195/200
白米の香り
あまりに身近だと、そのありがたさがわからなくなることも。
炊きたての白米の 甘い香り
こころ落ち着く かぐわしさ
あのやわらかな ほんのりと甘い
やさしい味わい
人々の命をつないできた
よろこびの味
傷ついた日も
悔しさに涙した日も
その味が
こころを満たす
日々の生活を支え
生きる気力、活力を与えてくれる
それはとびきりの味わいでなくていい
ひっそりと、静かな
旅先ではじめて見る雄大な景色
そんなものでなくていい
身近な、いつもの景色
その奥に隠された
小さな、小さなよろこび
白米の味は
小さなよろこびの積み重ね
それによってわたしの心は よろこびを知り
また明日への活力を蓄える




