エピック32【メルトリア】
クリミナルデビルの総帥、スペルヴィアは、玉座の間で幹部たちに告げたその言葉は、絶対だった。
「アヴァリティア、メルトリアへ。インヴィディア、ボレアレスへ。キャヴムとグーラはオラクルへ。アケディアとイリテュムはレムリアナ大陸へ。イーラはエカトリアへ、ルクスリアはミクスタッド国へ」各幹部に与えられたのは、それぞれの罪を増幅させる任務。スペルヴィアは、組織を悪の権化へと変えるため、冷酷な計画を実行しようとしていた。SMO総本部の通信回線がパンク寸前だった。各地からの緊急報告が殺到し、受信担当者が悲鳴に近い声を上げる
「緊急速報!メルトリア、ボレアレス、オラクル、レムリアナ大陸、エカトリア、ミクスタッド国、六箇所全てで異常な穢れ、カラミティーレベルの反応!レベルはかなり危険域を突破しています!それと下級から中級クラスの穢れも周辺国家に発生!」世界各地の主要拠点が一斉に穢れに侵食されようとしていた。これは、クリミナルデビルによる周到に計画された総攻撃の始まりなのか。SMOは、かつてない試練に直面していた。アルカシティのSMO副本部、その厳重に警備されたミーティングルームに、ジョンアイデル、クレティア、そしてワルプルギスの全メンバーが集められた。部屋の中には、尋常ではない緊張感が漂っていた。メンバーたちは互いに顔を見合わせ、無言で頷き合った。ジョンアイデルは深呼吸をし、心を落ち着かせた。ワルプルギスのメンバーたちも、それぞれの武器を手に取り、出撃の準備を整えていた。彼らは、世界の希望だった。ヤンロエルの言葉は、簡潔でありながら重みがあった。クリミナルデビルという宿敵の名が告げられた瞬間、部屋の空気は張り詰めた。
「調査の結果、各地の異常反応は全てクリミナルデビルの関与によるものと判明した。彼らは世界規模で同時に行動を開始したようだ」ヤンロエルはメンバーたちに視線を向け、力強く言った。ワルプルギスは、世界を守るための最後の希望だ。彼らは、クリミナルデビルの野望を打ち砕き、世界に平和を取り戻さなければならない。ヤンロエルの説明が終わるや否や、ジョンアイデルは即座に反応した。その目には強い決意が宿り迷いは一切感じられない。
「クリミナルデビルですか。ならば、私にお任せるのである。奴らのことは熟知しているのである!」ジョンアイデルの言葉は、自信と覚悟に満ちていた。彼はこれまで数々のクリミナルデビルの事件を解決しており、その手腕はチームの誰もが信頼していた。彼こそが、クリミナルデビルを倒せる唯一の存在だった。ジョンアイデルの言葉に、ヤンロエルは満足げに頷いた。しかし、彼の言葉はまだ続いた
「クリミナルデビルの案件は、ジョンアイデルさんとクレティアさんが中心となることは既定の事実だ。だが、今回はもう一人、必要となるだろう」
その瞬間、控えめにルミカが手を挙げた。その声は、静かながらも確固たる意志を感じさせた。
「このワタクシに、その役割をお任せいただけませんか」ルミカの申し出を聞き、ヤンロエルは満足げに頷いた。彼女の存在は、チームにとって大きな力となるだろう。
「よし、決まりだ。ルミカ、君も一緒に行くぞ」ヤンロエルの言葉に、ルミカは微笑んだ。ジョンアイデルとクレティアもルミカの参加を歓迎していた。彼らは互いを信頼し、支え合う、最強の仲間だった。ヤンロエルの言葉を胸に、ジョンアイデル、クレティア、ルミカは、SMOの専用移動空中艦へと急いだ。この空中艦は、彼らを各地へ迅速に送り届けるための、特別な移動手段だった。空中艦は、音もなく滑り出すと、ゆっくりと空へと上昇していった。3人は窓からアルカシティの街並みを見下ろし、それぞれの決意を新たにした。クリミナルデビルとの戦いは、すぐそこまで迫っていた。腕を組んだジョンアイデルは、宣言するように言った。
