魂を詠う
詩、そのものについて。
詩というやつは
心の有様を
ときには
魂ってやつを表現しようと
想い、考え、言葉を手繰り寄せて
表出しようとした結果に生まれ出る
謎めいた言葉や表現として
表れ出る──夢幻の言葉
心の奥底
人を形作る根元にあるもの
その土壌を一言で語ることなど 誰にできよう
そんな一言で説明できるはずもなく
そこは蜃気楼の街のように曖昧で
明確な形がないのだから
一過性に感情や
過去の哀愁を詠うにも
表面的な言葉の羅列や
技術的な総論の必要もなく
それは言葉として発生し
だがその根元ゆえに
単純な言葉にし尽くしがたい
どこまでも奥深く
そして個人的であり
誰かに伝えようとしても
ときには自分自身にさえも
何を想って詩にしたのかと
振り返っては 途方に暮れる
それが詩(心)の本質なのではと考える
考えても 考えても
これが心で 想いで 信念で 魂で……
いかに言葉を尽くそうとも
明確な答えなど出やしない
だから言葉を駆使して挑戦する
何度も何度も ありのままを詠おうと
そして何度も 途方に暮れる
詩は言葉だが
文章でもあるが
読み解けない謎のよう
詩は言葉ではなく
形のないものの表現で
ありようのないあるものを形にしようと
言語を使って表された「人間」の表現なのだ
芸術家がその想いを物体や空間に
おのれの内面から沸き上がるものを
形として表現するように
詩人は言葉を使って
おのれの内面を凝視し
沸き上がることのない
穏やかな凪の湖面からも
言葉を駆使して 詩を詠み
手を動かして 文字を駆使し
心から 頭へと
魂から 頭へと
おのれに問いかけるみたいに
それを詩として表そうともがく
遠くをゆく陽炎を追うように
ときに定められた運命を眺める
冷徹な哲学者のように
ときに不安に打ちひしがれる
子供のように
ときに男でも女でもない
両性具有の神秘的な彫像のように
答えを探し求めている
たった一つわかることは
世界に生まれ落ちた人の子は
もれることなく
詩人なのだということ




