表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/32

序章

 ――ねぇジュリア、この世界は運命神ディラ様の導きによって均衡が保たれているの。ディラ様のおかげで、私たちの平和で、幸福な生活があるのよ。お母様がお父様と出会うことができたのも、ディラ様のお導きがあったからなのよ。そして、あなたはディラ様の祝福を受けているの。なんて幸福な娘でしょう!

 あなたはきっと、誰よりも愛に溢れた幸せな人生を送るのね……!



 母は幸せそうな笑みを浮かべて、幼いジュリアに何度も言い聞かせた。それを聞いて、ジュリアも自分は誰よりも幸福な人生を送るのだと信じていた。

 しかし、十六歳になる頃には、そんな幻想はきれいさっぱり消えていた。


「これが、誰よりも愛に溢れた幸せな人生っ⁉」


 ふるふると華奢な肩を震わせて、ジュリアは吐き捨てた。


 普通、人間は自分の運命を知ることなく、その道を歩いていく。

 しかし、運命神ディラに愛され、祝福を受けた者は、特別な運命を背負うことになる。

 その特別な運命は、その人を愛するが故の運命神ディラの悪戯でもある。

 しかし、その悪戯を本当に祝福だと感じた時、その人は幸せで愛に溢れた人生を送ることができる……と信じられている。


 母にとっては運良く、ジュリアにとっては運悪く、ディラの祝福を受けてしまった少女は、今日もまた自分の運命を呪うのだった。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