「よし、まずはメルトリアに向かうのである!」チームを鼓舞する、力強い言い方だった。メルトリアの上空が見えてきた頃、突然、空中艦のレーダーが敵の接近を告げた。
「警告!メルトリア方面より、未確認機接近!」モニターには、クリミナルデビルのマークを付けた、複数の戦闘機が映し出されていた。彼らは待ち伏せていたのだ。敵機の姿を捉え、ジョンアイデルは不敵な笑みを浮かべた。
「面白い!ならば、こっちも相手になってやるのである!」ジョンアイデルが言うと同時に、ルミカはモニター前のキーボードを叩いた。すると、空中艦から特殊な追尾弾が発射され、敵機の動きを封じ込めた。空中艦の攻撃が敵を壊滅させた直後、異様な存在感が戦場を支配した。背に烏の翼を生やし、口に烏の嘴を持つ、異形の戦士。
彼は、傲慢な態度で宣言した。
「跪け!我は、準幹部、アヴァリティア様の先兵、コーヴァスと名乗るものである!」コーヴァスの威圧的な存在を感じ取ったジョンアイデルは一瞬の躊躇もなく飛行艦のハッチへと歩み寄った。そして、背後の二人に向かって、力強く言い放った。
「先へ行け!メルトリアへ急ぐのである!こいつは俺が引き受けるのである!」彼はまるで当然のことのように、単身で敵に立ち向かうべく、艦外へと踏み出して翼を広げて飛行をする。ジョンアイデルがコーヴァスの前に立ちはだかると、その異形の準幹部は、不敵な笑みを浮かべ、耳障りな声で言っ。
「カァーカァー、ふむ、お前が俺を止めるというのかぁ~?」コーヴァスの嘲笑を一蹴するかのように、ジョンアイデルは力強く宣言した。
「悪いことをするのは、やめるのである!」ジョンアイデルの叫びを無視し、コーヴァスは不気味な笑みを浮かべながら羽を放った。ジョンアイデルは、コーヴァスの攻撃を受けながらも、冷静に状況を見極める「その程度の攻撃、俺には通用しないのである!」掌を前に向け、集中力を高めると、目に見えない力場が発生し、飛んでくる羽を防ぎ、消滅させた。コーヴァスの攻撃を凌いだジョンアイデルは、反撃に転じる。素早いステップでコーヴァスの懐に潜り込み、両腕を掴んで捻り上げた。見事なチキンウィングだ。ジョンアイデルのチキンウィングが決まり、コーヴァスは身を捩りながら絶叫した。
「カァ~~〜!」苦しさの中、コーヴァスはジョンアイデルに向かって叫んだ。
「このままでは済まないぞ!貴様も道連れだ!」コーヴァスの言葉に耳を貸すことなく、ジョンアイデルは地上が視界に入ったその瞬間、渾身の力を込めてコーヴァスを地面へと叩き落とした。土煙が舞い上がり、その衝撃の凄まじさを物語っていた。ジョンアイデルによって地面に叩きつけられたコーヴァスは、その衝撃で気絶した。ジョンアイデルは、任務の優先順位を再確認するかのように、力強く言った。
「よし、急いで彼女たちと合流するのである!」ジョンアイデルは、一目散に駆け出し、やがて、見慣れた飛行艦の姿を捉えた。艦の傍らには、心配そうな表情を浮かべたクレティアとルミカが立っていた。ジョンアイデルは、二人の姿を見ると、安堵の笑みを浮かべた。ジョンアイデル、クレティア、ルミカの三人は、目の前に広がるメルトリアの光景に息を呑んだ。金や銀色に輝く建物が立ち並び、その美しさは息を呑むほどだった。しかし、ジョンアイデルは、その美しさに浸ることなく、表情を引き締めた。
「ここに待ち構えるは、アヴァリティアだな。」ジョンアイデルがアヴァリティアの名を口にした瞬間、メルトリアの街は突如として暗闇に包まれた。濃密な黒いモヤが視界を遮り、そこかしこに、底なしの闇を湛えるブラックホールのような空間の裂け目が無数に開いていった。黒いモヤが立ち込め、空間が歪むメルトリアの街で、ジョンアイデルたちは信じられない光景を目の当たりにした。空間の裂け目から現れたのは、ヴァルガレ、ボレロンド、ウシグルマテビラー……過去の戦いで消滅させたはずの敵たちの再現体だった。彼らの出現は、新たな戦いの幕開けを告げていた。空間の裂け目から完全に姿を現した再現ウシグルマデビラーは、機械的な口調で叫んだ。
