第1話 軽い告白
すいません。投稿再開は二月下旬だといっていたのですが書きたくなってしまいました。読んでください。
「あのね、僕、神の子なんだ」
エザイストスが何の脈絡も無くそう言った。
「エザ、どうしたんだ」
エザの告白で生まれた一瞬き程の沈黙を、アルマがまずは事情を聴こうと破る。
「それがね、昨日見た夢の中に神様が出てきたんだ」
「ふーん、神様ね~。出てきて君は私の息子だよとでも言ったって言うの」
「そうそう、よく分かったね」
「「えっ」」
冗談ではなく真面目な雰囲気のエザにアルマ、キーナ両人が引く。
「どうしたのエザ?」
その前のアルマの触りの質問とは違い、少し心配になったキーナが同じような言葉で聞く。
「うん?別にどうもないよ」
キーナは夢で自称神に神の子宣言されたことに対して引いた訳ではない。ただ、エザが夢で起きた出来事をさも現実かのように話していることが心配だった。
「キーナは何でエザが、見た変な夢を本当みたいに言ってるのかが分からないんだ」
アルマはキーナと同じ気持ちを抱いているため何故心配なのか簡単に代弁できた。
「分かんない」
「「えっ」」
まさかの本人の分からない宣言に本日二度目のハモりが起きる。
「分かんないけど嘘じゃない、本当な気がしたんだ」
「…………」
本人にそう言われては何も言えない。明確な根拠さえ示されればおかしい所を指摘できるのだが、言葉で言い表せられない根拠による、無根拠にも見える確信には傷のつけようがなかった。
とは言ってもそのままにしておけないアルマはエザに思いついたことを口を出す。
「じゃ、何でそんな気がしたんだ」
「うーんとね~。何て言うかオーラが凄くて神聖っていう感じだったっていうのと、一番はこの夢の出来事を一部始終覚えていて夢とは思えなかったんだ」
「そうなのか」
確かに夢をはっきりと全部覚えているなんて中々無い。中々というか少なくとも俺にはそんな経験は無い。エザは基本正直者、だと思っている。否、正直者というかそこまで嘘をつくことに脳を使っていない奴だろう。そのエザがした珍妙な体験はおそらく嘘じゃない。本当に神の子なのかは別にして。
「あのね、他の人にそんなこと言ったらだめだよ」
「なんでー」
「なんでも」
キーナは無意識か意識的なのか分からないが、現実のような夢で神の子と言われたことを"そんなこと"って言ったな。エザは気にしていない、気づいていないようだが。
まぁ、キーナの言っていることは正しい。僕、神の子なんだなんて言い触らしたらやばい奴と思われることは目に見えているし、仮に親に言ったとしても相手にされないか注意されそうだ。言って利を生むことは無いだろう。
「じゃあ、またね~」
「またな」
「またねー」
エザの家に着いたのでエザは家に帰り、俺とキーナもここで帰る道が分かれるので一人になった。
エザ、親に言わないだろうな。心配だ。
俺たちが生きているこの誰もがが魔法を使える世界、昔はこの魔法を神の恩恵だとか言ってたり、神の加護を受けた奴がいたらしいが今はそんなこと言っている奴はいないし、いても社会から痛い認定を押されてしまう。本当だったら担がれるか、下手したら誘拐か実験材料にされる可能性もなくは無い。キーナもエザも軽い感じで会話していたが、万が一でもエザが他人に漏らさないように留意しておこう。