エピック28【青の神殿】
ジョンアイデルたちは恩羅院大陸に戻り、北に位置する青の神殿を目指した。冷たい風が、彼らの決意を新たにさせる。理想を叶えるため、彼らは神殿へと向かう。ジョンアイデルたちは、北の離島に足を踏み入れた。そこには、青色の神殿が静かに佇み、彼らを迎え入れた。ジョンアイデルたちが青色の神殿について話していると、ルミカが突然、重要な情報を告げた。
「青の神殿ねぇー、そこのガーディアンはモーゼだよ」ルミカの情報を整理するように、クレティアは言った。
「ルミカは1回神格の儀式をしたんだっけ、それで多少なりの情報を持ってるか、モーゼって確か聖書の人物だよね、また、聖書の人物か」ジョンアイデルは、クレティアの驚きをよそに、冷静に言った。
「まあ、聖書の人物は神聖なところがあるから生きてても驚かないな」ジョンアイデルたちは、青色の神殿の扉の前で深呼吸をした。そして、扉を開け、覚悟を決めて神殿の中へと入っていった。神殿の静寂を破るように、ジョンアイデルの声が響いた。
「そして、ここはアスタロトがいるか、あの魔精も知恵と知識の魔精」アスタロトの存在を念頭に置きながら、ジョンアイデルたちは慎重に神殿の内部を進んでいった。ジョンアイデルたちは、目の紋様が施された部屋に足を踏み入れた。その紋様を見たジョンアイデルは、表情を険しくし言った。
「あれは確か神代の仕掛けだ、あの目の紋様の前に立つと直前に戻されたりランダムワープしてしまうんだよな、厄介な仕掛けだ」クレティアは、ジョンアイデルの解説を聞きながら何か考え込んでいる様子だったそして、突然、ハッとしたように言った
「青の神殿でこのギミック、もしかして、ウンディーネ、ワタシ達の姿を隠して」クレティアはウンディーネを召喚し、水のバリアを張ると、そのまま進むことを決意した。クレティアが張った水のバリアの中、ジョンアイデルたちは警戒しながら先の部屋へと足を踏み入れた。その直後、まるで何かを遮断するように、扉が勢いよく閉じた。閉ざされた部屋に緊張が走る中、ゆっくりと、しかし確実に、部屋の中央に巨大な青いスライムが姿を現した。その姿は、まるでこの部屋の主であるかのようだった巨大な青いスライムを見たジョンアイデルは、即座にその正体を見抜いた
「このスライムはキングスライムの変異種か、気をつけろみんな」その言葉が終わるか否かのうちに、ミュータントキングスライムは口から粘液弾を飛ばしてきた。粘液弾は、目にも留まらぬ速さで飛来した。ジョンアイデルは身をかわしたが、クレティアとルミカは咄嗟の判断が間に合わず、粘液を浴びてしまった。粘液の付着と同時に痺れを感じたクレティアは、驚きと不快感をあらわにした。
「しまった、うわぁーーー、ベトベトして気持ち悪い、しかも、身体に痺れが」ルミカもまた、自身の失態を認め呟いた
「ワタクシとしたことが不覚、しかも、毒もらってしまった…」ルミカは毒状態に苦悶していた。ジョンアイデルは、クレティアとルミカを安全な状態に戻すため、回復天技を唱えた。
「活力よ、快癒せよ!天技、ヒールエイド!」緑色の光が二人を優しく包み込み、麻痺と毒を癒し、体力を回復させていった。ジョンアイデルの回復魔法で体力を回復したのも束の間、ミュータントキングスライムは再び粘液弾を放ってきた。今度はクレティアに命中したが、なんと状態異常にはならなかった。状態異常にならなかったクレティアは、ミュータントキングスライムを挑発するように言った。
「ドラゴノイドは一度受けた状態異常にはならないんだよ!ドラゴンの免疫なめるんじゃないよ」クレティアの挑発に乗ったのか、ミュータントキングスライムは勢いよく突進してきた。しかし、ルミカは一瞬の隙も見逃さず、スライムを剣で両断した。しかし、ルミカが斬り裂いたミュータントキングスライムの傷は、瞬く間に回復した。
