エピック18【ロンドニア:ジョースター家本家】
ジョンアイデルたちは、古風な建物と近代的な高層ビルが混在するロンドニアの街に降り立った。 活気に満ちた喧騒、独特の空気、そして歴史の重みを感じさせる街並みは、彼らを圧倒した。ジョンアイデルは、複雑な表情で言った。
「この街に…、そうか、ジョースター家の本家があるか…、俺のルーツ…、だけど…、一体、何を見つけられるんだろう…、不安と期待が入り混じる…」クレティアは、ジョンアイデルの目をまっすぐに見つめ、力強く言った。
「大丈夫だ、ジョンアイデル!君ならできる! 信じて!うまくいく!」 彼女の言葉には、揺るぎない自信が込められていた。クレティアの優しい笑顔と、温かい言葉。 それらは、ジョンアイデルの心を包み込み、彼の不安を優しく癒していった。 彼の肩の力は抜け、固く結ばれていた拳も自然と解けた。 彼の瞳には、再び光が戻ってきた。
「あのジョースター家…、油断はできないわ。やはり、裏ルートを通るしかないわね。」ルミナは、低い声で言った。ジョンアイデルは、彼女の言葉に同意するようにうなずいた。
「そうだな…、監視の目を逃れるには少しでも人通りの少ない道を選ぶしかない。少しでもリスクを減らさないと…」ルミナは、キラキラと輝く瞳で言った。
「人通りの多い場所でも大丈夫よ! 隠蔽透過魔法を使えば、まるで幽霊のように、彼らの監視の目をすり抜けることができるの!この魔法さえあれば、どんな警戒網だって突破できるわ!」
「隠蔽透過魔法は便利だけど、魔力痕跡は残るから頻繁には使えないし、長時間の使用は危険だ。」ジョンアイデルは説明した。 その時、ルクスリアが、優雅に現れた。
「あらあら、どうしたの? 困った顔をしているじゃない! 何かお手伝いできることでもあるかしら?」彼女の軽妙な言葉遣いは、緊迫した雰囲気を和らげるどころか、かえって不気味さを増幅させた。ジョンアイデルたちは、緊張した面持ちでルクスリアを見つめた。 ジョンアイデルは、低い声で尋ねた。
「ルクスリア…、まさか、ジョースター家から何かを聞かされたのか?」ルクスリアは、意味深な笑みを浮かべながら答えた。
「あらあら、そんなことではないわよ。…ただ、君たちをちょっとだけ、手助けしたいと思っただけよ。」彼女の言葉には、何か隠された意図が感じられた。クレティアは、怒りを込めてルクスリア、いや、アスモディンを睨みつけた。
「ルクスリア… 、いや、アスモディン! お前、一体何企んでいるんだ! まさか、ジョースター家と手を組んでいるのか!?答えろ!」ルクスリアは、涼しい顔で答えた。
「あらあら、そんなに怒らないで。ジョースター家とアテチは無関係。アテチとしては、ジョンアイデルが一つになることが最善なのよ。そうすれば、全ての争いが終わるでしょう?違う?」クレティアは、冷静な口調でアスモディンを問い詰めた。
「あなたの行動には、一貫性がない。ミクスタッド家からの失踪、犯罪組織への関与、そして今回の行動… これら全てに、共通する目的が見当たらない。一体、何を企んでいるのか、明確に説明してもらいたい。」
ルクスリアは、狡猾な笑みを浮かべながら言った。
「アテチは、常に最善の選択をするのよ。ミクスタッド家を出たのも、貴方のせいよ。貴方に継承権がある以上はアテチが家を出るしかなかったのよこれは、貴方のためでもあるのよ。」ルミカは、アスモディンを非難すると同時に自身の後悔を吐露するように言った。
「大バカ者!継承権がなくても、ミクスタッド家に残っていれば、それなりの立場を得られたはずなのに!なぜ、そんな愚かな選択をしたんだ! そして、私も… もっと強めにお前を止めるべきだった…」ルクスリアは、強い口調で反論した。
