エピック17【ブリタニア】
グリッドシティ空港。緊張感に包まれたVIPラウンジ。ジョンアイデルたちは、周囲の警戒を全く感じさせない雰囲気の中、ワルプルギスの専用機へと歩みを進める。彼らの移動ルートには、多数の警備員が配置され、その視線は鋭い。専用機への搭乗は、まるで、秘密裏に実行される任務のようだ。アイリスは、専用機の搭乗口で、ジョンアイデルに声をかけた。
「あの~、ジョンアイデル様~…、私も、一緒に…ブリタニアへ…、連れて行ってもいいのですか?」彼女の言葉は、少し震えていた。ジョンアイデルは、彼女の不安そうな表情を見て、優しく手を差し伸べた。
「もう俺たちの仲間だ、お前を置いていくなんかしない。」彼の温かい言葉に、アイリスの頬は紅潮した。彼女は、照れくさそうに目を伏せなが
ら小さな声で呟いた。
「置いていかない…、それって…、プロポーズですか? いやーん、まだ早いです~。」ルミカは、冷静な口調で言った
「アイリス、落ち着きなさい。ジョンアイデルが仲間として連れていくのは当然のことです。それをプロポーズと解釈するのは、少し早計ではないでしょうか? 聖女としての冷静さを保ちましょう。」機体の扉が閉まり、静寂が訪れる。ジョンアイデル達は、静かに座席に腰掛け、窓の外の風景を眺める。仲間たちと、これから訪れるブリタニアへの旅路。それは、彼らの人生を大きく変える旅になるだろう。エンジンが力強く回転を始め、機体は、未来へと飛び立っていく。ブリタニアへの旅が始まったのだ。機体は、ブリタニアの空港に着陸した。 着陸の衝撃は、想像以上に小さく、スムーズだった。しばらくして、専用機の扉が開き、ジョンアイデルたちは、降り立ったブリタニアの大地に足を踏み入れた。そこは、彼らがこれまで見たことのない、異国の地だった。ブリタニアの穏やかな空気を吸い込みながら、ジョンアイデルは言った。
「ブリタニアは、天族と精霊と人間達が共存しているらしいな。一体どんな仕組みなんだろう?」クレティアは優しく微笑み問いかける。
「興味深いですね。平和な共存関係が築かれているのかしら?」 ルミナ静かに語る
「精霊… 、不思議な存在よね。」ルミカは感嘆する
「本当に珍しいことだわ。普通は、そんな共存関係は成り立たないものなのに。」アイリスは穏やかに言った。
「もし、天族と協力できるなら、素晴らしいですね。」程なくして、天族の警備隊が現れた。 隊長の様な男は、ジョンアイデルたちを冷静に見つめ告げた。
「おや、君たち、国外から来たものですね。」そして、ジョンアイデルの手の甲と首後ろにある星の痣に視線が止まり、男は姿勢を正し、敬意を込めて尋ねた。
「あなたは…ジョースター家の血筋のものですか?」天族の警備隊長の鋭い視線は、ジョンアイデルたちを威圧するかのようだった。 しかし、ジョンアイデルは動じることなく、軽く笑みを浮かべると、手の甲と首の星の痣をちらりと見せた。
「そうとも、俺はジョンアイデル、ヨロピクねぇ~」その軽妙な返しに、警備隊長は一瞬、戸惑いを隠せない様子だった。ジョンアイデルの軽い口調に、クレティアは眉をひそめた。
「って、ジョンアイデル、お前は、貴族の血筋なんだからもう少し礼儀をわきまえろよ。」彼女の言葉は、冷静で、しかし、毅然としていた。しかし、天族の警備隊は、クレティアだけでなく、ルナル、ルミカ、アイリスに対しても、警戒を解く様子はなかった。ルミナは、やや挑発的な口調で尋ねた。
「あの…、もしかして、ボクたちの通過を妨げるおつもりですか?」アイリスは、穏やかにルミナをたしなめた。
「ル、ルミナさん、もう少し穏やかに…。」クレティアは、優しく微笑みながら、ペンダントを取り出した。
「ワタシはミクスタッド国の皇族ですよ。このペンダントが、ワタシの身分を示しています。」 天族の警備隊は、クレティアの穏やかな態度とペンダントに安心し、クレティアへの警戒を解いた。警備隊員は、威圧的な態度で言った。
「身分を証明しろ!どんな家系であろうと、証明がなければ通過は許さん!」アイリスは、少し怯えながらも、フォンテュ家の杖を差し出した
「これは…フォンテュ家の…杖です…証明になりますか」警備隊員は、杖を睨みつけながら確認し、ようやくアイリスへの警戒を解いた。ルミカは、堂々とした態度で言った。
「私はクレティアと同じく、ミクスタッド皇族です。同行者として、クレティアと共に旅をしています。」彼女は、余裕のある様子で携帯端末を操作し、身分証明書を警備隊員に見せた。警備隊員は、すぐに身分を確認した
「承知いたしました。失礼いたしました。」敬意を払って頭を下げた。ルミカへの警戒態勢は解かれた。警備隊員は、丁寧な言葉遣いを心がけつつも、厳しい状況を伝えようとした。
「申し訳ございませんが、まだ身分が確認できていないのはそこのあなただけですね。何か身分を証明できるものをお持ちでしょうか? 提示いただけない場合、不法入国者として対処せざるを得ません。」状況を察知したルミナは、怒りに任せて液体金属を槍状に変化させ、警備隊員に突きつけた。
「お前、何する気だ!」警備隊員の威圧的な声にも動じず、ルミナは叫んだ。
「面倒だよ!倒してやる!」しかし、ジョンアイデルは、ルミナの衝動的な行動を阻止しようと素早く彼女の体を拘束した。
「はーなーせー!ジョンアイデル、ボクはこういうの嫌いなんだ!」ルミナの言葉には、苛立ちが隠せない。ジョンアイデルは、毅然とした態度でルミナを拘束し厳しく注意する。
「バカな真似をするな!捕まったら大変なんだぞ!刑務所だ!」それでもルミナは抵抗し続け、その激しい動きの中で、首飾りのトップが一瞬光った。黄色い六角形に金色の十字…。それは、何か特別な意味を持つもののようだった。警備隊員は、優しくルミナに声をかけた。
