表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/123

19-②:事情説明

「…その後、大変だったんだぜ。他の奴らにばれたらややこしいことになるから、その場はアライグマが入り込んだせいにして、落ち着いたころに俺の部屋へこっそりと連れてきたんだよ。そこで色々とこの男や、セシルの事について話を聞いてな。…それどころか、次の日から早速調査だと言って連れ出されて、それから家になんて帰ってないんだぞ。ラウルさんも団長もこのことを全く知らないし。今頃、俺はリトミナでは行方不明扱いだろうな。ただでさえ、アーベルの行方不明で混乱していたというのに、ラウルさんたち今頃過労死しているかも…。にしても、こいつ本当に人使いが荒いから、今まで本当に大変だったよ」


 カイゼルは、今までの苦労を思いだしながら、腕を組んでうんうんと頷く。そんなカイゼルにしれっと目線をやってから、テスも頷く。


「お前には俺の事で色々と苦労を掛けた。感謝している。そう言えばお前はそれ以外にも苦労していたな。使用人たちに、あの事がばれないように。お前の濡れた下ば「なにいっとんじゃこらあ!」


 テスの喉笛をつかみ揺さぶるカイゼルを、その場にいるアンリが「まあまあ」と言いながらなだめる。




 あれから、3日後。ホリアンサでの騒動が一段落した…とはいってもあちらはまだまだ混乱していて、ヘルシナータの役人やら派遣された救助隊やらでごった返している。

 ただ、化け物が産まれる心配はなくなったとテスが言うので、セシル達はノルンの魔法を使って、レスター達の泊まる宿へと一端移動し、テスとカイゼルの話を聞いていた。



「……つまり、テス。お前、その赤ん坊の体を借りて、今生きているという事か?」

 セシルが信じられないと、テスを見る。


「ああ、俺もどういう理屈かは全く分からんが、気がつくとこうなっていた。カイゼルに説明されて初めて、自身が蒐集室の赤ん坊の体を借りていることを知ったぐらいだ。…あの日、俺はお前の中からはじき出された後、少しの間はお前の傍にいたんだ。だけど、ある時どこかへと吸い寄せられて。抵抗したんだが全く無駄で、気がついたら狭い床下にいてな」


「…へえ…」

 セシルは相槌を打ちながらも、何だか変な気分になっていた。目の前に自身の魂の片割れ―前世がいて、その者と普通に会話しているこの状況が、何だかとても奇妙に思えたからだ。


「それから後、俺はカイゼルと共に、調査をするためにリザントに向かった。初代王妃や、ジュリエの山の事、後、『神の涙』についてよく知るためにな。村長―アンリの父親の家の物置には、魔物退治の時のこともあって、カイゼルの顔パスで入れたよ。そして古文書を色々と読ませてもらった。ジュリエ語はお前の記憶のおかげで読めたからな。…そして、ある古文書を出してもらった。…それには驚くべきことが書いてあった」


「驚くべきこと?」


 テスの表情が緊張じみたものとなったので、セシルは不安な心地で聞き返す。


「それは…」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