episode3.現実
「ぎゃはははははは!」
くそやかましい笑い声が事務所に響く。
「おまっ!なにこの職業!?サイコパス?」
と言って松田がまた笑う。
「すごいな!サイコパスって!ちなみに測定してくれた職員さんからはなんて言われたんだ?笑」
「ハンターやめとけって真顔で言われたよ、、、」
「そりゃそーだよなぁ!」といって
腹を抱え出す。
すると奥から「うるせー!松田!仕事中だぞ!」
フロアの奥から怒声が飛ぶ。
声の主は今月の営業成績No.1【中本】だった。
中本はこちらに寄るなり松田の胸ぐらを掴む。
「てめぇ仕事しろや、、、あぁ?」
中本が凄むと流石の松田も少したじろいだ。
「あ?」
中本がこちらへ視線を移す。
ステータスウィンドウを閉じ忘れていたのを
がっつり見られた。
すると、「おいおいおい!岡よぉ!覚醒したのかよぉ!」今度は中本が叫ぶように言葉をとばす。
「すげえじゃん。で、何級?」
上から目線で中本が言う。
「あ?なんで?お前に関係あんの?」
流石の上から目線に俺は少しイラッときてしまった。
一応立場は同僚だ。何より馴れ馴れしい
こいつが単純にキモかった。
だが、これがまずかった。
「てめぇ、誰に口聞いてやがる。殺すぞ。」
松田を掴んでいた腕が緩み。それが俺の胸ぐらを掴む。
だか、こんなムードでも誰も揉め事を止めない。
なぜならここ【ライフ不動産】は完全な実力主義
企業なのである。
【売上】が正義であり。【売上】が全てなのである。
だからこそ、今俺の胸ぐらを掴んでいる中本が正しくて、責められている俺や松田は悪になるのだ。
「岡ぁ、ずいぶん偉くなったじゃねぇかよ。」
と言いながら距離を詰め寄ってくる。
「気色悪い顔面寄せんじゃねぇよ。埋めるぞ?」
この間の測定の結果。俺はなんとE級のド底辺ステータスだった。詳しくはまた書くがそれでも一般人よりは強いのは間違いない。だから俺はほんとに埋める気でいた。
だが、5分後。
床に倒れていたのは俺だった。
体が動かせない。パンチも効いたしキックも重かった。
殴った本人はまだまだ元気なのに俺は這いつくばって
目眩まで起こしていた。
「残念だったなぁ。」中本が言う。
「実は俺D級のストライカーなんだわ」
う、そ、だろ。。。
【ストライカー】D級の中では上位にあたる適正ジョブだ。
高い攻撃力と体力でものを言わせ
初期ステータスもかなり高い職業。
基本的にどの職業でも【等級の成長は可能】だが
ストライカーはかなりやばい。
調子に乗っていた。。。
俺はそのまま。。。意識を失った。