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詩集 ~世界とわたしと、人々と~  作者: 荒野ヒロ


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老木

200話まで毎日投稿します。

 大きく大きくと


 枝葉を広げる年老いた木よ


 おまえの細腕から生えるしなびた葉


 その陰となり


 若芽が成長をはばまれている


 ああ確かに、おまえの偉業はすばらしい


 しかしその広げた腕の下で


 若芽が育たなければ


 どのみちおまえも


 おまえの子供も


 倒れるだろう




 大きな大きな


 陰を作る年老いた木よ


 おまえが倒れるとき


 おまえの下にある若木たちは


 おまえの巨体に押しつぶされて


 おまえにうらごとをぶつけるだろう


 おまえさえいなければと




 年輪を刻み


 年老いた木


 もはや立つこともできぬ身で


 老木よ


 倒れて若木を押しつぶすことなかれ


 日陰で若芽の成長をさまたげるなかれ




 老木よ


 朽ち倒れ


 大地に還り


 養分となっていればと


 恨み言が聞こえる前に

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