エピック31【心の在り方と新能力】
EXエリアの治療室、ジョンアイデルはベッドに横たわるクレティアを見つめていた。イアソーは、手慣れた様子でクレティアの治療をしながら、ため息をついた。
「まさか、こんな傷だらけになって帰ってくるとはね。クレティア、君はもう少し周りのことを考えなさい」ジョンアイデルは、目を閉じ、スペルヴィアの言葉を心の中で繰り返していた。
「クリミナル・デビルの計画は、もはや誰にも止められない!」ジョンアイデルは、決意を新たにし、呟いた。
「計画、か……一体、何をしようとしているんだ」フィリアは、心配そうな表情で治療室に入ってきた。クレティアの怪我の具合を確認すると、少し怒ったように言った。
「これじゃ、授業どころじゃないわ。クレティア、どうしていつもそんなに無茶をするの?」クレティアは、申し訳なさそうにフィリアを見つめて言った。
「ごめんなさい、お母様。どうしても、考えている暇がなかったんです」フィリアは、真剣な眼差しで二人を見つめ、授業を始めることにした。
「今回は、少し予定を変更して授業を行うわ。でも、これは統治者として最も重要なことよ。ジョンアイデル、クレティア、あなたたちの理想は何なのかしら?」ジョンアイデルは、力強い口調で答えた。
「差別や偏見を完全になくし、すべての種族が共に繁栄できる世界を創り上げることです」フィリアは、クレティアとジョンアイデルを見比べながら、問いかけた。
「差別や偏見をなくす、というのは理想だけれど、それがなぜ生まれるのか、きちんと説明できるかしら?」クレティアは、即答した。
「悪意があるからだと思います」ジョンアイデルは、クレティアの言葉を否定し、持論を展開した。
「悪意だけが原因ではない。人は、無意識のうちに偏見や差別を持ってしまうことがある。それは、自分とは異なるものを理解しようとしないから。異なるものに対する恐れがあるから。外見だけでなく、考え方や信条などの違いが、衝突を生むと思います」フィリアは、ジョンアイデルの言葉に感心したように頷き、続けた。
「ジョンアイデル、よく分かっているわね。そう、差別や偏見は、異なる者同士の衝突から生まれるもの。でも、それは決して悪いことではないの。心を持つ者同士なら、避けては通れないことなのよ」フィリアは、熱意を込めて、解決策を語った。
「つまり、差別や偏見をなくすためには、互いを理解し、尊重し、認め合える環境を作ることが最も重要なのよ」ジョンアイデルは、目から鱗が落ちたように、ハッとした表情で独り言のように言った。
「そうか、そういうことだったのか。私は差別や偏見を単純に悪いものと決めつけていた。しかし、それは、不安や思い込み、そして相手を理解しようとしないことから起こる現象だったんだ」フィリアは、ジョンアイデルの洞察力に感心し、クレティアに問いかけた。
「ジョンアイデル、あなたの成長は目覚ましいわね。クレティア、あなたはどうかしら?」クレティアは、強い意志を込めて答えた。
「無知や不安、固定観念、誤った判断、どんな理由があっても、差別や偏見は断じて許せません。どんな理由があろうと、人の尊厳を傷つけることは許されないのです」フィリアは、クレティアの正論に頷きながらも、疑問を投げかけた。
「他者の尊厳を傷つけることが許されないのは当然のことだけどね。でも、クレティア、あなたは自分と異なる考えを持つ人を、容易に理解できるかしら?」クレティアは、少し俯きながらも、正直に答えた。
「はい、確かに、理解できない時もございます」フィリアは、クレティアの言葉に耳を傾け、諭すように語りかけた。
「そうね、理解できないことだってあるわ。だから、偏見を持つこと自体を悪だと決めつけるのは間違いなんだよ。誰だって最初はそうなんだから。でも、人は必ず分かり合えるものなの」クレティアは、フィリアの言葉に希望を見出しつつも、強い信念を込めて言った。
「分かり合えると信じたいです。でも、それだけでは全ては変わりません。理解し合う努力と共に、差別や偏見を絶対に許さないという強い信念と、それを行動で示すことが必要だと思います」フィリアは、時計を確認し、手際よく講義を締めくくった。
