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メイド、就職活動の旅に出る

第二の人生が始まって14年。お母様の白銀の髪とお父様の翡翠の瞳を受け継いだ私は、お父さんとお母さんの娘として申し分ない姿に成長した。魔術も武器もある程度使いこなせるし、必要な知識は身につけた。

300年経っているから以前とは多少違うところもあったけれど、応用すれば楽勝。それに面白い師匠が教えてくれたから覚えがいがあった。

両親が変わりものが大好きな貴族だったからこそ、私は師匠に会う事が出来たんだと思うと、社交界での嫌な噂なんて吹き飛んだ。それだけ師匠は素晴らしい人だった。勿論今のお父様もお母様も大好きですよ。


そんな私ですが、今現在メイドとして王城に奉公に来ています。


この世界では貴族の娘は、ある程度の年齢になったらメイドとして奉公に出るか、家業を継ぐか、お嫁さん修行をするらしい。

前世ではやった事ないし、メイドとして一生暮らすってのも有りかもと思ってメイドを選んだけど、まさかの奉公先が王城に決定。しかも変更不可。

渋々1ヶ月ぐらい下働きのメイドとして働いたのだけど、何故か王女様に気に入られて、王女様の側付きメイドになってしまった。どうしてこうなった。普通貴族の屋敷とか領主の屋敷での奉公でしょ!?


「ルー!ルーフェ!?」


「今参ります」


今日もまた王女様が私を呼ぶ声が響く。また何か厄介事を押し付けられるのだろう。

ちなみにルーフェとは私の名前だ。『ルーフェ・プルーブォ』。親しい人からは『ルー』と呼ばれている。


本当は生まれた時に教会で付けられた洗礼名があるんだけれど、それは初めて結婚する時まで親以外には秘密なのだ。正式な名前は『ルーフェ・洗礼名・プルーブォ』になる。婚約者がすでにいる女の子は近寄ってくる男子を牽制するために、わざと洗礼名を言うらしいけど、私は今のところ婚約者どころか男の影もないので一生言うことはないだろうなと思っている。


私は溜息をつきながら片付けていた紅茶のカップを置くと、王女様のいる隣の部屋へと入った。

中には同僚とその中心で頬を膨らませてそっぽを向いている王女様がいた。ロール髪の金髪に緋色の瞳の王女様。容姿はとても綺麗で美人なのだけど性格が残念すぎる。

とりあえず私は営業スマイルで、王女様に問いかけた。


「何か御用でしょうか?」


「わたくしの今日着るドレスを選んでちょうだい。ついでにこいつら役立たずだからクビよ」


いきなりのクビ宣言に真っ青な顔で王女様を見つめる同僚たち。それを面白そうな目で見る王女様に思わずため息が出た。完全に遊んでるよこのお方。


「・・・姫様、この方たちをクビにする理由をお聞きしてもよろしいでしょうか」


「わたくしの好みのドレスを選ばなかったからよ。わたくしの今日の気分は赤だったのに」


「それを姫様はお伝えしたのですか?」


そう言うと、王女は言葉に詰まって目が泳ぎだした。この様子だとたぶん言ってないな。また溜息を付けば王女様はさらに頬を膨らませて拗ねた。その頬は微妙に赤い。どうやら図星のようだ。


「だっ、だって!ルーフェは言わなくてもわかるじゃない!」


「私は半年間ずっと姫様の傍に居ましたから。ですが彼らはまだ半日も姫様の傍に仕えていないのですよ?」


「うぐっ」


「お戯れで彼らをクビになんてなさったら、姫様の品格が疑われますよ」


私の言葉がグサリときたんだろう。王女様は肩を震わせながら私に向かって持っていた扇子を投げつけてきた。本当は避けられるし燃やすことだって出来るのだけど、あえて受けた。扇子は私の頬を切って絨毯の上に落ちる。傍にいた同僚が小さく悲鳴を上げたけれど、こんなの軽い軽い。

機嫌を損ねた顔で私を睨んでくる王女様。そしてついに王女様は私にこう言った。


「・・・・・・もういいわ」


「姫様?」


「ルーフェ、貴女クビよ!!さっさとここから出て行きなさい!!」


大声で叩きつけるようにそう言った王女様の目は、次はどうするの?と問いかけてくるような目だ。恐らく普段の様に私が謝るのを期待しているんだろう。期待している所悪いのだけど、今日は違う。

私は少しだけ息を整え、顔に笑みを浮かべると、ゆっくりと頭を下げてこう言う。


「了解致しました。ルーフェ・プルーブォ、本日をもってこの仕事を辞職させていただきます」


「えっ」


「姫様、今までありがとうございました。もう会うことはないでしょうがお元気でお過ごしくださいませ」


私の発言に驚き戸惑う王女様と唖然として硬直している同僚を尻目に、私は笑顔でその場から退出した。

数秒後に後ろから王女様が私の名前を叫びながら追いかけてくる音が聞こえてきたけど、魔術を使って自分の私室に転移して逃げた。

たぶん王女様は私を追いかけてくるだろう。急いで少ない荷物をまとめ始めながら、次の就職先を考える。


正直言うと城勤務って平和過ぎて暇!!


前世がスリル満点だったからなんか呆気なさが半端ない。精神的にダメージがくるだけでそこまで楽しい物ではなかった。これならまだ冒険者とか家業を継いだほうがよかったかも。


「でも実家に戻ったら絶対手回しされるだろうから実家は無し。かと言って知り合いに当たっても上手く就職できるか・・・今更冒険者になっても王女様に呼び出されたら立場上逆らえなくなるなー」


そこまで考えてふと、師匠の事を思い出し、一ついい案が思いついた。








「お師匠様に会いに行くついでに魔王城に就職しに行こう。うんそうしよう!」










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