具象
あえて重要なところを曖昧にして書きつつ、結論部分については明確に「こうなるのだ」と提示。
なんのことを言っているのか、想像してほしい。
真実、それは形象をなしうる
誰にとっても まったく不可解なるもの
それでいて それは確かに存在する
物事がつづいているのに
それを無視するもの
おのれの判断があらゆる場面で
正しいものだと確信し まったく改善しようとしないもの
それが価値ありと認めながら
おのれの劣等感から 蔑むもの
こうした人は年老いて
自分が豪邸にでも住んでいると勘違いした
ただの浮浪者となる
吹きっさらしの四阿で
冷たい石のテーブルに体を預け
よろよろと立ち上がり
風が冷たいと文句を言いながら
彼は冷たい屍となる
その本人の意思とは関係がなく
その人の行いによって
その人の精神的な本質が形作られていく
自分ではこうだと考えていても
それはまったく覚束ない
感情や欲望──それ以上に
おのれに対する思い込みや無知が
その人自身を不毛な場所に追いやってしまう
自分が四阿に暮らす
独居老人になっても
その人は そうした現状にすら
気づこうとはしないものなのだ……




