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詩集 ~世界とわたしと、人々と~  作者: 荒野ヒロ


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愚にもつかぬ現世(うつしよ)

夢想と現実、過剰な幻想を抱いてそこで溺れるのは勝手だけれど、そこに自我が飲まれると──自己否定がはじまる。そんな内容。

 黄金の馬に乗り


 金銀財宝で埋め尽くされた道を駆ける


 白金の馬蹄で財宝を踏み鳴らし


 栄光の道を駆け抜ける


 道々に立つのは わたしを愛する美男美女


 すべての憂いをぬぐい去った


 この楽園で


 わたしは永遠を生きよう




 などという夢から覚める


 愚にもつかない夢


 恥ずべき夢想


 こんな虚構が現実だと


 一瞬でも思うものかと歯がみする


 あまりに滑稽こっけい無惨な夢を見て


 身もだえする暗い朝




 世の憂いは常のことで


 人の語るあこがれは 胡散臭い夢のよう


 そんなまやかしに心を奪われ


 人の世のことわり


 世界の深奥にある秘密も知らずに


 朽ち果てる




 我が魂に苦難あれ


 揺るぎなき辛苦に耐え


 うつろで空虚な夢想を払い去れ


 やがて開かれる真理の扉


 その前に立って


 自らの魂を裁こうではないか

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