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21③-①:よくも俺からこんな女が産まれたものだ。

「おい、起きろ。おい」

 誰かに頬をペしぺしと叩かれる。


「…ん、何だよ…」

 セシルは眠い目を無理に開けた。すると、目の前にはテスがいた。赤茶色の髪に、眼鏡をかけている。


「なんだよ、テスかよ。まだ眠いから眠らせろよ…」

 セシルは「むにゃむにゃ」と言うと、二度寝をしようとした

「…ぎゃ!!」

 ので、テスは問答無用に、セシルの尻を蹴りとばした。


「テス、てめえ!何しやがんだ!」

 セシルは尻を抱えながら、飛び起きた。


「お前には、ほとほと呆れさせられるよ。全く、よくも俺からこんな女が産まれたものだ」

 テスは、はあとため息をつく。


「お前に産んでもらった覚えはねえし、お前に育ててもらった覚えもねえ!…あれ?」

 セシルは、はっと回りの様子に気づいた。

「ここはどこだ…?」

 辺りは真っ白で何もない世界。横にも上にも、果ての無い白い空間が続いている。立っている地面も真っ白で、地面とそうでない場所の境目すら分からない。

 その景色に驚いてテスを見たセシルは、更にテスの姿に驚いた。


「そういや、なんでお前、元の男の姿に戻ってんだ…?それに、お前死んだはずじゃ…」

 今更気づいたセシルに、テスはやれやれと言う。


「ああ、俺は死んだ。そして、体がなくなれば、元の姿に戻るさ。後、なんで死んだ後にこんな訳の分からない場所に居るのかは、さっぱり分からない。俺らもさっき、気がついたばかりでな」

「俺ら、って?」

 他に誰かいるのか?と、セシルが思った時、テスの後ろから「よ!」とリアンが顔を出した。


「リアン!」

「えへへ、セシル。もう話せないかと思ってたけど、こんなとこでまた会うなんてキグウだねえ」

 リアンは、嬉しそうにぴょんっと跳ねると、セシルの手をとった。しかし、テスは、そんなリアンを咎めるように見る。


「おい、リアン。喜んでいる場合じゃないぞ。俺とお前は死んだ者だ。死んだ者が2人もいて、セシルもここにいる。という事は…」

 テスは自分のこぶしを見つめると、ガクリと地面にひざをつき、うなだれた。


「俺はあの時、力加減を誤まってしまったのか…」

 そのまま「すまなかった」と土下座をするテスの前で、セシルも地面に膝をついてうなだれる。


「オレは、あんなパンチで死ぬほどヤワだったのか…」

 セシルは地面を拳で叩き、鍛え方が足りなかったと自身を呪った。


「…あはは。キミ達、よく似てるねえ…」

 リアンは2人を前に、苦笑いをしていた。


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