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詩集 ~世界とわたしと、人々と~  作者: 荒野ヒロ


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197/200

老いたる者は

多くの死の向こうを見ると、いろいろと考えさせられます。

 時は思うよりも早く


  人の思考よりも早く


   わたしたちを遠ざける


 拒絶することもできず


  避けることもできない


   あのふさぎ込んだ壁の向こう側に




 あの老人は鏡


  わたしの鏡


   わたしが老いた時の姿


 怪我も病気もなくとも


  その精神には衰えによる


   不毛な煙が立ち込めはじめる




 若輩者は 若さゆえの愚かさを捨て


  老後には 老いの憂いを払え


   それが人の生き死にに


 正しき価値を見出だしてくれる


  探し求めた結末ではなくとも


   揺るがぬ意思を持てば


 死を前にしても


  満足してその腕に身を任せ


   死出の旅に向かえるだろう

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