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21-⑤:アメリア

『危ない!離れて!』

 王妃のその感情を感知したリアンは、皆に叫ぶ。しかし、それとほぼ同時に、本体が明るく発光した。

『滅ぼしてやる、何もかも、全部!!』

 本体は叫んだ。深々と突き刺さっている銃弾が、崩れて消えていく。ウイルスの魔術式を力任せに吸収して、振り切ったのだ。


『来い!アメリア!!』

 王妃の本体は叫んだ。すると、吹雪の空の中、すさまじいスピードで、何かがこちらに向かって飛んでくる。それは、さっきの魔法で呼び出していたのだろう、器のクローンだった。


「させるか!」

 セシルは、器に向けて発砲した。しかし、器のアメリアは、銃弾を片手ではじき飛ばすと、開いた片手を振った。そして、緑色の魔法陣をいくつも振りまきながら、王妃を目指して飛んでくる。

『そうだ、良いぞ!器どもを全部だせ!』

 アメリアが振りまいた魔方陣からは、1つにつき1人ずつ、新たなアメリアが出現し始める。そして、彼女たちもまた、一斉にこちらに向かってくる。

「いったん撤退です!」

 ノルンは即座に魔方陣を展開させ、その場に居た皆と、先程までアンリがいた建物の上へと転移した。



「まあ、これも予測はしていたので想定内です」

 ノルンは、王妃たちを見下しつつ、耳のピアスに手を伸ばす。


()()を起動させるのか?」

 セシルはノルンに問う。しかし、ノルンは首を横に振る。


「まだ油断はできませんから、あれは残しておきましょう。ですから、プラン5に移行するのを知らせるだけです」

『確かに、まだあれを使うにはもったいないからなあ』と、セシルは彼がいるはずの建物の屋上を見た。

 そこには、白い布をかぶって待機しているカイゼルの姿が…

「あれ…?」

―ない?




『良い子だ、アメリア。さあ、ボクに体をよこせ』

 王妃は、目の前に舞い降りたアメリアに向かって言う。


「かしこまりました」

 アメリアは礼の姿勢を取ると、王妃に向かって口を開けた。王妃の本体は、その中に飛びこむ。

 アメリアは、本体をごくりと飲み込むと、ぐるんと目を回して白目を向いた。しかし、びくんと痙攣した後、体勢を直し、ふうと息をついた。そして、丁度目の前にやってきたアメリア達を見た。


「爆弾はもうやめだ。さあ、アメリアども、この場所を破壊しろ。更地になるまでテッテイテキにだ。虫けら一つ残さず消せ」

「はい、かしこまりました」

 アメリア達は、王妃に礼の姿勢を取った後、ばらばらの方向へと散った。分担して、リザントを破壊するために。


 しかし、一体だけ、王妃の器の予備としてだろう、王妃の脇に残された。


 そして―


「おい、アメリー」

「…?」

 その掛け声に、王妃はけげんそうに振り向いた。隣に居たアメリアも、ぼうっとした表情のまま、それに習う。


 そこには、カイゼルが立っていた。


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