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LostTechnology ~幼帝と保護者の騎士~  作者: CB-SXF6
本編(建国38年~建国47年)
4/76

プロローグ後編 ピクニック

 就任してから7日後。


「ディートハルト!」


 特にすることもないアグネスは、壁によっかかってひたすら本を読んでいるディートハルトに話しかけた。


「何ですか?

 本を読んでいるときは話しかけないで欲しいのですが。

 遊んで欲しいなら侍女に頼んでください。呼んできましょうか?」


「何を読んでおるのじゃ!」


 ディートハルトの心無い対応に、声を荒げるアグネス。


「ああ、ロステク小説ってヤツですね」


「ろすてくしょうせつ?」


「昔に書かれた著者不明の小説です」


「何故、おぬしは最近、壁によっかかってそればかりを読んでおるのじゃ!」


「だって……

 つきっきりの警護にあって、誰も襲ってきてくれないし……

 要は他にする事がないので、退屈なんですよ」


「ふむっ。それは面白いのか?」


「ん~、典型的な勧善懲悪モノで、毎回毎回悪党を成敗するパターンが同じなんですけど、何かクセになるというか」


「かんぜんちょうあく? てんけいてき? よくわからん」


「あ~、そうですか……子供には早いようですね。

 じゃっ! 続きを読みますんで、静かにしてくださいね」


「よくわからんので、読んで余に聞かせるのじゃ!」


「んな面倒な事を何故俺がしなきゃいけないんですか?」


「聞かせろといったら、聞かせるのじゃああああ!!」


「疲れるんで却下! 侍女を読んで来ますから、侍女に読んでもらってください」


「余はお主に読めと言っておるのじゃっ!」


「だから、読みませんよ!」


「読まんか~っ!」


「~~~~」


「~~」



 結局、根負けしたディートハルトは小説を音読する事となった。


……――……――……――……――……――……――……


 ディートハルトがプリンセスガードに就任してから一ヶ月が過ぎた頃。


「本日、プリンセスガードに配属になりましたイザークです」


「そうか、やっと念願の増員が……」


 ディートハルトは喜びをかみしめずにはいられなかった。


「よろしくお願いします!

 ディートハルト様、何なりとお申し付けください!」


「ディートハルト……『様』?」


 ディートハルトは自分が様付けで呼ばれたことに不穏なものを感じた。


「お気に召しませんか? では、何とお呼びすれば良いでしょう?」


「同僚なんだから、ディートハルトでいいだろ。別に先輩ぶるつもりもないし――」


「同僚なんてとんでもない、上官に対して、気安く呼ぶ事など……」


「じょ…上官?」


「はい。私はディートハルト様の部下となって姫様の警護にあたると、そう聞いておりますが……」


「そうか、イザーク。

 早速で悪いがしばらくここを頼む。俺はちょっと急用ができた」


 ディートハルトはそう言って、イザークの返事も聞かずに、エンケルス騎士団の詰所へと全力疾走した。


……――……――……――……――……――……――……


「久しぶりだなディートハルト。プリンセスガードの仕事はどうだ?」


 エンケルス騎士団の団員達が、久々に顔を見せた団長の息子に対し、気さくに話しかけてくるが、ディートハルトは世間話をする気分にはなれなかった。


「親父だ、親父をだせ!」


「騒々しいなバカムスコよ。一体どうした?」


 奥からハルトヴィヒが顔を覗かせる。


「おい! 俺がプリンセスガードの責任者ってどういう事だ?」


「その話か……

 私も非常に不本意で、猛反対したんだが、上の決定には逆らえなくてな。

 結局、試験のハードルを上げたところ、誰も受からなくて、仕方がないからハードルを下げ。

 お前がリーダーとなって、任務に当たるという事で話が落ち着いた」


「上の決定も何も、親父より上つったら……

 ちっ……」


「そういう事だ。早く姫様の元へ戻れ!」


「くそっ」


(しかし、皇帝陛下は俺の事を嫌っていると思ったが……)