「あの…失礼ですが、その首飾り…ウリエル家の紋章に見えますが…。」ルミナは、穏やかに答えた。
「ええ、そうよ。どうしたの?」警備隊員は、微笑んでいう
「ああ、そうでしたか。失礼いたしました。最初から提示して頂ければよろしかったのに…。」そして、ルミナへの警戒態勢を解いた。
「ジョンアイデル…そろそろ…離して…。く、苦しいよ〜」ルミナは、少し苦しそうな表情で言った。ジョンアイデルは、ルミナの表情を見て、自分がルミナを強く抱きしめていたことに気づき、慌てて手を離した。
「ルミナ…、なぜ最初からペンダントを見せなかったんだ?あの警備隊員もすぐにわかっただろうに…」ジョンアイデルは、首を傾げた。ルミナは複雑な表情で答えた。
「…そうなんだけど… 、ボクは、狐の獣人と天族のハーフ… 、天族の血を隠したかった… 、だって、もしボクの力が知られたら… 、天族や他の者に利用されるかもしれない… 、研究のために血を奪われるかもしれない…、そんな恐怖があったからつい」ジョンアイデルは、ルミナを力強く抱きしめた。その力強い腕は、ルミナを守り抜くという強い意志を示していた。彼は、ルミナの耳元で囁くように言った。
「心配するな。誰にもお前を傷つけさせない。俺たちがいる限り、大丈夫だ。」安心した表情のルミナは、仲間たちに語りかけた。
「そうか…、仲間がいるんだ…、皆、お願い…、ボクは天族の力を継いでいる…、だから…、互いに助け合って、守り合おう…!」クレティアは力強く言う
「何を今更、最初からそう決まってたじゃないか!」 ルミカも強い意志を示した。
「天族とか関係ないよ! 大切な仲間は絶対に守る!」アイリスは、穏やかながらも強い決意を込めて言う
「ジョンアイデル様、私も仲間たちを守り、支えたいです。」ジョンアイデルは、地図を広げながら言った。
「アルビオンシティ…、ロンドニアから数十キロか…、まずは、ここで情報を集め、状況を把握する必要がある。 直接ロンドミアに向かうのは危険すぎる。ジョースター家…、あの家系の動きを予測し、対策を練らなければならない。」ルミナは、少し警戒しながら尋ねた。
「ジョンアイデル…、ロンドミアへは、どうやって行くつもりなの? 徒歩では到底無理だよね? 裏ルートを使うの?」ジョンアイデルは、落ち着いた声で答えた。
「もちろん、表向きには行かないよ、アイリスの訓練も兼ねて、アルビオンシティを出るまでは地上を移動するが、そこから先は… 、安全な非正規ルートを使う。心配するな。」ルミカは、ジョンアイデルの鋭い洞察力に感心しながら尋ねた。
「ジョンアイデル…、アイリスの能力…もしかして最初から分かっていたんですか?」ジョンアイデルは、自信に満ちた表情で答えた。
「ああ、ほぼ確信している。彼女は天依を使える。天依は、生まれ持った才能や能力から発現する特殊な技だ。その兆候を見逃すはずがない。」クレティアは、天依の特殊性を説明するように言った。
「天依は、非常に珍しい技なのよ。生まれ持った特殊な体質、才能と言えるもの…、使える者は、ほんの一握り…、その希少性ゆえに、非常に強力な技でもあるのよ。」ルミカは、アイリスに直接質問した。
「そう言えばアイリスさん、天族や聖職者の方々は、お酒を飲むことは許されているんですか?」アイリスは、聖職者としての立場から丁寧に答えた。
「聖職者については、適度な飲酒は問題ありません。しかし、酩酊状態になるほどの過度の飲酒は、職務に支障をきたすため、禁止されています。」ジョンアイデルは、アイリスの言葉を受けて言った。
「へえー、そうなんだ。ところで、天族は酒を飲むことはあるのかね?」 ルミナは、少し考えてから答えた。
「ええ、天族も飲むよ。ちなみに、亜人や亜人間、半亜人は15歳から飲酒可能で、人間は18歳から。ただし、タバコは聖職者や天族にとっては、穢れを取り込む行為とみなされることが多いので、禁忌とされているね。」静寂を切り裂くように、6体の天族が姿を現した。彼らは、まるで霧の中から現れたかのように、ゆっくりとジョンアイデルたちの前に現れ辺りは神々しい雰囲気に包まれた。 彼らの背後には、かすかに光る翼のようなものが感じられた。
赤い天族は、鋭い眼差しでジョンアイデルたちを観察した。
「同族の血筋を感じて…ここに来たのだ。…ウリエル家とジョースター家…、そして…、人間でありながら、これほどまでに気高い力を秘めた者たちが…いるとは 、ふむ、興味深い。」6体の天族が、ジョンアイデルたちを囲むようにして立っていた。青い鎧の男性天族が、赤い天族に注意した。
「モードレッド、落ち着け。彼らは我々と似た血筋を持っているようだが、他種と混ざっているようだ。」黄色の鎧の男性天族は、感情的に叫んだ
「ランスロット!そんなことはどうでもいい!まずは状況を見極めるのが先だ!」緑の服の女性天族は、冷静に状況を分析した。
「ランスロット、ガウェインの言う通りだ。血筋など関係ない。重要なのは、彼らが何者かだ。」 白い鎧の男性天族は、緑の女性天族をからかいながら、状況を面白がっていた。
「トリスタナ、今日は珍しく冷静だな。いつもなら、あの男にすり寄っているところだろう。」 黒い天族の女性は、白い天族をたしなめた後、ジョンアイデルへの視線を戻した。
「パーシヴァル、静かにしろ。…だが、あの男…確かに魅力的だな。」ジョンアイデルは、天族たちの名前を一つずつ確認していった。
