episode94.
岡達の楽園ギルド襲撃1日前 ホテルにて
「アメリカの【豪商】?」
「そ!カールって言うんだけどね!これがうざいのなんの」
「で、結論は?」
ホテルの外で岡がタバコを吸いながら
セレナと話している。
「そいつ。超越者狩りしてるみたい。インドと中国の超越者も僕がやったー。なんて言ってた。」
「ふーん」
吸っていたタバコを消し2本目に火をつける。
「あー!ポイ捨て!」
セレナに注意を受けるが岡は無視して続ける。
「で?だったらなんでお前生きてんの?」
「同郷のよしみなんだって!」
「あー、そう。」・・・・
「次はオーストラリアの2人やるつもりだったんだけど」
そう言いながらカールは指先に魔力を集中し
ナイフのような鋭利なものに整える。
「ここで3人もやれるなんて運がいい。」
指先の魔力をちらちら見せながらやってくる。
「うっ!」
「ぐぅっ!」
急に成田とカールに異常が起こる。
「これは、、、」
そう呟くとカールは成田に背を向け走りだした。
「おい!まてよ!」
成田の声を振り切りカールは走るのをやめない。
カールは先程の異常で気づいていた。
「誰かがギルドで覇気を使った。だが誰だ?他にまだ誰かがいたのか?」
スピードを緩めず楽園ギルドへ向かう。
それから40秒もかからないぐらいで
やっとギルドが見える距離まで到達した。が
「うっ!」
思わず右手で口を塞ぎ左手を膝に置く。
「なんだこの禍々しい気は、、、」
そして気づいた。これは覇気ではない。あくまで余波であるということに。
少し離れた所から自分を呼ぶ声がする。
「カ、カール?」
「セレナ、、、?」
「何故ここに?いや、それよりあいつもか。」
カールの視線の先にいるセレナもかなりグロッキーな状態だ。そばの3人に関してはこれだけ距離があるにも関わらず嘔吐を続けている。
視線をギルドの方にやる。
「うそだろ、、、300m以上離れてんだぞ。」
その時、ギルドの方からこちらへ向かってくる人影が見えた。
「あ、あいつか、、、」
【豪商】カールはこの日初めて自力では勝つことの出来ない存在を目の当たりにする。




