『魔王で勇者なアークマーティン(第2章)』2:2:1
『魔王で勇者なアークマーティン(第2章)』2:2:1
アーク・マーティン……♂元魔王だが異世界転移して勇者になる。
クレア・ヘーゲル……♀女騎士で気の強い性格。強さに固執している。
フレンダ・コックス……♀魔法使いで口数が少なく、大人しめ。人間不信。
リアム・ガレット……♂ランサーで人当たりが良い。息子がいる。
乙女コウモリ……不問
子ども1……アーク兼ね役
子ども2……リアム兼ね役
子ども3……クレア兼ね役
子ども4……乙女コウモリ兼ね役
子ども1.2.3.4の配役は変更可能です。
テンションさえ子どもであれば、声が多少大人でも大丈夫です。
-草原-
フレンダM「イライラする……イライラする……イライラする……パーティーにあいつが来てから、私のイライラゲージは常に限界値スレスレで、いい加減どうにかなってしまいそうだ……そんなストレスの元凶となっている弱小勇者はと言うと……」
アーク「はぁ!とう!!せいや!!」
フレンダM「今日も一日の日課として……クレアと木剣を交えていた」
アーク「せい!とりゃ!!はぁ!!」
クレア「遅い!とりゃ!!」
-クレアの突きがアークのみぞおちに入る-
アーク「ぐへっ!!……ゲホッゲホッ!」
フレンダM「気に食わない所その一、弱い所……あいつが私達のパーティーに勇者として入ってから、二週間が経とうとしている。なのに、未だにあいつはクレアに一撃も与えられていない。勇者の癖に……ヘッポコすぎる」
クレア「隙だらけね。そんなんじゃ、すぐにやられてしまうわ。反応速度をもっと早めなさい!」
アーク「くっそぉ〜この体、小さい割に重くて使い辛いんだっての!」
クレア「あなたの体でしょ?文句は言わない!さっ、続き行くわよ!」
アーク「えぇ〜疲れた!ちょい休憩!!」
クレア「さっき休憩したばっかりじゃない」
アーク「いや、何て言うかそれもそうなんだが……ほら、魔法の練習とかもしたいし?な!フレンダ!」
フレンダM「気に食わない所、その二……馴れ馴れしい。ぼんやりと稽古風景を見ている私に、あいつはいつも声を掛けてくる。いい加減、自分が嫌われている事に気付いて欲しい」
フレンダ「ぷぃ……」
アーク「あ!またそっぽ向きやがった!ったく……いつになったら俺様に慣れてくれるんだよー、フレンダ!」
フレンダ「気安く名前呼ばないで……それに、慣れる慣れないの話じゃ無い……私はあなたを……信用出来ないだけ」
アーク「ハッキリ言うな……でも、仲間になった以上、絶対に信用させてみせるぜ!」
フレンダ「……」
アーク「え?無視?」
フレンダ「クレア……このサボリ魔を早く黙らせて」
クレア「アーク!」
アーク「あ、チクるのズルくね!?」
フレンダM「気に食わない所は沢山ある……でも、私が一番気に食わないのは」
リアム「何だ何だ?また喧嘩か?仲良いな!」
アーク「そうなんだよ!俺様達、超仲良し!喧嘩する程仲がいい、ってな!」
フレンダ「誰がこんな魔物と……」
アーク「え?」
フレンダ「あっ!」
フレンダM「つい思っている事が口に出てしまった」
リアム「魔物?」
フレンダ「あ……えっと……何でもない」
リアム「あ、おいフレンダ!どこ行くんだよ!おい!」
-フレンダが逃げるようにどこかへ歩いていく。それを追っていくリアム-
アーク「今アイツ……俺様の事、魔物って言った?もしかして……バレて(被せ)」
クレア「さぁ、休憩は終わり!あんたは仮にも勇者なんだから、もっともっと強くなって貰わないと。休んでる暇はないわよ!」
アーク「あっ、ちょっ、待って!あぁ〜助けてー!リアム〜!!」
長めの間
フレンダM「これは私、天才魔法使い“フレンダ・コックス”の友情物語である」
間
フレンダM「第二章“魔法使いに友達はいらない”」
間
フレンダM「私の家は代々優秀な魔法使いが生まれる家系だ……その中でも、私は三歳で初めて魔法を習得した、いわゆる天才魔法使い……その筈だったのに」
フレンダ「私は……天才……はぁ……」