「なるほど…、アーサー王伝説の人物名…もしくは、それに似た名前を冠しているな… 黒い服の女性…名前は…?」黒い天族の女性、モルガナンは、落ち着いた声で答えた。
「アタクシはモルガナン…、しかし、あなたとは契約は難しいだろう。あなたは既に精霊と契約している。契約できるのは、アイリスだけだ。」ジョンアイデルは、モルガナンの言葉を冷静に受け止めた。
「なるほど…、確かに、天族との契約は難しいだろうな。しかし、天技を使うこと自体は、おそらく可能だろう」 モードレッドは、それを受けて言った。
「つまり、アイリス以外とは契約できないということか。天依を使えるのは、ジョンアイデルとアイリスだけ… アイリスとは、天器を渡すことで契約できるな。」6人の天族が神聖な儀式のように手を重ねた。すると、虹色に輝く宝玉が連なった首飾りが、彼らの掌から生まれたように現れた。 ランスロットは、その首飾りをアイリスに差し出し、静かに言った。
「アイリス、これは…私たちの願いを込めた贈り物だ。受け取ってくれ。」 アイリスは、その言葉に込められた天族たちの深い想いを理解し、感謝の気持ちで首飾りを首につけた。
「ありがとうございます…、大切にします。」モルガナンは、ジョンアイデルに警告するように言った。
「ジョンアイデル… 、あなたの天依は、非常に特殊な能力です。魔族の血が混ざっている影響で、長時間の使用は危険です。そうですね、15分以上使用すると… 、天族の体に穢れが蓄積し、堕天の危険性がありますよ! 決して、無理はしないでください。」パーシヴァルは、疑問を込めて尋ねた。
「ジョンアイデルの天依には、時間制限があるとのことですが…、ということは、アイリスさんの天依は、長時間使用が可能ということでしょうか?なぜ、そのような違いがあるのでしょうか?」ガウェインは、専門的な知識を交えて説明した。
「ジョンアイデルさんの天依が長時間使用できないのは、魔族の血が混ざっている影響です。魔族の力は、天依と相性が悪く、長時間の使用は、非常に体に大きな負担をかけ、堕天の危険性すらあります。一方、アイリスさんは純粋な人間であり、さらに『天聖』という特殊能力を持つ。これは、聖なる力の適応率が非常に高いことを意味します。そのため、長時間の天依の使用が可能なのです。」アイリスは、少し緊張しながらも力強く言った。
「これで、私も皆さんの役に立てるんですね! 戦闘スキルも…使えれますね!」モードレッドは、自信満々に言った。
「おう! 俺は炎と熱の魔法と、魔剣術が得意だぜ!」ランスロットは、冷静に言った。
「私は水と冷気の魔法と、スラッシュランススキルを使う。」ガウェインは、落ち着いた声で言った。
「私は双剣と、雷と地の属性魔法を扱う。」モルガナンは、妖艶な笑みを浮かべて言った。
「アタクシは闇属性と無属性がメイン。盾と杖を使った技も得意よ。」 パーシヴァルは、少し照れながら言った。
「ボクは光属性の魔法と、格闘技、それに仕込み武器を使うのが得意です。」ジョンアイデルは、力強く宣言した。
「アイリスの強化は完了した! これで、ロンドニアへの作戦も万全だ! 出発するぞ! ただし、安全を確保するため、途中いくつかの地点で状況を確認しながら、必要に応じて補給を行う」ルミナは、自信に満ちた表情で言った。
「裏ルートを使うなら、外回りルートを通るしかないわね。ならば、迷うことなくヴィヴィアンシティを目指すしかない! そこが、次の作戦拠点になる!」ジョンアイデルは、具体的な計画を示しながら説明した。
「ヴィヴィアンシティへの移動は、裏ルート、それも地下道を利用することになる。正規のルートは、敵の監視が厳しすぎるため、危険すぎる。地下道は、敵の目を避けられるだけでなく、不意の攻撃にも対処しやすい利点がある。地下道ルートの地図は、既に確認済み。各メンバー、各自の役割を再確認しておこう。」路地裏に足を踏み入れたジョンアイデルたちは、様々な露店が立ち並ぶ光景に目を奪われた。その中で、黒い肌をしたエルフの女商人が、陽気に呼びかけてきた。
「お兄さんたち!ちょっと見ていきませんか?他じゃ手に入らない、とっておきの品々があるんですよ!」彼女の言葉には、独特の自信と、どこか人を惹きつける魅力があった。ジョンアイデルは、露店に並べられたアイテム一つ一つを丁寧に見ていった。目を引いたのは、黒い宝石が中心に嵌め込まれた、精巧な金色の十字架。その隣には、様々な聖水や、聖なる力が宿っていると思われるアイテムが並べられていた。そして、傷を癒す効果のある回復アイテムも、種類豊富に陳列されていた。ジョンアイデルは、黒い宝石が嵌め込まれた十字架と、いくつかの聖水、そして回復薬を指さして言った。
「これら全てを購入したい。」 エルフの女商人は、一つ一つ丁寧に値段を確認し、最後に言った。
「合計で1ゴールドと5シルバーになります。」ジョンアイデルは、2ゴールドの硬貨を差し出した。
「お釣りは5シルバーですね。」 女商人は、笑顔で5シルバーのお釣りと、購入したアイテムをジョンアイデルに渡した。クレティアは、ドワーフの商人の呼び込みに促され、向かい側の露店へと歩み寄った。
「何かめぼしいものがあるかしら…」 彼女は、棚に並べられた様々な鉱石を眺めていた。その時、彼女の視線は、太陽と月の形をした2つの宝石に釘付けになった。その輝きは、まるで彼女の心を掴むかのように、美しく、そして神秘的だった。
「これと、これをお願いします。」 彼女は、少し緊張しながらも、2つの宝石を指さした。
「2ゴールドになります。」ドワーフの言葉に、クレティアはためらうことなく、2ゴールドを支払った。その宝石を手にした時、彼女は、不思議な安らぎを感じた。クレティアは、手にした太陽と月の形の宝石を愛おしそうに眺めながら、微笑んだ。
