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花々の恋歌(二つの詩)
見目麗しき 薔薇
清楚なる 白百合
色鮮やかな 篝火花
すばらしき薫りの 金木犀
健やかなる恵みの 桔梗
そのどれよりも
かわいらしい 鈴蘭がいい
小さく頭を垂れ
奥ゆかしい
そんなおまえが 愛おしい
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
薔薇には いかにも棘があり
触れる者に 鋭い苦痛を与え
怯える者を 遠巻きに笑う
いくつもの花弁を広げ
華やかに その姿を彩りながら
無体な仕打ちで その手を払う
真っ赤な薔薇のごとき淑女
人の恋心を弄ぶ悪女のよう
おまえの美しさも
やがては枯れると 知るがいい