「止めるぅ〜?そんなこと、簡単には言いわないでくれるかしら!あなた達は、アテチを理解しようとしなかった。両親だって、アテチを気にかけてくれなかった。だから、私は自分で自分の道を切り開くしかなかったのよ! これは、アテチの権利なの!」ジョンアイデルは、リーダーとしての威厳を示すように言った。
「静かにしろ! 今は、家系の内情を話し合う時ではない!この話は、後で改めて話し合おう。クレティア、お前も今は我慢しろ。ルクスリア…、彼女は、我々の計画に利用できる。今は、彼女の力を借りる時だ。」ルクスリアは、皮肉を含んだ笑みを浮かべながら言った。
「アテチを、思う存分利用してください。今は、あなた方の作戦のための駒です。しかし、覚えておいてください。アテチは、いつでもこのゲームから降りることができます。」
「裏ルート… 、ちょっと危険だが、一番の最短距離だ。」ジョンアイデルは、そう呟きながら、路地裏へと足を踏み入れた。 彼の心には、不安と緊張が入り混じっていた。しかし、彼は、仲間たちを守るため、この危険な道を進むことを決意していた。仲間たちも、彼の決意を理解し、黙々と彼に続いていった。危機一髪だった。 裏路地に潜む衛兵の天族に発見された。
「見つけたぞ!」彼らは、武器を構え、襲いかかってきた。ジョンアイデルは、ルクスリアに叫んだ。
「ルクスリア、頼む!」ルクスリアは、状況を一瞬で把握すると、衛兵の天族の一人に近づいたそして、予想外の行動に出た。それは、大胆なキスだった。そのキスを受けた衛兵の天族は、そのまま恍惚の表情を浮かべ気絶した。その光景は、他の衛兵の天族たちを一瞬にして呆然とさせた。妖艶な笑みを浮かべ、ルクスリアは残りの衛兵たちに投げキスを繰り返した。その投げキスは、まるで魅惑の呪文のように、衛兵たちを次々と気絶させていった 彼らの目は、恍惚とした表情で閉じられ、ゆっくりと地面に倒れていった。ルクスリアの行動に、ジョンアイデルは驚きを隠せない。
「あの能力…、まさか、あんなことができるなんて…、ルクスリアの能力は、完全に侮れないな。」クレティアも、警戒の色を強めた。
「確かに以前は、そんな能力はなかったはず。家出以降、何かがあったに違いない。これから、彼女をどう扱うか、慎重に考えなくてはならないな。」長い道のりを経て、一行はついにジョースター家の本家の屋敷に到着した。ジョンアイデルは、複雑な表情で屋敷を見つめた。 故郷でありながら、同時に、多くの苦い思い出が詰まった場所。クレティア達やルクスリアも、それぞれ異なる思いを抱きながら、屋敷を仰ぎ見ていた。ジョースター家本家の屋敷は、神聖な光に包まれていた。その光は、強力な結界の証だった。ジョンアイデルが屋敷に近づくと、結界は彼を優しく、しかし確実に拒絶した。
「予想通り…」彼は、静かに呟き、8つの星の宝石を取り出した。宝石は彼の掌の中で輝きを増し、空中に浮かび上がり、神々しい八芒星を形成した。その光景は、まるで、古代の儀式を思わせるような、神秘的な雰囲気を漂わせていた。8つの宝石が八芒星を描き、まばゆい光を放つ。結界が消え去る瞬間、ジョンアイデルの心には期待と不安が入り混じった。 彼は、これから待ち受ける運命に対する覚悟を決め、屋敷の扉を開ける準備を整えた。ジョンアイデルは、拳を握りしめ、力強く宣言した。
「これで進める! クローンとの決着をつけるぞ!」彼の声には、揺るぎない決意が込められていた。ジョースター家本家の屋敷内、広大な部屋。 その中心に、ジョンアイデルと瓜二つのクローンが立っていた。 彼の表情は、本物と全く同じだった。 しかし、その瞳には、冷酷な光が宿っていた。