「サンエンブレムとムーンエンブレム…、こんな貴重な宝石が手に入るとは…、幸運だったわ。」一方、ジョンアイデルは、別の露店で買い揃えたピッキング道具、バール、工具一式、そして魔石を確かめながら、満足げな表情を浮かべていた。
「これで準備は完璧だ。」彼は、力強く宣言した。
「さあ、近くの酒場で情報を集めよう。裏ルートとなる地下道の情報が、我々の作戦成功の鍵を握る。」ジョンアイデルたちは、情報収集のため、裏路地の酒場へと足を踏み入れた。薄暗い店内には、様々な人々が集まりざわめきが響いていた。ジョンアイデルは、緊張しながらも、目的を達成しようと心に誓った。クレティアも、警戒しながらも、周囲の状況を注意深く観察していた。薄暗い酒場のカウンターに立つ、ホビットのバーテンダー。彼は、陽気な笑顔で、ジョンアイデルたちを迎えた。
「いらっしゃいませ! ようこそ、バーテイルズに、今日は賑やかそうですね!どうぞ、お好きな席へどうぞ!」彼の声は、酒場のざわめきの中でも、はっきりと聞こえた。ジョンアイデルは、警戒しながらも、バーテンダーに尋ねた。
「あの… 、この街の地下道について、何か情報をお持ちでしょうか?重要な用件で、どうしても知りたいのです。」彼の言葉には、切実さが込められていた。バーテンダーは、少し困った様子で言った。
「地下道の情報…、それは、あのハーフゴブリン…、彼は、この街で最も危険な男の一人です。度々、喧嘩沙汰を起こし、トラブルに巻き込まれることが多い人物です。できれば、彼には近づかない方が良いでしょう。」 ジョンアイデルは、バーテンダーの忠告を聞きながらも、決然とした表情で尋ねた。
「他に、情報を持っている者はいないのですか?」バーテンダーは、慎重に言葉を選びながら言った。
「他に情報を持っている者…、そうですね… もし、どうしても地下道の情報が必要でしたら… 、あの方にお尋ねになるのが良いかもしれません。」 彼は、少し躊躇しながらも、奥まった席に座る白髪で白い司祭服を着た男を指さした。
「シリウス・エーテライト様… 、彼は、この街で最も情報通と言われる人物です。しかし、気難しい方なので、うまく話せるかどうかは、あなた次第です。」薄暗い酒場の店内、様々な人々が談笑する中、ジョンアイデルは静かに言った。
「シリウスさんから情報を聞きたいんです。」クレティア、ルミナ、ルミカ、アイリスは、彼の言葉を静かに受け止め、一行はシリウスのいる奥まった席へと歩みを進めた。彼らの動きは、周囲の騒がしさとは対照的に静かで、そして真剣なものだった。時折、客たちの視線を感じながらも、一行は、揺るぎない意志を持って、目的地へと向かっていった。ジョンアイデルたちが席に着くと、シリウスはゆっくりと酒杯を置いた。 酒場の騒がしいざわめきとは対照的に、彼の周囲には、静寂が漂っていた。
「おや、珍しいですね。あなた方、私に何用ですか?」彼の声は、静かでしかし力強く、酒場の喧騒を打ち消すかのような威圧感を持っていた。
ジョンアイデルは、シリウスにまっすぐに視線を向け、言った。
「この街の地下に関する情報が知りたいのです。正規ルートだと、いくつかの不都合が生じる可能性があるためです。」 シリウスは、それを聞いて、ゆっくりと酒杯を傾けた。
「ふむ…、なるほど、では、こうしましょう。ただで教えるのは面白くありませんからね。そうですね、ここのテキーラ、相当辛いものです。これを一杯、何もせずに耐えられたら、情報を教えましょう。」彼は、不敵な笑みを浮かべていた。ジョンアイデルたち5人分のテキーラが運ばれてきた。シリウスは、彼らの様子をじっと見つめていた。 ジョンアイデルたちは、ためらうことなく、テキーラを一気に飲み干した。その様子を見て、シリウスの顔には、驚きと、わずかな感嘆の色が浮かんだ。 彼は、予想外の展開に、小さく息を呑んだ。
「約束です。情報を教えてください」ジョンアイデルの言葉に、クレティア、ルミナ、ルミカ、アイリスも息を呑んで待っていた。シリウスは、彼らの期待に応えるように、ゆっくりと口を開いた。
「街の西側の小さな礼拝堂に向かいなさい。そこに、私の仲間が待っています。合言葉は…『聖典に記されしは異形であり清い』です。それを言えば、案内してくれるでしょう。しかし…、その先は、危険な道です。覚悟しておきなさい。」彼の言葉は、彼らぬの心に、緊張感と、冒険への期待を呼び起こした。危険な路地裏。そこは、犯罪者やならず者たちのたまり場として知られていた。ジョンアイデルたちはそんな危険な場所を、シリウスの指示に従い、西側の小さな礼拝堂へと向かった。彼らは、常に警戒を怠らず、周囲の状況に注意を払いながら、一歩ずつ、確実に進んでいった。彼らの視線は、鋭く、そして冷たかった薄暗い路地裏を抜けた先には、予想外の光景が広がっていた。 それは、古びた石造りの小さな礼拝堂だった。周囲には、雑草が生い茂り、廃墟のような雰囲気を醸し出していた。しかし、その静けさの中に、何か異様な雰囲気を感じさせるものがあった。ジョンアイデルは、ためらいなく扉を開け、真っ先に礼拝堂の中へと入っていった。彼の表情は、決意に満ちていた。クレティア、ルミナ、ルミカ、アイリスの4人も、彼の後をついて、礼拝堂の中へと入っていった。彼らの心には、緊張と期待が入り混じっていた。ジョンアイデルたちが礼拝堂の中に入ると、視界に飛び込んできたのは、中央に立つ一人の女性司祭の姿だった。薄暗い礼拝堂の中で、彼女の黒いローブだけが、際立って輝いていた。講壇の前に静かに立つ彼女の姿は、神聖さと、謎めいた雰囲気を醸し出していた。周囲には、静寂だけが漂っていた。