「時間となりましたので、今日の講義はこれで終わりにします」ジョンアイデルは、拳を握りしめ、決意を新たにした。
「俺たちは、もっと強くならなければならない。そのためには、新たな能力を身につけるしかないんだ!」クレティアは、ジョンアイデルの言葉に眉をひそめ、問い返した。
「でも、どうやって? 複合概念体とでもなるというの?」ジョンアイデルは、確信を持って言った。
「実は、クロニクル学園の地下に行って、見つけてきたんだ。なんと、そこには『根源』があるんだよ」クレティアは、ジョンアイデルを見つめ、確認するように言った。
「じゃあ、そこへ行くってこと?」ジョンアイデルは、力強く頷き、クレティアに視線を向けた。
「ああ、そうだ。俺は複合概念体になる。お前はどうする?」クレティアは、迷いを振り切り、決意を表明した。
「ワタシもなるわ」ジョンアイデルは、複雑な思いを抱えながらも、前を向いた。
「預言通りってのは癪だが、それでも強くなるため、上に上がるためなら仕方ない」ジョンアイデルとクレティアは、キューブ状のデバイスを手に、地上エリアへの道を歩み始めた。クレティアは、地上に降り立ち、ジョンアイデルの横顔を見つめながら尋ねた。
「ジョン、あなたは上り詰めるためならどんなことでもするの? それはあなたの本能なの?」ジョンアイデルは、クレティアに決意を示すように言った。
「戦略を立て、資源を集め、勝利を手にする。それが、他者の犠牲を伴わない俺のやり方だ。クレティア、行くぞ」ジョンアイデルは周囲に気配を感じながら慎重に進み、クレティアは彼の背中を守るように後を追う。ジョンアイデルは時折、立ち止まり、何かを確認するように周囲を見渡しながらクレティアは彼の行動に合わせて進む。二人は緊張感を抱えながら、学園の裏校庭へと向かった。クレティアは、興味深そうに周囲を見渡し、ジョンアイデルに尋ねた。
「ここが裏校庭なのね。それで、どうするの?」ジョンアイデルは、ポケットから素早く何かを取り出し、言った。
「これを使う」ジョンアイデルが取り出したのは、最新型のマージフォンだった。ジョンアイデルは、集中した表情でマージフォンのテンキーを叩き始めた。すると、周囲の空気が振動し始め、空間に奇妙な歪みが現れた。ジョンアイデルは、緊迫した状況を察知し、クレティアの手を引いた。
「時間がない! この空間の歪みはすぐに閉じる!」ジョンアイデルとクレティアは、一目散に空間の歪みへと駆け込んだ。ジョンアイデルは、地下スペースの奥へと進むにつれ、何か異様な気配を感じ始めた。そして、辿り着いた先には、意外な人物、アレイスターが待ち構えていた。アレイスターは、ジョンアイデルとクレティアの前に立ちはだかり、不敵な笑みを浮かべながら言った。
「やはり、君たちは複合概念体を目指しているのか。私は万能の概念体として、君たちの挑戦を見守ってやろう」ジョンアイデルがデバイスの正体を探ろうとしている間に、クレティアは周囲の警戒を怠らなかった。そして、通路の先に、威圧感を放つゴリラ型のロボットが立ちはだかっているのを見つけた。アレイスターは、ジョンアイデルとクレティアの反応を楽しむかのように言った。
「あれは製作ナンバー56番だ。君たちに倒せるかな?」No.56は、静止した状態から一転、ロケットパンチの体勢に入った。そして、標的を定めた拳を、強烈な力で射出した。ジョンアイデルとクレティアは、連携してロケットパンチを回避した。しかし、No.56は容赦なく、腕に内蔵された銃火システムからマジックバルカン弾を連射した。ジョンアイデルは、危機を察知すると同時に、叫んだ。
「概念展開、防壁!」その声と共に、彼の周囲に強固なバリアが出現し、弾丸を全て弾き返した。ジョンアイデルは、バリアで弾丸を防ぎ終えると、間髪入れずに天依を発動した。ジョンアイデルは、天依の力を解放し、時間制限を確認すると、確信を込めて叫んだ
