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君の名は・・・
一人の老人が足早に目の前を過ぎていく。
「霊だ。」
祐二は、霊視の研究を通じて、生者と死者の区別がつくようになっていた。老人は、お化け屋敷のほうに行く。
「ここは、すでに本物のお化けを使っているのか?」
もしかしたら、先を越されたかもしれないと焦った。老人はお化け屋敷の前を通り過ぎ、奥のポニー舎に向かった。
「ポニーがいたんだ。」
祐二は初めて知った。以前来た時は、暴風雨だったためポニーも休みだったのだろう。なおも、ボーと見ていると、なにやら大きな女がキョロキョロしながら近づいてくる。180センチぐらいはあるだろうか。ローヒールのパンプスを履いているが、160センチ足らずの祐二には巨人に見える。確か、ずっと前にでかい中学生に会ったことがある。
「君の名は・・・」
二人は同時に叫ぶ。
「デカ!」
「チビ!」
互いに名前は知らないんだった。