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みずき台本置き場  作者: みずき
12/12

灰色、冬夜の前夜祭 2:0

灰色、冬夜の前夜祭

(はいいろ、とうやのぜんやさい) 2:0

拓実たくみ……♂

真和かずまさ……♂



0:冬の公園。寒空の下お酒を片手に話す二人。


真和:かんぱぁい!!


拓実:かんぱい!


0:お酒を飲む二人


拓実:ってか、何で公園なんだよ。


真和:しょうがないだろ?どこの店も二十二時には閉まっちゃうんだから


拓実:にしてもだよ……何でクッソ寒い公園で男二人、震えながら酒飲まなきゃなんねえんだよ


真和:みっちゃんも呼べばよかったかな……


拓実:みつきは流石にもう寝てるよ。明日も早いし


真和:かぁぁぁあ!!それにしてもあの奥手の拓実とクラスのマドンナであるみっちゃんが結婚するなんてなぁ〜まじ今でも信じらんねえ!


拓実:失礼なやつだな!まぁ、俺も今だに夢かと思うことがあるよ。でも、人に言われるとムカつくわ


真和:正直、お前が勇気を出して告白するって言い出した時には、絶対に成功なんてしないだろって、笑ってたのになぁ〜告白成功したって聞いた時は、目ん玉飛び出るくらい驚いたよ


拓実:でもあの時、真和が一緒になって喜んでくれて、俺はめちゃくちゃ嬉しかったんだぜ


真和:そりゃお前……喜ぶに決まってんだろ?俺たち親友なんだからさ


拓実:いやだってお前、告白する前は「絶対無理無理!あのみっちゃんがお前なんて相手にするわけないから、諦めろ〜」って応援するそぶりも見せなかったじゃん


真和:そりゃお前、親友が悲しむ所なんて見たくなかったんだよ


拓実:正直、お前もみつきの事が好きなんだって思ってたよ


真和:そりゃ好きだったさ!何てったってみっちゃんは皆んなのアイドルだったんだからな!クラスの男は皆んなみっちゃんが好きだったよ


拓実:ほんと、なんで俺なんかと付き合ってくれたんだろうな


真和:ほんとにな……


0:二人、缶酎ハイを飲む。


拓実:で?


真和:ん?


拓実:いや、ん?じゃ無いだろ?明日は結婚式……いや、もう日付回って今日だ……俺も朝早いんだよ。要件があるなら早めに言えよ


真和:要件なんて……



拓実:ふざけんな。今日が俺にとってどんだけ大事な日か分かってんだろ?間違いなく、人生で1番大事な日だ。そんな日の前日に、少し話したいなんて言われて、大した要件じゃなかったらぶん殴るぞ


真和:大事な事なんだよ。俺にとっても……お前にとっても


拓実:じゃあ世間話抜きで、本題を頼む。まじで寝坊したら洒落じゃ済まなくなる


真和:あぁ……うーん


拓実:おい


真和:いや……拓実ってさ、意外とモテてたんだよ。お前が気づかなかっただけで


拓実:は?


真和:正直、嫉妬してたよ。俺の好きな人までお前に取られるんだもんなぁ


拓実:お前、本当にみつきの事……


真和:ん?あぁ、違う違う。みっちゃんじゃ無い……


拓実:じゃあ、誰?


真和:……


拓実:おい!


真和:……ゆき


拓実:ゆき?


真和:覚えてない?森田ゆき


拓実:どんな奴だっけ?


真和:覚えてない……か。まぁ、目立つタイプでも、話した事がなければ印象に残る様な奴でも無かったけど……


拓実:ごめん、全く思い出せない。そんな奴いた様な気もするけど、流石に十年前の事は殆ど覚えてないわ


真和:薄情な奴だよ……お前も


0:缶酎ハイを飲む二人。


拓実:で?いい加減本題に入ってくれよ。そろそろ本気で怒るぞ


真和:あぁ……なんて言うか……その……ゆきは、お前の事が好きだったんだよ


拓実:それはさっきも聞いた。それで?


真和:……


拓実:お前……いい加減にしろよ。


真和:ごめん……俺、明日の結婚式出れなくなった


拓実:は?どういう事だよ


真和:そのまんまの意味


拓実:いやそうじゃなくて……何でだよ。お前明日、友人代表のスピーチしてくれる約束だったじゃん。流石にそれは……


真和:……


拓実:なんかあったのか?


真和:……死んだんだよ


拓実:……死んだって、誰が?


真和:……ゆき


拓実:……え


真和:十二月十日……ゆきは死んだ。自殺だってさ……明日……いや、日付回って今日、葬式なんだよ。だから、結婚式には出られない


拓実:それは……仕方ないかもだけど……ゆきさんとは頻繁に会ってたのか?


真和:いや、高校卒業してから全く連絡とってない……


拓実:じゃあ、卒業してからもその……ゆきさんの事が好きだったのか?