「予想通り、フフフフフ、ここまで来るがいい!」彼の言葉は、ジョンアイデルへの挑戦状だった。場面は移り変わり、ジョンアイデルたちはジョースター家本家の庭園にいた。そこは、広大で美しく整備された庭園だった。色とりどりの花々が咲き乱れ、噴水からは水が勢いよく流れ出ていた。 鳥のさえずりや風の音だけが、静寂を破る音だった。ジョンアイデルは、驚きの声を上げた。
「やはり…!この屋敷にも、近未来的な要素が組み込まれているのか!」ジョンアイデルたちは、屋敷の内部に足を踏み入れる。ジョースター家の屋敷は、まるで異次元空間のようだった。古風な建築様式と近未来的な機械が、神秘的に融合し、独特の雰囲気を醸し出していた。その空間には、時空を超えた何かが潜んでいるような、不思議な魅力があった。ジョンアイデルは眉をひそめて言った。
「おかしい…ジョースター家は、機械産業とは無縁のはずだ。それが、ここ数年で急に機械産業に手を出し、レプリカ計画にも加担しているとはな… 何か裏があるに違いない。」突然の出現に、ジョンアイデルたちは息を呑んだ。 二体のガードロボットは、まるで死を告げる使者のように彼らの前に立ちはだかっていた。金属の冷たさ、そして、そこから感じられる殺意… 恐怖が、ジョンアイデルたちの心を締め付けた。指揮者のような一体目のロボットは、おそらく戦略立案や指揮を専門とするタイプだろう。 黒いスーツは機動力、マントは防御、そして白い手袋は繊細な操作を可能にするための装備かもしれない銀色の頭部は、高度な計算処理ユニットを収めている可能性がある一方、鼓笛隊のような二体目のロボットは、攻撃専門のタイプだと推測できる。赤いボディは目立ちやすく、金色の装飾は、武器やセンサー類を隠蔽するためのカモフラージュかもしれない。ジョンアイデルは、専門用語を交えながら分析した。
「これは…、興味深い。生命体反応を示している…、通常の機械式ロボットとは異なる。ライブマテリアル技術を用いて、生物組織と機械構造を融合させた…、ライブマテリアルロボットの可能性が高い。その性能は…、想像をはるかに超えるだろう。」指揮者型のロボット、ロンドは、冷徹な眼差しで言った。
「我、ロンド。貴殿方の命運は、既に決まっている。」一方、鼓笛隊型のロボット、ボレロは、どこか楽しげな様子で言った。
「ボクはボレロ!さあ、楽しい戦闘を始めようぜ!」ルミナは、自信に満ちた笑顔で言った。
「生命体だろうが、ロボットだろうが、ボクにとっては大した違いはないもんね。」彼女は、自分の能力を完璧に掌握していた。液体金属を操り、銃を作り、弾丸を装填する動作は、まるで芸術のようだった。そして、彼女は、ボレロに向けて、液体金属の弾丸を発射した。その弾丸は、間違いなく、ボレロを仕留めるだろう。ルミナの液体金属弾はボレロの胸部に命中、赤いボディに小さな穴が開き、そこから火花が散った。ボレロは一瞬よろめいたが、すぐに動きを再開しようとした。しかし、その瞬間、指揮者型ロボットのロンドが動き出した。ロンドは、ボレロの損傷箇所に触れると、その部分から銀色の光が流れ出し、穴はみるみるうちに塞がっていった。修復は一瞬で完了し、ボレロは元の状態に戻った。ルミナは、眉をひそめて言った。
「予想通り… 、ロンドは指揮支援型ロボットだったか。ボレロの修復速度から見ても、その能力は高い。この二人が連携している以上、油断はできない。かなり手強い相手だ。」ジョンアイデルは、戦況を分析し結論づけた
「ダメージを与え、片方を足止めするのが最善策だ」その言葉に、ルクスリアは目を輝かせた。
「ねえねえ、いい考えが浮かんだ! あのロボットたち、よく見ると半分生命体っぽいよね? しかも、指揮官型と戦闘型で…まるで異性みたい! もしかして、生命体としての本能を利用できるかも! ちょっと試してみようかな!」ジョンアイデルは、ロボットたちを改めて観察した。