……――……――……――……――……――……――……


「部下をつけてもらったんですか?」


 少年は、ディートハルトの話を遮り、疑問を口にした。

 仕事や任務に誠意のカケラも無かったディートハルトが、そのままリーダーに就任し、部下をつけられるなど考えにくかったからである。


「ああ、まあ、由緒ある家系の落ちこぼれとか、何かしらの問題を起こして冷遇されていたヤツとかそういうのが多かったが7名程な」


「へぇ~。イザークってあのイザークさんですか?」


 知っている名が出てきて、当人かどうか確かめる。

 少年は、自身が近衛騎士団に配属されたばかりの頃、イザークに世話になっていた。


「ああ、近衛騎士イザークだ。早い話、近衛騎士団はプリンセスガードが母体となっている」


「しかし、姫の護衛なのに、落ちこぼれや問題起こした者を入れるとか、変な話っすね」


「まあ、俺も後から知ったが、それには事情があってね――」


……――……――……――……――……――……――……


 就任してから2ヶ月が過ぎた頃。

 ディートハルトは、配属された7名の部下を訓練し、鍛え上げていた。

 最も、不測の事態に備えるというよりも、単に身体を動かしたいというのが目的であったが。


「えいやっ!」


「いい太刀筋だ」


「やあっ!」


「だが、まだまだ甘いな!」


 ディートハルトはイザークの剣をいなすと剣の切っ先を首筋に突きつける。


「うっ……

 まいりました」


「うむっ。今日はここまでっ!」


「ありがとうございました」


 訓練を終え、汗を拭いていると、配属された部下の一人であるハンスが駆けてくる。


「ディートハルト様!」


「どうしたハンス?」


「姫様がお呼びです。何でも本を読んで欲しいとか……」


「…………

 俺は忙しいといって、お前が読んでやりゃいいだろ!」


「あ~でも、鍛錬ももう終わると姫様に言ってしまいましたし……」


 ハンスからしてみれば、ディートハルト以外の者が本読むとアグネスの機嫌が悪くなるので自分が読んであげるという選択肢はなかった。


「ちっ。姫様の寝室に行ってくる」


「はっ!」


 ハンスは敬礼のポーズで見送り、ディートハルトは渋々とアグネスの寝室へ向かった。


……――……――……――……――……――……――……


「お呼びですか?」


「うむっ! 早速、余にこの前の続きを聞かせるのじゃ」


 アグネスは椅子に踏ん反りかえり、偉そうに命令する。


「今度からは、そういうのは部下にお願いしますよ部下に!」


「余は、お主に読めと言っておるのじゃーっ!」


「…………

 わかりました」


 心底いやそーにしているディートハルトを見て、アグネスは怒りを通り越して少しばかり興味を持った。


「全く、お主だけじゃぞ? 余の命令に逆らうのは」


「そうですねー。解雇されるのも時間の問題ですよね」


 アグネスの言葉を笑顔で返すディートハルト。


「そこは、安心せい! 余は寛大じゃ!

