詩集 ～世界とわたしと、人々と～

文句を言う

　排ガスが臭いと文句を言い

　ゴミにハエが群がると文句を言い

　電波が届かぬと文句を言い

　除夜の鐘がうるさいと文句を言う

　文句を言い　文句を言い　文句を言いつづけ

　文句ばかりの人生

　文句以外に出なかった人生

　それが　文句を言う人の人生

　＊　＊　＊　＊　＊

　文句ばかり、非難ばかり、そうした精神は、世の理（ことわり）にそったあり方とも言える。それは、この世界は、何かを生み出したり、保存するよりも、傷つけ破壊したりするほうが、遥(・)か(・)に(・)簡(・)単(・)だから。

　ただしそれは、獣の性（さが）。

　人間的な精神とは言えない。

　人間的な精神とは、自然の摂理とも異なる、別の地平にあるものだとも言える。