知らない場所と知らない老人
仁が空をヒャッハーする数時間前、目が覚めるとと仁は知らない場所にいた。まさか誘拐と思ったがどうやら違うようだ。縄で縛られている訳でも牢屋に入れられているわけでもない。それどころか周りは見渡すかぎり何もない、ただ白で埋め尽くされている。
「はぁ〜此処はどこなんだ」
俺は溜め息をついた。現代社会で生きる24歳、童貞、自宅警備員にこの環境は厳しい。そう思ってその場に座り込んでいると急に背後から声が聞こえてきた。
「此処は神界じゃよ」
いきなり声をかけられたので、びっくりしてグーで、声をかけてきた者の顔を反射的にを殴ってしまった。すると
<惰神に53のだめーじ> <惰神はきぜつした>
と可愛い幼い女の子のような声が聞こえてきた。しまったと思いながらその人を見た。その人は白髪の目立つ老人だった。見事に気絶していた。しかしその老人には外傷は無かった。
「しまった、つい」
俺は後悔した
なぜなら殴った右腕が凄く痛むからだ。
善人なこの老人のことを心配するかもしれないが、仁にそんな人情は無い。殴られる奴が悪い、ヒャッハー。そんな傲慢不遜でゲスな事を余裕で出来る人こそ、誠仁である。
「さて」
と言いながら仁は老人が危険な物を持っていないかチェックしてからその老人を起こした。老人は起きるなり
「急に声をかけられて人を殴る奴がいるか」
と少し怒ったように言った。だから仁は言った。言ってやった。最大限カッコつけながら言った。
「此処にいるぜ(キリッ)」
老人は疲れたように溜息をついで言った
「ワシよりダメな奴がいるとはな」
そんな老人の様子を気にかけず仁は疑問を口にだした。
「なぁ、爺さん此処だ?あとあんた誰?さっき聞こえた幼女の声はなんだ?」
「いいじゃろう、教えてやろう」
その老人は答え始めた。