「やはり核か、だが核は複数あるのか」ジョンアイデルはハキハキと言った。
「弱点が分かっただけでも御の字だよ!さーてと反撃よ」クレティアはそう言うと、最初にシルフを召喚し、風の斬撃で攻撃を仕掛けた。クレティアがシルフを召喚して攻撃した後、ルミカは好機を逃さず、ミュータントキングスライムの核を一つ破壊したクレティアは腕をドラゴンのように変化させ、イフリートを召喚して炎を操った。その炎を腕に纏い、ミュータントキングスライムの核がある部分を狙って渾身の拳を叩き込んだ。轟炎がミュータントキングスライムを包み込み、クレティアの一撃が核を破壊。ルミカの剣が閃き、また一つ核が消滅する。ジョンアイデルは無言で概念武装を展開し、残された核を静かに、しかし確実に破壊した。激戦の末、ついにミュータントキングスライムの核は残り一つ。勝利は目前だが、最後の抵抗もまた、最も激しいものとなるだろう。その瞬間、クレティアのドラゴンの血が覚醒したのかミュータントキングスライムに襲い掛かり、最後の核を食らい尽くしてしまった。クレティアが核を飲み込んだ瞬間、光が爆発し、その中心に燦然と輝く宝箱が現れた。ジョンアイデルが宝箱を開けると、タイガーアイの指輪が静かに輝きを放った。その指輪は、まるで磁石に引き寄せられるように、彼の首飾りに吸い込まれていった。宝箱の報酬を得た直後、今まで閉ざされていた扉がゆっくりと開き、先へと続く階段が現れた。長い階段を登りきった先に待っていたのは、光を放つ宝箱だった。宝箱の中から現れたのは、邪悪なオーラを放つアスタロトのシジルが刻まれた指輪だった。ジョンアイデルがそれを身につけた瞬間、インベントリー内の金色の魔導書が激しく輝き出した。指輪が指に吸い込まれると同時に、強烈な魔力が爆発し、アスタロトがその姿を現した。
アスタロトは明瞭な声で告げた。
「貴様が我が契約者か。我はアスタロト。鑑定解析スキルと魔皇の眼、持っておるな?ならば、強化してやろう」アスタロトがジョンアイデルの額に触れると、魔皇の眼に鑑定解析効果が付与された。
「魔皇の眼に鑑定解析効果を付与したぞ。発動してみよ。今までの効果に加え、鑑定効果も発現する」アスタロトとの契約を終え、ジョンアイデルたちは決意を新たに、先の部屋へと進んだ。先の部屋に足を踏み入れた瞬間、ジョンアイデルたちは息を呑んだ。そこは、底の見えないほど深い水で満たされていた。ジョンアイデルは冷静に状況を見極め、クレティアに命じた。
「フロストを召喚し、この水を凍らせてくれ。足場を作る」クレティアがフロストを召喚すると、水面はみるみるうちに凍りつき、安全な足場が完成した。凍りついた水面を歩き、ジョンアイデルたちは先のエリアへと向かった。水面が完全に凍りつき、ジョンアイデルたちは氷の道を歩み始めた氷の道の先に現れたのは、鮮やかな青い鱗を持つ巨大な蛇だった。
「あれは……アオオロチ!」ジョンアイデルは叫んだ。
「こんなに巨大なアオオロチは初めて見る」アオオロチは、咆哮と共にジョンアイデルたちを威嚇した。アオオロチは、口から高圧の水流を放ち、ジョンアイデルたちを襲った。水ブレスを避けたのもつかの間、アオオロチは信じられない速さでルミカに襲い掛かった。ルミカは対応しきれず、アオオロチに噛み付かれてしまった。アオオロチに噛み付かれたルミカは、苦痛に声を上げた。
「またしても、不覚! それに、また毒なんて、最悪……!」ルミカの苦悶する姿を見て、ジョンアイデルは冷静さを保ちつつも、焦りを滲ませた。
「天技は、そう何度も使えるものではないからな。今の状況で、どうすべきか……」ジョンアイデルが思案する傍ら、クレティアは即座に行動に移した。