フレンダM「私の魔法使いとしての才能は、五歳でピークを迎えていた。魔法が使える様になったのが早いだけで、そこからの成長というものが著しく悪かったのだ」
フレンダ「魔法……魔力……魔物」
フレンダM「沢山勉強もした……努力もした……でも、結果が追いついて来なかった」
-フレンダの所にリアムがやってくる-
リアム「おい、フレンダ!ここにいたのか……ったく、何でそうやってアークを毛嫌いするんだ?まぁ、偶に口は悪いが、根はいい奴だぞ?」
フレンダ「……騙されてる」
リアム「ん?」
フレンダM「あいつは勇者ではなく、魔物かもしれない……なんて、こんな馬鹿げた事、リアムやクレアに言った所で、二人が私を信用するとは思えない……それに、あいつは召喚者様が召喚した、保証書付きの勇者……私が何を言っても、その事実は変わらないのだ」
フレンダ「……」
リアム「どうした?」
フレンダ「……なんでもない」
リアム「なんでもないって……ったく……お前はもうちょい周りの人間を頼れ!一人で閉じ篭ってても、何も解決しないぞ?」
フレンダ「私は……一人で大丈夫」
リアム「バーカ、人という字は人と人が支え合ってだなぁ」
フレンダ「支え合えない……」
フレンダM「私が支えられない……私は皆んなを……信じてなんかいないのだから」
リアム「おい、フレンダ……」
フレンダ「もう放っておいて!」
リアム「……フレンダ」
フレンダM「またやってしまった……完全に八つ当たりだ……」
長めの間
アーク「疲れた〜……」
クレア「お疲れ様。これ水」
アーク「おぉ、サンキュー!」
クレア「パーティーには慣れてきた?」
アーク「まぁ、一応?」
クレア「そっか」
アーク「唯一慣れないとしたら、軍事訓練さながらのスパルタ稽古くらいかな?」
クレア「これでも加減してるつもりよ?あなたは勇者なんだから」
アーク「あぁー……後もう一つあるとすれば……」
クレア「……フレンダ?」
アーク「正解……どうやったら俺様の事を受け入れてくれるかね〜」
クレア「難しい子だからね……あの子。私達でも距離を感じる事が多いし」
アーク「それはダメだろ。俺様は兎も角、仲間の事は信頼しないと」
クレア「何言ってるの?あなたも私達の仲間でしょ?」
アーク「……え?」
クレア「え?って何よ。もしかして私達の敵だったりする訳?」
アーク「いやいやいや!敵じゃ無いです!味方だ味方!俺様達はナカーマ!!」
クレア「はぁ……私から見たら、あなたもフレンダと同じくらい、距離を感じるけどね」
アーク「そんな事はないだろ?ほら、めちゃくちゃフレンドリーに……」
クレア「それはあなたの本心じゃない……あなたは、本当の自分を隠して私達に接している。そんな事は二週間も一緒にいれば分かるわよ」
アーク「……」
クレア「まぁなんにしても!仲間になった以上、アンタの気持ちなんて知ったこっちゃない!弱いうちは、絶対に私があんたを守るから……だから早く強くなってね……それで……絶対に死なないで」
アーク「う、うっす……」
-そこへリアムが来る-
リアム「戻ったぞ〜」
クレア「あ、リアム!どうだった?」
リアム「全然ダメだ!ありゃー明日まで機嫌悪いパターンだな」
クレア「そっか……あぁ、もう!明日にはダンジョンに入るっていうのに」
アーク「そう言えばダンジョンにはボスがいるんだよな?大丈夫なのか?」
リアム「戦力的にはギリギリって所だな」
アーク「うへー……やっぱ甘くはないか〜」
クレア「兎に角、あまり時間はないから、各自出来る準備はしておきましょう」
リアム・アーク「了解!」
長めの間
フレンダM「太陽が沈み、私達のパーティーは近くにあった村の宿に泊まる事になった。ご飯を食べて、お風呂に入って、私とクレアは同じ部屋で眠る……そして、クレアが眠るのをじっと待って……チャンスを伺う」
フレンダ「クレア……起きてる?(小声)」
クレア「……んん……すぅ……すぅ」
フレンダM「声を掛けても一向に起きる気配はない。まぁ、毎日声を掛けてはみるものの、起きた試しは一度も無いけど……」
