episode9.
目の前にいるのは岡や松田よりも少し年下で
あろう金髪の青年がいる。
別にどこにでもいそうな少し顔の整った奴だ。
それなのに岡や松田は目を合わすことすらできない。
他の利用客や職員もそうなのだろう。
誰も言葉を発さない。
そうせざるを得ない状況なのだ。
「もう少し静かにできないのか。」
男が言う。
黙ることしかできない。
男は鼻でフッと笑うとその場を後にした。
どれだけ時間が経ったのだろうか。
男が去ってなおも、2人は固まっていた。
呼吸することさえも忘れていた2人は
一気に息苦しくなる。
むせ返りながらも何とか呼吸を正す。
しばらくしてようやく落ち着いた。
「【使徒 ゼウス】なんでここに。。。」
松田が言う。
あらすじにもある通り2年前
世界中に12本の塔が出現しそれがゲートとハンターを
生み出した。
塔にモンスターはいない。だが1人の主がいる。
それは各々をギリシャ神話に存在する12神を名乗り
その地に君臨している。
【使徒】とはそれらに目をつけられ
仕える1神より力の継承が完了した
12人のことを指してつけられた名前だ。
ランクもSSSを超える神話級
もっと分かりやすくいうと
全世界でもこいつらは首相や大統領よりも
権力や力をもった世の中のNo.2的な存在だ。
そりゃ目も合わせられない。
「とりあえず、行こう」
腰を抜かす松田を起き上がらせながら岡が言う。
覚醒したんだしゲートでも行ってみよう!
なんて気分でもない。というより逆にイライラする。
実は使徒の存在というのはかなり嫌われたものなのだ。
自分勝手な都合での政治利用。
犯罪を犯しても起訴されるどころか逮捕すらされない現状。
それにより、彼らに最も近しい政治家や利権者達は
こぞって調子に乗り始める。
そんな横暴に耐えるのはいつだって国民だ。
だが、それでも俺達には何もできない。
今日もそんな情けない自分を呪いながら
2人は松田のアパートへ向かう。