「ウンディーネ、癒しを!」召喚されたウンディーネの力で、ルミカの傷は癒え、毒も瞬時に消え失せた。
「……いや、おかしい」ジョンアイデルは眉をひそめた。
「このアオオロチ、ただのモンスターではない。天族に近い、何か特別な力を秘めているようだ」
「墜魔……」クレティアは呟いた。
「天族が穢れに冒され、堕ちた姿。でも、まだ希望はあるわ。穢れを鎮めれば、元の姿に戻せるはず」クレティアの言葉に頷きつつも、ジョンアイデルは現状の限界を口にした。
「天族の力がもっと覚醒していれば浄化も可能だが、今はまだそこまでではない。となると、一度倒すしかないか……」ジョンアイデルの指示を待つまでもなく、クレティアは自らの腕をドラゴン化させた。うろこに覆われた強大な腕は、アオオロチの顎へと一直線に突き上げられ、強烈なアッパーカットを叩き込んだ。アオオロチが倒れた瞬間、ジョンアイデルの身体が黒金色に輝き始めた。
「まさか、これが天族の力……!」彼はアオオロチの頭を優しく撫でると穢れがみるみるうちに浄化されていった。穢れが消え去ると、アオオロチの姿は元の天族へと戻った。その姿は、鮮やかな青い衣を身にまとった、気品ある天族そのものだった
ジョンアイデルに視線を向け、フルーレは深々と頭を下げた。
「私を元に戻してくださったのは、あなた様ですか。申し訳ありません……私の名はフルーレと申します」フルーレは、感謝の意を示すように、青い花の紋章が付いたリストバンドをジョンアイデルに差し出した。
「これが、私の天器です」ジョンアイデルは、フルーレから受け取った花の模様がある青いリストバンドを腕にはめた。その瞬間、微かな光が走り、彼とフルーレの間に契約が成立したことを告げた。フルーレとの契約を胸に、ジョンアイデルたちは、決意を新たに階段を登り始めた。階段を登りきった先に、モーゼが待ち構えていた
「待っていたぞ! さあ、試練を始めよう」彼は高らかに宣言した。モーゼの手には、三叉の中央に宝玉が埋め込まれたトライデントが、静かに輝いていた。モーゼがトライデントを振りかざすと、周囲に青い稲妻が奔った。モーゼが放った青い稲妻を、ジョンアイデルたちは間一髪で回避した。ジョンアイデルは、モーゼの力を分析し、仲間に注意を促した。
「モーゼと言ったら十戒や戒律が関係してるかもしれんな、気をつけよう」モーゼは、トライデントを構えたまま、ジョンアイデルに問いかけた。
「汝に問おう!お主は何を目指す?」 ジョンアイデルは、覚悟を決めた表情で、はっきりと答えた。
「俺はこのクリプトンを差別や偏見なく他種族が共存できるようにする最初は一つの国から始める。そして、物界からは差別や偏見をなくし、共存ができるようにする」モーゼは、ジョンアイデルのリーダーシップを試すように、厳しい質問を投げかけた。
「では、犠牲が伴うと言ったら仲間と自分自身、どっちにする?」ジョンアイデルは、覚悟を決めた表情で、はっきりと答えた。
「仲間を犠牲にはしない。そうだ、犠牲にするなら、俺自身にする!そして、意志を受け継ぐ仲間に託す」ジョンアイデルの答えに、モーゼは深く頷いた。
「そうか、試練は合格だ」次にモーゼは、クレティアに向き直り、問いかけた。
「汝に問おう、お前の理想はどんなものだ?」 クレティアは、躊躇なく、はっきりと答えた。
「ワタシの将来の理想は二通りある。一つは自身がミクスタッドの女皇になること、もう一つは信頼できて最愛の者を皇帝にすること」モーゼは、クレティアの言葉の真意を確かめるように、さらに問い詰めた。
「その最愛の者は見つかっているのか?」 クレティアは、自信に満ちた表情で、はっきりと答えた。