「時間制限は14分! 十分すぎる!」彼は、一気に距離を縮め、怒涛の如く蹴りと拳をNo.56に浴びせた。最後は、渾身の一撃を胸と頭に叩き込みロボットの動きを止めた。No.56は、ジョンアイデルの猛攻に耐えきれず、火花を散らしながら機能停止したアレイスターは、予想を覆されたことに驚きを隠せない様子で呟いた。
「まさか、君が天依を使えるとは思わなかった」ジョンアイデルは、No.56の残骸を見下ろし、アレイスターに向かって静かに語りかけた。
「完璧な情報など存在しないということですね。貴方も結局は、預言という名の糸に操られているだけだ。それもまた、運命なのでしょう」アレイスターは、ジョンアイデルの言葉を否定するわけでもなく、クレティアに向かって希望を込めて語りかけた。
「預言は唯一の道ではない。それは数多の可能性の一つに過ぎない。クレティア、君はその可能性を導く力を持っている。君は可能性の象徴だからだ。運命を創造することもできる!」クレティアは、アレイスターの言葉に反応せず、自分の意志を明確に表明した。
「ワタシ達の目標は複合概念体として存在すること。貴方の思惑に付き合うつもりはありません」アレイスターは、クレティアの決意を確認すると、微かに笑みを浮かべ、道を開けた。
「そういうことなら、好きにするがいい。ただし、後悔はしないでくれよ」ジョンアイデルとクレティアは、迷いを振り払い、ひたすらに前へと進み、ついに根源が存在する場所へと到達した。そこに待ち受けていたのは、黒と白のX字と金と銀の十字が描かれた、様々な色が混ざり合う幻想的な球体だった。ジョンアイデルとクレティアは、虹色の球体の前でしばらくの間立ち尽くし、覚悟を決めたように、静かに手をかざした。ジョンアイデルとクレティアが球体に触れた刹那、クレティアの全身が色彩豊かな光に包まれ、その光は徐々に収束し、彼女の内側へと溶け込んでいった。虹色の光がクレティアの体に馴染んだ瞬間、彼女は新たな可能性を感じ取り、喜色満面に言った。
「希望の概念…、これこそが未来を拓く鍵。この力を使って、誰かの支えとなる」クレティアの言葉が終わると、ジョンアイデルの体を紺碧の光が包み込み、その光はまるで彼の魂に刻印されるかのように内側へと消えていった。ジョンアイデルの体から青色の光が消えた直後、今度は白と黒が連なる鎖のような光が現れ、彼の内へと溶け込んでいった。白黒の光がジョンアイデルの体を満たした後、彼は深く息を吸い込み、自らの力の源泉を探るように呟いた。
「共栄と因果…これがオレの新たな力の意味することなのか」ジョンアイデルは、自らの内に宿る力を感じて希望に満ちた声で未来への決意を語った。
「そうだな、虚構、共栄、因果…この力を糧に、誰もが共に生きていけるようにする!ミクスタッド国の皇帝になることも視野に入れる!新たな理想郷の君主になる!」ジョンアイデルが決意を新たにしたその時、突如、フィリアが根源の間に現れ、場の空気は一変した。フィリアは現れると、満足げに頷き、ジョンアイデルの言葉を評価した。
「素晴らしいわね、ジョンアイデル。君の覚悟、感銘を受けたわ。これからは、君を皇帝として育て上げるため、私も全力を尽くすわ」フィリアの言葉を聞き、クレティアは心の奥底に隠していた不安が表出し、悲しげに尋ねた。
「お母様、ワタシは見捨てられるのですか?」フィリアはクレティアの慢心を見抜き、厳しい口調で忠告した。
「私の後を継ぎたいなら、ジョンアイデルを凌駕するほど努力しなさい。第一子であることに胡坐をかき、本来の目的を見失うようでは、次の女皇には到底なれないわ」フィリアの言葉を聞き、ジョンアイデルはクレティアに寄り添い、優しい口調で諭した。
「クレティア、俺は皇族じゃないからこそ、努力の大切さを知っているんだ。それは必ず自分の力になる。差別や偏見をなくすより、相手を理解しようと努めることが、真の意味で本当の解決に繋がるんだ」ジョンアイデルの言葉を聞き、クレティアは冷たい視線で言い放った。
「理解し合うなんて、幻想よ。歴史が証明してる。混血は差別され、魔族は恐れられる。障害者や精神疾患を抱える人も、酷い扱いを受けてるじゃない」クレティアの言葉に対し、ジョンアイデルは感情を露わに反論した。
