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 ジョゼットは躊躇わずに扉を開けた。中からかび臭い湿った風が吹いてきて袖で鼻と口を覆い顔を背けた。

 中は暗くて何も見えない。ジョゼットはジーンズの尻ポケットに手を伸ばし、常備しているペンライトが転倒に耐えまだそこにあるか探った。手に膨らみを感じて満足げな声を漏らす。

 スイッチを入れ中を覗き込むと、石造りの階段が暗闇の中に続いていた。

 どうしよう。小さなペンライトでは全てを明らかにすることはできない。中に入る?目の前に口をあける暗闇はジョゼットを飲みこんで二度と吐き出してはくれないように思われた。暗闇を異様に恐れるジョゼットは恐怖と好奇心の狭間で揺れていた。

 明日、館長が出勤してから一緒に中を見ればいいんじゃない?だがそれでは中に想像通りのものがあったとき、館長に横取りされてしまう。確かに私のものでもないんだけど。ジョゼットはもう一度、中を照らした。何か特別なものが私を呼んでいる気がする。

 覚悟を決めたジョゼットは深呼吸をして暗闇へと足を踏み入れていった。



 一歩一歩確かめながら歩くので下につくまでに恐ろしく時間がかかった。だがもう段差はなくなったようだ。片足で地面を探るとどこまでも平坦なまま続いている。照明はないのだろうか?ここが本当はただの倉庫で、日の目を見ない展示品がしまわれているだけだったら、どこかに電灯のスイッチがあるはずだ。

 ジョゼットは唾を飲んだ。だからと言って壁を探る気にはなれない。どんなに不潔なものが壁を這っているかわかったものじゃない。細いペンライトの明かりだけに照らされた暗闇には、埃が恐ろしいほど舞って

いる。袖で鼻と口を覆い、後ろに伸びた階段を振り返った。

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