3話 天使と悪魔
両手に花、
両手に天使、
否だ。
右手に悪魔のような天使、
左手に天使のような人の状態だ。
こんな状態で今向かっている場所はファミレスである。
なんか色々と案があったらしいのだが、
そこまで高いのを奢らせたくないという、
俺の意見もあり、ファミレスになった、
麻里が「いいフレンチ知ってますよ」とか言って、
コース料理が出てくるお店に行こうとするのを、
引き止めるのは大変だった。
便乗して優華も行きたがっていたので余計にだ、
どうやってそんなお金を支払うのか、
特に優華、勝手な妄想だが、お金がなさそうだ。
「貧相先輩ほんとにファミレスでいいですか」
「いや、ファミレスがいい」
「慣れた空間のほうが落ち着くからな」
「しょうがないね、次にでも行こう麻里」
「貧相先輩、クリスマス予約しとくので絶対で」
すまない影郎今年のクリスマスは、
少し遅めにゲームをすることになりそうだ、
「予約できたのなら3人でだな」
「はい、貧相先輩」
「さすがね、麻里」
「いえいえ、優華先輩程では」
「へへへ」
なんで優華照れてるんだよ。
どこにあったんだ照れる要素、
こうして3人での食事が始まった、
適当に料理を頼み、
少し昔話をすることになった、
「先輩達の馴れ初め聞きたいです」
「馴れ初めというより腐れ縁」
「馬鹿貧相」
そんな大したことではない、
と言いたいところだが、
優華からしたら大したことなのかもしれない、
「言ってもいい?」
「もちろん」
それはだな、
「俺と優華の馴れ初めは小学校にある」
「冬の寒い日だったな雪も積もってた」
いつもどうり校庭で遊んでると、
数人の男子に雪玉を投げつけられていたんだ。
この優華がだ。今では考えられないが、
当時は身長が小さかったからか結構虐められていた。
昔から曲がったことが嫌いな俺は、
優華の代わりに喧嘩してやったんだ、
数人だったし、同年代の見たことあるやつだったから止めに入れた。
今思うと正義感がただ人一倍強かっただけで、
優華のことを止めたかったわけでは、なっかたのかもしれない。
「だから俺たちは腐れ縁だ」
「そういうところが馬鹿なのわかる?貧相」
「かっこいいですよ先輩」
「そんなことは」
あるかもしれないよくやった昔の俺、
今になってやっと褒美が来た。
「何照れてるの貧相」
「かっこいいって言われて照れない男子なんていない」
そんなやつ、超絶イケメンか名前がかっこいいかのどちらかだ。
俺はちょろい、すぐ褒められると照れてしまうし、
友人なら何でも手を貸したくなってしまうのだ。
「じゃあ私に麻里との出会いも教えてよ」
「知ってるだろ」
「知ってるよ、図書室でしょ」
「他にもあるでしょ、吐きなさい、知ってることすべて」
「優華先輩なんで刑事風なんですか」
「わかった、事の真相を話そう」
「なんで貧相先輩まで」
ちょっと乗ってしまった、
「では話していこう」
もともと本を読むなんて嫌いだった。
委員会の仕事もほぼ麻里に任せていたし、
ただ、たまたま話す機会があった。
本当にたまたま罪悪感で図書委員を
手伝いに行ったときだ。
「本なんか面白いか」
「うん」
「おすすめ貸してよ」
「どうぞ」
そこで麻里に一冊の本を借りるんだ。
しっかり、恋愛ものだったのを覚えている、
凄く泣けた、ちゃんと家で泣いたぞ、
そこからだな意気投合、いろんな本の話をする、
仲になったな、
本とは一人の人生であり、出会いのカギでもある、
そんなこと麻里に会わないと思えなかっただろう、
「こんな感じだな」
「貧相先輩、委員会サボってたのですか」
「私一人で大変だったんですよ」
「マジでごめん、一ヶ月ぐらい」
大変だったんだ、バーコード読み取るだけだから
簡単だと思っていた、
「貧相最低ね」
「面目無い」
なんで誕生日なのに攻められるんだ、
「冗談ですよ貧相先輩」
「これでお相子ですね」
小悪魔みたいだ、クソかわいいなおい。
なんでも許せそうだ。
見習え天使。
「そう言ってもらえると助かりますはい」
「貧相素直でかっこいい」
照れないよ俺、使いどころ大間違いだよ。
「照れなよ」
「怖いわ」
そういうとこだぞ天使、見習え。
こうしてご飯の時間が終わり会計。
「カードで」
「悪いわよ」
「やっぱ俺も」
それを遮るよりはやく、
会計を済ましてしまった。
「フレンチよりやすいので私一人の会計で大丈夫ですよ」
「こう見えて社長令嬢なので」
俺と優華はこの時だけ一緒のことをおもった。
「そんなの関係ないだろ」
「後で返すからね」
「あ、ありがとうございます」
こういうのが本当にそそられる。
ちょっと照れながらのありがとうございます。
最高のプレゼントだ、
いやそれじゃない、
社長令嬢だろうがなんだろうが、
恩は返さないといけない。
俺のポリシーに反する。
こうして次に近くの服屋にいき、ショッピングを楽しんだ。
服屋は最高だった、日々の目の疲れを麻里のファッションを
見ていたらすべて吹き飛んだ。
脳内メモリーに永久保管だ。
優華も顔は良いからそれなりに眼福だった、
中学ぐらいの胸だったらな、
脳内メモリー永久入り果たせたのだが、
非常に残念だ、
適当な脳内ストレージに捨て置いた。
「もうこんな時間か」
そんなことをしているともう夕方だ。
「先輩お誕生日おめでとうございます。」
「これつまらないものですが」
二冊の本をくれた上と下で別れているようだ
なんだもう決まっていたのか。
「ありがとう、大切に読むよ」
「はい、感想待っていますね」
「貧相、おめでとうこれ」
「ありがとう」
ん?なんだこれ墨汁?
「インク、羽に付けて使って」
「お、おう、分かった」
あれペンになるのかよ。
「二人とも本当にありがとう」
「はい、もちろんです」
「お返し楽しみにしとくわ貧相」
こいつホントに天使か。
もう天使の皮被ってるだけじゃん。
こうして俺の誕生日が終わった。
妹と影郎からメールだがお祝いメッセージが届いていた。