episode64.
先日17時半
龍ギルドのメンバーは自分達の城を捨てた。
2度も許してしまった襲撃に建物は半壊。
龍ギルドの強みであった迎撃戦は
もはや強みではなくなってしまっていた。
「ここを離れて体勢を立て直す」
白川の言葉に異論を唱える者はいなかった。
「だが、その前に、、、」
白川が誠と黒瀬に視線を移す。
「誠、、、黒瀬、、、お前達は抜けろ。」
「えっ」
黒瀬と誠は白川の言葉の意味が理解出来ない。
「まず、誠。お前は非覚醒だ。どこまで守ってやれるか俺にも分からない。次に黒瀬。 お前はまだ駆け出しで奴らに顔も割れていない。だから、、、」
言葉に詰まりながらも白川は続ける。
「お前達はやり直せ!俺らの都合に合わせてわざわざ危険を犯す必要はない!」
「嫌です!」
きっぱりと即答する2人に白川だけでなく皆
驚いた表情を見せる。
「私が抜けたら誰が皆さんを癒すのですか!それに私がここにいるのは凛ちゃんのためでもあるんですよ!」
「そうだそうだ!非覚醒、非覚醒って言いますけど!こう見えて僕!通信空手黄帯ですよ!それにサバゲーもうまいんですから!」
ムキになる2人。
途中意味は分からなかったが
きっと止めても無駄だろう。
「わかった。じゃあ、今後の作戦を伝える!お前達にも協力してもらうからな!いいな!」
「はいっ!」そう返事する2人の姿は先程よりも輝いて見えた。
「作戦はこうだ!まず、今のメンバーを3組に分ける」
白川、黒瀬、高森、ハヤト
難波、松田、堤
岡、誠
このメンバーにだ。
内容はこうだった。
まず、1Fの窓からビルの隙間を抜けここを離れる。
そしたら3方向に向かってそれぞれが逃走。
そしてルートが被らないようにしてとある場所に
集まるということだった。
「目的地に関しては【千里眼】で死ぬほど見た。だからそれまで誰も死ぬなよ?いいな!」
「しゃーー!行こう!」
ここからギルドメンバーの反撃が始まる。
だが、それぞれが行動を開始した翌日AM4時頃
「岡さん!岡さん!」岡の体をゆすりながら
誠が泣き叫んでいる。
岡が負けた。