フレンダ「行ってきます……(小声)」
フレンダM「魔法の杖を持って、私は宿を出た。しばらく歩き、朝いた草原まで戻ってくる」
フレンダ「ここでいいかな……」
フレンダM「今日も私の日課が始まる」
フレンダ「ホーリーブレイク!」
フレンダM「私は何もない所に向けて魔法を放った。まだ足りない……こんなんじゃスライム一匹倒せやしない……」
フレンダ「ホーリーブレイク!……ホーリーブレイク!……ホーリーブレイク!」
フレンダM「何度も何度も魔法を放つ。何度も……何度も……何度も……その時」
フレンダ「っ!?誰!?」
フレンダM「背後に魔物の気配がした。振り返り、構えた先にいるのは」
アーク「ちょっ、たんま!!」
フレンダ「何で……貴方が……ここに?」
アーク「いや〜窓からフレンダの姿が見えてさ?何となく気になって、後を付いて来ちまった」
フレンダM「バレた……一番バレたくない奴に……私の秘密が」
アーク「ん?フレンダ?どしたー?」
フレンダ「……レイク」
アーク「え?」
フレンダ「ホーリーブレイク!」
アーク「わわわっ!ちょっと!あっぶね!!」
フレンダ「今すぐ忘れて……私が……魔法の練習をしてた事……」
アーク「なんで?」
フレンダ「なんでも!兎に角……内緒にして……さもないと」
アーク「さもないと?」
フレンダ「あ、あなたが、魔物だって……み、みんなにバラす!」
アーク「え……えぇ!?」
フレンダM「動揺してる……やっぱり本当に……」
アーク「えっと、いや……」
フレンダ「み、みんなの目は誤魔化せても……私の……天才魔法使い、フレンダ・コックスの目は誤魔化せない!」
アーク「いやーナニヲ、イッテルカ、ワカラナイヨー」
フレンダ「目的は何?」
アーク「だから違うって!」
フレンダ「騙されない!」
アーク「話を聞け!」
フレンダ「ホーリー」
アーク「ちょっ!待って!」
フレンダ「ブレイク!!」
アーク「あっちょ!うわぁぁぁあ!!」
フレンダM「その時、いつもと違う感覚がした……咄嗟に危ないと思い、私は杖を空に向けて、魔法を放つ。そうして杖から放たれる光は、今までとは比べ物にならないくらい大きく、凄まじい音を立てて、弾けた」
フレンダ「……」
アーク「あ、危ない……当たってたら確実に死んでた」
フレンダ「……」
アーク「ん?フレンダ?」
フレンダ「やった……やった……」
アーク「え?」
フレンダ「ねぇ!今の凄かったよね?」
アーク「いや、凄いってか、死ぬかと思ったわ!」
フレンダ「うん!今のだったら殺せる!どんな魔物でも倒せる!!」
アーク「えっと……うん、そうだな」
フレンダ「……あっ」
アーク「……」
フレンダ「な、なに……?」
アーク「いや、なんか、笑ってるフレンダ初めて見たなって」
フレンダM「そう言われて、初めて自分の口角が上がっていた事に気が付く」
アーク「なぁ、フレンダ!」
フレンダ「なに?」
アーク「ちょっと話そうか」
フレンダ「……」
アーク「あぁ、やっぱダメか……」
フレンダ「約束……」
アーク「え?」
フレンダ「練習の事と……さっきの……笑ってた事……秘密にして」
アーク「おう!約束する!」
フレンダM「今日は見られたくない所を、見られたくない奴に見られてばかりだ……」
間
アーク「なんで一人で練習してたんだ?みんなで稽古した方が強くなれると思うぞ?」
フレンダ「……」
アーク「あぁ、あれか?クレアのスパルタが怖いとか?まぁ、確かにあいつは女の癖に鬼みたいに厳しいし、偶に鬼みたいな顔してるし、アイツはもしかしたら鬼かもしれんな!」
フレンダ「……」
アーク「鬼って見たことあるか?アイツら普段は怒りっぽいんだけど、本当は泣き虫でさー、この間どっかの勇者に攻め込まれた鬼が、財宝丸々取られたって大泣きしてやがった!」
フレンダ「……」
アーク「そんな鬼に比べたらクレアは鬼より鬼なのかもしれんな!あははははははは!」
フレンダ「……」
アーク「あぁ……」
フレンダ「……」
アーク「……」
-気まずい空気-