「我が名はウシグルマデビラー、お前らを排除、排除!」続いて、再現ボレロンドも、無機質な声で言った。
「お前ら排除!」最後に、再現ヴァルガレも、命令を復唱するかのように言った。
「排除命令、遂行する!」それを聞いたジョンアイデルは、冷静に分析した。
「精神までは再現されてないのである、ボディとアビリティの再現体であるな。」ジョンアイデルは、深呼吸をし、精神を統一させた。そして、手のひらから、強烈なエネルギーを放出し、それを槍の形に形成した。ジョンアイデルは、その槍を、再現体の弱点である胸の中心に向けて投げ放った。槍は的確に命中し、再現体は爆散した。ジョンアイデルは、槍を投げ、再現体を一瞬で消滅させた。そして、次の瞬間、目の前に現れたのは、巨大な建物だった。その建物は倉庫のような無機質さと、宮殿のような豪華さを併せ持っていた。ジョンアイデルは、建物の様子を見て、すぐにあることに気付いた。
「ふむ、この建物は、普段から使われているわけではなさそうである。」ジョンアイデルが扉に触れた瞬間、隠されていた回路が活性化し、扉がゆっくりと開き始めた。扉の開閉に合わせて、内部から機械的な音が響き、ジョンアイデルたちを中へと招き入れた。扉が開いた瞬間、ジョンアイデルは強い気配を感じ取った。
「間違いない、アヴァリティアの気配だ。」同時に、ルミカも自身の能力に異変が生じていることを察知した
「ワタクシの能力、何か変わりそうな気がする。今はただの秤だけど、もっと凄い力に……。」ルミカの体から突如として光が放たれた。その光は緑、ライトグレー、白の三色に分かれ、光の玉となってルミカの周囲を漂った後、彼女の体の中へと溶け込んでいった。光の玉がルミカの体に吸収され、彼女の内側から新しい力が湧き上がってきた。
「これが、ワタクシの本当の力……調和。今までの秤は、その力の一部に過ぎなかったのね。」ルミカの新たな力を確かめつつ、ジョンアイデルたちは足を進めた。建物の奥深く、人気のない場所で、ついにアヴァリティアが立ち塞がった。ジョンアイデルたちの姿を捉えたアヴァリティアは、冷たい視線を向けながら言った。
「遅いで。ワイの名前はアヴァリティアや。スペードの称号を持つ者や」アヴァリティアの言葉を受け、ジョンアイデルは静かに言った。
「アヴァリティア、俺はお前と本当は敵対したくない。本当は、お前も分かってるはずだ。俺たちは、和解できる」ジョンアイデルの言葉に、アヴァリティアは一瞬、迷いを見せたが、すぐに気を取り直し、決然とした表情で言った。
「あんさんらの言うことも、分かる気がするんやで。でも、ワイには、スペルヴィアはんと、リヴァイアサンの姉さんに、恩を返さなあかんのや、使命があるんや。」アヴァリティアの過去に興味を持ったルミカは、率直に質問した。
「アヴァリティア、その名前は、本当に君の名前なの?それとも、後から付けられたもの?」ルミカの言葉に、アヴァリティアは少し驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔に変わった
「ほんまに、よく分かったな。そこのお嬢さんは、相当な腕利きや。せやで、アヴァリティアはコードネーム。ワイの本当の名前は、マモーンって言うんや。」アヴァリティアの言葉を聞き、ジョンアイデルは静かに言った
「マモーン、本名を明かすとは、本気で戦うつもりか。」アヴァリティアは自らの名前を名乗り、戦闘開始を宣言した。