礼拝堂の薄暗い空間で、女性司祭は静かに言った。
「おや、あなたたちがここにいるとは…、シリウスからの紹介ですね。 私はミサ・アーデリストと申します。 シリウスからは、あなたたちの来訪について聞いております。では、用件を聞かせてください。ただし、嘘は通用しませんよ。」 彼女の言葉は、まるで、彼らの魂を見透かすかのような鋭さを持っていた。薄暗い礼拝堂の中で、ジョンアイデルは、静かに、しかし力強く、合言葉を口にした。
「聖典に記されしは異形であり清い。」 彼の声は、静寂の中に響き渡った。その言葉が終わると、ミサ・アーデリストは、ゆっくりと頷いた。そして、礼拝堂の奥へと続く、隠された通路を示した。ミサは、合言葉を確かめると、ゆっくりと口を開いた。
「この先には、かつてヴィヴィアンシティとこの街を繋いでいた地下水路があります。今は使われていませんが、道は残っています。しかし、危険な場所ですので、十分に注意が必要です。 迷子になれば、二度と戻って来られないかもしれません。」彼女の言葉は、彼らの冒険への期待と、同時に、危険を警告していた。ジョンアイデルは、地下水路への移動手段について尋ねた。
「地下水路には、5人乗れる船はありますか?」ミサは、静かに答えた。
「船はありません。しかし、代わりに、ケルピー5頭がいます。ケルピーは、この地下水路を熟知しています。 彼らなら、あなたたちを安全にヴィヴィアンシティまで運んでくれるでしょう。」地下水路への入り口を抜けると、5頭のケルピーが、静かに待っていた。ジョンアイデルは、躊躇なく、一頭のケルピーに跨った。 他の4人も、続いて、それぞれケルピーに跨った。彼らの動きは、迅速で、無駄がなかった。まるで、訓練された兵士のようだった。ケルピーの背に跨ったジョンアイデルたちは、地下水路を疾走した。 周囲は、暗く、湿った空間が広がり、時折、岩壁から水が滴り落ちた。水路の壁には、苔が生え、奇妙な模様が刻まれていた。ケルピーたちは、その複雑な水路を、まるで迷うことなく進んでいった。 そして、しばらくすると、視界が開けた。そこは、ヴィヴィアンシティへの出入り口だった。ヴィヴィアンシティの出入り口が見えてくると、ジョンアイデルたちは、慎重にケルピーから降り立った。 そして、5人は、息を合わせて、石造りの階段を登り始めた彼らの足取りは、力強く、そして決意に満ちていた。階段を登りきり、ヴィヴィアンシティの街並みを目の前にしたジョンアイデルは、懐から十字架を取り出し、その存在を確認した
「よし、これで問題ない。向かうは市長の館だ。」彼はそう言うと、一行を市長の館へと導いた。市長の館に到着した一行は、門番に阻まれた。 天族の門番たちは、巨大な体躯で、一行を威嚇するように立ちはだかっていた。 ジョンアイデルは、緊張しながらも、十字架を見せた。それは、静寂の中で、小さな光を放っていた。 そして、不思議なことに、門番たちは、その光に反応するかのように、道を譲った。湖に浮かぶ館は、予想以上に美しく、そして神秘的な雰囲気を漂わせていた。石造りの建物は古風でありながら、洗練された美しさを持っていた。ジョンアイデルたちは、その館の扉を開けた。すると、そこには、威厳のある人物が座っていた。彼女は、この街の市長に違いない。
広々とした部屋の中央に置かれた机に、ヴィヴィアンは座っていた。 彼女の言葉は、まるで、湖の波の音のように、優しく、そして力強かった。
「来客とは珍しいですね。 ワタクシはヴィヴィアン、このヴィヴィアンシティの市長です。元々は湖の精霊でしたが… 、今は、この姿です。」 ジョンアイデルは、深呼吸をして、目的を告げた。
「ロンドニアへ行く方法を探しています。正規の方法では間に合いません。裏ルート…、 秘密の通路のようなものがあれば…。」ヴィヴィアンは、意味深な笑みを浮かべながら、言った。
「ふふ… あなたは、ジョースター家の者に瓜二つですね。 血筋は、私にも分かります。ロンドニアへの道はキャメロットにあります。ベディヴィエール…、その名を覚えておきましょう彼は、あなたの旅の鍵を握っているはずです。そして…、キャメロットには、多くの危険が潜んでいることを忘れないでください」彼女の言葉は新たな冒険の始まりを告げていた。ジョンアイデルは、眉をひそめて言った。
「しかし、キャメロットへ堂々と向かうのは危険です。敵に、私たちの行動がバレてしまいます。」ヴィヴィアンは、落ち着いた様子で答えた。
「ならば、キャラバンに同行するのが良いでしょう。ちょうど、この街からキャメロットへ向かうキャラバンが来るはずです。心配いりません。 私が手配しておきましょう。」彼女の言葉には、何か含みがあるようだった。ヴィヴィアンは、真剣な表情で、ハーフドワーフの旅行商人に頼み事をした。
「あなた方のキャラバンに、この5人を同行させてください。キャメロットまでです。危険な旅路となるでしょうが… 、 頼みます。」ハーフドワーフの旅行商人は、一瞬、躊躇した。しかし、ヴィヴィアンの鋭い視線を感じ、彼は頷いた。
