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Clover on the Battlefield~異世界転生したオレが怨霊に憑りつかれて、その怨霊ごと女神に消された結果。~  作者: 鮎川 拓馬
第22章:Clover on the Battlefield~クローバー・オン・ザ・バトルフィールド~
110/123

22-①:Clover on the Battlefield~クローバー・オン・ザ・バトルフィールド~

 

―あれから、数年が経った


 あれほど各国の政府を騒がせていたマンジュリカ関連事件は、今ではたまに話題に上がるぐらい、過去の出来事となっていた。

 そして、各国は各々、あの事件を起こしていた者達は内部対立したせいで自滅したなど、順当と思われる推測を結論として、事件は収束したと捉えている。




 セシルは、別荘のある丘の草原に座り、ツンディアナの街を一人見下していた。

 変わっていないようで少しずつ変わっていくその景色に、セシルは物寂しいような、しかし心躍るような気持ちになる。




 北の地での一件の後、アンリは父親と再会し、10年分の積もる話をしたそうだ。

 そして、アンリは、ホリアンサの復興に携わった後、お嫁さんを連れてリザントに帰った。


 そのお嫁さんとは、至極珍妙なことに、マナであった。


 アンリもマナも、お互いに異性として意識したことは無かった。なのに何故結婚したのかと言うと、診療所をとうとうおじいちゃん先生に乗っ取られ、行き場を失ったマナがアンリに泣きついたからである。お人好しのアンリは、可哀想で放っておけないという同情で、マナと結婚したらしい。


 というわけで、当初はよんどころない(?)理由で2人は引っ付いたようだが、今では子宝にも恵まれて、中々幸せに暮らしているらしい。



 カイゼルは、リトミナで団長と共に、多忙な毎日を過ごしている。

 と言うのは、王太子ラウル・フィランツィル=リートンを補佐する仕事が増えたからである。


 リトミナ王府の者達は、アーベルが行方不明となったことをひたすら隠していたが、いくら捜索すれどもまったく見つからず、最終的に病死した事にされた。

 そして、ラウルが次期王位継承者となった。リトミナ王家には、継承者となれる者は、ラウルしか残っていなかったからであった。


 北の地での一件が終わった後、セシルがノルンの転送魔法でリトミナまで、レスターと共に会いに行った時には、ラウルに泣いて喜ばれた。それから後も、何度かこっそりと会っている。

 王位継承者となったと初めてラウルから聞かされた時にはセシルはとても驚いたが、ラウルは重圧に憔悴しているどころか、開き直ったかのようにすっきりとした顔をしていて、セシルはそれ以上に驚いたものだ。


―今度は、私がセシルの幸せを守る番だ


 ラウルは、王太子―ゆくゆくは国王の立場を、利用するだけ利用してやり、リトミナがセシルに手を出さないようにしてみせると、力強い目をして言っていた。




 そして、オレは…


 ふと足元を見ると、四つ葉のクローバー。セシルはそれを摘むと、空にかざした。

 清々しい青空を背景に、緑色が良く映えた。


―人生は戦場


 そんな言葉がふと思い浮かぶ。そして、セシルはふっとほほ笑む。


―本当にその通りだな。人生は戦いだ。幸せをつかむために、戦い続けなきゃいけない



 ふわりと温かな風が後ろから、セシルの銀髪を弄び吹き抜けていく。気配を感じて後ろを見るが、誰もいない。

 だが、セシルは、確かに彼らの存在を感じた。



「さあて、今日も元気に戦いますか」


 セシルは微笑むと立ち上がった。手に持っていたクローバーに口づけをすると、それを投げた。それは風に乗って、丘の下へ、街の方へと、どこまでもどこまでも飛んでいく。




「ははうえ~」

 自分を呼ぶ声がする。どうやら甘えん坊は、母親が見当たらないのが不安で泣いてしまったらしい。


「はいはい、今行くからな!」

 セシルは叫び返すと、まっすぐに駆け出した。




Clover on the Battlefield~クローバー・オン・ザ・バトルフィールド~

―完


これにて、『Clover on the Battlefield』完結となります。最後の最後で、タイトルに隠された意味を全部回収しきりました。


ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。まだまだ未熟なので、読みづらいとか、分かりにくいと言った事も多かったと思います。ここまでお付き合いいただいて、本当にありがとうございました。ただただ感謝感謝です。


今後、この物語が誕生してしまった背景や伝えたかった事などについてまとめた後書きや、おまけなどについて、ちょこっとずつ更新していきたいと思います。ですが、それらに関しては、書き溜めている分がなく、時間がある時に少しずつ書いていきたいと思いますので、投稿までにお時間がかかると思います。本当に申し訳ありませんが、ゆっくりと気長にお待ちいただければと…。


それではこの度は、これにて。また、お会いしましょう!

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