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21-⑦:あがき

 一方、その時、リアンとノルンは、落ちている本体を前にしていた。

 本体は弱っているのか、ちかちかと切れかけた蛍光灯のように、弱々しく瞬いている。


「早く止めを刺しましょう。人目なら、消してあげますから」

 ノルンは、通りの建物を見上げながら言う。窓から、先程の光に驚いた人々が、「なんだなんだ」と顔を出していた。

「発動!」

 ノルンは手を振るうと、野次馬たちをどこかへと転送し、一掃した。


「さあ、早く」

『うん』

 リアンは頷き、唾を飲み込むと、本体に手を伸ばした。だが、その次の瞬間、


『誰が、お前と一つになるかああ!』

『…ッ!!?』


 カッと明るく本体が光り輝いたかと思うと、王妃は実体化して、ロイに向かって飛びかかった。急なことに反応が遅れたロイは、慌てて魔法を使うが、王妃はその魔法を消しとばし、ロイの腰から剣を抜きとった。

 リアンとレスターが同時に魔法を放つが、王妃は片手ではじく。そして、ロイを吹き飛ばすと、ノルンに向かって跳躍した。


「…っ!!」

 王妃はその剣を、ノルンの心臓に突き立てようと…


「させるか!」

 咄嗟にテスが放った氷弾が、王妃の剣をはじき、軌道を逸らせた。だが、それでも剣は、ノルンの肩を切り付けた。

「この!」

 テスが追加で氷塊を幾つも放って、王妃を吹き飛ばす。

 王妃は10メートルほどぶっ飛ばされて、民家の倉庫に突っ込んだ。


「やったか?!」

「阿保セシル。そのセリフを言ったからには、やってはいないだろう。そもそも、あの化け物が、これぐらいでくたばる訳がない」


 テスが倉庫の方を見ると、青白い人影がふらふらと立ち上がった所だった。


『…これで』

 テス達の前で王妃は、血濡れた剣をがぶりと齧った。そして、ゴリゴリと刃を噛み砕き、飲み込んだ。


「あいつは、何をしているんだ…?」

 ロイが、人間ではありえないその光景を、震えながら見る。


『これで、カンイ的な魔法道具の完成だ…』

 王妃はけふっと息をつくと、『発動!』と叫んだ。


「…ッ?!」

 そして、王妃の言葉と同時に、その足元に緑色の魔法陣が現れた。

 王妃は、その魔方陣が放った光に飲み込まれると、緑色の筋を残して消えたのだった。


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