「なるほど… 、よく見ると、指揮者型も戦闘型も、どちらも男性型のデザインだ。…そうか、ルクスリアが何をしようとしているのか、理解した。」ルミナは、鋭い眼光でボレロを見据えながら、液体金属の剣を振り下ろした。
「行くわよ!この程度で済むと思わないで!」金属の鋭い音が響き渡る。一方、ロンドは冷静に言った。
「ボレロ、損傷を確認。直ちに修復を開始する。」彼は、ボレロの修復に全力を注ごうとしていた。その様子を横目に、ルクスリアは、挑発的な笑みを浮かべながらボレロに近づいた。
「ねえねえ、ちょっとだけ…、アテチのことを見てくれない?」彼女の妖艶な姿は、ボレロの注意を惹きつけるのに十分だった。ロンドの内部システムに、異変が起きた。
「警告! 異常な信号受信!…こ、これは… 制御不能…?」彼の動きは、徐々に遅くなっていった。ルクスリアの策略は、彼の制御システムに直接干渉し機能を停止させようとしていた彼の視線はルクスリアに釘付けになり、修復作業の手は止まった。ルクスリアの策略は成功した。ロンドは完全にルクスリアに魅了され、動きを止めていた。ルクスリアは、その光景を見て、満面の笑みを浮かべた。
「やったー!見事成功よ! これで、ボレロを倒すのも時間の問題ね!」
「よーし、ルクスリア以外はボレロに集中攻撃だ!」ジョンアイデルの号令が響き渡る。クレティアは、炎の精霊イフリートを召喚。イフリートは、巨大な炎の塊をボレロに叩きつけた。ルミナは、液体金属の剣を操り、ボレロのボディを次々と切り裂いていく。ルミカは、鋭い剣を振り回し、ボレロに連続攻撃を仕掛ける。アイリスは、神聖な力を込めた魔法の玉を放ち、ボレロを聖なる光で包み込んだ。 そして、最後にジョンアイデルが、渾身の力を込めてボレロの胸元に拳を打ち込んだ。ボレロは、最後の力を振り絞って報告した。
「ビビビビビ…、ビガーーー!もう… ダメだ…、損傷90%以上…、か、活動停止…!」彼の声には、絶望が込められていた。ボレロの赤いボディは、無数の傷で覆われていた。彼の目は、最後の輝きを放つように、ゆっくりと点滅した。そして、静かに消えた。その瞬間、彼のボディ全体から、青白い光が激しく放電され、周囲を照らした。それは、まるで花火のようだしかし、それは、ボレロの死を告げる光だった。全ての光が消え去るとボレロは静かに倒れた。
「し、しまった、ボレロ!」ロンドは慌てふためいた。ルクスリアはすかさずロンドに金的を食らわせた。
「そーれー」ロンドの内部システムから、異常なノイズが発生した。それは、悲鳴にも似た、機械的な悲鳴だった。
「ギィィィィ… 、グワーッ…!」その音は、彼の機能が崩壊しつつあることを示していた。ロンドは、ルクスリアの卑怯な戦法に激怒した。
「オノレェー!お前、男の弱点を意図的に突くとは…、卑怯だぞ!」彼は、ルクスリアの策略にまんまと嵌められたことに、激しい怒りを覚えた。ルクスリアは、そんなロンドの怒りを嘲笑うように言った。
「有効打を与えるのは、戦いの基本よ。男として作られたのが、貴方の不幸だっただけよ」彼女の言葉は、ロンドの怒りをさらに増幅させた。ロンドの顔は、怒りで歪み始めた。 彼の目は、血走っていた。 ルクスリアの言葉は、彼の怒りに油を注いだ。怒りは、彼の理性さえも蝕み、彼の心に、殺意が芽生えた。
「テメー… 、殺す…!」彼の声は、震えていた。ロンドの怒り狂った表情を見て、ジョンアイデルはニヤリと笑った。
「おっと、そうはさせねぇーぜ!これでもくらえぃ!」 彼は、アメリカンクラッカーをロンドの額に投げつけた。クラッカーは音を立ててぶっつかる。その姿は、まるで、いたずら好きな少年のようだった。ロンドの怒りは、一瞬にして消え去った。ジョンアイデルは、ニヤリと笑った。