「はい、見つかってます。そして、今、まさにここにいます」モーゼは、クレティアの覚悟をさらに深掘りするように問いかけた。
「その最愛の者をずっと支える気はあるのか? その愛は永遠と誓えるのか?」 クレティアは、揺るぎない眼差しで答えた。
「自信を持って言います、その人に対しての愛は不滅! どんなことになろうと愛します」クレティアの言葉を聞き終えたモーゼは、その目をじっと見つめ、確信を持って言った。
「嘘は言っておらぬな!試練は合格だ」モーゼから与えられた試練の報酬として、ジョンアイデルとクレティアは台座の上に現れた青いコインを手に取った。青いコインが輝きを放つと同時に、青い服をまとった天使が、まるで祝福を与えるかのように姿を現した。
厳かな雰囲気の中、ガブリエルはジョンアイデルとクレティアに問う。
「私はガブリエル。なぜ、君たちは神格者になろうとするのか? その目的を、私に説明してみなさい。」 二人は互いの目を見て、確信を得ると、高らかに宣言した。
「我々の理想は、全ての種族が平等に生きられる世界です。差別や偏見、争いのない、平和な世界を築くために、神格者を目指します。」 ガブリエルの表情は変わらず、静かに告げた。
「そうか…。ならば、残りの試練をクリアしなさい。」 そう言い残すと、ガブリエルの姿は青い光の粒子となり、静かに消滅した。青い光が消え去った後、クレティアは体内で神力が濃密に渦巻くのを感じ、ジョンアイデルは一切の疲労感がなくなり、全身に力が漲るのを感じていた。ジョンアイデルは、漲る力に満ちた身体を動かしながら、高らかに言った。
「まだまだ動ける気がするな!」 それを見ていたルミカは、顔を曇らせながら呟いた。
「おかしい、またジョンの感覚が消えてる…。今度は疲労感か…」その頃、神界域、とある場所は、深い静寂に包まれていた。しかし、その静けさの中には、神々しい力と神秘性が秘められており、訪れる者を圧倒するだろう。リリスは、皮肉たっぷりの口調で、モーゼに問い詰めた。
「あーら、モーゼ、貴方、言葉のみを交わして試練クリアにしたんだよね、どういうことかな?」 モーゼは、冷静さを保ちながらも、トライデントを構え、リリスを牽制した。
「口を慎め!何も戦闘で実力を測る必要性はない。それに、私は彼奴らの精神を試したのだ」モーゼの威圧にも動じず、リリスは楽しげな笑みを浮かべながら言った。
「そうね、でも、アテチもジョンアイデルのことは好きなんだよねー」リリスの言葉を受け、モーゼは冷たい視線を向けながら、静かに問い詰めた。
「お前の好きは歪だ!ヒトとしての感覚を持つものが好きなはずだが、今はなんだ?ジョンアイデルがヒトならずに変わってても好きか、感覚や感情をなくしてもか」モーゼの言葉を聞き終えると、リリスはあっさりと答えた。
「確かに変わっていくジョンアイデルは見てられないよ、確かに気の毒だけどね」その時、突然、ルーツドランが重々しい口調で語り始めた。
「ジョンアイデルがあぁ~なるように仕向けたのは精霊絡みの神、フォンセ、彼奴は媒体を介してジョンアイデルに融合した、何を企んでるか」ルーツドランの言葉が重く響く中、ダビデは冷静に状況を分析し、推測を述べた。
「こう推測はできるな、フォンセは新たな肉体にジョンアイデルを選んだ、そして、いずれは力のみを託すつもりであろう」 ダビデの言葉に希望を見出すように、クラミツハは力強く言った。
「じゃが、失ったものを戻す方法はあるじゃろう、そして、その方法はおそらくだがクレティアは知ってるであろう、そうでなければ、神格の神殿の試練をわざわざ受けさせるわけないじゃろうし」神界での緊迫した状況から一転、場面はジョンアイデルたちへと移り変わった。場面は変わり、クロニクル学園の運動場では、ジョンアイデルが数十周もの走り込みを続けていた。ジョンアイデルは、疲労感という感覚が麻痺していたため、数十周も走り続けているにもかかわらず、どこか虚ろな表情をしていた。ジョンアイデルの様子をじっと見つめていたクレティアは、確信したように呟いた。