フレンダ「あなたはやっぱり魔物なの?」
アーク「え?」
フレンダ「やっぱり……私達の敵?」
アーク「なんで……そう思う?」
フレンダ「魔力……」
アーク「魔力?」
フレンダ「人間の魔力と魔物の魔力って、微妙に違うから……あなたの魔力は人間っぽく無い……でも、魔物っぽくもなくて……私もよく分からないんだけど……まるで、人間の魔力に、ほんの少しだけ魔物の魔力が混じってる……みたいな」
アーク「……」
フレンダ「あなたは……敵なの?味方なの?」
アーク「味方だって言って……信じてくれるのか?」
フレンダ「……(首を振る)」
アーク「なんで、俺様が魔物かもしれないって話を、みんなにしなかったんだ?」
フレンダ「信じて貰えないと思ったから」
アーク「ん?」
フレンダ「私が信じてないから……信じて貰えないよ……私、あなたの事も信じてないけど……本当はクレアとリアムの事も信じてない」
アーク「なんで」
フレンダ「信じても……裏切られるから」
フレンダM「私は誰も信じない……あの日……私はそう心に決めた」
間
-過去-
フレンダM「当時私は5歳で、常に周りには沢山の友達がいた」
フレンダ「いっくよ!シャイン!」
-フレンダの手からキラキラと細かい光が散る-
子ども1.2.3.4「(凄い凄い!みたいなアドリブ)」
フレンダ「私は天才魔法使い!将来絶対に立派な魔法使いになるの!」
子ども2「フレンダちゃんなら絶対なれるよ!」
子ども3「頑張ってね!」
子ども4「がんばってぇぇえ〜」
フレンダ「ありがと!私頑張る!」
フレンダM「みんなが魔法を見て、喜んでくれるのが嬉しかった。褒めてくれるのが嬉しかった」
子ども1「フレンダ!俺達ずっと友達だぞ!」
子ども2.3.4「ずっと友達!」
フレンダ「うん!」
フレンダM「ずっと友達……そう約束したはずだった……そして、ある日」
子ども1「なぁなぁ!見て見て!ファイヤー!」
子ども2.3.4「おぉ!!(凄え!みたいなアドリブ)」
子ども1「へへん!なんかコツ掴んできたかも!」
フレンダ「みんなどうしたの?」
子ども2「あ!フレンダちゃん!」
子ども3「凄いんだよ!」
子ども4「みてみてぇぇえ!!」
フレンダ「ん?」
子ども1「ファイヤー!」
-手から火の玉が放たれる-
フレンダ「凄い……」
フレンダM「無意識に声が漏れる。なぜか少しだけ、胸がキュッと苦しくなった」
子ども1「な?これでフレンダと並べるな!」
フレンダ「……え?……う、うん!でも、絶対に負けないもん!なんたって私は天才魔法使い、フレンダ・コックスだから!」
子ども1「じゃあこれからはライバルだな!」
フレンダ「うん!」
フレンダM「この日から、私は毎日魔法の練習をするようになった。でも、何度やっても上手くいかなくて……気付けば周りの友達はみんな、魔法が使えるようになっていた……そして、それは七歳の春に起きた」
子ども1「ファイヤー!」
子ども2「ファイヤー!」
子ども3「ファイヤー!」
子ども4「ファイヤー!」
フレンダM「みんなが順番に魔法を放つ。私も……」
フレンダ「ファ……ファイヤー!」
子ども2「あぁ……」
子ども4「フレンダちゃん、また失敗だぁぁぁあ!」
子ども3「だ、大丈夫だよ!今日は調子悪かったんだよ!ね?フレンダちゃん!」
フレンダ「う、うん……」
子ども1「今日はって……いつも失敗ばっかじゃん!」
フレンダ「……」
子ども1「ってかさ、フレンダ魔法下手過ぎ」
フレンダ「……え?」
子ども1「最初は凄いって思ったけど、なんか……全然凄くねーじゃん!」
フレンダ「でも……私は……天才魔法使いだもん」
子ども1「天才なんかじゃないね!だって、魔法下手くそだもん!」
フレンダ「天才だもん!」
子ども1「じゃあもう一回魔法撃ってみろよ!」
フレンダ「……っ!」
子ども3「ちょっと、やめなって!」
子ども1「どうした?天才魔法使い!」
フレンダ「……」
子ども1「ふん!行こうぜ、みんな!」
フレンダ「え……どこ行くの?」
