episode23.
2人の決別から半年。
夜露市区より下に行った地区
寂市区のBランクゲートに松田はいた。
なぜ、Bランクなのか。Cランクはどうだったのか。
それについてはまだ、秘密だ。
ただ、もうあの頃の彼ではない。
レベルも上がり2次転職も済ましている。
岡の夢だった年収1000万は直近4か月で
松田が叶えてしまっていた。
そう。もうあの頃とは違うのだ。
結局部長はあの後、すぐに息を引き取ったらしい。
そして、命令を受けていた同僚は精神に異常をきたし入院。
かつての【ライフ不動産】では部長のスキルが
溶けたせいか後に半数以上の社員が退職。
現在は黒字倒産が懸念される状況であると聞いている。
「ハンター、、やめようかな、、、」
元々はアイツがきっかけでハンターになっただけであり、松田自信大した野望も特になかった。
さらにはこれまで数々のギルドからの勧誘を断り過ぎた結果。松田はハンター社会から完全に孤立してしまっていたのだった。
「どうすっかな、、、どうすっかな、、、」
ぶつぶつ言っていると誰かが来た。
「松田さん。お返事いかがですか。」
近寄ってきた2人の内1人が声をかけてくる。
宗教服を身にまとった男と女。
「そろそろいいでしょう?【使徒】様方からの提案でもあるんですよ?」
そう言う女の言葉からは決断を催促する雰囲気が強く感じられる。
2ヶ月前、協会や3大ギルドの他にできた。
12人の使徒が管理する新ギルド【楽園】からの勧誘。
それがこいつらの正体だ。
2次転職を完了後、初攻略したBランクゲートでの
功績がこいつらを呼ぶきっかけとなってしまった。
思わずため息が盛れる。
「俺、どこの組織にも属する気ないよ?」
「色々と不安なのですね。」
会話になっていない。。。
こうなればハンターを辞めるか、こいつらに従うか。
選択肢はこの2つしかない。
実際のところ仮に3大ギルド所属であっても
関係なく勧誘される。そしてなぜかハンターを辞めるか
こいつらに従うかしか選択肢はないらしい。
大抵はしつこい勧誘に負けて従う人間がほとんどであり
それのせいか今の3大ギルドはどこももうほとんどが解体寸前にまで追い込まれている。
「それで、ご決断は?」
「入りません」
きっぱりと断る。
いつもははぐらかしていたが、もううんざりだ。
だが、「仕方ありませんね。」
そう言うと同時、一緒にいた男が松田の首を掴む。
「がっ!」
突然のこと過ぎて対応できなかった。
どうする!助けは呼べない!呼べたとしても
こいつらは世界のNo.2の手下!
手を貸すやつなんて誰もいない!
「あなたを強制的に連行させていただきます。」
先程とは全く違う冷たい口調。
こいつらはマジでやばい。
逃げるのは、、、無理だ腕が離れねぇ
なら、、、あれしかない!
しゃがれた声で松田が精一杯叫ぶ
「【スキル:貸付】!」