「やはり疲労感という感覚はなくなってる、普通はあんだけ走れば疲れたりするのに」走り終えたジョンアイデルは、虚ろな瞳で、自問自答するように呟いた。
「俺、やはり、変なのかな…味も感じない…そして、疲れも感じない…試練をクリアするぶん、何かを失っていく、自分が自分でなくなるのかな…」ジョンアイデルの不安な言葉に、クレティアは何も言わず、ただ優しく彼を抱きしめた。そして、彼の耳元で確かな愛を囁くように言った。
「ワタシは何があろうとジョンを愛するよ、だって、君のことは……どんな風に変わっても、ワタシの大切なジョンだから」クレティアの愛を感じながらも、ジョンアイデルは未来への不安を口にした。
「いつかは何も感じなくなるのかな…、温もりも…痛みも…きっと…、そんなことなら目指さないほうがいいのか…、神になるってことはそういうことなのか」ジョンアイデルの嘆きを聞いたルミカは、彼の背中を叩き、奮い立たせるように言った。
「何のために神になることを目指すの?ジョン、しっかりしなさいよ!失ったモノが戻らないわけではない、今は試練のときだよ」ルミカの言葉に、クレティアは苦しげな表情で反論した。
「ルミカ、少しは考えなよ!ジョンは一部の感覚を失ってるのよ、試練でも辛いものは辛い!それを我慢しろとでも言うの…、しかも、取り戻せるという確証もないのに」 クレティアの苦しみに、ルミカは心を鬼にして答えた。
「ワタクシの目的はあくまでもワルプルギスの目的を達成させること!そのためには君とジョンの神格化は不可欠!何が何でも成し遂げなくてはいけない!」ルミカの言葉を聞き終えたクレティアは、冷静な口調で言った。
「やはり、そういうことだったのね、アンタの魂胆は差別や偏見をなくし共存できるようにするはあるが考えが違うね、どことなく手段を選ばない感じがするわ」クレティアの言葉に、ルミカはまるで裏切られたかのように、ショックを隠せない様子で言った。
「手段を選ばない?そのように見えてたなんて心外!それって結局はワタクシのことを真から信じてなかったわけじゃない、仲間以前にそもそも家族なのにそんな気持ちだったとは……」ルミカは何も言わずに踵を返した。その背中に向かって、クレティアは力強く言った。
「ワルプルギスとしての目的を達成するなら達成してもいい。神になることは変わらない!だが、あなたにはジョンを渡すわけにはいかないわ!ジョンを道具のようにしか見てないわけだし」クレティアの言葉に、ルミカは冷静な声で反論した。
「誰を選ぶかはジョンが決めること。ワタクシか、貴女か、それとも両方か。あるいは、他に道があるなら、それも許容するわ」クレティアとルミカの言い争いを止めようと、ジョンアイデルは口を開きかけたが、結局何も言えず、ただその場を離れることにした。
「ジョン、どこに行くの!」クレティアが心配そうに尋ねる。
「少し、落ち着いてくる」ジョンアイデルはそう言って、歩き去った。開けた場所に一人佇むジョンアイデルは、自らに言い聞かせるように言葉を紡いだ。
「俺は確かに犠牲になるなら自分自身と言った、感覚がなくなって神になったら二度と戻らなくなるかもしれない、だけど立ち止まれない!立ち止まったらいけないんだ!神格者になれなかった人の分も頑張らなくてはいけない!だったら、感覚がなくなっても前に進むしかない!無駄にはできない」ジョンアイデルは、静かに目を閉じ、自らに言い聞かせるように呟いた。
