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愚にもつかぬ現世(うつしよ)
夢想と現実、過剰な幻想を抱いてそこで溺れるのは勝手だけれど、そこに自我が飲まれると──自己否定がはじまる。そんな内容。
黄金の馬に乗り
金銀財宝で埋め尽くされた道を駆ける
白金の馬蹄で財宝を踏み鳴らし
栄光の道を駆け抜ける
道々に立つのは わたしを愛する美男美女
すべての憂いをぬぐい去った
この楽園で
わたしは永遠を生きよう
などという夢から覚める
愚にもつかない夢
恥ずべき夢想
こんな虚構が現実だと
一瞬でも思うものかと歯がみする
あまりに滑稽無惨な夢を見て
身もだえする暗い朝
世の憂いは常のことで
人の語るあこがれは 胡散臭い夢のよう
そんなまやかしに心を奪われ
人の世の理も
世界の深奥にある秘密も知らずに
朽ち果てる
我が魂に苦難あれ
揺るぎなき辛苦に耐え
虚ろで空虚な夢想を払い去れ
やがて開かれる真理の扉
その前に立って
自らの魂を裁こうではないか