「ヘーイ!俺達を忘れてもらっちゃ困るぜぃ! バッドガイ!」彼の言葉には、悪戯心が満ち溢れていた。彼は、まるで子供のような無邪気さで、そう言った。ジョンアイデルのいたずらっぽい言葉は、ロンドの怒りをさらに増幅させた。ロンドは、もはや笑ってはいられなかった。
「ギガガガーーー!おちょくるでない!」彼は激昂した表情で、細い刃の片手剣と、盾のようなものが付いた片手杖を取り出した。戦闘は、再び始まるだろう。ジョンアイデルは、軽く手を動かすだけで、小麦玉を生成したそれは、彼の能力の証だった。
「ならば、これでも喰らえぃ!」彼は、生成した小麦玉を、勢いよくロンドに投げつけた。小麦玉は、空気を切り裂くように飛んでいった。ロンドは、ジョンアイデルの攻撃を軽蔑するように言った。
「そんなもん」彼の肩から、鋭い音が響き渡ったそれは、ランチャー弾の発射音だった。弾は白い閃光を放ちながら、小麦玉に直撃した。そして、あたり一面が、白い煙で覆われた。視界は、完全に奪われた。煙が晴れ始めかけたその時、ジョンアイデルはニヤリと笑った。
「そう来ると思ったぜ、クレティア」 彼の言葉が、静寂を破った。そして、彼は、召喚の呪文を唱えた。
「行くぞ!イフリート!」炎の精霊イフリートが、彼の前に現れた。イフリートは、巨大な炎の塊をロンドに吐き出した。その瞬間、粉塵爆発が起きた。それは、まるで、巨大な火球が爆発したかのようだった。 まばゆい閃光と轟音、そして、舞い上がる砂塵。アイリスが張ったバリアでジョンアイデルたちは守られたが、ロンドは、その衝撃をまともに受けた粉塵爆発の後、ロンドは、ジョンアイデルへの怒りを露わにした。
「小賢しい真似しやがって!」彼は、杖を振り回し、複数の魔法弾を発射した。それは、彼の怒りの表れだった。しかし、ジョンアイデルは、その攻撃を冷静に受け止め、複数の魔石を投げ放った。それは、彼の冷静さと、戦闘経験の豊富さを示していた。ジョンアイデルが投げ放った魔石は、ロンドの魔法弾と激しく衝突した。 激しい衝撃音と共に、魔石は粉々に砕け散った。魔石のかけらは、四方八方に飛び散った。しかし、驚くべきことに、ロンドの魔法弾は、魔石との衝突によって消滅した。砕けた魔石の欠片は、光の軌跡を描いて飛び散った。 鋭く尖った破片は、壁や柱に突き刺さり、鮮やかな傷跡を残した。 それらは、まるで、無数の小さな刃が飛び交っているかのようだった。一方、小さな欠片は、地面に降り注ぎ、砂埃を舞い上げ、一瞬にして戦場を荒廃させた。ジョンアイデルの策略は見事だった。
「またまたやらせてもらいましたぁん!魔石が砕けるのは想定済み!」彼は、魔石の粉砕を、電磁波攻撃の増幅器として利用したのだ。砕けた魔石の無数の破片は、電磁波を集束させ、ロンドへと集中砲火した。 それは、彼の知略と、戦闘能力の高さを示す、完璧な攻撃だった。 ロンドは、その攻撃に圧倒された。ロンドの怒りは、制御不能になっていた。
「ムキィーーーーー!まだ、コケにするかぁぁぁ!?貴様ぁぁぁ!もう許さん!」彼の叫び声は、戦場に響き渡った。彼は、細剣を手に、ジョンアイデルへと襲いかかった。彼の動きは、怒りに燃えていた。ロンドは、細剣を振り回し、ジョンアイデルに襲いかかろうとしていた。その時、ルクスリアが動いた。彼女は、驚くべき素早さで、ロンドの足を引っ掛けた。ロンドは、バランスを崩し、地面に倒れた。ルクスリアの奇襲により、ロンドはバランスを崩し、地面に倒れた。
「グガガガ!」彼は、地面に激しく叩きつけられ、衝撃で顔が歪んだ。そして、彼の顔には、クラックのようなヒビが入った。顔には深いヒビが入り、オイルの血が流れ出ている。 激しい痛みは、彼の全身を駆け巡っていた。
「おのれぇ!我が顔に…」しかし、彼は、その痛みを無視するかのように立ち上がった。彼の瞳には、屈しない意志が宿っていた。彼の闘志は、肉体の痛みをはるかに凌駕していた。敗北の危機、そして、最後の手段。ロンドの心は、葛藤に揺れていた。しかし、彼は、決断した。
