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愛の記憶
しっかりとしたものはなく
写真も 手紙も 日記に残されてはいない
それでもはっきりと残されている
わたしの心の中に
あなたが わたしに くれたもの
小さな記憶の種火
かすかに風に揺らめいて
淡く光る 灯籠の(とうろう)の灯火
ぼんやりと うっすらと
それでもわたしを元気づける
ときにその記憶が
わたしに勇気を与えてくれる
小さな 小さな 思い出の欠片
その思い出 大切な思い出
そっと心に しまっておこう
* * * * *
苦痛や苦悩よりも、幸せな気持ちや思い出などは、人の(動物の)記憶に残りづらいそうです。つらい経験や記憶は身を守るためには必要でしょうが、暗い思い出にばかり埋め尽くされた心では、その感情に溺れて、自らの足を踏み出す気力を奪われてしまうかもしれません。




