下剋上
次話の詩と対応した内容になります。
わたしは怖れる
何よりも怖れている
わたしがさんざんに馬鹿にしてきたもの
わたしより格下だったあれらが
わたしよりも確実に格下であったものが
わたしの地位や名誉を傷つけることに
わたしが気に入らないものは
価値のないもの
だからそれらを排除する
否定し侮辱する
ああしかし、そうしてきたものらが
わたしが侮辱してきたあれらが
真に価値ありと認められ
多くの人に受け入れられたらと思うと
わたしの否定してきたことが
醜い嫉妬であると
無知で愚かな行為であったと
誹りを受けるだろう
ああ、そんなことは とうてい認められない
わたしはわたしが嫌うものに
そんな醜い感情をもっていたなど
認めたくない
だからわたしは それらを忌み嫌い
なんどもなんども
否定せずには いられないのだ
それが愚かなことだと知りながら
自分が正しいのだと
言いつづけるために
なんども愚かしい行為を重ね
わたしの中の怖れは
どこまでも膨れ上がるのだ