子ども4「俺達、最強の魔法使いチーム“スーパー・マジック・レンジャー”を作ったんだぁぁあ!」
子ども2「ちょ、それフレンダには内緒!」
フレンダ「……え?」
子ども1「スーパー・マジック・レンジャーは最強の魔法使いチームだから、魔法下手な奴はいらない!」
フレンダ「でも……友達だって……ずっと友達だって……」
子ども3「フレンダちゃん……」
フレンダ「ねぇ、私も仲間に入れてよ……」
子ども3「……」
子ども1「ほら、行くぞ!」
子ども3「……うん」
フレンダM「私を置いていく皆んなの背中を……追いかける事も出来なかった」
フレンダ「うぅ……ひっく……うわぁぁ!」
フレンダM「友達だと思っていたのは私の方だけで……本当はみんな、私の事を友達だなんて、思っていなかった……魔法が下手な私は……無価値で……」
フレンダ「うぅ……」
フレンダM「こんな事になるなら……初めから友達だなんて思わなければ良かった……」
フレンダ「ずっと友達だって……言ったのに」
フレンダM「こんなに苦しいなら……信じなければ良かった」
間
-現在-
フレンダ「傷付くくらいなら……初めっから信じない」
アーク「……」
フレンダ「だから……私はみんなを信じない」
アーク「なるほどな」
フレンダ「……」
アーク「取り敢えず、なんでお前が一人っきりで、魔法の練習をしていたのかは分かった」
フレンダ「え?」
アーク「つまり、みんなに認めて貰いたいから、魔法の練習をしていたんだろ?」
フレンダ「いや、ちが……(被せ)」
アーク「分かる分かる!俺様も昔はめちゃくちゃ強かったんだけど……今はビックリするくらい弱いから、早く強くなって、見返したい奴がいっぱいいるんだよ」
フレンダ「ちょっと……聞いて!」
アーク「フレンダも強くなって、離れていった友達、見返してやろうぜ!」
フレンダ「あいつらは友達じゃないの!話聞いてた?それに、私が魔法を練習してたのはそんな理由じゃなくて……」
アーク「一緒に頑張ろうな!フレンダ」
フレンダ「……うぅ」
アーク「ん?」
フレンダ「……」
アーク「どした?」
フレンダ「バカ」
アーク「え?なんで?」
フレンダ「帰る!」
アーク「おい!フレンダ!待てって!」
フレンダM「今日の私は少し変だ……見られたくない所を見られて、見られたくない表情を見られて……つい、話したくない話までしてしまって……嫌で嫌で堪らない筈なのに……話が出来て、スッキリしている自分がいる」
リアム『お前はもうちょい周りの人間を頼れ!』
フレンダM「頼るって……こう言う事なのかな?……そんな事を考えてしまい、首を横に振る。私は一人で大丈夫……私は……誰も信じない」
長めの間
-ダンジョン-
フレンダM「夜が明けて、いよいよ私達はダンジョンへと入った」
クレア「真っ暗ね……」
リアム「幸い、あまりモンスターが出てこないのはありがたいが……足元が見えないのが不安だな」
フレンダ「近くに大きい魔力がある……多分ボス」
アーク「いよいよか」
クレア「気を抜かないで行きましょ」
リアム「おう!」
フレンダ「ボスが近付いて来る!」
クレア「え?」
リアム「俺らの存在に気付いたってことか!」
フレンダ「すぐそこまで来てる……早い」
フレンダM「大きな魔力がどんどん近くにやって来る。緊張で脈が早くなるのを感じた。そしてそいつは姿を現わす」
乙女コウモリ「あらあら、久し振りに人間がいるわね〜」
アーク「げっ……乙女コウモリ……」
乙女コウモリ「あらあら、私の事知ってるのかしら?」
クレア「あなたがこのダンジョンのボスね!」
乙女コウモリ「ふん!女は黙らっしゃい!それにしても、いい男達ね……この私、乙女コウモリちゃんと、いい事し・な・い♡」
リアム「うぅ、悪寒が……アーク!気を付けろよ!俺達の貞操がかかってる!」
アーク「あぁ、死んでも俺様の貞操は守り抜く!」
乙女コウモリ「あらまぁ〜照れちゃって、可愛い!あーた達の前に来た男達は、本当に骨の無い奴等だったから……今日は私を楽しませて頂戴ね!」
フレンダ「ここは私がやる……」