 お主の不届きな態度を爺上には全く報告しておらん」


「え!?」


「だから、もっと余に忠誠を誓わんかー!」


「忠誠っていうのは強制するもんじゃありませんって!」


「じゃあ、どうすれば、余に忠誠を誓うのじゃ?」


「ん~、さあ~? 私に聞かれても……」


「全く、お主という男は~~~!」


……――……――……――……――……――……――……


 就任してから3ヶ月が過ぎた頃。

 アグネスの寝室で、ディートハルトは特に読みたい本がなかったため、仏頂面で突っ立っていた。


「ディートハルト!」


「何ですか? 本ならこの前読んであげたでしょ?」


「そうではない! 外に出たいのじゃ!」


「外に?」


 ディートハルトはいつもと違うアグネスの要望に興味を持った。

 この姫は何が望みなのか。


「うむっ! 侍女にしろ、お主の部下にしろ、お主と違って、余の言う事を何でも聞いてくれるのじゃが、外に出たいという事に対してだけは危険だからダメとしかいわん。

 しかし、よくよく考えてみれば、プリンセスガードはその危険から余を守るのが仕事の筈じゃ」


「なるほど」


「というわけで余を外に出すのじゃ~!」


「いいですよ。では支度をするのでしばしお待ちを」


「む? 良いのか?」


 反対してくるとばかり思っていたアグネスは拍子抜けする。

 アグネスからしてみれば、外に出たいというのは本音ではあるものの、どうせ断られるとは思っていた。

 しかし、仏頂面で立ち続ける不届きな男を少しでも困らせてやりたいという想いで自身最大の我儘をぶつけてみたのである。


「ええ、危険から守るのが私の仕事ですし、外っていっても王都を出るわけじゃありませんしね」


「本当に良いのか?」


「ええ、いきなりどうしたんです?」


「そうか! それでは楽しみにしておるぞよ」


 アグネスは疑いの眼差しから一転して笑顔になった。


「御意」


 ディートハルトは準備のため、部屋を後にした。


……――……――……――……――……――……――……


 ディートハルトは手早く身支度を済ませると、周囲に気づかれないようにアグネスを迎えに行く。


「では行きましょう」


「お主一人か?」


 護衛と侍女を引き連れ、大勢で行くと思っていたので、コソコソとディートハルトが一人でやってきのは意外だった。


「ええ、部下に言っても反対されるのが目に見えてますので……」


「そうか……では案内致せ!」


「はっ!」


 派手好きなアグネスからすれば、少し残念ではあったが、外に出られるので多少の地味さは不問にする。

 初めて自分の意志で外に出られるのだ。


「いざ出陣じゃあ~!」


 やがて気分が高揚したアグネスは、戦に向かうかのように声を張り上げた。

 ディートハルトはアグネスを連れ、厩舎に行き、自身の馬に乗って城を出る。

 王都オルテュギアには、自然豊かな大きな国立公園が存在し、そこへと向かう。

 適当な場所に敷物を広げ、用意した弁当を開けると、いわゆるピクニックを行った。


「おおお~!! 外は凄いのう!」


 退屈しのぎにと思ったディートハルトの気まぐれのピクニックであったが、無邪気に喜ぶアグネスを見ると自然と誇らしい気持ちになった。


(外に出ただけで、あんなに喜ぶとはな……)


 アグネスは自然公園をはしゃぎまわり、適当な石をどかしてみる。


「何じゃこの生き物は~!」


「姫! むやみやたらに石をどかしてはなりません。

 ムカデなど何気に危険な生き物もおりますので」


「そ…そうか……」


 ディートハルトは食事を済ませた後も、馬で公園を駆け、自然公園を散策した。


「しかし、お主は本当にひねくれてるの~!」


「そうですか?」


「うむ、いつもは余のいう事に対し、何かと反抗するくせに。

 皆が反対する事に対してだけはあっさり引きうけおった」


「あ~なるほど。それでいかがでしたか? 外は?」


「うむっ! とても楽しかった。余は満足じゃ!」


「それはよかった」


 その時、遠方より馬の蹄の音が聞こえてくる。


「なんじゃ? あの音は?」


「…………」


 アグネスは何の音かわからなかったが、ディートハルトには音の主がアグネスを連れ戻しにきたエンケルス騎士団だという事はわかっていた。

 黒馬に跨り、漆黒の鎧を着込んだ黒備えの軍勢がアグネスとディートハルトを包囲する。


(騎士団総出か……

 親父は相当お怒りのようだな。)


