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柘榴に関する二つの詩
柘榴の実
裂けた殻の中に
真っ赤な宝石を実らせて
胸底にひそむ恋心を忍ばせる
芳醇な薫りと
甘酸っぱい味
思い出にある娘の記憶
幼少に覚えた鮮烈な記憶
積み重ねた想い
その味は恋心に似た
魅惑の果実
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
柘榴の味は
人肉の味がすると言われる
それはある伝承で
人を喰らう鬼に
これは人の味がすると言って
柘榴の実を与えたから
だがこの実のように人間が
美味しいはずはない
鬼が柘榴を食べたとき
きっとこう言っただろう
「おまえたちが、こんなに旨いわけがないだろう」