クレア「フレンダ……」
フレンダ「大丈夫」
フレンダM「昨日の感じでやれば、きっと大丈夫だ……倒せる……倒せる……倒せる」
乙女コウモリ「あら、おチビちゃん?悪いけど、私は男にしか興味ないの!あっちに行ってくれるかしら?」
フレンダ「お前は……私が倒す!」
乙女コウモリ「へーやれるものならやってみなさい!小さな魔法使いちゃん!」
フレンダ「ホーリーブレイク!」
フレンダM「魔法の杖から光が放たれ、乙女コウモリの顔面に直撃する。だが……」
乙女コウモリ「もう、何するのよ!乙女の顔に!」
フレンダ「うそ……」
フレンダM「また、ホーリーブレイクの威力が落ちている」
フレンダ「なんで……」
クレア「フレンダ!いったん下がりなさい!」
フレンダ「……」
クレア「フレンダ!」
乙女コウモリ「くらいなさい!いやぁぁぁぁぁぁぁぉああん!!(超音波攻撃)」
フレンダM「乙女コウモリの咆哮……私は魔法が効かなかったショックと動揺で、固まってしまっていた。そんな私の前に、リアムが立ち、盾で守ってくれる」
リアム「大丈夫か!フレンダ!」
フレンダ「大丈……っ!?耳を塞いで!!」
フレンダM「耳に違和感を感じ、咄嗟に叫んだ。でも……」
-アーク、リアム、クレアはこの先苦しそうに話す-
リアム「ぐっ……力が……入らん」
クレア「体が……動かない」
アーク「くっそ……何だこれ!」
フレンダ「みんな……」
乙女コウモリ「あらあら、あーた、私の超音波攻撃が効かないのね〜防音スキルって奴かしら?」
フレンダ「リアム……クレア」
フレンダM「恐怖で体が震える。私一人じゃ……勝てっこない」
乙女コウモリ「仕方ない……まずはあーたから殺してあげるわね!!」
フレンダ「いや……」
リアム「フレンダ……戦え!」
フレンダ「無理だよ……」
リアム「お前しか……戦えないんだ……!」
フレンダ「私も戦えない……」
クレア「このままじゃ……皆んなやられる……お願い……フレンダ!」
フレンダ「見てたでしょ!私の攻撃魔法……全然効かなかった……勝てっこないよ!」
乙女コウモリ「うふふふ!行くわよ!おチビちゃん!!(飛び掛かる)」
フレンダ「ホーリーバリア……きゃあ!(バリアが砕け散る)」
乙女コウモリ「ちっ!」
フレンダ「……やっぱり……勝てないよ」
リアム「大丈夫だ……!お前なら戦える!」
フレンダ「大丈夫なんかじゃ……ないよ……」
クレア「大丈夫だから……」
フレンダ「大丈夫じゃない!」
クレア「私は知ってるから!」
フレンダ「え?」
クレア「あなたが毎日……魔法の練習してたの……私は知ってるから……」
フレンダ「クレア……」
リアム「はは……俺達は仲間なんだ……気付かない方が、可笑しいだろ」
フレンダ「リアム……」
フレンダM「気付かれていないと思っていた……私はクレアの事もリアムの事も、何にも知らないのに……二人は私の事をちゃんと見てくれていた……だけど」
フレンダ「毎日練習しても……身にならなかったの!」
クレア「フレンダ……」
フレンダ「……私が弱いのは私が一番よく知ってる……こんな時だけ……こんな時だけ私の力を過信しないでよ!」
アーク「……ざけんな」
フレンダ「え……」
アーク「ふざけんな!!」
フレンダ「……っ!?」
アーク「お前が弱い事くらい……みんな分かってんだよ!」
フレンダ「……」
アーク「でもな……今、お前が弱いかなんてどうでもいい……弱いのが嫌なら強くなれ!」
フレンダ「そんなの……急に強くなれだなんて……無理に決まってんじゃん!」
アーク「急じゃ無いだろ!」
フレンダ「……え?」
アーク「毎日努力してきたんだろうが……努力が必ず報われるだなんて、そんな事を言うつもりはない……けどよぉ……一回失敗したくらいで、お前が初めに諦めてんじゃねえよ……努力が無駄じゃ無いって事を……お前だけは、何があっても信じ抜け!!」
フレンダ「無理だよ……毎日頑張って来た……でも、足りなかった……昨日みたいな魔法は、もう撃てない……撃てないよ」
アーク「信じろ!」