「ワイは、スペードのアヴァリティアことマモーン。さあ、かかってきいや!」アヴァリティアは、黒いモヤを周囲に展開した。すると、周囲の物体が引き寄せられ、彼の手に集まってきた。アヴァリティアは、それらを掴み、ジョンアイデルたちに向かって投げ放った。
「うわっ、おおっと、危ねえ!」ジョンアイデルは叫びながら避け、クレティアやルミカも続いて避けた。アヴァリティアの攻撃を辛うじて避けたジョンアイデルは、彼の能力の本質を見抜こうとした。
「概念系能力か、差し詰め、混沌ってところか。」ジョンアイデルの言葉を受け、アヴァリティアは自らの能力を肯定した。
「お兄ちゃん、その通りや。ワイの混沌は、全てを無に帰す力なんや。」アヴァリティアの言葉を聞き、ルミカは自らの能力の意味を再認識し、決意を固めた。
「そうか、そういうことなら合点はいくわね、ワタクシの能力が変化したのは混沌を止めるため。ワタクシには、その使命が与えられたのね、必ず、止めてみせるわ。」アヴァリティアは、ルミカの言葉に動じることなく、混沌の力を全開にした。しかし、ルミカが穏やかな表情で掌を前に構えると、アヴァリティアの力はまるで何かに封じ込められたかのように縮小した。ルミカの力を感じ、アヴァリティアは戸惑いを隠せない。
「この嬢ちゃんの力、一体なんなのや?ワイの混沌が、まるで通用せえへん……。」アヴァリティアを見据え、ルミカは静かに、しかし決意を込めて言った。
「アヴァリティア、いや、マモーン。君の心の闇は、ワタクシが必ず払う。そして、君を救う。」ルミカの言葉に対し、アヴァリティアは軽く尋ねた。
「嬢ちゃん、名前は何て言うん?」ルミカは、少し戸惑いながら答えた
「ルミカ・ミクスタッドです。」ルミカの名前を聞き、アヴァリティアはニヤリと笑った。
「ルミカはんやな。名前は覚えたで。あんさんもワイに救いの手を伸ばすというなら、それなりの覚悟はあるちゅうことやな。」アヴァリティアの言葉を受け、ルミカは揺るぎない決意を込めて言った。
「覚悟は既に出来ています。ワタクシは決して見捨てません。それがワタクシの使命であり、存在意義なのです。君を必ず救い、世界を破滅から守ります。」ルミカの決意表明を聞き、アヴァリティアは挑発的な笑みを浮かべた。
「ふーん、そうか、そりゃあ大したもんやな。だけど、やれるもんならやってみいや!ワイを止められるもんならな!」ルミカの言葉を聞き、クレティアは思わずジョンアイデルに訴えかけた。
「ジョン、ルミカもそうだけど、コイツは悪を為した者よ!本気で救おうとしてるの?」ジョンアイデルはクレティアの言葉を受け、静かに、しかし力強く反論した。
「罪を持つこと自体が悪だと言うのか。確かに罪は許されるべきではない。しかし、それをもって見捨てることは、負の感情を増幅させるだけだ。だからこそ、俺はたとえ悪と呼ばれた者でも、心を改める意思があるならば、手を差し伸べる。」ジョンアイデルの意見に対し、クレティアは頑なな態度で反論した。
「ワタシは罪を犯した者は必ず罰を受けるべきだと思う。それが罪を浄化する唯一の手段よ。」クレティアの主張を受け、ジョンアイデルは深く考えながら言った。
「それは一理ある。しかし、そう考えると、人は誰しも罪から逃れることはできない。文明の恩恵を受けている以上、何らかの形で犠牲を強いているからな。」ジョンアイデルの言葉に、クレティアは気づきを得たようだ
「そうか……そういう考え方もあるのね。」クレティアの反応を見て、ジョンアイデルは優しく微笑んだ。
「罪を犯すこと自体が悪なのではなく、罪を犯した後にどうするかが大切なんだ。」クレティアとジョンアイデルの会話を聞いていたアヴァリティアが、静かに口を開いた。
「ワイは罪は負って行くことは覚悟の上や。言い訳もせえへん。正当化もせえへん。」アヴァリティアの言葉を受け、ルミカは力強く言った。
