表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
詩集 ~世界とわたしと、人々と~  作者: 荒野ヒロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

131/200

昔と今と、詩と心

「時代は変わった」しかし、変わらないものもある。

あるいは昔よりも切実に求められることも。

 昔の人はスマホも ネットもない時代に生き


 それでも幸福だった


 満たされていた


 あんなにも自然を 文化を愛し


 また、激動の時代を眺めて


 それを言葉にした詩人たち


 彼らの残した言葉には


 人の心にある、確かな真実を映し出す




 木の枝をしならせる柿に


 そよぐ風に


 流れる川に


 生き物に


 ほんのちょっとの慰みと


 心に浮かぶ郷愁きょうしゅうを残す




 それらは現代を生きるわたしたちに


 無縁のものなんかじゃない


 むしろわたしたちは


 それを取り戻すべきなんだ


 便利な道具を手に入れて


 失われてしまった心の機微


 まるで機械の一部になってしまったかのような


 不毛な人々のうつろな影


 荒んだ、空しい、不誠実な喜び


 そんなものに捕われて




 どこまで歩こうとも


 そこは不毛の大地


 誰かと競い合うつもりでいる


 たった独りの 孤独なる競争者


 そこには対する人がいると思い込んで


 また意味のない言葉を吐き散らかす


 誰もが自由で 価値のない享楽を手に入れた




 科学の勝利だ!


 人類は衰退し


 その魂は錆ついた


 ついには鏡の向こうにいる人と話しはじめた


 人類はどこに向かっていくのだろう?


 悪辣な精神的病が広がり


 人は争うばかり


「わたしが勝利者だ」と


 敗北宣言をする者たち


 虚像を見つけて


「神はいませり!」と


 狂乱する信仰者の影




 わたしは虚ろな影を眺めては


 人知れず涙をこぼす


 人の心に浮かぶ塵芥ちりあくた


 誰が取り除けるのだろう?


 病に冒された心で


 自分勝手な夢を見る人々


 その足下で──


 自分からこぼれ落ちた良心が


 踏みつぶされていると知らずに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