フレンダ「信じられない!」
アーク「信じろ!」
フレンダ「無理だよ!」
アーク「信じろって……言ってんだぁぁぁあ!!(無理やり起き上がる)はぁ……はぁ……はぁ」
乙女コウモリ「た、立った!?……う、嘘でしょ!?」
フレンダ「アーク……」
アーク「はぁ……はぁ……はぁ」
フレンダM「あの超音波を聞いて……普通の人だったら立てる筈もないのに……なのに、自力で立つなんて……無茶苦茶だ……」
アーク「信じろよ……」
フレンダ「え?」
アーク「自分を信じろ!」
フレンダM「アークが私の肩を掴み、自分を信じろ、信じろと何度も叫ぶ……それを私に伝えたいって気持ちだけで、アークは立ち上がったんだ……」
フレンダ「ほんとに……無茶苦茶だよ」
フレンダM「でも……」
アーク「信じろ……信じ(被せ)」
フレンダ「私に!……出来るかな」
アーク「え……」
フレンダ「私に……出来るかな?」
アーク「お前なら出来る」
フレンダ「本当に?」
アーク「何度だって言ってやる……お前なら出来る!俺様は別の世界で、お前の本気の魔法を受けた事がある……俺様を殺しかけるなんて……お前は、紛れもなく天才魔法使いだよ」
フレンダ「……そっか」
乙女コウモリ「お取り込み中悪いんだけど……そろそろいいかしら?もうこれ以上待ってあげられる程、乙女って気長じゃないわよ」
フレンダ「……黙れ」
乙女コウモリ「ん?」
フレンダ「黙れ!ブサイクコウモリ!」
乙女コウモリ「ブサッ……誰が……誰がブサイクですってぇぇぇえ!!」
フレンダM「ずっと練習してきた……強くなって、あいつらを見返すんだって……」
クレア「フレンダ……」
リアム「フレンダ!」
フレンダM「でもいつしか、目的は変わっていた……二人に認めて貰いたかった。クレアやリアムの陰に隠れてるだけじゃなくて、私も戦えるんだって……」
乙女コウモリ「死ねぇぇえ!!」
フレンダM「頼ってばっかりじゃなくて、誰かに頼られる存在になりたかった……だから強くなりたかった……仲間を守れる力が欲しかった……」
アーク「いけ……」
フレンダM「信じるのは怖い……また裏切られてしまうかもしれないから……でも、本当は信じたい……私の事を信じてくれる人がいるなら……私も、私を信じてみたい……みんなを信じてみたい……私も……信じたい!」
アーク「ぶちかませぇぇえ!!」
フレンダ「ホーリーブレイク!!!」
乙女コウモリ「な!?ウギャァァァァア!」
リアム「す、すげぇ……」
クレア「これが……フレンダの魔法?」
乙女コウモリ「な……何今の……さっきまでの魔法とは……全然違うじゃない……」
フレンダ「お前はこの私……天才魔法使い、フレンダ・コックスが……命に代えても倒す!」
乙女コウモリ「ははは……図に乗るなよ小娘がぁぁあ!!……んふふふ……でもその魔法はもうくらわないわよ……さっきは油断しただけ……私のスピードを待ってすれば……」
フレンダ「じゃあ、これならどう?」
乙女コウモリ「え?」
フレンダM「赤色の光が浮かび、その光がどんどん大きくなっていく……ホーリースパークと一緒に練習して来た、私のとっておき……」
乙女コウモリ「その技は……」
フレンダ「死ね……サンシャインブレイズ!」
乙女コウモリ「いやぁぁぁぁあん!!バカァぁぁぁあん!!!」
フレンダM「一瞬、薄暗いダンジョンが眩しいほどの明かりに照らされ、乙女コウモリは跡形もなく消し飛んだ」
リアム「ここに来て……」
クレア「上級魔法……」
フレンダ「やっ……た」
-フレンダ倒れる-
フレンダM「気が抜けたのか、魔力を使い果たしたのか……もう指一本動かせない……でも、悪い気はしなかった」
アーク「フレンダ!」
クレア「フレンダ!」
リアム「おい、大丈夫か!フレンダ!」
フレンダ「私は……天才……魔法使い」
アーク「あぁ……お前は正真正銘、天才魔法使いだよ」
フレンダ「へへへ……」
フレンダM「私は心配そうに顔を覗き込んでくる“仲間達”の顔を見ながら、ゆっくり意識を失った」
長めの間
-草原-
フレンダ「アークは……魔王なの?」