「マモーン、もう終わらせるわ!これ以上、誰かを傷つけるのは許さない!」ルミカの声も届かず、アヴァリティアことマモーンは悪意に満ちた力で混沌の塊を作り、躊躇なく落とした
「終わるのはお前たちだ。クリミナルデビルの計画は必ず完遂される!」混沌の塊を放った直後、アヴァリティアことマモーンは空間の歪みに身を投じ何処かに撤退する。マモーンが去った後、ルミカは迫りくる混沌の塊を見て、覚悟を決めた表情で呟いた。
「くっ…、うぅー…、やらなきゃ……いけない…。負けない…」ルミカが決意を固めたその時、クレティアが温かくルミカの腕を包み込んだ。その優しさに呼応するかのように、混沌の塊は静かに消えていった。混沌の塊が消え、ルミカは複雑な表情でクレティアに言った。
「クレティア姉さん、私を助けてくれて、ありがとう。でも、どうして?」クレティアは優しく微笑み、ルミカの手を握った。
「ルミカ、君は陪審員としての責任を負っている。でも、それだけが全てじゃない。あの日から、君は自分の心の声に従うことを学んだ。」クレティアの言葉を受け、ルミカは決意を込めて言った。
「皮肉なことに、私を変えたのはあのアスモディン姉さんなのよ。クレティア姉さん、ジョンアイデルのことは君に託すわよ。彼が試練で何かを失っても、君ならきっと彼を救える。彼を支えてあげて。」ルミカの言葉を受け、クレティアは力強く答えた。
「ジョンのことは任せなさい!言われなくても支えるつもり。」クレティアとルミカの間に希望の光が見え始めた矢先、ジョンアイデルは周囲の危険を察知した。壁に埋め込まれた不気味な球体を見て、危機感を募らせた。
「あれはまずい。魔科学兵器だ。こんなもの、今まで見たことない。」魔科学兵器が不気味な光彩を放つ中、ジョンアイデルは静かに言った。
「あれを破壊する。」ジョンアイデルが手をかざすと、球体は徐々にひび割れ、最後には跡形もなく消え去った。ジョンアイデルが球体を破壊した安堵も束の間、地下から新たな脅威が迫ってきた。先ほどと同じ球体状の魔科学兵器が作動し、表面には無数の釘が刺さっているというおぞましい姿を現した。慎重に周囲を警戒しながら、ジョンアイデルは呟いた
「こんなに簡単に見つかるなんて、逆に怪しいな。他に情報もないし、一旦SMOに報告して、慎重に調べてもらうか。」ジョンアイデルはそう判断し、事態を報告するため、SMOメルトリア支部へと足を運んだ。ジョンアイデルがSMOメルトリア支部に報告したところ、職員は意外な事実を伝えた。
「メルトリアの穢れの反応は減ったもの魔科学反応が残っています。ジョンアイデルさんが破壊したはずの魔科学兵器の反応が……。」現状を分析したジョンアイデルは、最善の策を講じるための指示を下した。
「俺はこの国の地理に不案内だから、調査は君たちに任せる。メルトリア支部の調査団と特別隊を編成して、必要なら国家や学園の協力も仰いでくれ。俺はクリミナルデビルの対応に集中する必要がある。」ジョンアイデルは指示を出し終えると、仲間たちと共に専用の飛行艦に乗り込み、アルカシティにあるSMO副本部へと出発した。アルカシティのSMO副本部で待ち構えていたヤンロエルは、ジョンアイデルたちに対し、今後の方針を伝えた。
「メルトリアの穢れは除去されたようだな。次はボレアリス、オラクル、レムリアナ、エカトリア、ミクスタッドだ。ジョンアイデル、クレティア、君たちは他のワルプルギスのメンバーたちと連携し、各エリアの問題を解決してくれ」効率的に動くため、ジョンアイデルはクリミナルデビルの所在について確認した。
「クリミナルデビルのメンバーは、それぞれどのエリアにいるんだ?」ジョンアイデルの質問に答え、調査員が情報を提供した。
