ジョンアイデルは焦れた様子で言った。
「そんな遠回しな言い方は結構だ。何が言いたいのか教えてくれ」リヴァイアサンは言った。
「ところでメギドの遺物に興味はないかしら?」マモーンはインベントリーからメギドの遺産を惜しげもなく取り出した。ジョンアイデルは食い入るように見つめながら言った。
「なるほど、これはなかなか見られない逸品だ!研究、実験、開発の糧になりそうだ」リヴァイアサンは条件を提示した。
「君には解明、再現、開発をお願いするわ。表向きの発表は私が行う。手柄は君が独占して構わない。解明したデータだけ共有してほしいの」ジョンアイデルは言った。
「そういうことか。いいだろう」リヴァイアサンは喜色満面に言った。
「話が纏まってよかったわ。君なら分かってくれると思ったの。アタシも動くわ。あ、これ、連絡先ね」リヴァイアサンはマージフォンの情報を伝えた。ジョンアイデルは慣れた手付きで自分のマージフォンに登録した。リヴァイアサンとマモーンは空間の歪みに消えていった。ジョンアイデルは間髪入れずにメギドの遺物の解析作業に入った。解析結果は逐一コンピューターに入力される。ジョンアイデルは興奮気味に言った。
「聖書の遺物を本格的に分析したらこんな発見があるなんてな」その後クレティアがジョンアイデルの研究施設を訪れた。クレティアは淡々と言った。
「聖書伝説の遺物、確かに持ってきた。ココに置いておけばいいのかしら」クレティアは転送台に聖書伝説の遺物を置く。すると、研究室に転送される。ジョンアイデルは転送されてきた遺物を確認した。
「これで研究がさらに進展する」ジョンアイデルはさらに研究をする。データはコンピューターに自動的に記録される。そして、場面は変わってカナンの地へ。ルーツドランは分析した。
「クリミナルデビルは、世界を破壊し再構築しようとしているのか。いや、正確に言えば、魔獄界と物界の壁を破壊し、両界域を滅ぼした上で新たな世界を創造しようとしているのか…。そんな力を持つのは神のみ。スペルヴィアの正体は、おそらく魔神だ」リリスは問い掛けた。
「スペルヴィアの正体を、ジョンアイデルたちに伝えるおつもりですか?」ルーツドランは答えた。
「うむ、情報は渡しておくべきじゃな」リリスは言った。
「アテチが伝えておきますよ。スペルヴィアが魔神と亜人間とのハーフと思われるとですね」ルーツドランは言った。
「そのように伝えるのだ。ただし、状況を掻き乱すような真似は絶対にするでないぞ」リリスは言った。
「アテチの使い魔に任せましょう。夢蝙蝠を使って情報を伝えます」ルーツドランは頷いた。リリスは適当な夢蝙蝠を選び、空に解き放った。場面は切り替わる。ジョンアイデルは、相変わらず聖書の遺物について研究を重ねている。研究室のモニターの傍に、夢蝙蝠が舞い降りる。ジョンアイデルは呟いた。
「リリスさんの使い魔か。何か用があるのだろうか」夢蝙蝠からリリスの声が流れてくる。
「スペルヴィアの種族は、魔神と亜人間のハーフだと推測されます。界域の破壊と創成は神の力ですが、差別されている種族であることも加味しました」ジョンアイデルは低い声で言った。
「私も同じ推測だ。スペルヴィアは魔神と亜人間のハーフ。そして、その亜人間の血には、半魚蟲人とキマイラの半獣の血が混入しているのだろう」