アーク「え?」
フレンダ「アークは、魔王なの?」
アーク「いや、なんで!?」
フレンダ「ダンジョンで私に言った。どこかの別の世界で、私の本気の魔法を受けたって……その言葉の意味が、何回考えてもよく分からなくて……」
アーク「あぁ、いや〜」
フレンダ「私はアークが元いた世界で、アークと戦ったの?」
アーク「えっと……」
フレンダ「あのレベルの魔法を受けて生きてるって……相当な力だよね?」
アーク「ハハッ……」
フレンダ「アークは……元々魔王だったの?」
アーク「ハハッ!アッキーだよ?(ミッキーっぽく)」
フレンダ「じー……」
アーク「その……魔王ナワケナイジャナイデスカ!」
フレンダ「嘘つくの下手過ぎ……」
アーク「ガクッ……」
フレンダ「じー……」
アーク「あの……もしかして、何言ってもダメな感じ?」
フレンダ「うん」
アーク「ぐっ……はぁ」
フレンダM「アークは諦めたように頷いて見せる」
フレンダ「魔王が勇者として召喚されるなんて……聞いた事ないけど」
アーク「俺様も勇者として召喚されるとは思ってなかったよ……」
フレンダ「この世界の魔王を倒したら、元の世界に帰れるって事?」
アーク「そういう事らしい……知らんけど」
フレンダ「ふーん」
アーク「あの……フレンダさん?」
フレンダ「なに?」
アーク「やっぱ……みんなに言うのか?」
フレンダ「うーん……言わない」
アーク「えっ……なんで?」
フレンダ「もし、アークが私達の敵だったとしても……私の方が強いから、すぐにぶっ殺せる!」
アーク「急に強気だな」
フレンダ「事実」
アーク「そうですか」
フレンダ「アークの秘密は絶対に言わない。その代わり……条件がある」
アーク「条件?」
フレンダ「うん」
アーク「な、なんだ?」
フレンダ「わ、私と……もだちに」
アーク「え?」
フレンダ「……」
アーク「フレンダ?」
フレンダ「わ、私と…………とっとと、友達に……友達に、なって下さい!」
アーク「え……えぇ!?」
フレンダ「友達に……なって……」
アーク「いやいやいや、俺様、別世界のとは言え、魔王だぞ!?本当にいいのか?」
フレンダ「敵なの?」
アーク「いや、今は敵じゃないけど……今はね?」
フレンダ「だったらいい……」
アーク「いや、良くないでしょ!裏切っちゃうかもよ?」
フレンダ「アークは……根はいい人」
アーク「なんで?俺様魔王だよ?めちゃめちゃ悪い奴だから!」
フレンダ「悪い人だったら……こんなに渋らない」
アーク「え?」
フレンダ「私が傷付くかも知れないから……友達になるの……凄く考えてくれてる」
アーク「いや、そう言う事じゃないんだが……」
フレンダ「それに悪い事したら、私が殴って正しい方に軌道修正する」
アーク「青春漫画の一ページかよ」
フレンダ「もしくは跡形もなく消し飛ばす」
アーク「怖い子になっちゃったよぉ〜」
フレンダ「もう一回だけ……誰かを信じてみたいから」
アーク「なんで……よりにもよって俺様なんだよ」
フレンダ「クレアもリアムも……今更友達になってって言うのは……恥ずかしい……それに」
アーク「それに?」
フレンダ「アークって友達いなさそうだから……情け?」
アーク「同情するな!魔王に友達なんて必要ない!」
フレンダ「やっぱり……ダメ?」
アーク「……はぁ……何回も言うが、俺様は魔王だぞ?」
フレンダ「それでも……アークと友達になりたいって思ったから」
アーク「だぁ!もう!好きにしろ!言っとくが、俺様は友達という感情がいまいち分からん!だから……また傷付いても知らんぞ!」
フレンダ「うん……うん!」
アーク「ったく……」
間
フレンダM「人という字は、人と人が支え合って出来ている……こんな私でも、誰かの支えになれるのだろうか……いや、きっとなれる。なれるに決まってる!私は天才魔法使い、フレンダ・コックスだから……信頼できる仲間達を、初めて出来た本当の友達を……きっと支えられるって、私は私を信じてる」
間
フレンダM「次回“ランサーの息子は小生意気”】
end