「こうなりゃ、仕方ない」彼は、ボレロの機体の頭を握った。それは、彼の最後の希望、そして、彼の全てを賭けた決断だった。ロンドがボレロの機体の頭を握った瞬間、ボレロの肉体に変化が起こった。ボレロの粒子がロンドに吸収されるにつれて、彼の体から発せられるオーラが変化していった。それは、まるで、新たな生命が誕生する瞬間のようだった。そして、そのオーラが収束した時、そこには、両肩に送風機を備えた鎧と、ジャージのようなズボンを身につけた、全く新しいロンドの姿があった。その劇的な変化にジョンアイデルたちは、言葉を失い、ただ、その光景を呆然と見つめていた。ジョンアイデルたちの驚愕をよそに、ロンドは、自身の新たな形態に満足げな笑みを浮かべた。
「ボレロンドとでも言おうかな、この形態は!」彼の言葉が終わると同時に、彼の両手に、武器が現れた。片手には、刃が取り付けられた、独特な形状の杖、もう片方の手には、彼の体を守るための盾。その姿は、まさに、新たな戦いの始まりを告げていた。
「こんな形態になろうとは」ルミカは、ボレロンドの姿を冷静に見つめながら言った。彼女の言葉には、驚きと分析的な視点が込められていた
「でも、勝機はあるはず」クレティアは、ルミカとは対照的に、前向きな言葉を口にした。彼女の言葉には、希望と強い意志が感じられた
「ならば、こっちも奥の手と行くか、ベディヴィエール!お前の力、纏わせてもらうぜ!魔天依!」ジョンアイデルは、そう言い放つと、その姿を大きく変えた。茶髪に白メッシュ、灰色の服、銀色の小手。その姿は、以前の彼とは全く異なり、冷酷さと、知性を感じさせた。彼は、新たな力を手に入れ、勝利への道を切り開こうとしていた。クレティアの目は、輝いていた。
「これが魔天依か!」彼女は、興奮を抑えきれない様子で言った。 ジョンアイデルの変身は、彼女にとって、大きな衝撃だった。 それは、単なる戦闘形態の変化ではなく、彼の成長と、可能性の開花を意味していた。
「ジョンアイデルにしかできない技」 彼女の言葉には、感動と、彼の未来への期待が込められていた。
「さあてと、荒仕事と行くか!」 ジョンアイデルの拳から放たれたのは、眩い光を放つ爆発弾だった。それはまるで、小さな太陽が飛び出したかのようだった。爆発弾は、凄まじい速度でボレロンドへと向かい、彼の体に命中した。その瞬間、強烈な閃光が戦場を包み込んだ。ジョンアイデルの爆発弾の直撃を受けながらも、ボレロンドは倒れなかった。
「ギガーー、シーーット!」 彼は、激痛に顔を歪ませながらも、両肩の送風機を全力で稼働させた。そこから凄まじい勢いの風が吹き出した。ボレロンドの猛烈な風圧にも動じず、ジョンアイデルは冷静さを保っていた。
「そんなもん!」彼は、そう言い放つと、地面から岩を生成した。 それは、巨大な岩塊で、彼の意思によって自在に形を変えていた。そして、彼はその岩塊をボレロンドの送風機めがけて、力強く投げつけた。
「ギガグゥーーー」ボレロンドの送風機は、ジョンアイデルの岩塊によって破壊された。彼は、その衝撃に耐えきれず、大きくよろめいた。彼の顔には、驚きと、怒りが混ざり合った表情が浮かんでいた。 彼の攻撃手段の一つを失ったことで、戦況は大きく変化した。送風機の破壊は、ボレロンドにとって大きな痛手だった。 しかし、彼は、すぐに立ち直った。 破壊された送風機は、新たなアーマーへと変貌を遂げた。
「貴様〜〜!」 彼の叫び声には、怒り、そして、復讐の炎が燃え上がっていた。彼は、刃杖を振り回し、ジョンアイデルへと容赦ない攻撃を仕掛けてきた。ボレロンドは、ジョンアイデルに襲いかかっていた。その時、ルクスリアが動いた。彼女は、彼の足を巧みにひっかけた。