 騎兵隊が道を開け、騎士団長であるハルトヴィヒが般若の様な形相で現れると、ディートハルトは馬からおり、ハルトヴィヒと対峙した。

 すぐさま、騎士団員がアグネスに駆け寄り、ディートハルトから引き離す。


「やってくれたなバカムスコ!」


「姫の望みを叶えただけですが?」


「うむっ! その通りじゃ! ハルトヴィヒ、何をそんなに怒っておる。此度の催しに対し、余はとても満足しておる。見事じゃ!」


 本来、アグネスの見ている前で暴力など振るうべきではないが、事態を全く理解していないディートハルトの発言にハルトヴィヒは我を忘れた。


「貴様、自分が何をしたかわかっておるのかー!」


 力の限りディートハルトを殴りつけると。そのまま、剣を抜かずに鞘に入ったままの状態で何度も殴りつけた。

 流血を見せないため、慌てて騎士団員がアグネスを奥へと連れて行く。


「離せ! ハルトヴィヒ、何故ディートハルトを罰するのじゃあ~!」


「はあっ……はあっ……

 追って沙汰あるまで自室に謹慎を申し渡す。

 連れて行け!」


「はっ!」


……――……――……――……――……――……――……


 ディートハルトがアグネスを外に連れ出した件は直ぐさま皇帝ライナルトの耳に入り、ハルトヴィヒは玉座の間に呼び出されていた。


「ハルトヴィヒよ……

 お前は本当によく、ワシや国家に尽くしてくれている。

 その事に異論はない」


「はっ!」


「ワシは今まで、お主の息子という事で、大目に見てきたつもりじゃ」


「はっ!」


「皇家虐殺で、一族を尽く殺され……

 生き残った息子であるヴェルナーには子がいなかった。

 アグネスはのう……

 ようやっと生まれたわしの唯一の孫なのじゃ……

 ヴィクトリアはアグネスを生むと他界し……

 ヴェルナーは後妻を娶るつもりはないと申す……」


「この意味がお主にわかるか?」


「……はい」


「ハルトヴィヒ……

 お前はワシに忠誠を誓っておるか?」


「……はい」


「では、その忠誠を行動をもって示して見せよ!」


「!」

「へ…陛下! それだけは……」


「ワシに忠誠を誓っておるのではないのか?

 アグネスになにかあったらどうするつもりだった?」


「…………」


 ハルトヴィヒは何も答えることができなかった。


……――……――……――……――……――……――……


 一ヶ月後。


「出ろ!」


 ハルトヴィヒはディートハルトの牢の鍵を開けた。


「謹慎どころか、投獄ですか……」


「当然だ。それだけの事をお前はしたのだからな」


「はいはい、そーですか……

 んで、俺の沙汰はどうなったんですか?