「承知しました。しかし、何かあっても責任は取れませんよ。」彼の言葉には、緊張感が感じられた。ジョンアイデルたちは、キャラバンの輓曳車に乗り込むと、安堵の表情を浮かべた旅路の始まりだった。しかし、彼らは、互いに信頼しあい、困難を乗り越えていくだろう。輓曳車は、ゆっくりと動き出した。幻想的な光に包まれた、龍のような生き物が、輓曳車を曳いていた。その姿は、まるで絵画のようだった。その生き物の動きは、力強く、そして優雅で、見る者の心を奪った。それは、現実と幻想の狭間にある、奇跡のような光景だった。龍のような生き物が力強く輓曳車を曳き、ジョンアイデルたちは、揺られながらキャメロットへと向かう。道中は、様々な景色が広がり、一行は、その変化に富んだ風景に見入っていた。時折、強い風が吹きつけ、輓曳車は大きく揺れたが、龍はそれをものともせず、力強く前進し続けた。遥か彼方に、キャメロットの城壁が見えてきた。高くそびえ立つ城壁は、威圧感と、同時に、歴史の重みを感じさせた。そして、輓曳車は、その城壁の前に止まった。ジョンアイデルたちは、ついに、キャメロットに到着したのだ。 城壁の向こうには、活気のある街が広がっていた。キャメロットは、ジョンアイデルの目に、巨大な矛盾の塊として映った。それは、輝く太陽と、深い闇が、奇妙に共存する世界。 天使の羽根と、悪魔の爪が、絡み合う絵画。ジョンアイデルは、その光景に息を呑み、言葉を失った。
「キャメロット…、罪都でありながら聖都…」彼の呟きは、風の音に消えていった。輓曳車は、ゆっくりと、城壁門へと進んでいった。門の両側には、多くの見物人が集まっていた。 彼らは、ジョンアイデルたちを、好奇心と、わずかな警戒感をもって見つめていた。輓曳車は、その視線をものともせず、城壁門をくぐっていった。 門の向こうには、活気のある街が広がっていた。城壁門をくぐり抜けると、キャラバン商人は、ジョンアイデルたちに報酬を手渡した。
「護衛、ご苦労さまでした。約束の報酬です。」彼は、厚い袋をジョンアイデルたちに渡した。ジョンアイデルたちは、礼を言って、それを受け取った。キャラバン商人の言葉に、ジョンアイデルは改めて感謝の気持ちを述べた。
「私たちの事情を快く引き受けていただき、本当にありがとうございました。おかげで、敵の目を避け、無事にキャメロットまでたどり着くことができました。心より感謝いたします。」キャラバン商人は、ジョンアイデルたちに軽く会釈すると、その場を離れた。周囲には、多くの行商人が行き交い、賑やかな雰囲気だった。 彼は、その人波の中に溶け込み、あっという間に見えなくなってしまった。キャラバン商人が去った後、ジョンアイデルは、静かに呟いた。
「探すは、ベディヴィエールか…。 いよいよ、本格的な捜索が始まる。」 彼の言葉には、決意が感じられた。ジョンアイデルがベディヴィエールを探すため、キャメロットの街を歩いていると、突然、目の前に美しい女性が現れた。 彼女の胸は大きく、その存在感は圧倒的だった。
彼女は、ジョンアイデルをじっと見つめ、にこりと笑って自己紹介をした。
「君からは特殊な感じがするね。ボクはマイヤ、水精とメリュジーヌのハーフだよ。何か用事かい?」ジョンアイデルは、マイヤの胸の大きさに驚き、顔を赤らめた。
「(うわっ、かなり胸デカ…!)」彼は、周囲の視線を気にしながら、こっそりと呟いた。ジョンアイデルの赤面を目撃したマイヤは、堪えきれずに大笑いした。
「あはははー、何々、かわいい反応じゃん!まさか、こんなにもストレートに反応されるとは思わなかったわ。そんなに見つめてたら、ボクのこと好きになっちゃうかもね? しかも、ボクの胸を見ながらってのは…、もー、ホントに可愛い!」彼女は、ジョンアイデルをからかいながら、楽しそうに笑っていた。マイヤの笑顔に動揺しながらも、ジョンアイデルは自らの心を戒めた。顔を赤らめたまま、彼は必死に冷静さを保とうとした。
「いかん、いかん…、誘惑に負けたらだめだ。マイヤ、君は何の目的で俺に…?」彼の言葉には、警戒心が混じっていた。マイヤは、いたずらっぽく笑みを浮かべながら、ジョンアイデルに問いかけた。
「あなた、ブルータイガーアイを持ってますか?それなら、ボクと契約は可能です。どうしますか?」 彼女の瞳には、何か企んでいるような光が宿っていた。ジョンアイデルは力強く言った。
「主となりし者はジョンアイデル。他種族が共存し、差別や変形をなくすことを成し遂げたい。」
「契りは交わされたよ。よろしくね。」マイヤはそう言うと、突然ジョンアイデルに近づき、豊満な胸を彼の体に押しつけた。そして、一瞬のうちに彼の唇にキスをした。その動作は、驚くほどに大胆で、かつ、情熱的だった。ジョンアイデルは、その突然のキスに驚き、硬直した。
「はわわわわ〜っ!?まさか…そんな…、私にはあまりにも刺激的すぎます!あの、あの突然の展開は… 心臓が止まりそう…」アイリスは目を大きく見開き、顔を真っ赤にして動揺していた。
「わ~~~っ、しまった! 先を越されたぁぁーー! くっそーっ!あんなに大胆な行動に出るとは…、油断してた… 悔しい!」 ルミナは悔しさを爆発させ、拳を握り締めていた。
「まさか…彼のファーストキスを、簡単に奪うとは… 実に大胆な女だ、…ふふっ、少し羨ましいわね」ルミカは皮肉を交えながらも、内心ではマイヤを羨ましく思っていた。
「ファーストキスはワタシじゃない… なんか悔しいーー! 」 クレティアは、不満げに唇を尖らせていた。周囲の女性たちの反応を見て、マイヤは初めて自分の行動が、ジョンアイデルにとって“ファーストキス”だったことに気づいた。
「えっ!?ファーストキスを奪ったのって、ボクなの!? …そうだったのか。てっきり、クレティアとか、ルミナとか、他の誰かと、既にしてると思って…、あの時、何も考えずに…、キスしちゃったけど…」 彼女は、少し戸惑いながらも、ジョンアイデルへの意外な感情に気づき始めた。突然のキス、そしてマイヤの意外な言葉。 ジョンアイデルは、現実を受け止めきれない様子だった。