「混血がいるってことは、違う種族だって愛し合えるってことだ。それは単なる気まぐれなんかじゃない、深い愛情の現れだ。理解し合えないなんて言うのは、クレティア自身のルーツを否定することになる。君は亜人間とドラゴンの血を受け継いだ、亜人間は半獣人や人間、半獣人は夢狐の獣人と人間、夢狐の獣人は夢魔との間に設けらた子孫だ」ジョンアイデルの言葉を受け、クレティアは悲痛な面持ちで過去の出来事を語り始めた。
「混血の存在は知ってる。それが理屈じゃないことも理解してる。でも、私は皇族の第一子女ってだけで、ずっと特別扱いされてきた。幼稚園から中学まで、皇族専用の学校に通い、他の子と仲良くなりたくても、皇族って立場が邪魔をした」クレティアの心に響くように、ジョンアイデルは真剣な眼差しで語りかけた。
「でも、今は俺たちと友達になれた。それは偶然じゃない。お互いを理解しようと努力した結果だ。分かり合うことはできるんだ」ジョンアイデルの言葉に心を打たれ、クレティアは戸惑いながら答えた。
「そうね、そうかもね。それに、ジョンアイデルは…、ううん、やっぱり、言わない。今はまだ秘密よ」クレティアの言葉を聞き、ジョンアイデルは決意を込めて語った。
「クレティア、お前の苦しみはよく理解できた。俺たちはライバルであり、互いに高め合える存在だ。俺は試練を通して、何かを失うかもしれない。でも、お前なら必ずそれを取り戻せる方法を見つけてくれると信じてる。お前を信じてるからこそ、俺は前に進める」ジョンアイデルの言葉に刺激され、フィリアは好奇心を抑えきれずに尋ねた。
「ジョンアイデル、あなたはどこまで見通しているのかしら?龍眼を持ってしても、まだ分からないことがあるようね」フィリアは、ジョンアイデルの言葉の真偽を確かめるように見つめた。フィリアの視線に気づき、ジョンアイデルは緊張した面持ちで尋ねた。
「フィリアさん、どうかされましたか?そんな風に見つめられると、何か気になります」クレティアは、面白がるように言った
「まさか、ジョンアイデルに恋しちゃったのですか?」クレティアの言葉を聞き、フィリアは感心したように言った。
「あなた、人を惹きつける力があるわね、ジョンアイデル」フィリアは、ジョンに対し、命令するように言った。
「ジョンアイデル、放課後は私の別荘に来ること。いいわね?」フィリアの強引な誘いに、ジョンアイデルは圧倒され、言われるがままに返事をしてしまった。フィリアの言葉が頭から離れないまま、ジョンアイデルとクレティアは授業を受け続けた。午前は3コマ、午後は4コマ、様々な出来事があったが、無事に一日を終えた。授業が終わり放課後、ジョンアイデルはフィリアとの約束の場所、EXエリアの南側へと一人で向かった。、EXエリア南側に建っていたのは、白い漆喰の壁に、赤い中国風の門、そして屋根には西洋の教会のようなステンドグラスがはめ込まれた、異様な建物だった。屋敷は、単なる和洋中の折衷に留まらず、超古代文明の遺産と近未来都市のデザインが混ざり合ったような、独特の趣があった。屋敷の門に近づくと、センサーが反応したのか、自動的に扉が開いた。ジョンアイデルは不思議に思いながらも、扉の向こうへと進んだ。扉の向こうに現れたのは、和洋中の様式が見事に融合した庭園だった。中央には噴水があり、右側は苔むした石灯籠が並ぶ和風、左側は彫刻が施された噴水がある洋風、そして中央には奇岩が配置された中華風の空間が広がっていた
庭園の景色を眺めながら、ジョンアイデルは何かを思い出したように言った。
「この雰囲気、ミクスタッド国に似てるな」庭園の中を歩いていると、ジョンアイデルは偶然にもフィリアと鉢合わせした。ジョンアイデルを見つけたフィリアは、にこやかに微笑みながら言った。
「いらっしゃい、ここはワタシの別荘よ」フィリアの言葉に頷きながらジョンアイデルは確認するように言った。
「ここは、ミクスタッド国の様式を参考にしているんですか」ジョンアイデルの質問に対し、フィリアは肯定し、さらに続けた。