 地方に左遷? 追放処分?」


「…………

 引き続きプリンセスガードの任務に就く」


「え!?」


「処分はなしだ。さっさと牢から出ろ!」


「?」


 ディートハルトは訝しげに思いながらも牢から出ると、ハルトヴィヒはディートハルトにハグをした。


「いきなり何すんだ気持ちわりぃ」


「いいか息子よ。もう少し考えて行動しろ! もはや私でも庇いきれんぞ!」


 自身の父親の悲痛な声を聞き、抜き差しならない状況だった事を感じ取り、言葉につまる。


「早く姫様の下へ行け! お前がいなくなって寂しがっている」 


「わ…わかったよ」


 ディートハルトはアグネスの居る部屋に向かう途中、アグネスの父親であるヴェルナーとすれ違った。


「これは皇太子様」


「とんだ災難だったねディートハルト」


 屈託のない笑顔でそういうと、ディートハルトの肩に手を置いた。


「これからも娘を頼むよ。娘には対等の立場で接してくれる君の様な者が必要だ」


「?」


「じゃあ、娘の事は任せたよ。

 私はあまり側にいてやれないからね……」


 少し寂しそうに言うと、ヴェルナーは手を上げ去っていった。


「はっ! この身にかえて必ず」


 アグネスの居る部屋へ入ると、すぐさまアグネスが駆け寄ってきた。


「ディートハルト! お主一体何処へ行っていたのじゃ~!」


「全く、リーダーがいなくて大変だったんですよ。姫様大荒れで……」


「そうか、すまん。心配をかけた」


……――……――……――……――……――……――……


「つまり、皇太子様がディートハルト様を庇ったって事ですか?」


「ああ、親父が死んだ時、受け取った遺品に日記帳があってな。

 それで真相を知った」


……――……――……――……――……――……――……


「ワシに忠誠を誓っておるのではないのか? アグネスになにかあったらどうするつもりだった?」


「…………。

 息子の……首を…差し出せと?」


「他に忠誠を示す方法があるのか?」


 その時、扉が開き、アグネスを抱いたヴェルナーが入ってくる。


「何の用じゃ?」


「爺上~!」


「おおっ! アグネス! 遊んでやりたいが、今は少し取り込んでおるのじゃ。

 ヴェルナー! 何をしにきた? アグネスを連れてはやく部屋を出よ!」


「…………

 アグネス! 今日のピクニックはどうだった?」


「とっても楽しかったぞ! 余はとても満足じゃあ!」


「それはよかった。もっと詳しくお爺様に教えてあげなさい」


「うむっ! そういう事かっ!」


 ヴェルナーは、ピクニックの感想をライナルトに伝える様に促す。

 遠まわしではあるが、明らかにディートハルト処刑に対する反対の意であった。


「アグネス! ディートハルトの事をどう思う?」


「最初は何かと口答えばかりするいけすかんヤツじゃったが、今日の働きは真に見事であった。今後の働きに期待大じゃ」


「そうか~。もし、ディートハルトを殺そうとするようなヤツがいたら、アグネスはどうしたい?」


「その様な者がおったら余が直々に成敗するまでじゃあ!」


「そうか! そうだよね~。まあ、その様な者はこの城にはいないと思うけどね」


 ヴェルナーはライナルト一瞥すると。アグネスを連れて部屋を出て行った。


「ぬううっ! あのお人よしが……悪知恵だけは働きおって」


「ライナルト様……」


「失せろ! ハルトヴィヒ!」


「はっ! これにて失礼致します」


……――……――……――……――……――……――……


 この後、ヴェルナーはヤケ酒をするハルトヴィヒに付き合っていた。


「とんだ災難だったなハルトヴィヒ」


「ヴェルナー! 本当にすまん! まさか息子があそこまで愚かだとは……」


「気にしなくていいよ。

 というよりも子供が外に出て遊ぶなんてのはごく普通の事だ」


「……普通?」


「ああ……父の教育は間違っている。あれでは冷酷な独裁者が生まれるだけだ。

 私は娘をその様に育てたくはない、彼のおかげで久々に娘の心からの笑顔が見れたよ」


 アグネスが生まれると、ライナルトは息子に育てさせたら折角の後継者が凡庸に育ってしまうとして、ヴェルナーからアグネスを引き離し、殆ど教育に関わらせないようにしていた。


「ヴェルナー……」


「心配しなくても、ディートハルトはよくやるさ。

 私は凡才だけど、人を見る目だけはあるつもりだ。

 彼の元に送った7名の部下も、一見問題児の様だが、心根のしっかりした者達できっと彼の力になってくれる」


……――……――……――……――……――……――……


「……って事らしい」


「そんな事が……」


「今日は遅いからここまでにしよう。

 俺はアグネスが再び国を持つ事など望まないが、彼女が一人立ちできるまでは傍にいて力になってやりたいんだ。

 それが、何も守れなかった俺にできる唯一の事だと思っている」


「わかりました。俺も尽力します」


「そういってくれるとありがたい。じゃあ明日」


「はっ!」


 ディートハルトに憧れる少年シーオドアは一礼すると自身の部屋へ戻り眠りについた。

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