episode51.
1人の【ダークエンパス】対124名のハンター軍団
正直、岡にも勝てる保証はなかった。
【精神結界】や【認知的協和】
この2つは明らか戦闘向きではない。
となると残りスキルでどうにかするしかないが
どれも対象に取れる人数上限は10名
おまけにクールタイムも5秒程度は発生する。
しかも、「ズキッ」
昨日松田に殴られた傷がまだ痛む
HPバーも5/6ほどまでしか回復していない。
自力で治療するとなれば全回復までは時間がかかるのだ。
「スキル:ファイヤーボール!」
ハンターの1人がスキルを飛ばしてくる。
「ふんっ!」
正面まで迫ってきたファイヤーボールを握りつぶす
この程度であれば既存MP量で魔法を相殺できる。
魔力MAXにはこういう使い方も存在する。
「調子に乗ってんじゃねぇ!」
数名の戦闘系ハンターが剣を持って襲いかかる。
岡は両腕に魔力を纏いそれらを防御。そしてそのまま殴り飛ばす。
これもスキルではなくただの引用だ。
だが、それで全てが解決できるほど甘くは無い。
全ハンターが一斉に襲いかかる。
「仕方ない。【精神操作】発動!」
迫り来るハンター達の中にいる魔法兵に
限定してスキルをかける。
そして自身の魔法を自軍に食らわせ続ける。
それでも突っ込んで来るやつには【過剰情与】で脳を破壊。
そして相手が怯んだら【感情操作】を戦闘系限定に
食らわせ、周りが見えなくなるほどにまで
怒りをあげてやるのだ。
一見すれば楽な流れ作業それでも限界はくる。
「ポタポタポタ、、、」
岡の鼻から血が流れる。それは次第に目からも流れ出し
次第に平衡感覚をうしなっていきながら
スキルの使用を一旦解除する。
正気を取り戻したハンター達が再度襲いかかる。
「がっ!ごはっ」
魔力の防御が間に合わない。
【ダークエンパス】の力の源は感情である。
スキルを乱発すれば人間性を無くしていくが
度重なる感情の操作には脳に多大な負担をかけてしまうため今のようになってしまう。
「デメリットが大きすぎる、、、」
今に始まったことでは無いが
今回ばかりは流石に無理をしなくては。
「【精神操作】」先程のループを繰り返す。
戦闘開始より20分後
ようやく残りはこいつだけだ。
「近寄るな!私はハンター協会の専務取締役だぞ!」
「あっそ、代表取締役じゃあないんだ。努力が足りないんじゃないの?」
相馬は相当頭に来たのか喚き散らす。
「うっさい。黙れ。」
相馬の髪を掴み顔面を殴る。
鼻が折れたのか血が吹き出した相馬は
涙目で鼻を抑える。
「逃げられたらだめだよな。」
岡はそう言うと相馬の靴を脱がし近くにあったレンガで
相馬の足首から先を何度も叩きつける。
悲鳴をあげ泣き叫ぶ相馬を目の当たりにするも
やめられない。「逃げるかもしれないから」と
執拗に同じところを叩きつけた。
何発か殴ったあと岡の携帯が鳴る。
「血のついた手で触るのやだなぁ。」
ということで相馬に携帯をポケットから取り出させ
通話ボタンを押させる。もちろんスピーカーでだ。
「岡!今どこだ!」
「松田ー!ビルの正面にいるよ」
松田がなにか喚いている。
「ごめんごめん笑でさぁ悪いんだけど迎えに来てくんない?疲れちゃって、、、」
そう言うと松田はさらに喚き出したが
最後は「しょうがねぇなぁ」と言い電話が切れた。
「ん?」岡がある事に気づく。
「腕があれば這ってでも逃げられるよね。」
「ぎゃああああ!」
相馬の悲鳴がまた周囲に響いた。