「ええ、そうよ。実は、あなたたちが住んでいる大豪邸も、ミクスタッド様式なの」ジョンアイデルはフィリアの言葉を聞き、本題に入るよう促した
「きっと、俺を誘ったのには理由がありますよね」ジョンアイデルの言葉に答える代わりに、フィリアは彼の手を引き、別荘の中へと足を踏み入れた。別荘の奥へと進みながら、フィリアはジョンアイデルに耳打ちするように言った。
「あなたはミクスタッド家の血筋ではない。けれど、ミクスタッド家の血を取り込むことで、血筋を引くのと同じ効果が得られるのよ」フィリアの言葉に、ジョンアイデルは思わず聞き返した。
「それって、フィリアさんの血を飲むってことですか」フィリアはジョンアイデルの決意を試すように、挑発的に言った。
「先代の血を飲むのが、一番早道よ。あなたに、その覚悟はある?」フィリアの言葉に頷き、ジョンアイデルは決意を新たにした。
「もちろんです。覚悟はできています!」ジョンアイデルの言葉を受け、フィリアはためらいなく首元を露わにした。フィリアが首を傾けると、ジョンアイデルはすかさず彼女の首筋に口をつけた。鋭い歯が肌を貫き、血が流れ込んでくる。ジョンアイデルが吸い込んだフィリアの血は、その瞬間から彼の体を構成する一部となり、脈打つ心臓から全身へと送り出されるたびに、彼の血と区別がつかないほどに同化していった。吸血が終了し、ジョンアイデルが我に返ると、フィリアは彼の手を握り、真剣な眼差しで見つめた。
「私の血は、あなたを変えたかしら?」ジョンアイデルはフィリアの手を握り返し、静かに答えた。
「血の特性が変化しました」ジョンアイデルの変化を確信したフィリアは彼を深く抱きしめ、彼の顔を自らの胸の谷間に包み込んだ。フィリアの行動に赤面しながら、ジョンアイデルは小さな声で尋ねた。
「フィリアさん、一体何をしようとされているんですか?」ジョンアイデルの反応を予想していたかのように、フィリアは余裕の笑みを浮かべながら尋ねた。
「まさか、こんなのが初体験だったりする?」ジョンアイデルはフィリアの優しさに触れ、心の中でそっと感謝の言葉を送った。
「(クレティアやルミカも、いつも気にかけてくれるけど、こんな風に抱きしめられたことはなかった…。フィリアさんの胸は、かなり大きくて、温かくて優しい)」ジョンアイデルの言葉を聞き、フィリアは彼をからかうように、彼の顔を自らの胸でぎゅうっと挟み込んだ。フィリアの胸の感触に緊張したジョンアイデルは無意識のうちに息を吐き出したその吐息は、フィリアの胸の谷間に微かな刺激を与えた。ジョンアイデルの吐息にくすぐられ、フィリアは嬉しそうに身を震わせながら言った。
「くすぐったいわ。もっと近づいて、私を楽しませて?」ジョンアイデルをからかうのをやめ、フィリアは彼の顔を解放するように、自らの胸から離した。解放されたジョンアイデルは、恍惚とした表情で、しばしぼうっとしているのである。ジョンアイデルの様子を見て、フィリアはからかい半分、本気半分で尋ねた。
「そんなにウットリしちゃって、どうだった?私の胸、最高だった?」フィリアの声を聞きながらも、ジョンアイデルは快感の虜となり、蕩けた声で本音を漏らした。
「うう…、やばい…、気持ち良すぎる…」ジョンアイデルの反応に、フィリアは母性本能をくすぐられたように笑いながら言った。
「あ~、もう、放っておけない。守ってあげたくなっちゃう」フィリアの言葉を合図に、ジョンアイデルは情熱を爆発させ、彼女を夢のような世界へと連れて行った。その結果、フィリアはジョンアイデルに身も心も奪われ、完全に降伏した。ジョンアイデルとの時間に心も体も満たされたフィリアは、彼を抱きしめながら言った。
「ジョン、初めてでこんなに気持ちよくしてくれるなんて、びっくりだわ。私、ジョンアイデルのこと、もっと知りたくなっちゃった」フィリアの言葉に、ジョンアイデルは期待と不安が混じり合った感情を抱き、戸惑いながら尋ねた。
「フィリアさん、そ、それは、どういう意味ですか?」ジョンアイデルの様子を見て、フィリアは意味深な笑みを浮かべながら言った。
「秘密よ。これから、君のこと、もっとよく見させてもらうわ」