「今までやってきたことを無駄にしないため、そして神になることを誓う。なれなかった者のために、選ばれた運命を背負い、進むための決意だ」ジョンアイデルが決意を新たにしたその時、突如として空間が歪み、二つの異質な存在が現れた。
「お前が、ジョンアイデルか、なるほどな!我こそはジャックのベヒモス!」
「そして、俺はキングのシズズ!」ベヒモスとシズズの出現に、ジョンアイデルは顔をしかめ、苛立ちを露わにした。
「クリミナルデビルか、このタイミングになんだよ!」ジョンアイデルの言葉を聞いたシズズは、ニヤリと笑い、意外な言葉を口にした。
「お前、迷ってるだろう!だったら俺たちの仲間になれ!そうだな、ボスに頼んで特別な地位につかせてやるぜ!」シズズの誘いに対し、ジョンアイデルは顔をしかめ、強い口調で言い放った。
「断る!お前らのやり方は今まで散々見てきた!あんな悪どいことに手を貸せるか!」ジョンアイデルの拒絶に、ベヒモスは薄ら笑いを浮かべ、含みのある言葉を告げた。
「そうか、だが、お前は世界を滅ぼす可能性がある、スペルヴィア様とは違った方法でな」 そう言い残し、ベヒモスとシズズは空間の歪みと共に姿を消した。ベヒモスとシズズが消えた後、安堵する間もなく、空間が激しく震え、ルクスリア、アヴァリティア、そして、信じられないことにリヴァイアサンという、圧倒的な力を持つ存在たちが現れた。ルクスリアとアヴァリティアと共に現れたリヴァイアサンは、他のクリミナルデビルとは一線を画し、微笑みを浮かべながらジョンアイデルに近づき、友好的に挨拶をした。
「なるほど、君がジョンアイデルか、はじめまして、アタシがクイーンのリヴァイアサン、 よろしく」リヴァイアサンの友好的な態度に、ジョンアイデルは戸惑いを覚えながらも、どこか惹かれるものを感じていた。ジョンアイデルの動揺を察知したかのように、リヴァイアサンは妖艶な笑みを深めて、さらに意外な言葉を囁いた。「君、共存と差別や偏見をなくすことを目的としてるんだよね、素敵な考えだよね、ねぇ~、秘密裏にだけど君と私で手を組まないかしら」リヴァイアサンの提案に、ジョンアイデルは一瞬ためらったものの、決意を固めて答えた。
「いいでしょう、ただし、俺は試練を受けて感情が薄くなる可能性も考えられますが」 ジョンアイデルの言葉を受け、リヴァイアサンは宝珠のようなものを取り出し、ジョンアイデルの頭に優しく触れさせた。すると、宝珠は光を放ち、ジョンアイデルの身体に吸い込まれるように消えていった。
「今のは魔科学道具だよ、感情が希薄になっても秘密裏の協力関係を忘れさせないアイテム」 リヴァイアサンは、優しい笑みを浮かべた。魔科学道具が同化したのを確認し、ジョンアイデルはリヴァイアサンに率直な感想を伝えた。
「リヴァイアサンはやはり他のクリミナルデビルとは違いますね、なんというか、穢れを感じないんですよね」ジョンアイデルの言葉に、リヴァイアサンは肩をすくめ、自身の立場について説明を始めた。
「アタシは魔科学の開発研究実験が主だしね、それを広めれるための実験場にクリミナルデビルにいるだけだからね、差別や偏見は受けたが別に復讐しようとか認めてもらおうとかは思ってないし」ジョンアイデルは、今後の協力関係について話し合うため、リヴァイアサンに尋ねた
「秘密裏で集まるためのところとかは決めておきますか?」 リヴァイアサンは、軽く肩をすくめて答えた。
「別に決めなくてもいいんじゃ、アタシはある程度自由だし、何か作っても実験研究のためと言えばいいわけなんだし」ジョンアイデルは、リヴァイアサンとの秘密の協力関係を確実なものにするため、念を押すように言った。
「そうか、まあ、このことは誰にも言わないほうがいいな、ルミカにもクレティアにもね」