「マイヤ…、お前…、な、なんてことを…!まさか、これが… 、俺のファーストキスだったなんて… 、信じられない…、こんな状況で…、しかも、相手がお前だなんて…」彼は、驚きと動揺、そして、少しの喜びを複雑に抱え込んでいた。他の女性たちの反応とは異なり、クレティアは怒りに燃えていた。 彼女は、マイヤを厳しく責め立てた。
「どうしてくれるのよ!ジョンアイデルは、君に対してはっきりと好意はなかったでしょう!それなのに、いきなりのキス…、一体、どういうつもりなの!彼の気持ちも考えずに、勝手な行動をとるなんて! 許せない!」 彼女の言葉には、ジョンアイデルへの深い愛情と、マイヤへの激しい怒りが込められていた。クレティアの激しい怒りに、マイヤは慌てた。
「ちょっとのからかいのつもりだったんです…、本当に… 悪意はなかったんです! ただ、ジョンアイデルをからかいたかっただけなのに…、彼のファーストキスになるなんて…、全く予想外でした…」 彼女は、自分の軽率な行動を深く反省していた。マイヤの弁解を聞いたルミナは、さらに怒りを増した。
「はぁ~!?からかい?そんなんで済むと思ってるの?バカじゃない! いくら冗談とはいえ、ファーストキスを奪うなんて、ありえないわ!しかも、クレティアの気持ちも考えずに… 本当に、考えなしすぎる!」彼女は、マイヤの軽率さに呆れ果てていた。周囲の賑やかな様子を背景に、ルミカはマイヤの行動の不適切さを指摘した。
「それに、こんな人通りが多い場所で、そんなことをするなんて…、ありえないわ!いくらからかいとはいっても、場所を選ばないなんて、常識がない! 周りの人の目も考えずに、そんな大胆な行動をとるなんて… 、本当にがっかりだわ。」彼女は、マイヤの軽率さと、社会的な配慮の欠如を厳しく批判した。アイリスは、目を大きく見開き、言葉を失った。
「確かに精霊や天族は、人間とは異なる文化や価値観を持っていると聞いていました。でも…まさか、ここまでとは…、こんな大胆な行動…、しかも、ファーストキスを…、人通りの多い場所で…、本当に…、驚きを通り越して言葉がありません。」彼女は驚きと戸惑いを隠せない様子だった。周囲の騒然とした雰囲気の中、ジョンアイデルは冷静さを保ち、マイヤに問いかけた。
「まあ… いきなりキスされたのは、確かに驚いたな。でも、マイヤ、これからどうするつもりだ?契約を交わした以上、これで終わりってわけにはいかないだろう? これから、どう付き合っていくのか… 考えておかないとな。」 彼の言葉には、驚きと戸惑い、そして、未来への期待が混ざっていた。周囲の騒然とした雰囲気の中、ジョンアイデルは冷静さを保ち、マイヤに問いかけた。周囲の女性たちの視線を感じながらも、マイヤは自分の言葉に責任を持つことを決意した。
「キスをしましたし… 、責任は取りますよ。…唐突な行動だったことは反省していますが… でも、彼との未来を、真剣に考えていきたいです。」 彼女の言葉には、責任感と、ジョンアイデルへの好意が感じられた。ジョンアイデルは、マイヤの言葉に驚きを隠せない様子だった。
「そ…それってつまり…?」 彼は、言葉を慎重に選びながら尋ねた。マイヤは、静かに、しかし力強く答えた
「いずれは… あなたの伴侶に… なれたら…と、思っています。」 二人の間には、微妙な緊張感が流れていた。ルミナは、驚きと怒りを抑えきれずに叫んだ。
「ちょっと待てぇーい! 何を勝手にプロポーズまでこぎつけてるんだよ! いくら責任を取るといっても、そんな簡単に決まる話じゃないでしょう!」クレティアも、嫉妬と怒りを露わにした。
「ムキィーーーー!ワタシが最初に目をつけた男を奪うなんて… 許せないわよ!」 二人の言葉には、強い感情が込められていた。周囲の騒然とした雰囲気とは無関係に、ジョンアイデルは自分の心の声に耳を傾けた。
「そうか… あの時、ルミナの告白を断ったのは… 単に、自分が未熟だとか、そういう理由じゃなかったんだな… 、マイヤとの出来事… 、クレティアの怒り… 、全てを繋げて考えてみると…、そうだ…、オレは… クレティアのことが…、一番好きなんだ… この気持ちに、嘘はない…」彼の言葉には、確固たる決意が感じられた。ルミカは、ジョンアイデルへの想いと、クレティアへの友情の間で葛藤していた。
「ジョンアイデル…、あなたの気持ち… クレティアへの気持ち…、よく分かりました… 、でも… 、私も… 、あなたが好きなんです… この気持ちはどうすればいいんでしょう… クレティアには… どう伝えればいいんでしょう…」 彼女の言葉には、葛藤と、苦悩が感じられた。クレティアは、ジョンアイデルを見つめ、強い想いを込めた。
「ジョンアイデル…、あなたのことは… 誰にも譲れないわ。ルミナも、マイヤも…、みんな、あなたを好きかもしれない…、それでも…!ワタシはあなたを一番に愛してる、 一番に見てほしいの… ワタシの気持ち、分かって。」 彼女の言葉には、強い愛情と、少しの不安が感じられた。周囲の静まり返った空気の中、ジョンアイデルはクレティアの真剣なまなざしを受け止め、ゆっくりと答えた。
「その気持ち… 本当に嬉しい… でも… 今の自分では… 君に相応しい男だとは思えないんだ… 君はミクスタッド国の次期皇女という輝かしい未来が待っている… 一方、俺は… ただの実力のない学生のジェネラリスト… 、何かで1位を取って… 君にふさわしい男になってから… 改めて返事をしたい… だから… 待っててほしい。」 彼の言葉には、強い決意と、クレティアへの深い愛情が感じられた。周囲の静まり返った空気の中、クレティアはジョンアイデルを見つめ、静かに答えた。