「インヴィディアはボレアレス、キャヴムとグーラはオラクル、アケディアとイリュテムはレムリアナ大陸、イーラはエカトリア、そして、ルクスリアはミクスタッドいると思われます。」ジョンアイデルは情報を分析し、最適なメンバーを選び次の目的地を決めた。
「ボレアレスに向かうか。相手はインヴィディアか。それなら、ノアさんに同行してもらうのが良さそうだ。」ジョンアイデルの言葉に対し、ノアは積極的に賛同した。
「インヴィディアね。その名前には何か覚えがあるわ。ジョンアイデル、クレティア、私も一緒に行くわ」場面は変わり、クリミナルデビルの玉座の間では、不気味な会話が交わされていた
「良いぞ、アヴァリティア。インヴィディア、キャヴム、グーラ、アケディア、イリュテム、イーラ、ルクスリア、皆、期待しているぞ。」スペルヴィアは冷笑を浮かべた。
「えっとスペルヴィア様、再確認ですが、穢れをダミーに集め、破壊させることで、本命が穢れを吸収し、マナを得るという手順でよろしいでしょうか」アヴァリティアは内心を隠し、従順に従う姿勢を見せる。スペルヴィアはアヴァリティアに対し、計画の詳細と成功の見込みを語った
「そうだ。ダミーを壊させることで、本物を守る。八獄大罪魔道化師を配置した場所は有名だが、ジョンアイデルはその土地勘に弱い。SMOを使っても、そう簡単に我々の隠れ家を見つけられるわけがない。」次の場面はリヴァイアサンの研究室。リヴァイアサンはコンピューターに向かい、何らかの情報を送信した。その宛先はジョンアイデルだった。
「姐さん、大胆なことをなさいますねぇ。」情報を送り終えたリヴァイアサンは意味深な言葉を呟いた。
「いつかはジョンたちを伏魔神殿に導かないとねぇ。」アヴァリティアは誰にも聞こえないような小さな声で呟いた。その表情は、どこか苦しそうだ。
「なんや、なんで、ルミカはんのことを今思いだすんや。それに、なんや、ルミカはんのことを思うと、胸が苦しい……」アヴァリティアはルミカのことを意識しているようだった。リヴァイアサンはアヴァリティアの異変に気づき、心配そうに声をかけた。
「アヴァリティア、大丈夫?なんか、苦しそうな表情してたけど。」
アヴァリティアはすぐさま平気な顔に戻り、強がるように言った。
「なんでもあらへん。ワイは……そうや……ルクはんと同じくリヴァイアサン姐さんの腹心なんや。」リヴァイアサンはアヴァリティアの言葉を信じず、真実を見抜いた。
「嘘ね。今の言葉は心から出たものではないわね。アヴァリティア、君は本当は自分の居場所がなくなって誰にも必要とされなくなる、飢えるのが怖いだけでしょう。そんなふうに自分をいつわっていても何も変わらない。ルクのように、自分の心や感情に正直になるべきだわ」リヴァイアサンの言葉に心を打たれ、アヴァリティアは涙ぐみながら本音を吐露した。
「ワイ、どうしたらいいかわからないんや!クリミナル・デビルを抜けるべきかそれとも恩を返すべくまだいるべきか。」リヴァイアサンはアヴァリティアの言葉を受け、先を見据えた言葉を紡いだ。
「そう、それでいいのよ、アヴァリティア。君の本心を聞かせてくれてありがとう。今はまだ抜ける時じゃないわ。おそらく、八獄大罪魔道化師 が再び一斉に動かされる。その時を見計らうのよ。君は調和の概念体と接触し、知らず知らずのうちに心惹かれた。そういうことでしょう?」リヴァイアサンの言葉を受け、アヴァリティアは自分の心の変化を認めるように言った。
「ルミカはんのことを無意識のうちに意識するようになったんや。」リヴァイアサンはアヴァリティアの言葉を肯定し、優しく励ました。
「いいんじゃない。自分の心が望む方へ進みなさい。自分の意志を貫くことが大切よ」
【地理紹介】
[メルトリア]
北アメリカにある。軍事国家であり資産国家である
かなりの富に物を言わせる国である。ミクスタッド国とは交友関係にある