真和:……


拓実:はぁ……まあ、しゃあないか。友人代表のスピーチは……何とかするよ。最後のお別れなんだし、顔見せてやんな


真和:……


拓実:じゃあ、俺帰るよ。お前も、風邪ひく前に早く帰れよ……


真和:待てよ


拓実:……なに?まだなんかあんの?


真和:これは本題じゃ無い……本当に話したいのはこっからだ


拓実:は?


真和:お前、今言ったよな。最後のお別れなんだし顔見せてやれって


拓実:あぁ


真和:ゆきが最後に本当に会いたいのは……俺じゃ無いと思うんだよ


拓実:……?


真和:ゆきが最後に会いたいのは、俺じゃ無い……お前だよ


拓実:お前……もしかして……


真和:……


拓実:いや……いやいやいや……無理だろ。さっきも俺言ったよな?今日は俺にとって人生で一番大事な日なんだよ。確かにお前の言いたい事は分かる……お前にとって、ゆきさんが特別なのも何となく分かる。でも、俺にとっては、今だに顔も薄らぼんやりとしか思い出せないくらいの関係でしかないんだよ……悪いとは思うけど


真和:……


拓実:俺だって、ゆきさんの葬式に出られるんなら出たいよ。でも、タイミングが悪い……悪いけど、これはゆきさんの葬式だからって話じゃ無い。お前の葬式だったとしても、俺はみつきを選ぶ


真和:分かってる……分かってる分かってるよ、でも!それでも俺はお前に頼む……一生のお願いだ!ゆきの葬式に出てやってくれ!金なら払う……結婚式は明日じゃなくても、いつでも出来る!!みっちゃんには、これからも会える……でも、ゆきに会えるのは……明日で最後だ


拓実:そんなの……無理だろ


真和:頼む……お願いします……この通りだ!


拓実:……


真和:……


拓実:話はこれで終わりだ……俺は帰る


0:間


真和:お前が……殺したんだぞ


拓実:は?


真和:お前が……みっちゃんと結婚なんてするから……ゆきは……


拓実:お前……何言ってんだよ


真和:お前が……ゆきを殺したんだ


拓実:ふざけんなよ?何で俺が殺したってことになるんだよ、なぁ!!そもそも、お前……高校卒業してからゆきさんに会ってないって言ったよな?ゆきさんが高校卒業してからも俺の事が好きだったなんて、そんな確証どこにも無い。寧ろ、高校を卒業してから、他の男を好きになってるって考えた方が自然だよ……それでもお前は、俺がみつきと結婚したから、ゆきさんが死んだって、そう言うのか?


真和:あぁ、ゆきはずっとお前の事が好きだった!遺書になぁ、こう書いてあったんだよ……「ごめんなさい、何も出来ない私でごめんなさい……何も出来ないなら生きていても死んでるのと同じ。もしあの時、あの人に思いを伝えられていたら……何かが変わったのかな?今更考えても意味はない。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」……お前がみっちゃんじゃなくて、ゆきと付き合って結婚してたら……お前がゆきの支えになっていれば……ゆきは死ななかったんだよ!!


拓実:ふざけんな!!(殴る)


真和:(殴られる)


拓実:お前……ゆきさんの事が好きだったんだろ?だったら、お前がゆきさんの支えになってやればよかったじゃねえか!自分が支えになれなかったからって、俺にその責任を押し付けてんじゃねえよ!


真和:……


拓実:……話はこれで終わりだ


0:間


真和:俺が殺したんだ……


拓実:今度は何だよ……


真和:あの日……十二月十一日……お前がみっちゃんに告白した日……ゆきもお前に告白するつもりだったんだ。でも、俺が言っちゃったんだよ……今日お前がみっちゃんに告白するって


拓実:……


真和:俺が余計な事言わなきゃ……ゆきは死ななかった……俺が……ゆきを殺したんだ……


拓実:……


真和:頼む……ゆきの葬式に出てやってくれ……頼むよ……一生のお願いだ……このままだと、俺はゆきに合わせる顔がない……合わせる顔がないんだよ……


拓実:無理だよ……俺にとって一番大事なのは、今生きてるみつきだけだ


真和:……そうか


拓実:俺……帰るよ


0:去ろうとする拓実に真和が弱々しく声をかける。


真和:会ってやってくれよ……近いうちに


拓実:あぁ……近いうちに、線香上げに行くよ


真和:……ごめんな


拓実:……


真和:……ごめん


長い間


真和:(十二月十三日……そろそろ葬式が始まった頃だろうか。俺は結局、葬式には顔を出さなかった。どんな顔をしてあいつの顔を見ればいいのか、俺には分からなかった。どんなに謝っても……きっとあいつは俺の事を許してはくれないだろう。でも俺はどうしても最後に拓実の顔をゆきに見せたかったんだ。俺じゃゆきの支えにはなれないから……もう直ぐ電車が来る……俺も会いに行くから……死後の世界にまた死があるなら……二人で俺を殺してくれ)


真和:二人仲良く……お幸せに……



0:end

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