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骨
荒れ果て 乾燥した土地
朽ちた白い骨
ばらばらになり 風雨にさらされた
白い古びた骨
鹿の下あごが
ごろんと地面に打ち捨てられている
黒い地面に転がった
白いあご骨
草をかみ潰してきた歯は
虫歯に黒ずみ
日の光を浴びたあごは
無機質な死を連想させる
この白い死の影は
かつては親鹿だった
この骨の子供たちは
広大な土地を 食べられる草を求めて さまよい歩き
死を迎えた親と同じく
子孫を残してゆくのだろう
自然の無情なる営みは
荒野の中でも 森林の中でも
うつろうことなく
何年も何年も
とどまることなく
つづいてゆく