「えーい!」その瞬間、ボレロンドは、バランスを崩し、地面に倒れ込んだ。彼は、驚きと、怒りを顔に浮かべていた。
「この女郎!またもやりやがったな!」ボレロンドの刃杖は、ルクスリアの胸元へと迫った。それは、避けられない死を意味する、一撃だったしかし、その直前、ルミナの液体金属の盾が、ルクスリアの前に現れた。金属の光沢が、ボレロンドの刃を反射し、その攻撃を無効にしたそれは、ギリギリの攻防だった。ルミナがボレロンドの攻撃を防いだ直後、クレティアは、素早く銃を構えた。
「これでおわらせるかな」彼女は、冷静な声で言い放つと、ボレロンドの胸に、正確に狙いを定め、銃を連射した。銃口から火花が散り、銃弾が、次々とボレロンドの体を貫いた。ボレロンドの目は、まるで、故障した電球のように、点滅を繰り返したその光は、次第に弱くなっていき、最終的には消え失せた。 そして、彼の体からは、青白い光が、稲妻のように走った。それは、彼の内部機構が、完全に停止したことを意味していた。ボレロンドの機能停止を確認してジョンアイデルは、前向きな言葉を口にした。
「よーし、これで先に進めるな」彼の声は、安堵と、決意に満ちていた。ルクスリアは、ルミナに疑問を投げかけた。
「ねえ、ルミナ、なんでアテチを守ったの?」彼女の声には、疑念と、少しの不安が混ざっていた。ルクスリアの問いに対し、ルミナは、冷静に答えた。
「今はアンタもジョンアイデルに役に立つ者の一人だからだよ」彼女の声は、落ち着いており、説得力があった。ボレロンドを倒したことで、ジョンアイデルたちは、新たな自信を手に入れた。彼らは、迷うことなく、先に進んだ。そして、彼らの前に、巨大な扉が現れた。それは、彼らの前に立ちはだかる、最後の試練の象徴だった。しかし、彼らは、恐怖を感じなかった。彼らは、その扉の先へと進むことを決意していた。巨大な扉。 その向こうには、何が待ち受けているのか。 ジョンアイデルは、その扉から、かすかな気配を感じ取った。それは、彼にとって、あまりにも良く知っている気配だった。クローンの気配だ。
「近い、クローンの気配が、この先か…」彼の声は、震えていた。それは、恐怖のせいではなく、興奮と、緊張のせいだった。ジョンアイデルは、扉を開けた。その様子を、ルクスリアやルミナたちは、固唾を呑んで見ていた、彼女らの目は、ジョンアイデルの背中を追いかけていた。ジョンアイデルは、彼女らを振り返ることなく、その先へと進んでいった。彼の決意は、揺るぎないものだった。クローン・ジョンアイデルは、本物とは異なる性格を持っていた。彼は、冷酷で、計算高く、そして、傲慢だった。 彼は、本物のジョンアイデルとその仲間たちを、上から目線で見ていた。
「ほう、ここまで来たことは褒めてやるよ、オリジン!しかし、また女をこんなに侍らせてくるとは」彼の言葉は、相手を侮辱する意図が明確に感じられた。クローンの挑発に対し、ジョンアイデルは、冷静さを保っていた。
「くだらん余計な一言を言うな!女性達は関係ない、重要なのは俺とお前の決着だ!」彼の声は、静かで、しかし、自信に満ちていた。彼はクローンの言葉に惑わされることなく、自分の目的を達成することだけを考えていた。クローンは、狂気に満ちた笑みを浮かべた。
「そうか!まあ、今は女性には手を出さん!なんせ、楽しみには取っておくが、そう、この私がお前と融合して主導権を握った暁にはそこの女性は私のものとなってもらう」 彼の言葉は、常軌を逸しており、聞いている者を震え上がらせた。ジョンアイデルは、クローンの狂気に圧倒されることなく、冷静に答えた。
「そう、思う通りにさせるわけないだろ」彼の目は、クローンを捉え、決して離さなかった。