「時期が来るまで…、あなたの答えを、待っている。ワタシは… あなたを信じているよ。そして… あなたを待っている。」 彼女の言葉は、静かに、しかし力強く、ジョンアイデルの心に響いた。ジョンアイデルは、強い決意を込めて言った。
「そろそろだ。ベディヴィエールを探す。必ず、見つける。」 彼の言葉には、揺るぎない意志が感じられた。突然、彼らの前に現れた白髪の騎士は、静かに、しかし意味深に言った。
「私のことを… 探しておられたのですか? …まさか、偶然とは考えにくいのですが…」 彼の言葉には、何かを暗示させるような、不思議な含みがあった。ジョンアイデルは、驚きを隠せない様子で尋ねた。
「あなたが… ベディヴィエール…だと…?」白髪の騎士は、静かに答えた。
「はい、そうです。私がベディヴィエールです。魔天族…と呼ばれる存在です。」周囲の状況を顧みることなく、ジョンアイデルはベディヴィエールに自分の切実な願いを伝えた。
「君の力…、どうしても…、必要なんだ…、この危機を乗り越えるには…、君の力が必要不可欠なんだ… 、頼む… 力を貸してほしい…」周囲の状況を顧みることなく、ベディヴィエールはジョンアイデルを見据え、ゆっくりと、しかし力強く言った。
「君は… 導師になる資格がある。神となり、未来ではミクスタッド国の皇女とともに… この世界を導くのだ。そのために… 私の力を… 、惜しみなく貸そう。」彼の言葉には、強い意志と、未来への希望が感じられた。静寂の中、ベディヴィエールは自身の篭手と全く同じ型の篭手をジョンアイデルに差し出した。それは、まるで神聖な儀式を執り行うかのような、厳粛な動作だった。
「これは…、 私の魔天器です。これを受け取ってください。あなたは…、魔天依と霊依という二つの技を使うことができます。魔天依は…魔天器を媒介に、魔天族を憑依させ、君は主導権を握りながらその力を利用できるのです。 霊依は、精霊などの力を自身に纏い、その力を利用する技です。そして… あなた自身の能力… それは… 計り知れない可能性を秘めています。」ジョンアイデルは、焦燥感を隠せない様子で尋ねた。
「ベディヴィエール…、ロンドニアへ行くための 裏ルートは知ってるか? 一刻も早く行かなければならないんだ!」ベディヴィエールは、静かに説明した。
「ロンドニアへの裏ルートは…キャメロット宮殿でしか教えられない。そちらへお越しください。」時は刻一刻と過ぎていく。 ジョンアイデルたちは、一刻も早くロンドニアへたどり着かねばならないという焦燥感に駆られながら、キャメロット宮殿へと向かった。 彼らの行く手には、様々な困難が待ち受けているかもしれない。しかし、彼らは諦めない。 彼らは、必ず目的を達成してみせるのだ。その強い意志を胸に、彼らはキャメロット宮殿へと歩みを進めていった。警備も厳重なキャメロット宮殿に、ジョンアイデルたちは何の抵抗もなく入ることができた。 それは、ベディヴィエールの影響力によるものだろう。彼は、ジョンアイデルたちに視線を向け、落ち着いた口調で言った。
「王の間に… 向かってください。迷うことはないでしょう。」彼の言葉には、自信と、何らかの計画が感じられた。ジョンアイデルたちは、広大なキャメロット宮殿の中を歩を進めた。 豪華な装飾が施された廊下、歴史を感じさせる絵画、そして静寂に包まれた空間… 一歩一歩、王の間へと近づいていくにつれて、彼らの心には高揚感が増していった。ジョンアイデルたちは、ついに王の間に到着した。 そこは、想像をはるかに超える壮麗さで、彼らの目を奪った。 巨大な窓から差し込む光、きらびやかな装飾、そして威圧感すら感じるほどの広大な空間… まさに、王の座にふさわしい場所だった。王の間の奥には、一人の男がいた。
彼は、背筋を伸ばして座っており、その姿からは圧倒的な存在感が感じられた。ジョンアイデルたちが近づくと、彼はゆっくりと目を上げた。そして、静かに、しかし力強く言った。
「来客か…。」 その言葉には、探りを入れるようなニュアンスが含まれていた。
「あなたはまさか、アーサー王!」ジョンアイデルの言葉に、アーサー王は驚きを隠せない様子だった。 彼は、信じられないという表情で言った。
「ジョンアイデル…だと?だが、君はジョースター家の屋敷にいると聞いていたぞ… 一体どういうことだ?」ジョンアイデルは、落ち着いた声で説明した。
「それは、クローンです。私は、本物です。」アーサー王は、余裕のある笑みを浮かべながら言った。
「ふむ…、君たちの目的は、ロンドニアへの裏ルート…、そういうことだな心配は無用だ。私の力があれば、容易いことだ。」アーサー王は、ゆっくりと歩を進め、ジョンアイデルたちを導いた。彼の足取りは、確信に満ちていた。やがて彼らは一室へとたどり着いたそこには、予想だにしなかった光景が広がっていた。 青白い光を放つ、ワープゲートが、部屋の中央に設置されていたのだ。アーサー王は、静かに言った。
「これが… ロンドニアへの裏ルートだ。」ジョンアイデルたちは、深呼吸をして、ワープゲートへと足を踏み入れた。未知の世界への旅立ち。 彼らの心には、期待と不安が入り混じっていた。青白い光が彼らを包み込み、空間が歪んでいく感覚… そして、一瞬の眩暈の後、彼らは全く異なる場所にたどり着いていた。ワープゲートを抜けた先には、活気に満ちたロンドニアの街が広がっていた。 古風な建物と近代的な高層ビルが混在する独特の景観、行き交う人々の賑わい、そして独特の空気に、ジョンアイデルたちは圧倒された。ついに、彼らは目的の地にたどり着いたのだ。




